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援軍

「ヴェル、俺が囮になる。」


「なっ!?この状況では死ぬぞ!高確率で!危険すぎるから辞めてくれ!!」


俺の身を案じての発言だと思う。

俺だって死にたくない。けれど、ただ時間稼ぐだけではこちらが死んでしまう可能性が跳ね上がる。

なら、大きな足止めや相手の優勢を崩す何かしらの手が欲しい。

それに、今だっていつ死ぬか分からない状態。

なら、ヴェルが何かしらの手を打つ何かをやってもらうしかない。俺より経験があるしな。


「わかってるけど、この状況もさして変わらないと俺は思う。なら、俺が囮になりヴェルがあいつの優勢を少しでも崩す何かをやってくれ!頼む!」


ヴェルは最初はなんとも言えない顔をしていたが、覚悟を決めた面構えになっていた。


「わかった。だが、無茶し過ぎるなよ!!既に無茶をしてるんだ。ギリギリのギリギリを攻めるなよ!」


「わかりにくい例えだなぁ…了解!!」


俺は隠れていた木から飛び出し、スキルを駆使してブラックオークに近づく。


「ググ!?グオオオオオオオオオォッ!!」


先程から2人を交互に狙っていたが、奏のみを狙い始める。

そして、腰の布袋から明らかに爆弾のような導火線の着いた物を取り出し、奏へ目掛けて投げる。


「なっ!?爆弾か!?」


脚力強化を駆使して大きく離れる。

投げたものが地面に接地すると爆発を起こす。

もし、受けていたら死を免れないよう爆発であった。


「ググッ!!」


「クソブタァ!!やってくれるぜ!!水生成!」


お返しと言わんばかりに水生成でまた弾丸を作り、射出した。

放たれた水の弾はブラックオークの腕の付け根にヒットし、苦しみそうな声を上げる。


「時間稼ぎありがとうよ奏!ウィンドブレイド!」


ヴェルの放つ風の魔法が更に奏の当てた部位にヒットしたのだ。

すると、ブラックオークの雰囲気が変わったのだ。


「ググ…グオオオオオオオオオォッ!グオオオオオオオオオォッ!!グオオオオオオオオオォッ!!」


何度も咆哮を上げ、体からは黒いオーラを放ち始める。

鈍かった動きが出会った時と変わらないぐらい動きをはじめ、全力疾走で追いかけ始めた。


「馬鹿な!?動きが復活してる!?」


危険を感じた俺はガン逃げ徹し、攻撃を回避しつつヴェルに合流する。


「やばいよヴェル!このままだと追いつかれて殺される!!」


「あの状態のアイツを俺には止める術はない!!すまない!!」


もはや時間の問題となったのだ。

このままでは明確な死が訪れてしまう。

どうしようもない状況、打開すべき手段なし。

戦っても力も素早さでも勝てない。

ならば死ぬなら相手に何かしらののダメージを与えて死んでやるよ!クソが!!

そう思うと脳内で機械的な声のアナウンスが聞こえた。


新スキル「下剋上」を獲得しました。


気にせず、剣を握りブラックオークの懐に突っ込みにいく。

相手も予想外だったのか一瞬動きを止まった。

何故こいつは俺に突っ込んで来ているのかと。

そう思ったブラックオークは迎撃体勢で迎える。

誰が見ても奏の行為は自殺行為である。

何も考えずに突っ込むのは愚策も愚策。

ただの自殺行為にしか見えず、ブラックオークも奏自身さえもそう思った。

が、ブラックオークは反応出来ず、胸を貫かれたのだ。


彼が習得した「下剋上」。

このスキルは相手がかなりの格上の相手ときに発動可能なスキル。低確率で敵の防御を一日に1度だけ突破可能という使い勝手の難しいスキル。


そう、スキルによって一矢報いることが出来たのだ。

しかし、その程度で死ぬほど弱い敵ではなかった。

つまり、刺された時は怯んだが、そのまま刺されたまま拳を振り下ろした。


「カナデエェェェェェェ!!!」


もう奏の命運が尽きたと思われた瞬間、ブラックオークの腕が吹き飛んだのだ。


「頑張ったなお前ら!俺達が来たからには大丈夫だ!」


彼らの前に現れたのは要請したギルドからの冒険者達であった。




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