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僕の特技が僕を変えた。そして僕から常識を奪っていった。

しょう

てん←いまここ

( ゜д゜)、ペッ

「最悪を極まる!」

僕は椅子の上で蹲って膝を抱えた。

「だから言っただろう!俺の目に狂いはない!」

生徒会長は僕の方を見て満足げに頷いた。

畑田さんと町田さんは僕を見て笑っている。




僕がおお泣きした後教室に戻るとクラスメイトの謝罪の声の嵐だった。

おいつめてごめんなさいとみんなが謝った。たぶん誰かが勘違いしたのだろう。

僕は

「ごめんね。みんなが悪いわけじゃないんだ。ただ僕は少しは変われたじゃないか。それが嬉しくて」

僕はみんなに軽く話した。いじめられたこと。大したことじゃないけどそれがとても嫌だったこと。そんな自分も嫌だったが最近好きになれたことを。

涙ぐむ人もいた。僕を優しく見てる人もいた。がんばったんだねと声をかけてくれる人もいた。

僕はこのクラスでよかったと心から思った。


「よし。合コンしよう。相沢ちょっとこいよ。お前なら間違いなく盛り上がる!」

モテナイーズの発言になんとも言えない顔をする僕。だが本当の地獄はここからだった。

「何言ってるのよ!相沢君には好きな人がいるのだからいけるわけないでしょ!」

んー?いたっけなー?

「いや衣装研究会の部長でしょ?そんなに深い仲には見えなかったが」

「誰よその女!違うわよ!生徒会長よ!」

は?

周囲から笑い声が聞こえた。そんなわけないみたいな冗談だったが。

「そういえばここに最初にきたのも生徒会長だったな」

「二人で汗まみれなってるとこ私みたわ」それは演劇の練習です。

「さっきの大泣き。立派……あっ」なんだよそのあって……あって……。

冗談ということで終わったが男子生徒は少し距離が開き女子生徒はこっちを楽しそうに見た。ただその瞳は捕食者のような瞳だった。



ある日の部活にて急に生徒会長がこっちを向いてきた。

「なあ……いい加減……素直になろうや。わかってるだろ……」

「会長よくわからないですがその態度のせいで僕の教室だと会長と僕が出来ていることになってます」

「まじかよ1年生怖いなおい」

さすがの生徒会長も少し引いてた。町田さんのこっちを急に見て、教室のときの捕食者のような瞳をしたのは気のせいだと思いたい。

「まあそれは置いておこう。俺も考えたくない。俺は言ったはずだ。女装の才能があると!女装してみようぜ」

「いや意味わからないですよ。大体そんな才能僕にはないですよ。もしあったら会長の願いを聞いてあげますよ」

僕は笑いながら答えた。

「だったら調べましょう」

そういって立ち上がり準備を始めたのは町田さんだったわ。

「上山。私が全力を出してあげる。だから願いの権利を私に寄越しなさい」

町田さんは悪魔の提案をする。僕は首をよこにふるふるしながら生徒会長を見る。

生徒会長はしばらく無言になったまま

町田さんにサムズアップをする。つまりゴーサインだった。僕の地獄行きの。


「じゃあルールを決めましょう。女装して校内を適当に歩く。その間に一度もバレずにかつ可愛いや綺麗と褒められたら才能あり。これでどう」

「いや女装して校内を歩く時点で悲惨なのですが。しかも絶対ばれますって。反対です」

「賛成です」

「賛成です」

「賛成多数で可決です」

知ってた。僕は知ってた。最初に見た畑田さんは女児向けアニメキャラのTシャツをパッツパツな状態で着せさせられた時に僕はわかっていた。




町田さんは本当に全力だった。自分の制服の予備を使った。上の女性用のシャツが入らないときは自分のシャツを改良して僕の女装用のシャツにした。スカートは普通に入った。僕が細いのかそれとも……止めておこう。

そうして完成した僕は僕を見てめまいがした。

女性モノを着ているはずなのに全く違和感がなかった。スカートを長めにしてなぜかあるサイズの大きいパンストで足を隠し、上半身は胸を軽くもられ髪もどこからあったのか茶髪のロングヘアーのウィッグ。

「どこからどう見ても女性です本当にありがとうございました」

「うーんこれは酷い」

生徒会長の楽しそうなコメントに僕は答える。酷い以外何者でもなかった。

「さあ勇気君。いやゆうきちゃん。私と一緒に歩くわよ!どこにいきたい?」

僕は腹をくくった。

「んじゃさっさと見つかりたいし僕の教室の前通りましょう。後は任せるので」

「おっけー。楽しいデートにしましょうね」

「僕の初デートがこれって泣きたいのですが」

「私も初デートだから安心して」

「何も安心できない」

いってらーと生徒会長が軽く声をかけ、僕と町田さんは二人で歩いた。

僕は割とこの勝負勝てる気でいる。

なぜなら顔はほとんど素のままでしかも町田さんと一緒である。だったら必然的に僕だとみんながわかるだろう。

一応勝負なので声を出さないが負ける気は無かった。

さっそく1人の女生徒がこちらを見ていた。そのままこちらに近寄って。

「新しい部活の子?それとも演劇部の子?どっちにしても凄い子みつけたねー。同じ女としてなんか悔しいわ」

あるぇー?

