二人と一人の旅
暫く留守にしておりました。
更新遅くなりました。
まだ暫くはレイチェル視点の予定です。
二・三時間程待つとアールさんが来ました。
「待たせて悪かったなガル。」
「構わぬ。それよりも何じゃ・・・尻は大丈夫か。」
「それな、もう慣れた。寧ろ最近では・・・・・いや何でもない気にしないでくれ。」
「ま、まあアールが良いと言うならば、我れはエレニアに何も言わぬ。」
「最近じゃアールから強請って来るわよ。」
「おいっ、エレニア。」
「良いじゃない、どうせいつかばれるわよ。」
「アールさんは変わった趣味の方だったんですね。次は私もそうします。」
「ほらー、エリオに変な目で見られてるじゃないか。」
「でも実際そうじゃないの。」
「客の前じゃ、その辺にしておけ。」
「ところで何故レイチェルが此処に居るんだ。」
「それは我が説明しよう。」
そしてガルゼリアさんは、私がここに居る理由と言うのをアールさんに説明していました。
そして変わった趣味とは何だったのでしょう。私には何の話か分かりませんでした。
「レイチェルは俺と同じ様に森に入れてしまったと。エチゴールはどうなる。」
「何かしらの罰則がノームの族長から有るじゃろうな。」
「ここに連れて来たと言う事は・・・レイチェルに森の事について教える事と、口外するとどうなるか教えろって事だろ。長老様は知っているのか。」
「真っ先に長老様に報告したのだが、アールに任せろと言われたのじゃ。寿命や時間の事に関しても先に言っておけと言う事じゃ。」
「そう言う事か。分かった。」
話し合いはまだ終わってないですが、私は暫くこの家で暮らせと言われました。
この森について詳しく教えてくれると言うのですが、何を知らなければならないのでしょうか。
それとも何か秘密を知ってしまったのでしょうか。
「レイチェル、今からこの聖域の森の事を話していくぞ。それと今から話す事は人間には絶対に口外するな。獣人族や半獣人族や精霊種や妖精種ならば知っているから問題じゃない。但し人間はこの森の事を知らない。だから口外してはいけない。」
「もし喋ったらどうなるのですか。」
「人間以外の種族全てと俺を敵に回す。魔族も含めてだ。その状態で生き残れるなら良いな。」
「分かりやすく言うと、殺されると言う事でしょうか。」
「そうなるかな。でも喋らなきゃいいだけだ。」
「分かりました。」
「そう言えば寿命に関して聞けと言われました。」
「ちょっとした呪いで、俺の寿命は五倍~十倍くらいになってしまっている。」
「そんな事が出来るのですか。」
「俺には出来んが出来る人なら知っている。しかし誰でも会える訳じゃない。」
「私もその寿命が欲しいです。会わせて下さい。」
「無理だ。向こうが会う気がなければ会えない。それ程の身分差があると思え。」
「でもその寿命があればエチゴールさんと。」
「その話も聞いたが、エチゴールの気持ちは聞いてないだろ。それに今回の件でそれは叶わなくなってる筈だ。」
「何故でしょうか。」
「ノーム族長からの罰は、おそらく族長の決めたノーム族の女性との、結婚となるだろうとガルに言われた。」
「何故そうなるんですか。私の気持ちはどうなるんです。」
「お前の気持ちがそれに関与する事は無い。ノーム族の問題だ。エチゴールも本当は結婚してておかしくない歳だが、敢て先延ばしにしてたそうだ。しかしこの件でもう断れなくなった筈だ。」
「ですが・・・。」
「あいつもノーム種の子孫を残さなきゃ駄目なんだよ。分かってやれ。」
「それとな聖域の森は森の外と比べて時間が経つのが遅い。森で一日過ごせば森以外では三日経ってるからな。だからレイチェルが知り得る情報なら俺は三十歳を超えた辺りの筈だろう。」
「今年で三十一歳じゃないんですか。それにしては若く見えますが。」
