苦悶
ここは東京のとある区。今、マーガレットと天谷達が歩いている場所とは電車で2時間ほどの所。
そこにある1人の男が現れた。
「……ん?ここはどこだ。俺はどうなっている?」
男は周囲を見渡す。周りに見えるのはさっきまで乗っていた馬車ではなく、四角形の動く箱と大量の人々。
なんだここは?俺は別の世界に来てしまったのか?
男は周囲を見渡すも誰も彼に声をかける者はいない。貴族のような豪華な衣装、外国人のような目鼻立ち。不審がってちらりと見てくるものはいるものの、彼に話しかける勇気や時間のある人はここにはいない。
「俺は一体どうすれば……」
男が途方に暮れていた矢先、1人の女性が手を差し伸べた。
「どうしましたか?道にでも迷いましたか?」
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マーガレットの突然の宣言。天谷はそれに対して何となく自分と合致するものがあるのではないかと思った。
天谷自身も大金を手にしてこれからどうしたらいいのか分からなくなっていたのだ。
とりあえずマーガレットが欲しいと言った車を買ってみた。
マーガレットとドライブして買い物して、充実した1日だったと思う。
でも、何か胸の中に過不足な感覚が残っているのだ。
「人助け……ってことなのか?お前がやりたいことは」
「わたしは未来が見えるのなら、それを利用すればたくさんの人を幸せにする事がきっとできると思うのです。わたくし今の生活のままでもいいですけれど……今日沢山の困ってる人を見て、何か力になりたいと思ったのです!」
マーガレットは今日出会った人たち、特に雅子お婆ちゃんとの出会いがずっと心に残っていた。孤独感からマイナスの方向に向かってしまう人をなんとかしてあげたい。昔の自分と重ねて、悪役令嬢だった時の自分と重ねて、切にそう思うようになったのだ。
「何か力になりたい……か」
2人は再び少しずつ歩き出す。高架橋の下を歩く2人の上に電車が通り過ぎていく。騒音が鳴り響き2人の会話もそれっきり途絶えた。
天谷は考えていた。マーガレットの能力をどう活かせばいいのかを。
マーガレットの能力はかなり万能だ。データを集めればそれに対する未来が見えるのだから。
しかし、それを行うには障壁がある。それは主に2つ。
①実際にマーガレットが体感しなくてはならない
②データを集めなければならない
この二つをクリアして初めてマーガレットは本領を発揮することができる。
しかし、この日本で「何か力になりたいのであなたの特徴を教えてください。わたしは未来が見えるのです」なんて言ったら警察に通報されて終わりだ。
一体どうすれば。
2人な高架橋の下を歩く。薄暗くて長いその道は女性が1人で歩くのは些か危険な所。なんだか怪しい雰囲気が漂っている。
2人は歩くスピードを少し下げる。何かをしたいものの、そのエネルギーの行先が分からない。
天谷は俯きながら考え歩く。ふと前方にぼんやりとした光が見えた。
なんだあれは?誰かが座っている。
2人は近づいていくと1人のおばあさんが座っていた。横の看板にはこう書かれていた。
「高円寺のマザー 占い1回300円」




