確信
ファンファーレが鳴り響き。スタートのゲートが開いた。白い扉が勢いよく開いたかと思えば、そこからミサイルのように馬が飛び出てくる。
「すごい!すごいですわ!馬の上に人が乗っています!」
周りのおじさんたちの声援が凄い!俺も実際初めて競馬場に来てみたが、これほどまでに熱気があるとは思わなかった。
最終コーナーを曲がり、ゴールまでの一直線を駆け走る馬。それを夢中で見るマーガレット。そのマーガレットを見る天谷。
競馬は今やデータで予想するギャンブルだ。もし俺の仮説が正しいのなら、マーガレットのスキルが最強AIだという仮説が正しいのなら、見えるはずだ。彼女には。
「行け行け行け!そのままそのまま!」
「刺せ刺せ刺せ刺してくれぇ!」
馬券を買ったおじさまたちが温かい声援を送っている。
ゴールラインを各馬が一斉に通り過ぎる。競馬場の熱気はピークに達し、引きこもごもの叫びが聞こえる。
「バカヤローー!!」
「よっしゃぁぁあああ!!当たった!」
レースが終わり、穴のあいた風船が萎んでいくように競馬場の熱気は下がっていった。
「どうだった?マーガレット?お馬さんたちのかけっこは?」
マーガレットは芝生を見たまま茫然としていた。
「すごい……すごい迫力でしたわ。日本ではお馬さんのレースが流行っているのですね。わたくしこんな経験初めてで、驚いていますけど……すっごく楽しいです!!」
「それは良かったぜ。流行っているというよりか、この国では文化って感じだな」
「天谷様、もう一度パドックに行きませんか?」
俺はマーガレットの言う通り、パドックに再び足を運んだ。
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のっそりのっそり沢山の馬が一定のペースで目の前を通すぎる。レース前の馬の様子を見れるとあって、馬券を予想するにはもってこいの場所なのだ。
「本当に今はこんな落ち着いた感じのお馬さんが、レースになったら人が変わったかのように走り出すんですもの。ギャップが凄いですわ」
マーガレットは黒いドレスのまま競馬場に来ているが、案外誰も彼女のことを気に留めていない。
ここにいる人達はみんな自分の馬券のことばかり考えているからマーガレットの奇抜な姿もあまり目立たないようだ。
「どうだぁ。マーガレット。競馬場は楽しいか?」
「えぇとっても楽しいですわ!ありがとうございます天谷様」
レース前の馬の状態、騎手、天気、血統、レース会場、走る距離。
適当に考えても馬券を予測するにはこれだけの要素が関わり合っている。
マーガレットは今そのデータを採集しているはずなんだ!
そうだろ?「観天望気」!
天谷はマーガレットが映像を見るのを待っていた。
そして、最後の馬がマーガレットの前を通り過ぎた後だった。
マーガレットは頭を軽く両手で押さえ、目を瞑っている。
しばらくして、顔を上げたマーガレットは言った。
「……天谷様。また映像が見えました。レース最終コーナーからゴールまで走る続けるお馬さんの映像が」
天谷の胸がズキンと高鳴る。
きた!やはり俺の仮説は正しかった!