「実際は二十四歳だが、二十歳から寿命が延びてるから殆ど変わってない。」
「ずっと若いままで居られるなんて狡いです。」
「そうでもないぞ。途中で死んだりしなければ俺は周りの奴らより長生きするそうだ。人間と結婚すれば嫁は勿論の事、子を作れば俺より先に子が孫が曾孫が死んでいく。だから俺は人間とは結婚出しない。他にレイチェルや他の人間、獣人族も俺より先に死ぬそうだ。そう言う時の呪いだ。それでも羨ましいか。」
特に考えもせずに狡いと言ってしまいました。
でも私は、私の気持ちはどうなるのですか。
「諦めろ。」
一言それだけでした。
「諦めるならこの家に遊びに来たり泊まって行くのを許可しよう。エチゴールも俺の下で働いてる。それで我慢してくれ。ああでもノーム族は一夫多妻制だ。人間と精霊種では子供は出来ないが、妾くらいなら許されるんじゃないか。」
「そういう事をしたいと言ってるんじゃ・・・。」
「隠さなくていい、そういう事だろ。」
その気が無いと言えば嘘になりますけど、アールさんにはもう少し気を遣って欲しいと思います。
「それも含めてエチゴールに行っておいてやるよ。」
「駄目です。言うなら自分で言います。」
「そうか。なら黙っとくよ。」
あとは特に大きな話もなく、この森での注意点や規則を教わりました。
しかし私はまだ寿命に関して諦め切れていません。
一体誰が寿命を延ばす事が出来るのか、一切話して貰えませんでした。
口振りからしてアールさんやガルゼリアさんは知っている様でした。
─────
半年程アールさんからは何も言って来なかったのですが、急にモンザリオ国のマウラスに行くから付いて来いと言われました。一緒にエレニアさんも行くそうです。
なんとこの少女は人間に見えるのに、ドリアードだと聞いた時には驚きました。
モンザリオ国は獣人族は入国すら厳しいですが、精霊種に限ってはそれ程厳しくないから一緒に行くのでしょう。
私のマウラス行きは決定の様で、旅支度はアールさんの方でしてくれるそうです。
そして数日後すぐに旅立ちました。
一度だけ見た事のあるかなり豪華な馬車です。これでマウラスまで行くと言っています。
普通はシュツーでホザル側を下っていくのが最短路なのですが、今回は中央街道を通りカミーザを経由し南部街道を通りマウラスへ行くそうです。
モンザリオの住民にはこの馬車の影響が大きいと言っていましたが、確かのその通りだと思いました。
私自身マウラスに行くのは四年振りです。
元々マウラスに両親と住んでいました。
最後以外はそれなりに良い思い出のある街です。あの事はもう吹っ切れています。
その点に関して、アールさんやドズの町の方々には感謝しています。
そして奇妙な三人旅が始まりました。
「アールさんとエレニアさんは、どう言った関係なのですか。」
「私は護衛兼よ。それと忠告、アールは私のものだからね。私もアールのものよ。今のところ例外はエリオとジルとウェルは別かしらね。」
「大丈夫です、アールさんにそう言った興味ありませんから。」
「そう、なら良いわ。仲良く行きましょう。」
「ああそうだレイチェル昨日エチゴールから聞いたんだけどよ、"石"と"魔核"持ってたらしいな。それとエチゴールから伝言だ。泥土属性魔法も一緒に使うと出来やすい、とな。属性魔法とか言われても分からんだろうな。」
「魔法なんてそんな凄いもの使えません。」
「エレニア、泥土と単属性だけ教えてあげれば。」
「そんなに簡単に出来るものじゃありませんわよ。」
「俺簡単に出来たじゃないか。」
「あれはアールが異常なのよ自覚なさい。」
「単属性は後で考えるとして、泥土だけなら今すぐで良いわよ。一応"魔核"持ってるんでしょ。なら出来るかもね。知らなさそうだから一応言っておくけど、"魔核"って能力はね"魔力操作"の最上位能力よ。何故魔法覚えてなかったのか不思議で仕方ないわ。」
