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あらすじなんて嘘っぱちだって知ったのは入学式の時だった

ちょっと駆け足だったのでわかりにくかったすいません。ここがわからない。ここがつまらない。

などの意見があったら是非書いて下さい。

人生とは何があるのかわからない。

中学でいじめを受けた僕は彼らのいない遠くの高校に進学した。

今思ったら大したことでもないしいくらでもなんとかなった。

でもそのときの僕はそれが世界でその世界から逃げる以外の道が見つからなかった。


そして僕は高校の入学式。僕は自分がちっぽけであると認めた。

かつんかつんと妙に長いピンヒールを履いた生徒が壇上に上っていった。

下から長いピンヒール。妙に色っぽい網タイツ。ギリギリのタイトスカートにお尻を妙に振りながらのモデル歩き

手には指示棒を持ちやたらと尖った真っ赤な眼鏡。

いかにもサディスティックな格好でそんな女性が高校生達の前に現れたら周囲を魅了しかねない。

だが周囲の様子は違った。新入生はざわつき、在学生はいつものことのように特に変化も見えない。


そりゃあそうだ。その人は男性だったのだから。



先生達は青くなったり赤くなったりしてその人を止めようとするが雛壇の上のほかの生徒達が

「まあまあまあまあ」

と先生達に綺麗にディフェンスをかけて通れなくしていた。


妙な女装をした生徒は雛壇の上の真ん中に行き、台の上のマイクを手に持ち、こちらに向いて話し出した。

「ンッンー。まいくてすつまいくてすつ。あ”-----!!!!」

妙に汚い高音を周囲にばら撒いていく。マイクのハウリングでキーンという音が周囲に攻撃的に飛び回る。


「ワタクシは生徒会長の上山 譲治ざます。新入生の皆様よく来たザマス」

汚い高音を振りまき女装した生徒。上山譲治はキツい目で新入生のほうをみてきた。

「ウチの学校の学風は生徒の自主性と自由ザマスがそんなぬるいことはワタクシが許さないザマス!」

ドンと台を叩きながら力説するこの中で一番の自由人。

「新入生の皆は勉学に励み、余計なことしないでただ真面目に生きていればいいザマス!そうすれば立派な大人になれるザマスことよ。この『ワタクシ』のように」

と妙にワタクシを強調して上山はくねっくねっと腰を振りながら話す。

ふとみたら在校生はほとんどが下を向いてぷるぷるしていた。

先生は諦めた顔が半分。真っ青になっているのが半分だった。


「とまあこんなこと言うやつはこの学校にはいない。自由とまではいかなくても学校生活を楽しくするのことは出来る。今出来ることをみんなしてくれ。俺はそれを応援したい」

上山はさっきまでのふざけた汚い高音でなく、真面目な口調で話す。格好のせいでかっこよくは無いが、それでもさっきまでの顔とは違って爽やかな笑顔をしていた。

そのままくねっくねっと腰を振りながら横によけて真ん中を空けて後ろに他の生徒と並んだ。あれが生徒会なのだろう。

そのまま横にいた先生の1人が雛壇の真ん中に行った。一番偉そうな格好をしているからあれが校長なのだろう。

「私が校長です。私はみんなに好かれる校長になりたいからみんなの今一番して欲しいことをしましょう。私の自己紹介、前文、本文、〆の言葉。全部省略します」

そう言った瞬間在校生から拍手喝采が流れた。

わーわーとした歓声が上がる中校長はあ両手を上げて生徒の歓声を受けていた。

「さすが校長!最高だぜ」「よっ鷲済学園の星!」「鷲済学園のビア樽先生!」

色んな声が聞こえる。校長が上げた両手をぎゅっと握ってストップの合図をかける。

在校生はその合図にあわせてぴたっと静かになった。一糸乱れぬ動きに新入生はさっきから混乱しっぱなしである。

「ただし1つだけ言います。自由な校風を胸に生徒の幸せを願っていますが自己責任も忘れてはいけません。確かに子供ではとりきれないものもありますが、それでも責任は必ず付いて回ります」