「でしょ。この子自分が可愛くないって思ってたからちょっとメイクしてあげて今自信つけてあげてるの」

「あーつむつむダイヤの原石見つけるの得意よねーこの前も男の子のメイクしたんだっけ?」

それ僕です。というかつむつむって呼ばれているんだ。

「君とっても可愛いよ!自身もっていいわ。でもちょっとブリっこっぽいかな。私はいいけど嫉妬する女性もいるから気をつけてね。困ったことがあったら言ってね」

女性は僕に話しかけてそのまま遠くにさっていった。

「いけるでしょー」

町田さんは僕を見てニヤニヤしながら言った。

いやまだだ。クラスメイトならきっと気づいてくれるはず。

「町田先輩。誰その子!かわいー」

あなたのクラスメイトです。

「同級生にいないから先輩ですか?そんな可愛い先輩いたんですね。まるで年下みたいな……いや失礼しました」

同級生で同じクラスメートやぞ

「ああ~心が洗われるわー」

そういうとこのせいでモテないんだぞモテナイーズ。

「その子の名前なんていうのー?」

「ユウキちゃんよ」

町田さん普通に答えるんですね。流石にこれはばれるだろ。

「へーユウキ先輩今度デートしましょう」

誰も気づかないのかよ。いやいつも獣の眼光で見てる子彼女なら気づくはず。

こっちからじっと見ても獣の眼光の子はにこにこして頭にはてなマークを浮かべるだけだった。




結局気づかれず。その後たっぷり1時間色々なとこを回ってもきづかれなかった。

先生が気づかないのは防犯上問題な気もするのだがいいのだろうか。

そして冒頭の状態に戻る。


「逆に考えよう。誰にもばれずにすんだと」

「そしてこのまま誰にもばれずにモデルデビューだねゆうきちゃん」

「町田さん簡便して下さい」

「んでいいもの見れたので俺としては願いの権利をつむつむに譲るのは問題ないんだが」

「お前はつむつむ言うな。ゆうきちゃんなら言っていいよ。ゆうきちゃんの時なら」

「まああんまり酷いこと言わないでやれよ。せっかくきた後輩なんだから」

「わかってるわよ。あんたと違って常識ないわけじゃないんだから」

町田さんはそう言いながらこっちを向いた。

「まあ願いって言っても大した事じゃないの。映画と喫茶店の優先割引チケットがあってね。お二人様までなのよ。んで来週までなら。だから次の日曜日一緒にいこ?」

嫌な予感がするけどきっと気のせいだろう。わー女性とデートとか緊張するなー。

「僕でよかったら付き合いますよ。僕もその日は暇ですし」

わざと僕を強調する。反応が無かったのでたぶん大丈夫だろう。

そう思うと緊張してきた。

正直町田さんを女性としてかなり意識している自分がいるので大丈夫だろうか。

「んじゃ日曜日お願いね。お金は私が払うからあまり気にしなくていいよ。他に欲しいものみたいならちょっとくらい持ってきたほうがいいけど」

「すいません御馳走になります」

このメンバーで変に遠慮するほうが失礼だと僕は学んだので素直に受ける。本当のデートみたいだ。

「待ち合わせはどこにします?」

その言葉に町田さんは考え込みこういった。

「どっちがいい?」

「え?」

「だからどっちがいい?」

「どっちって?」

「私の家とあなたの家どっちで着替えたい?」

女性と思っていた。デートと思っていた。違う。彼女は悪魔で、これは僕の処刑場だ。

「……町田さんの家でお願いします」

「おっけー。住所教えておくしバスから歩いてすぐだから来るのは簡単よ。最高の衣装用意しておくから楽しみにしておいてね?」

「あの……。もしかして女性限定とかのチケットなんですか?」

「いいえ。そんな詐欺行為流石にしないわよ」

「じゃあなんで?」

「私の趣味よ?文句ある?」

「ないです」

僕はしょんぼりした顔で全てを受け入れた。


次の日曜は今までで一番最悪の日々が始まりそうだ。


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