換金
「やった……やったぞ!マーガレット!おまえの見た映像の通りになったぞ」
「ほ……本当ですわ」
「な……何倍になるんだ。この馬券は」
3連単が当たった。3連単とは1着2着3着をすべて的中させる事である。競馬において1番難しいとされている当て方だ。
最終オッズが発表された。
120倍!!!
「え?120倍ってことはおいくらになるのですか?」
「えーっと五万の120倍だから……600万……」
「それは凄いのですか?」
天谷は震えた。日本人の年収をたった1日で稼いでしまったからだ。それにこれを繰り返す事が出来れば……
「大金だよ。おまえ達の国で言ったら一年は暮らせる金額になったんだ」
マーガレットは目を見開き驚く。今自分たちがしでかしたことの大きさをまだ実感できずにいた。
「と……とりあえず俺はこの馬券を換金してくるから、お前はパドック行くなりしといてくれ」
天谷はそう言って馬券を急いで換金しに行った。
マーガレットはその背中を茫然と見ていた。自分のスキルの凄さにやっと今気づき始めていた。私のチカラは使いようによって凄い影響力を及ぼすのではないか。
自らの大きすぎる力に幾ばくかの不安を覚えるマーガレット。今はただ、換金してくる天谷を待つのみだった。
そんなマーガレットの元に近づいてくる男が1人。
「君、さっきまで一緒にいた天谷くんの知り合い?天谷くんと君が2人でパドックにいる所を見かけて探してたんだけど」
その男は気の良さそうなスラッとした眼鏡の男性だった。どうやら天谷の知り合いらしいが。
マーガレットは異世界に来て初めて他人に話しかけられた。
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すごい…すごい…すごいぞ!!
換金所にダッシュしながら天谷は興奮を抑えきれずにいた。時々、本当に持っているか馬券を何度も確かめた。
持っている。俺は今、600万を持っている。
さっきまでの周りの喧騒が嘘のように鎮まっている。当たった人が少なかったのだろう。それだけ当てにくいレースだったということだ。それをいともたやすくマーガレットは言い当てていたのだ。
やはり、彼女は自分で体験した経験、データを元に未来を予測する力を持っているのだ。
「観天望気」、漁師さんが長年の経験で天気を予測することが例に挙げられていたけど、それの進化バージョンだと考えれば分かりやすい。
つまり、彼女、マーガレットは自分の体験した経験の予測を高精度でできるのだ。経験をデータとして処理しているのだろう。
換金所につき、俺は馬券を差し出した。
「おばちゃん、これ換金お願いします」
おばちゃんはメガネをズラして何度も馬券を確認した
「あんたこれ、万馬券じゃねぇかね。んじゃ、機械じゃ出てかねぇから、袋詰めるな」
おばちゃんが100万の束を6つ奥の部屋から持ってきた。それをかばっと紙袋に入れる。
「おめでとう、兄ちゃん。大事に使いなよ」
俺はとうとう600万もの大金を手にした。