校長は淡々と、ただしはっきりと話し出した。さっきまでの軽い流れと違って重苦しくなる。

「具体的に言うと。生徒会長は今回のその格好と騒動の責任として反省文20枚。無理なら般若心経の写生筆で10枚です」

「NOoooooooooo!!!」

蹲り転げながら生徒会長はごろごろと転がった。そのときパンチラが見えた。世界一見たくないものを見てしまった気分だ。

冒涜的な映像を振りまき続ける生徒会長を校長は無視しながら話を進めた。

「それとさっき私のことをビア樽先生と言った生徒。顔は覚えました。後で校長室に来なさい」

そう言って校長は雛壇を降りてまた脇の先生達の席に戻っていった。


入学式は無茶苦茶だったが後は普通の学校だった。

数日レクリエーションが組まれ一月ほどしたら普通の授業も始まった。

だけど僕には友達が出来なかった。前と違って誰もいじめない。むしろ僕と仲良くしてくれようとしてるのはわかった。

でも僕は怖かった。ただ一歩が踏み出せず、向こうもこっちを気を使ってくれているのがわかるのに僕は何も出来なかった。

状況が変わったのはある日の昼休憩のことだった。


もってきた弁当を1人で食べながら教室でのんびりしているとにゅっと教室に見たことない上級生が入ってきた。

実際は見たことがあった。よく見るとそれは生徒会長と名乗っていた上山譲治だった。

「んーどうかなどうかな」

きょろきょろとあたりを探していた。誰かを探しているのか。とそっちを見ているとふと目線があった。

僕はすぐさま目をそらして弁当を食べだした。様子を伺うようにちらっと生徒会長のほうをみた。

ジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ずっとこちらを見ていた。また視線を弁当に戻し一口食べ、そしてこっそり視線を生徒会長に向けた。

じいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。

さきほどより強い視線を向けながらこちらを見ていた。というかこっちに少しずつ歩いてきていた。

「じーーーーーーーーー」

もう口でじーとか言い出したよこの人。しかも机の目の前までこられてもう弁当も食べられないよ。

「あっあの・・なっなんで」

上手く口が回らなかった。どうしても人と話そうとするとどもってしまう。いじめにあってからそれも酷くなっていた。

「うん。いいじゃないか」

こっちを見て満足げに頷いて生徒会長が続けた。

「君。部活が決めたかい。もし決めてないなら是非君をスカウトしたい」

生徒会とかとても目立つことは僕には出来る気がしなかった。友達もいない。何も無い僕にはとても無理だと思った。

「あっあの……生徒会とか……嫌」

必死になってなんとか言葉をつむぐ。生徒会と嫌だけ言ったらわかってくれるだろう。

「いや生徒会のほうはどうでもいいんだ。人数足りてるし。まあいいからいいから」

生徒会長は勝手に弁当箱を閉じて手にもち僕をひっぱっていった。


僕がつれていかれた場所は部室だった。そこには[文芸部、演劇部衣装部屋]とかかれていた。

「一目見たときから俺にはわかった。君には才能がある!」

生徒会長はまくし立てる。いかに僕に才能があるか。僕が出来るのか。ということを力説してくる。

両親以外から褒められたのは久しぶりで僕は少し嬉しくなった。

「あの……何の才能ですか?」

どもりながら必死に言葉をつむぐ。いつもよりはマシにしゃべれた気がする。

「それはもちろん……女装だ!」

僕はここが危険だとようやく気が付いた。

「この馬鹿はほっといていいからね」

そういって奥から女性が出てきた。

赤に近い茶色にショートヘアで170ほどある僕より身長の高い女性だった。

「うーんそうだね」

彼女は僕を間近でジロシロと見回す。上から下までじっと見られて僕はちょっとドキドキとした。

「うんいいね。バ上山の割にはいいチョイスじゃないか」

「そうだろうそうだろう。一目見たときからわかってた。彼なら俺の後継者となれる。そう女装の」

そういう生徒会長を女性はスリッパで思いっきり叩いた。スパーンを小気味より音とともに生徒会長は倒れた。

「ぐふっだが俺を倒しても第2第3の女装が出てくるだろうつかの間の平和を楽しむがよい。あ俺が説明しても下手糞だし説明頼むわ俺ちょっとあっちいってくるから」

倒れたまま生徒会長がそのまま寝転がったままごろごろと移動していき仕分けで出来た隣の部屋にさっていった。

「それであなたは・・・新入生の子よね。あのあほ生徒会長からどんなことを聞いてここまできたの?」

「あああああの……その……僕は……その……」

生徒会長なら少しは話せたが僕は全く話すことは出来なくなっていた。緊張と見知らぬ人の前だとどうしても口が言うことを聞かない。口が変に渇いてまた余計話せなくなる。

「うーん。たぶん全く何も聞いて無いよね?」

僕はうまく話せなかったが思いっきり頷いてそれを肯定した。彼女は笑顔になった。

「更に無理やりつれてきたのよね?」

僕は困ったが軽く頷いた。

「うんごめんね。あの阿呆考えなしの行動派で迷惑かけないといきていけないミドリムシだから許してあげてね」

奥から何がミドリムシだ平たい胸の一族の癖にという生徒会長の声を聞き、彼女は奥に行き、パシーンと大きなスリッパの音をさせてまたツカツカと戻ってきた。

「ごめんね。まあでも私も君をスカウトしたいから一応簡単な説明だけさせてね」

彼女はごめんねと軽く舌を出して謝った。上級生らしい人の可愛らしい仕草にドキッとして。そして緊張がより大きくなるのを感じる。


「まず私達の部活は衣装研究会。建前は地方の風土や国ごとの衣装に関わる民族性や、その衣装から当時の風景を推測したりするための学問系の部活よ」

「建前?」

自然と言葉が出ていた。自然とだとかまずに言えるのだがどうしてもそれ以外だと噛んでしまう自分が嫌だった。

「うん。ぶっちゃけ目的はそれぞれ。例えば私はモデル業に携わりたいから衣装のことを勉強したりね。んであのアホはネタのためによ。あれはあれでクオリティ高いコスプレするのよね」

彼女はしみじみと語った。

「あの阿呆の入学式のコスプレは昨年までいた教師なんだけどね。本当あのままあんな感じのことを言ってね。それが生徒の親に聞こえて首になって出てったの」

女性はケラケラ笑いながら答えた。奥から私が生徒の親に報告しました。しかもその先生生徒に手を出そうとしてて逮捕されました。

二人でゲラゲラ笑いあっていた。その二人の声を聞くと僕も自然と笑顔になれた。

「イカれたメンバーを紹介するぜ!」

女性がいきなりテンション高く叫びだした。奥から生徒会長がワーワーと合いの手を入れる。

「まず会長の私町田紡(マチダツムグ)。2年生!。衣装製作からコネによる衣装入手。なんでもござれ。私くらいじゃないとこの変態しかいない地獄の竈の部長は務まらん」

奥で貧乳の女神様とか言う声が聞こえる。というかもしかしてここみんな生徒会長くらい変なやつしかいないのか……。

「副会長の畑田司郎(ハタダシロウ)!2年生!まあ今は昼だからいないけど。老け顔でコワモテのルックスにみんなドン引き。どうみても20台後半のしぶさ。こいつが頼みごとすると断りにくい。衣装の製作代徴収のときに約にたつぜ」