正直驚きました。"魔法操作"が無いから魔法を諦めてましたのに、その最上位だなんて。
しかしアールさんの周りの人は、皆凄く知識が深いと言うか物知りな人が多いです。
普通の人間が知らない事を沢山知っていました。
両手の手のひらを上へ向けてと言われその様にすると、エレニアさんか魔力らしきものが流れ込んで来るのが分かりました。
不思議な感覚で優しい温かみが感じられます。
そして直ぐに魔力の流れ方が理解できました。
「えーっと、んんんーん・・・こうかな。」
「ちょっとちょっとちょっと待ってよ早過ぎでしょ。アールの単属性より早いわよこの娘。一応二種だって言っても複合魔法よそれ。アール貴方の周りは規格外しか居ないのね。何度か作って練習すると良いわ。」
「やってみますね。」
「「・・・・・・・。」」
「なんでもう両手で同時に出せてるの。可笑しいでしょ。」
「「・・・・・・・・・・。」」
「ねえアールこの娘って素質の塊なんじゃないの。」
「色々可笑しすぎて俺も自分の目を疑ってる。」
「可笑しい!貴女可笑しい!何で四つも五つも六つもって・・・一体どれだけ出せるのよ。」
「出せるだけやってみますね。」
「「ハハ・・・ハ。」」
「十二個出来ましたね。」
「そんな数私も無理よ。良いとこ五つが限度よ。」
「大魔導師にでもなるのかレイチェル。所でそれ全部を一つに混成出来るのかな。」
「そういう事も出来るんですか。」
「出来るか出来ないか言えば出来るが、それをやれるかやれないかは別だぞ。」
「出してしまったんで試してみますね。」
「十二混成魔法とか出来たら初めて何じゃないのか。」
「私は聞いた事ないわよ。出来たら"銘"の出番じゃないの。」
「今からもう考えておけば。」
「いや出来ないんじゃないかな。まだ一つも混ざってないし。」
「混成魔法って本当に難しいのよ。先生が既存の一つ二つ使える程度よ。」
「タッケンドーラさんってやっぱり凄いんだな。」
「魔力の総量も勝てる気がしないわ。」
「でも俺も魔力量だけなら多いんじゃないかな。"雑草"で作ったり"脱力"を常時防ぐのに使ったり"遠透視"もかなりの頻度で使ってる。」
「"雑草"と"脱力"は分かるとして、"遠透視"で誰を見てるのかしら。」
「いや誤解だ。能力上げる為に使ってるだけだ。あと偶に風呂を・・・。」
「誰のを。」
「エレニア・・・です。ごめんなさい。」
「私のなら良いわ。他には使ってないわよね。」
「使ってません。」
「直接言えば良いですのに。いつでも見せてあげますわよ。」
「そう言うのとはちょっと違うのかな。」
「何にせよ宿屋に着いたらお仕置きですね。ふふっ好きでしょお仕置き。」
アールさんは、完全にエレニアさんの尻に敷かれてますね。
結婚はしてないそうです。ドリアードにはそう言った物は無いと言ってました。
でもお互い伴侶の様な感じで、二人の寿命も近いそうです。
そんな事を思っていると何か感覚が掴めて来ました。
「あ・・・出来ました。一つに混ざりました。」
「「やっぱり可笑しいだろ(でしょ)。」」
「全部混ざって一つの時より小さくなってるじゃねえか。」
「あの辺何も無いからその魔法使ってみてよ。」
「大丈夫でしょうか。」
「攻撃魔法なの?」
「多分違うと思います。取り敢えず広い所でやってみます。」
そう言って開けたところで馬車を止め三人降りた。
今更ですが馬車の中であんな事やってて大丈夫だったのでしょうか。
「使ってみますね。」
離れた所に辿り着く様に慎重に操作する。
「魔力の放出知らないから遅いのか。後で教えてやるか。」
「それがいいかもね。」
泥土のの混成魔法がその場に到着したけど、特に何も起きない。
しかし操作が出来そうだった。
