負けない戦い
俺はブラックオークを解析する。
ブラックオーク
怪力(MAX)頑強(1)身体強化(MAX)暴食(4)
火耐性(4)根性(3)即死無効(MAX)麻痺無効(MAX)
体術(2)威圧(2)不幸(3)孤軍奮闘(3)咆哮(3)
同族喰らい(MAX)オーバードライブ(MAX)念話(2)
完全にスキル内容を理解しなくても、やばそうなスキルがいくつもあり、迂闊に攻撃を仕掛けるのは不味いと感じる。
しかし、何もしない訳にはいかない。
水生成でイメージをする。
弾丸のような水をイメージし、射出する。
ブラックオークの目を目掛けて。
すると、水は弾丸になり凄まじい速度で放たれる。
パァン!!と鳴り、ブラックオークの目に被弾する。
敵は怯み、隙を見せた。
ヴェルはチャンスを生かし、怒涛の攻めをする。
ブラックオークの目を突き、喉を鼻を口をそして脳を突いた。
しかし、何かを察したように距離を開ける。
そのタイミングと同時にヴェルを掴もうとしていたのだ。
もし、攻撃を続けていたら掴まれて握り殺されていたかもしれない。
ギリギリの回避であった。
ブラックオークは腰に付けてた麻袋から何か丸薬のようなものを取り出し、口に入れる。
すると、与えた傷は完全には回復しないが、7割ぐらい回復してしまったのだ。
「なんだと!?こいつアイテムを使うのか!?」
「グググ…グオオオオオオオオオォッ!!」
耳が壊れるかと思うぐらいの雄叫びを上げる。
こちらを見据え、凄まじい速度でタックルを仕掛けてきたのだ。
あまりに速度に避けられないと判断した俺は咄嗟にスキルとガードの構えで受けると吹き飛ばされ、気に叩きつけられた。
あまりの痛みに呼吸困難になる。
全身が悲鳴を上げ、かつてないくらい痛みに動き取れなくなる。
次受ければ死を感じるほどだ。
これ幸いと生きてた理由としては一日に1回のみ使えるスキル「アンダーアーマー」のおかけだ。
なければ即死していただろう。
ヴェルはブラックオークの突進直後の隙を狙い、殺せるとは判断せず、首ではなく足の腱を斬り付けた。
機動力を潰し、時間を稼ぐ。
ブラックオークも苦い顔をし怯み、その隙にもう片方の足を切り付けた。
両足分を見事に腱を切り、機動力を落として見せたヴェルだが、その顔は何故か曇っていた。
また丸薬を使うのか?と俺は思ったがそうではなかった。
近くの木をブラックオークは叩き折り、それを持ちヴェルに向けて振るったのだ。
しゃがんで回避して、距離を離す。
すれば、今度は木を投げつけて来たのだ。
しかも俺に向けて。
体が動かせない俺は、ヴェルに担がれ当たらずに済んだ。
が、このままでは彼の負担になり両者の命が危ない。
そう考えたのか、すぐにポーションを出し俺の口に入れた。
痛みは引き、何とか動けるようになった俺だが簡単にはこの状況を突破できない。
チートじみた能力があれば今頃ブラックオークは死んで、新米冒険者として名を馳せてたのかもしれない。
現実はそう甘くなく、取り敢えず不利な消耗戦にならないように時間を稼ぐしかない。
改めて、相手を見据え直し俺は剣を握る。