「ちなみに女は怖がって近づかずホモにもてることからおっさんキラーの異名を持つぜ」

奥で生徒会長がどうでもいい補足をする。

「そしてお待ちどおさま。変態界の天才。生徒会長兼ヒラの上山譲治(カミヤマジョウジ)!永遠の2年生!変装の腕は超一流。女装以外。奇人?変態?早く氏ね!」

いえーいと奥で声がする。それでいいのか……

「……以上だ!」

女性で会長の町田さんがいった。

「というわけで総員3名。しかも生徒会長兼用が1人。生徒会から新入生二人はいれないと研究会の座をボッシュートとなります」

「ちなみに今までもとてもピンチでして。文芸部からはご好意で部屋を借りている状態です。更に予算は出てないので演劇部の衣装製作で予算を確保しています」

町田さんは目の前に綺麗なカーペットを敷きだした。

「あの……何を?」

「そしてそのままカーペットの上で土下座をしだした」

「是非ともお力を!最悪名前だけでもいいので貸してください!」

奥にいた生徒会長も出てきて横で土下座を始めた。

「お代官様。なにとぞ!なにとぞー!」

僕は困った。目立つことは嫌で断れば良いのに。僕はここにいてみたいと思ってしまった。

「あの……えっ……名前だけなら……」

「もちろん名前だけでもいいよ!たまに顔を出してくれたら嬉しいけどね!」

町田さんがそう笑顔で言った。僕はそのまま研究会の申請書類に名前を書いた。

それを見て二人がニヤリと笑ったのは気のせいだろうか。




二人と別れて教室に戻ったら既に昼の授業が開始していた。あそもそも弁当箱返してもらってない。

「あー生徒会長にからまれたんだってな。災難だったな。出席になってるから席につけよ」

教室にいる先生からの言葉で教室がざわついた。そりゃあそうだ。授業遅れて叱られるどころか同情されるんだから。


授業が終わった休憩時間に僕の周りに人ごみが出来た。

「あの生徒会長に絡まれたんだって。大丈夫だったか?」

「ごめんなさい。見かけた時に助けて上げられなくて。一応先生に言ったんだけど……」

「あああああの……大丈夫……だったよ」

僕はがんばって話した。誰も僕がどもってるのを気にしていなかった。僕は嬉しかった。

でも僕はなんとなくこの後の何か起きるのを予想していた。ある意味楽しみにもしていたが。


コツンコツンという音と共にざわざわとした声が少しずつ近づいてきた。ガラガラという音と共に現れたのは生徒会長?だった。

暫定で生徒会長と決め付けることにした。他の人がそんな格好でこないからだ。

木製の靴に黒いステッキ。シルクハットをもって白髪。髭も白髪で背が曲がっていた。

コツンコツンとステッキと靴が音を鳴らしながら僕の前にきた。

「すまんの若い人達や。ちょっと老いぼれを通してくれんかの」

そう言いながら僕の席の前までやってきた。

「ふぉっふぉっふぉっ。すまんな。若いの。二つほど忘れ物じゃ」

そう言って弁当をこちらに持ってきた。やっぱり生徒会長のようだ。だが何度みてもただのおじいさんにしか見えなかった。

「凄いですねその格好」

僕はすっと噛まずに話せた。緊張がとけたかららしい。周りの皆もポカーンとしていた。

「さて若いのや。もう1つの忘れ物はわかるかね。フォッフォッフォッ」

僕は思い当たらなかった。

「書類に不備でもありました?」

少しどもりながらでも普通に話す。

ブッブーと大きい音とたててシルクハットの上部が開き×マークが出てきた。

「残念じゃの若いの。ふぉふぉふぉふぉ」

生徒のどこからかバルタン星人かよという声に周りが噴出す。

「フォッフォッフォッッ」

生徒会長が無駄に上手なバルタン星人のマネをしてより周囲に笑いが広がる。

「まあ真面目に言うとだな。少年。君の名前を教えてくれ」


そういえば僕は名前を名乗っていなかった。


僕の名前は










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