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プロローグ
僕は小さい時から、何かに秀でているということがなかった。
かけっこでもいつも3番か4番、身長の高さも真ん中くらい、学力もオール3、顔もブサイクじゃないけどカッコ良くもない、告白なんてされたことなんてない。
でも、友達もそれなりにいたし、いじめられたこともなかった。家では家族に愛されていたし、お父さんもお母さんも共働きで、それなりの生活を送ってきた。
生きていく上で、不自由と感じるほどのことはなかった。
ただ、19歳になって半年が経ち、もうすぐ20歳になるということを意識しだしてきたある日。
自分の中の何かが崩れ落ちて、壊れた。
青春期の真っ只中、誰もが感じ、そして忘れていく感情なのだろう。
でも、僕はこの感情を絶対に忘れたくないと強く思った。
持ち続けたまま生きていきたいと思った。
「こんな平凡な人生つまらない」
僕は思った。もっと刺激的な毎日を過ごしたい。もっとすごい人間になりたい。
こんな平和ボケした毎日を送ってきたらそのうちおかしくなってしまいそうだ。
そんな時、僕は彼と出会った。