精霊魔法の先生の先生
ガウリーシュ領では半年が過ぎた。
俺はと言うと大半を聖域の森で過ごした為、それ程時間は経ってない。
ドルニアの魔法学校が出来たと言うので見に来た。
ゴルウォールの時に護衛として来ていた、魔道士のパルミックに講師として来て欲しいとホールに言っておいた。
他の講師は募集することになった。
精霊に対してはエレニアが教えると言う。これで貸し何個目かなと言われたんだが後々怖い。
名前はシンプルにドルニア魔法学院と決まった。
エレニアは学院長兼講師だ。
町長をどうしようかと思い経験者である、森の中心街町長であるヨーゼルに相談してみた。
ヨーゼルが言うには後継者らしい育成もしてるので、適任者は居ると言う。
五つの町全て面倒見てくれると言うので、五人此方に回して貰った。
リーシュ町長、ノーム・トッツバーン男
ドルニア町長、狐兎族・オグライル男
ダウゴール町長、ドワーフ・ウォム男
ゼリアル町長、ノーム・ポルシーア女
ゼフィール町長、熊猛族・バクルージェ女
この五名に決まった。
聖域の森からの紹介なので、人間が居ないのは仕方ない。
ノームの女性は森で見た事有ったが、熊猛族の女性と言うのは初めて見た。
やや筋肉質で大きい、背丈も胸も大きい。
どうしても大きいから、目が行ってしまう仕方のない事だ。
後三ヶ月位で年が変わるから、その後で魔法学院を開校する。
期間は三年と五年どちらでも選べる。
今は各街へ応募を募っている所だ。
前金一括・毎年年額・毎月月額・卒業後の一部後払いこの呼ん種類の支払い方法がある。
お金持ちな家庭なら前の二種で払えるだろうが、そうでない家庭も考えるべきだなと。
新しい合成魔法を編み出した者は一部学費免除にすることにした。
混成魔法なら全額免除だ。それ程新しい混成魔法は難しいのだ。
それを公開しなければ免除は受けられない様にしておく。
魔道士なら秘密にしたい者も居るだろうからな。
開校するまでに、冒険者を辞めて講師になった者も数名集まった。
それはまた今度紹介しよう。
因みに臨時講師としてガルが、偶になら行っても良いぞと言っていた。
エレニア学院長様が、敬語で頭をペコペコ下げる姿がみれるのか。
それもまた一興と思いニヤけていると、勘の良いエレニアがジトリと睨んでくる。
しかしエレニアに会って暫くと言うか、ゴルウォールの時までは完全にポンコツだと思っていたが
、魔法に関しては群を抜いている。しかも真面目にやれば凄く優秀なのだ。今まで完全に手を抜いていたと言う事だ。
集まった講師や生徒には、初めて見る種族も居た。
講師には風の精霊と言われるシルフや雪や氷の精霊のジャック・フロストが来ていた。
シルフはポタ=ニニャルド、ジャック・フロストはジーンセルと言う名前だ。
他には人間の講師が後三名、ゴジェモールとカーティーとヒュージャーと言う講師だ。
生徒にはカット・シー、ノッカー、ピクシー、ラナンシーが来ている様だ。
今まで何処に居たのだと言うくらい、初めて見たのである。
こうして精霊種・妖精種が23名。それ以外の種族が33名集まった。
クラスを精霊・妖精を12人・11人、それ以外を11人・11人・11人に分け、講師一人ずつ余裕が出るようにしたらしい。
こうしてドルニア魔法学院の初年度は始まるのだが、その前にエリオの様に獰猛になったエレニアに、襲われた。
どうやら繁殖期が来ていた様で、力尽くで襲われたと言うか犯されたが近い。
ドリアードの繁殖期は五年から十年に一度位しか来ないらしく、今を逃すと次までに俺に何か有ったら繁殖が出来なくなる恐れがある為、強引だったらしいが話し合おうよ・・・・。
ドルニアにエレニアの家を用意したんだが、話があるからと家に呼ばれ入った瞬間半人化していたエレニアに縛り上げられた。
魔法をいつでも発動出来る様にして俺を脅迫するんだ、大人しくしなさいと。
