A級冒険者
短いです。
気付けば、ブラックオークは吹き飛ばされていた。
そして、吹き飛ばされ倒れていたブラックオークの首を掴み片手で締め上げ、バキリと嫌な音が響く。
「一瞬で…?あなたはまさか!?A級冒険者アンダネス!?」
「おっ?知ってんのか?俺って有名人なの?」
アンダネスと言われた赤い髪の若い男はブラックオークから手を離し、こっちに歩み寄る。
「基本はモンスターを素手で殺すと聞いてましたので、まさかとは思いましたが、ブラックオークを数撃で倒すとは…」
「ブラックオークなんてA級からすりゃあカスみたいなもんだ。それよりお前らの方がすげーよ。まだDとかそこらのランクでよく持ち堪えたな。特に突っ込んでたお前。死ぬ気とはいえよくあいつの土手っ腹に突き刺したな。やるじゃん。とは言え、冒険者たるもの生きる残ることをしなきゃな。無理して死んじゃ意味無いんだぞほんとに。」
アンダネスはヴェルと奏に向かって言う。
「助けて頂きありがとうございます。ご忠告しかと胸に焼き付けます。」
「まぁ、わかればいいけどよ。」
奏もそう返した途端、力が抜けたのか徐々に意識が薄らいでいく。
蓄積していたダメージが今になって堪えきれなくなってしまったのだ。
「おい!!奏!!しっかりしろ!!カナデ!!カナデ!!」
ゆっくりと倒れゆく中ヴェルの叫び声が耳に残り、意識を離したのであった。