気分転換
「お馬さんですか?この世界にもいらっしゃるのですか?」
「馬ならこの日本にもいるぞ。見に行くか?気分転換にもなるだろ!」
「見たいです!わたくしお馬さん大好きなのです」
「そうか。じゃあ今から馬見に行くか!」
「でもいいんですか?まだ私のスキルが何なのかもよく分かってないですし。そんなことしてる場合なのでしょうか?」
マーガレットは心配そうにそう聞いてくる。自分のせいで損をしたことをなんとなく反省しているようだ。責任感の強い女性なのかもしれない。
「別にいいんだよ。地震とか火事とかこの世界に来てから大変なことばっかりだからな。ちょっと気晴らしになるだろ」
気晴らしなんてのは嘘である。天谷はマーガレットのスキルの発動条件にある仮説を立てていた。その仮説が正しいかどうかを確かめに【馬を見に行く】のだ。
「それにお前のおかげでもともとあったお金は倍にはなってるからな。何も責任感じる必要はないぜ」
「……そうなんですか。それはよかったですわ!それじゃあお馬さん見にゆきましょう!」
天谷は笑みを我慢できなかった。
FXは不向きかもしれないが、彼女なら、あのギャンブルはおそらく無双することができるのではないかと天谷は思っている。
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ガタンゴトンガタンゴトン
「……でなんでその格好なのよ。マーガレットちゃん」
「いや、だって外出するときは正装で行かなかければならないでしょう?そんなこと当たり前ではないですか?」
「……黒いドレスは正装なのかな?」
「これが正装じゃなかったらなにが正装なのでしょう?」
目的地に行くまでに俺たちは電車に乗っている。5年ぶりの東京の電車は懐かしくもある。
「こんなに狭き所に沢山の人が集まる乗り物があるのですね?この世界は」
「これは電車と言ってな。まぁ、簡単に言うと電気という魔法で動く乗り物なんだ」
「この世界の魔法はすごいですけど、不便な所もありますわね。こんなに狭いとしんどいですわ」
「まぁ、慣れればしんどくないさ」
満員電車で移動を続ける。窓から見える街並みがあまりにも日本で、東京で、帰ってきたことを知らしめてくれる。
「……あの、天谷様、すいません。ちょっとどいてもらっていいですか?」
「なんだ?どうした?腹でも痛いか?」
「違います!どいて下さい」
マーガレットは人を押し除け電車の真ん中付近で吊革を持っているおじさんの近くにたった。
そして、そのおじさんの手を握ったかと思うとこう叫んだ。
「この人、この目の前の女性のお尻を触ろうとしています!」
電車の中の視線が一気に集まった。
競馬編スタートします
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