ドライブ
しばらくして先ほどのお客さんが帰ってきた。
「どうでございましたか?南本様。乗り心地最高だったでしょう!」
「そうだなぁ。良かったんだけど、ちょっと揺れたかなぁ」
「え?そうでございますか?揺れはかなり少ない部類の車種でございますが」
隣で腕を組んでいる女が言う。
「私はそんな感じなかったから、もうこれでいいんじゃないかなぁ?」
原田は内心、女を応援していた。いいぞ。そのまま押し切ってくれ。
「でもまぁ、もう少しゆっくり見て回ろうよ。焦って決める必要はないさ」
「えぇ〜まぁその通りなんだけどさぁ」
女は不満そうだが。財布の紐を握っているのはどう考えても男の方だろうなぁ。と天谷は側から見ていて思った。
「原田さん、とりあえずこちらのお客様に試乗してもらってもいいですかね?」
佐藤さんは原田に許可を得る。
「あぁ、別にいいけどお前らが帰ってきたらおそらくもう契約終ってるかもしれないからな」
原田は自信満々にそう言った。
****
「どうですか?お客様?はじめてのクルマなのですか?」
「すごい!すごい!はやい!はやい!天谷様スピード出しすぎではないですか?」
「いや時速三十キロだよ。むちゃくちゃ遅いから」
「そ……それでこの速さですか。本気を出したら凄いことになりそうですわね!」
マーガレットは初の車に大喜びの様子だ。佐藤さんもマーガレットのおかしさに気づきながらもバカにしたりしないし、とてもいい人だなぁ。
運転免許を当然持っていないマーガレットの代わりに天谷が運転する。
首都高速を走り、レインボーブリッジを通過した。
日が落ちかけており、夕日が水に反射してひかりかがやいている。
「わぁ……すっごく綺麗ですわね」
「そうだな……マーガレット楽しいか?」
「はい。とても」
三人は和やかにドライブを楽しんだ。
途中でサービスエリアやマーガレット大好きコンビニに寄ったりしてご飯を食べたりしながらのドライブだった。
****
2時間ほど東京の街を走り3人は帰ってきた。
「いかがでしたか?マーガレット様?楽しかったですか?」
「はい!とっても!楽しかったでございます!佐藤様も3人で今度はボウリングというものにいきましょう!」
車内でマーガレットは佐藤さんの趣味であるボウリングについて話を聞いていた。鉄の玉を投げてピンを倒すと言う行動の何が楽しいのか気になっているようだ。
「あ?それで佐藤さん。この車なんですけど俺たち買いますね」
「え?お……お客様。こちらのお車お値段が3000万となっておりますが……」
天谷は車に乗せてあった紙袋を差し出した。
「これ。3000万です。コンビニの横にちょうど銀行がありましたよね。そこで引き下ろしてきました。ちょっと時間かかっちゃいましたけど」
天谷が差し出した紙袋を覗き込む佐藤。中の札束を見て佐藤は驚きの声を上げる。
新規連載はじめました
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