「何も起きないぞ、どういう事だ。」
「もしかして形成魔法かしら。」
形成・・・何か思い浮かべて操作すれば良いのかしら。
塔でも思い浮かべればいいのかしら。
「あっ・・・。」
「「おおおおおおおおおおおおー。」」
「凄くないかこれ。」
「凄いわね。本当に形成魔法じゃないの。どうしたらこうなったの。」
「塔を思い浮かべて操作しました。」
「立派な土の塔が・・・出来たわね。」
「これ崩せるのか。」
「それもやってみます。」
元に戻す事を思い浮かべて魔力を送ればいいのかしら。
「おおおお、戻っていく。」
「製作者の意志で戻せるのね。凄いじゃない。」
「付けとく?」
「付けとこう。レイチェルもう一回今の精製出来る?」
「魔力がきついです。」
「早くタノール。」
「分かってるよ。ほれこれ飲んで。俺が作った物だからドズで売ってるのより強力だ。」
「これってアールさんが作ってるんですか。」
「ドズで売ってるのはエリオが練習で作ってる物だ。だから色が違う。」
「いよっ、流石師匠。」
「茶化すなよ、恥ずかしい。」
「売り始めて数年、初めて知りました。」
アールさんの作ったタノール回復薬を使ってみると、確かにドズに有ったものと比べ物にならない程の、魔力の回復速度が実感出来ました。
「多分これでもう一度精製出来ます。」
「使わなくて良いから。"銘"付けとこうと思ってな。何か希望有ればそれ付けるが何かあるか。」
「じゃあこれでお願いします。」
「俺もセンス良くないがレイチェルも大概だな。」
そうして泥土属性の混成魔法は泥土×12になった。
「泥土泥でデイドイデとして、デードーデってどうなんだ。デードデーなんじゃねえのかよ。」
「良いんです。もう決めてしまったんですから。」
「銘付けしたから何かが変わってる筈だ。」
「ではもう一度やってみましょうか。」
「放つ前に作りたいもの思い浮かべてから、放てば良いんじゃないか。」
「分かりました。」
次はアールさんの家を思い浮かべてそれを作ってみましょう。
「うんんん・・・・ふぅ。」
「俺の家だ。」
「土じゃないわよ。そのまま中も外も細部まで木で出来てるじゃない。」
「凄いなこれ。模造も出来るのか。資源無しで土地だけ買って家作れるぞ。」
「でも意志で崩す以外にどれくらいの期間もつのかしら。」
「今度試そうか。それにしても凄かった。明日以降で単属性と放出も教えるよ。」
「有難う御座います。」
「大魔導師誕生かしら。」
「やめて下さいよエレニアさん、私そんなじゃないです。」
「今はそうじゃなくても何れは分からないわよ。」
「一般人が良いです。」
「そうだなー、無駄に名前売っても大変だから一般人が良いぞ。」
「経験者は語るわね。」
「お陰で暫く隠居暮らししてたしな。」
「私はアールを好きに出来て良かったわよ。」
「俺も最近癖になってきてる。」
「何が癖になってるんですか。」
「あーレイチェルは知らなくて良いの。」
「そっかそっか。(ふふっ、レイチェルはカミーザで楽しみにしてると良いわ。面白い物見せたげる)」
何かエレニアさんがアールさんに聞こえない様に耳打ちして来ました。
「大丈夫よ言ってないから。ふふふっ。」
何でしょうちょっと不気味な感じです。
そう言えば中央街道ではリーシュではなく、ゼリアルに寄って行くそうです。
御者さんが虎豹族のエーデルバインさんと言うのですが、モンザリオ国に入れるのか気になって聞くと御者は大丈夫だそうですが、その御者が問題を起こすと御者自身ではなく雇い主の責任になるそうです。
確かにアデスラン王国でも獣人の御者はよく見ますから、その事もあって許可してるという事でしょう。
明日にはゼリアルに着くそうです。
数日振りにお風呂に入れると思っていると、ゼリアルには露天風呂があるといいます。
今からもう楽しみです。




