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己の歩むべき道は己で見つけてみせる  作者: 飛来針
第四章 ─ モンザリオ国 ─
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レイチェルと聖域の森

第四章スタート。

 アデスラン王国でのゴタゴタの後、領主も辞め暇になったアールはと言うと・・・。

 無駄に寿命も伸びた事だし、今はゆっくりと過ごす事を決めた。



 ******



 そんな事があったなんて全く知らない者が居た。

 ドズに住み薬屋で働くレイチェルである。

 仲の良かったエチゴールが最近来ないなと思いながら、同じ様な事を繰り返す日々を送っていた。

 レイちゃん親衛隊なる人達が毎日薬を買いに来たり、隣に併設されてる飲食店で飲み食いをしにくる。

 いい加減顔なじみになってしまった彼等。





 そういえば最近あたらいいメニューが入ってきたんだけど、それが物凄く美味しかったのよ。


 鹿肉とシューバンのチーズ焼き

 メイロンの甘煮パイ

 シュロン酒


 この三つが新たに追加されたメニューだ。


 シュロン酒で使われているメイロンとシューバンと言う果物はアールさんが見付けて来たらしい。

 ()(まま)だと若干惜しい果物なんだけど、料理に使うと何故か美味しくなるみたい。


 私も食べてみたけど今までに無い味だったかな。

 他にも追加されてたけど、この三つが飛び抜けて美味しかったわ。



 そんな事を思っていると最近見なかったエチゴールが見えた。


「久し振りだなレイチェル。」

「エチゴールさん、最近全然見なかったですけど忙しかったんですか。」

「まあ色々とな。アールの手伝いをしてたんだよ。そのアールも今は疲れきって何年かゆっくりしたいって言ってる。」

「大変だったんですね。」

「俺も只管(ひたすら)ゴーレム作って動かしてて大変だった。あんなに毎日ゴーレム動かしたのは初めてだ。」


「そんなにゴーレムさんって直ぐに作れる物なんですか。」

「大きな石とか岩さえ有ればな。」

「へえー。今更なんですけどゴーレムさんはどうやって作ってるんですか。」

「そういや話した事なかったな。二つの能力が必要なんだが、あれば誰にでも作れるんだよ。」

「因みにどんな能力なんですか。ああ・・言いたくなければ結構ですよ。」

「別に隠すもんじゃないから気にするなよ。"石"と"魔核"って能力があれば作れる。ノームはある程度持ってる奴が居るが、他種族は殆ど聞いた事がねえな。」


「・・・・・・・・。」

「どうしたんだ、レイチェル。」

「その二つがあれば能力が赤色でも作れるんですか。」

「初めは誰しも赤色だからな、小さいのなら作れるぞ。」

「エチゴールさん!!」

「なっなんだよ急に大きな声で。」

「私"石"と"魔核"持ってます。教えて下さい!」

「へっ?」

「いやだから私の能力って"石"と"魔核"の二つだけなんです。でも使い方も分からないし今まで能力なんて無いものとして生きてきました。」

「そうなのか・・・いやそこじゃない、人間がその二つを持って生まれてきたなんて初めて聞いたぞ。」


「魔力はあるだろ。"魔核"で魔力の核って分かるかな魔力の塊みたいなのが作れる筈なんだ。普通は何年も下手したら何十年も掛けれ練習しないと出来ない。しかし魔核を持ってると生まれつき出来る筈だが。アールも数年掛けて会得したらしいからな。」

「これですかね。体の中に魔力を凝縮させた球みたいな感覚の物は、作ろうとしたら作れます。」

「それだ、それ。」

「これをどうするんですか。」

「ちょっと待ってろ。」


 そういってエチゴールさんは町の外へ向けて走っていった。

 十分経っても戻ってこない。


 (ようや)くエチゴールさんが帰ってきたのは三十分程経ってからだった。

 ゴーレムに何かを沢山持たせて帰ってきた。


「幾つか練習用の石を採ってきた。初めは・・・これくらいの大きさだな。これで練習してみよう。その前にタノール回復薬が店にあるだろ、飲んどきな。」

「いや店の物勝手に飲んだら駄目でしょう。アールさんに怒られるじゃないですか。」

「レイチェルはアールの身内みたいなもんだろ。アイツは身内には絶対金を取らないんだ。俺も含めて身内からは金を取らないってアール自身が言い切ってたからよ。使って良いぞ。俺が後で言っておいてやる。」

