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エレニア

毎回サブタイトルで悩みます

こういうの苦手なもので。

ピピッピピピピッー・・・

どうやら小鳥の鳴き声のようだ

昨日まで近寄りもして来なかった小鳥が、今朝は少し近くにいる。

朝の目覚めとしては少々騒がしいかも知れないが、別段気にする程でも無い。


エポの葉を入れておいた水と保存水に漬けた緑の実がどうなったか楽しみである。


元々奇麗だった水だが、これはそう真水である。

緑の実はというと、一つ取り出して食べてみる。

昨夜と変わらず瑞々しく甘みも変わっていない。

一つの大きさを全て半分にすると十二個になる。

これを毎日一つずつ食べれば、どれくらい保存が利くのか分かる筈だ。

先程食べた一つがあるので問題なくすべて食べ終えると十三日保存が出来ると言う事だ。

何も加工されていない生の果物がそれ程もつとは思ってはいないが、一応念の為である。

これとは別に十倍希釈(きしゃく)のものも作っておきたいので、緑の実を取って来て切り分け大瓶で漬ける。


さて取り合えず今朝のやることはやったので、散策及び採集をすることにする。

イシオンとエポは気になることはあるので二束ずつ採り、

今日はいつもガルゼリアが帰って行く方へ行ってみる事にしよう。


特に代わり映えもする事ないと思っていると見たことない雑草が一つある。

早速四束採集し絵と特徴を記し、更に奥へ進む。

ゆっくり一時間くらい進むと

細長い橙の実が見えてきた、()っている状態で判別が出来れば良いのだが

それは出来ない為もぎ取ってから判別してみる。

毒は無い様だ、という事は食べれる実なので持って帰る。


細長い橙の実の辺りを一時間程探索してみる。


二種類の新たな雑草を見付けたのでこれも四束採る事にする。

そろそろ戻ろうかと進み始めた頃、聞き慣れない声に呼び止められる。


「お前がガルゼリア様が呼び入れたと言う人間か?

暫く眺めてたが害を加える様子が無かったから話してみたくなった。」


声のする方に振り向いてみると今回はどの種族か直ぐに判った。

容姿は俺より小さい同じ年の頃に見える緑の髪をした女の子。

だが人間や亜人に緑の髪は居ない、居るとすれば木の精霊のドリアードしか居ない。

人の姿をとれると聞いた事があったが本当だった様だ。


「どうした、口が利けないのか?」

「すみません、初めて人の姿をしたドリアードを見て驚いてしまって・・・」

「私はエレニアと云う、ずっと此処に住んでいる」

「俺はアールと言います、ガルゼリアにドリアードが居ると聞いてなかったのでまだ驚いてます」

そう言い終えるとどうやら地雷を踏んだことに気が付いた。

エレニアの表情が一気に険しくなった。


「ガルゼリア様を呼び捨てで呼ぶとは如何なる了見だ」

「いや・・・これは・・・」

言葉を詰まらせていると離れたところから声が飛ぶ

「我とアールは対等であるべきだと提案をしたのじゃ」

渡りに船とは正にこんな感じかと、一息ついて胸を撫で下ろす。


「ガルゼリア・・・助かったよ」

またエレニアに睨まれた。

「我の(おもんぱか)りに口を挟むと言う事かの」

ガルゼリアが普段より強い口調でそう言うと、エレニアはあっさりと引き下がった。


「もしかするとガルゼリアはこの森の偉い精霊なのか?」

何の気なしに言葉が出てしまった。

綺麗な顔が台無しになる程、エレニアが凄い剣幕で此方を睨んでいる。

(怖いですさっきの笑顔に戻って下さいお願いします)