「本当ですよね。もし怒られたらエチゴールさんに言われたって言いますよ。」

「構わんよ。それ使わないと今まで魔力を殆ど使った事の無いレイチェルは、直ぐに魔力が切れるだろうから練習にならないんだ。」

「そうなんですか。」


 後のことは全てエチゴールさんに任せると決め込み、タノール回復薬を飲んだ。


「じゃあ()ず、その石を持って魔力の核を石の中に送り込むんだ。送り込みながらゴーレムの形をイメージするんだ。案外思った形に作れるから俺のを真似する必要はないぞ。(むし)ろ真似ると誰のゴーレムか分かり難いだろ。」

「やってみます。」

「やりながらで言いから聞いてくれ。ゴーレムは用途に合わせて姿形や大きさを変えていけるんだ。

 いつも同じものしか作れないとただの木偶人形だからな。どんな形が使用用途に便利かと普段から考えておく事も必要だ。若干角張るが人の形を真似たものも出来る。

 もう少し能力が上がれば店番すら可能なゴーレムも作れる。その時は命令を組み込むのがややこしいんだけどな。そこはまだ先の事だったな。」


「成る程。」

「返事はしなくていいから、練習しときな。客が来たら俺が何とかしとくからよ。」

「有難う御座います。」

「だから返事すると集中できないだろ。」


 (たま)に言い方がきつい時は有るけど、やっぱりエチゴールさんはいい人だなって思いますね。

 こんなこと考えながらしてたら、集中出来てないって怒られてしまいますね。


 集中・・・集中・・・・・・・・集中・・・。



 いくらやっても上手く出来ない。

 魔力は石に入るのに、そこから形にならない。

 思い込む形が悪いのかもしれない。


 うーん・・・うううう・・・・・。


 やっぱり駄目だ、出来ない。

 私には才能とか無いよね。だから親にも捨てられるんだ。

 きっとエチゴールさんもいつかは私を見放すんだ。


 そう考えていたら涙が出て来た。


「おおい、何で泣くんだよ。一日や二日で出来るもんじゃないぞ。(むし)ろ数日で作れたら俺が驚くわ。」

「そうなんでずが・・・。」

「ああもう、綺麗な顔が台無しになってるじゃねえか。ちょっと顔洗って来いよ。」

「いっでぎまず・・・。」

「始めて直ぐ出来ると思ってたんか。」



「だっでエチゴールざんが、簡単だ直ぐ出来るっで、言ったんだもん。」

「分かった悪かった、良いからその半べそやめろ。」



 少し落ち着いてきた。

 そして何で泣いてたか、恥ずかしかったけど説明したら怒られました。


「何で俺がそんな事でレイチェルを見捨てなきゃならんのだ。」

「だってー。」

「ノーム何て長生きだからよ皆急いで習得しようとしないんだ。何年も掛けてゆっくりやってる。そんなのを見慣れてんだ。時間かかるのが当たり前だと思ってるんだよ。」

「そんなの最初に言ってくれないと、分かんないもん。」

「すまんかった。許してくれるか。」

「じゃあメイロンの甘煮パイご馳走してね。」

「それくらい良いけどよ、お前泣くと性格も口調も変わるんだな。」


「えっ・・・あっ。」

「いつものですます(・・・・)調より、こっちの方が良いんじゃねえのか。いつものやつ等に今度やってみろよ。」

「恥ずかしいからやだ。」

「俺にはいいのかよ。」

「エチゴールさんだったら良い。」

「なんじゃそりゃ。」

「一番親しいのがエチゴールさんだからだよ。」

「こんなおっさんノーム捕まえて、そんな可愛らしい事言ってんなよ。」

「エチゴールさんは、おじさんじゃないもん。」

「いやもう直ぐ二百歳だぞ俺。人間の五十歳がノームの三百歳くらいだ。だから人間で言うなら三十三歳くらいか。」

「歳なんて関係ないの。私はエチゴールさんの事を気に入ってるの。好きなの。」

「・・・・えっ。」

「好きなの・・・。」

「いやまあ有り難いが、種族も違うし寿命が違いすぎる。」

「私が先に老けていってお婆さんになるの見られちゃうね。やだなー。」