「良い良い、そういった説明は敢えて我はしておらぬ、

只の人間と只の精霊と云う関係の方が楽じゃろうて」


一拍置いてガルゼリアが口を開く。

「我は今決めたぞ、アールよ我の事をガルと呼ぶが良い」

エレニアが何か言おうとしたがガルゼリアが遮る。

「良いかなアール」

「俺は構わないけど、エレニアがすごい剣幕で睨んでるよ」

「エレニアよ、我の言う事は聞けぬとそう申したいのじゃな」

エレニアは苦虫を噛み潰したような顔で渋々了承した。

「ガルゼリア様がそうまで仰るならこれ以上何も言いません」


「んじゃガル、今後またこう言うことがあっても困るから次戻った時に

他の仲間にも伝えておいてくれると助かるんだけど」

「そうじゃな我の思慮が足らなかったな、すまんかった」


「んじゃ俺は戻るけどガルはどうする?」

「我はそちらに行く途中じゃよ、エレニアお主も来るか?」

「喜んでご一緒させて頂きます」

俺の時の態度とはえらい違いだ・・・。



戻りながら"脱力"についてガルが話し出すと、またもやエレニアが噛み付いてきた。

「ガルゼリア様、人間に軽々しく知識を与えるとは如何なることでしょうか」

「我はアールに知識を与える、アールは我に知識を与える

だから我らは対等を貫いておる、まだ口を挟むというのかエレニア」

人間の知識なぞ高が知れてる、割に合わないと言いたげな表情だ。



そして"脱力"とは、ドルイドは基本的に持っている能力の一つらしい。

制御することで効果範囲や効果自体や使う相手など様々に変えれるらしい。

それと制御をしなければ自分自身に効果が掛かっているのだという。

また手の触れたものにも同様の効果を与える事。

同じ"脱力"の能力を持つ者には効果が無い事。


主な効果は倦怠感・腕力低下・体力低下・走力低下・

集中力低下・命中力低下・回避力低下・魔力低下・生命力低下etc...

基本的に○○力と言うものは全て下がると思っていいと言う事だ。

(なにこの凄い能力)


そしてドルイド以外ではピクシーやラナンシーが持っているらしい。

元々戦闘に向いてない種族だから、それを回避する為の目的として使うそうだ。

以前にガルが脱力と脱兎があれば、ほぼ逃げる事が出来ると言ったのはこういう事だった様だ。


話を聞いている間に寝床のある場所まで戻ってきた。

昼食を食べたあと脱力の制御について教えてくれるそうだが、

俺が脱力を持っていると知った時

凄く羨ましそうな顔をしたエレニアを俺は見落とさなかった。



昼食という事でさっき見付けた細長い橙の実を食べてみる事にする。

エポ保存薬のおかげで一回で食べきれなくても、ある程度保存が効くのが分かったから手を出してみる。

皮は簡単に剥けるナイフも必要ない、細長いからそのまま齧ってみた。

「っっっっうあぁーー・・・酸っぱい、凄く酸っぱい」

耐えきれず鞄の中にあったオノルンの葉を千切って二・三枚口に放り込んだ。

・・・甘酸っぱい、そしてちょっと美味しい。偶然の新発見であった。

精製したものと混ぜれば酸っぱ辛いものが出来るのだろうか。

肉を焼くときに使ってみたい調味料になるかもしれない、

正しこの森で肉は入手出来ないので暫くお預けだ。


この甘酸っぱい昼食を終えた俺は迷わず

橙の実を薄くスライスしたもの中瓶に敷き詰め(かさ)を低くし、

オノルンの葉を千切ったものを多めに入れ、

実が隠れる程度にエポの葉で浄化された水で浸し、

エポ保存薬を数滴入れたものを作ってみた。

上手くいけば実は酸味が薄くなり甘さも付き、

染み出た液体は水で薄めることで、新しい飲み物が出来るかも知れないと考えたからだ。

数日すれば結果が分かるだろう今から楽しみである。


さて腹も膨れたし一休みしたらガルに制御を教わろう。


雑草は薬や独だけでなく色々なものが出来そうなので

今後も何かしら要素が増えていくかもしれません。

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