「それならアールとか居るだろ・・・あー駄目だなアイツも。」

「どう言う事。」

「すまんが俺の口からは何も言えん。教えてくれるか分からんが聞きたきゃ自分で聞くんだ。」

「アールさんは普段何処に住んでるかも知らない。どこの街や村にも住んでないって常連さんが言ってた。」

「それはなレイチェルが人間だから、教えられない決まりがあるんだよ。」

「でもアールさんも人間じゃないですか。」

「あいつは色々と特別なんだよ。」


「うううううう・・・。」

「なら諦めさせてやるよ。付いて来い。」

「どこに。」

「黙って付いて来な。」



 そう言っていつもよりやや強い口調になったエチゴールさんと、ドズからやや南西に向かって歩いて行く。

 店番は他の店員さんに任せてきました。



「着いたぞ。ここから先レイチェルには何が見える。」

「何ってちょっと変わった形や色の草花が見える森ですね。」

「なんだと!濃くて黒い霧は見えないのか!」

「見えないですよ。澄んだ空気に凄く綺麗な森が見えます。」

「ああああ、連れて来るんじゃなかった。」


「エチゴール何してんだ。」

「ホールか。実はよ・・・。」


 私が綺麗な森が見えるとか何とかそんな話をしてました。


「エチゴール、そこでレイチェルを見張って待ってろ。ガルゼリア様を連れてくる。」

「分かった、それと軽率でしたとガルゼリア様に言っておいて欲しい。」

「それは自分の口で言え。」

「そうだな、忘れてくれ。」



 そして数時間ここで待つ事となりました。

 その間エチゴールさんは頭を抱え込んだり悩んだりウロウロしたりと、いつもの彼とは全く違いました。


 そして目の前の空間が少し歪んだと思うと、人とは少し違う人型をした方が現れました。


「話はホールから聞いたぞエチゴール。」

「ガルゼリア様、申し訳有りませんでした。軽率でした。」

「済んでしまった事は仕様の無い事じゃ。今は今後を考えるぞ。」


「お主、こちらに入ってこれるかの。取って食ったりとか危険は無いから安心致せ。」


 そう促され森へ足を踏み入れたが普通に入れた。


「やはり入れるか、アールと同じじゃな。」

「アールさんと何が同じなんですか。」

「お主アールを知っておるのか。」


 私がアウルの村でアールさんと会ってからの話を、このガルゼリアさんと言う人型の方に話しました。


「うーむ。アールに合わせて説明させた方が、手っ取り早いかも知れぬな。」

「では私が連れて行きましょうか。」

「いや構わぬ、我がエリオの所へこの者を連れ直接飛ぶ。エチゴールお主も来るか。」

「お手数お掛けします。お願い致します。」



 このガルゼリアさんに腕を掴まれたと思うと、急に視界が歪み辺りの景色も歪んだ。

 そして焦点が合わず気持ち悪いと思っていると、急に視界が戻り別の場所に居ました。

 目の前には大きな邸宅があり左の方には大きな畑がある所です。


「エリオよ、アールを呼んで来てくれぬか。」

「ガルゼリア様申し訳ありません。実は今アールさんはエレニアに襲われてまして。ここ最近はほぼ毎日強制的に襲われてます。」

「ぶふっ、またかよアール。」

「仕方無いのう、では終わるまで待つとするか。エリオこの娘に何か用意してやれ。」


「確かドズのレイチェルさんですよね。家の中へどうぞ。良ければ露天風呂もあります。」

「何で私の事知ってるんですか。」

「アールさんに聞いていたので、何となく分かりました。ではどうぞ。」


 そうして恐らくアールさんの家であろう大きな家の中へ入った。


 そして驚くほど美味しい料理。

 見た事もない沢山の種族の方々。

 素晴らしい露天風呂。


 贅沢し過ぎでしょアールさん、という感想しか出てこなかった。



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