そして服を剥ぎ取られたが、そんなビビってる状況で俺の剣が大きくなる訳がない。
それを見たエレニアが怒った。
「早くそれを大きくして私としなさい。さもないと無理矢理するわよ。」
と入っても完全にビビってる俺の下半身は、長剣になる事無く短剣のままだった。
努力はしたんだ、でも無理だった。
そして樹液?が滴る触手の様な蔓を使われ、俺は無理矢理朝までさせられた。
そして翌朝は尻が痛かった。何があったかはお察しの通りだ。
その後ふらっと傷心の旅を一ヶ月程していた。
その時分かったんだが、どうやらこの世界は男性より女性が多いと言う事だ。
理由は簡単だった。
普通の仕事と言うのがそれ程多くなく、危険な仕事や知識も無く訓練もしていない者が冒険者になって一攫千金を目指す男性が多いと言う。
しかし直ぐに魔物に殺されたりする人が多く、結果的に男性が少ないらしい。
なので一夫多妻が一般的になっている。
一夫多妻と言うよりは、一夫ニ妻くらいが一番多いと聞く。
あまり多くても養えないから、と言う本音があるんだとさ。
人間で本妻を人間にし、他種族で妾をなんて人も多いと言う話を聞いた。
流石アデスランは色んな人が多い。
旅と言う名目で一ヶ月間カミーザに行っていた訳だが、風土病である脱毛症は薬が有るから俺には関係無かった。
しかし出会った十八歳の若者が、若ハゲなんてレベルじゃなかった。
進行が早いらしい。最近は薬が売られているけど高くて買えないと、涙目になり語っていたので、カゼリオ回復薬B脱毛症の特効薬だこれを差し上げといた。俺も十八であんな風になるのは耐えられぬ。
前から天辺にかけてもう無いのだ・・・毛が。
その後行商の"売ります"の赤い腕章を付け、いつも金貨10枚のカゼリオ回復薬Bを金貨5枚売りにしていた。
金持ちの区域に行かず庶民的な区域で行動していたので、噂を聞いた人達が金を工面して薬を買いに来ていた。
この薬だけは[レイ・ドリーム]にも出してないし、[闇の通用門]にも卸してない。
ゼリアルの宿屋と俺の行商だけの、完全独占商売となっている。
だからいつでも値段変更も出来るし値上げも可能だ。
だがこの現状を目の当たりにして、今だけでもと値下げをした。
俺が行商人としてカミーザで売り歩いているから、行商でも売りに来るんだと人々は思うだろう。
そしてそう言った噂は遅かれ早かれ、貴族達の耳にも入る。
そして行商を待てど待てど売りに来ないから、結果的には売り元のゼリアルに来るという訳だ。
最近この薬には細工をした。
"雑草"が黒縁赤になってから、使用条件を弄れる様になったのだ。
使用条件と言うか発動条件は、エポ浄化水で希釈してからある精霊魔法を介してしか発動しない。
だから薬だけ買って行っても今はもう使えなくなっている。
領主商店の宿屋の店員には精霊種を雇い、その魔法は教えてある。
簡単な属性魔法だ、水樹属性を使い発動させるのである。
なので貴族達も直接来なきゃいけない。
行商で売り歩く時も、特殊な魔法が必要だと全ての客に言っておいた。
しかし"雑草"能力は複雑になったが、条件を付けて使用すると効果が一気に上がるのだ。
しかも単純なものより、難しい物難しい魔法の方が効果が高いとも分かった。
以前十日間で薬を作りまくった時に上がったらしい。
そして色々試してやっと条件付けが分かった。
精製時の魔力込めをする際、同時に属性魔法や他の物を入れてやるのだ。
最近殆ど使ってなかったスベルン防水剤に、雲風樹土を使用と条件付けた所、防水能力が完全防水になり且つある程度の衝撃にも耐える様になった。
例えば背嚢に防水剤を施すと、水の中に入れても中に水が浸入する事がない。
それに背嚢自体に魔法障壁が常時発動している。
強化障壁では無いにしても、十分な性能である。
これを使い今は防具に使ってあるが、俺の全ての防具は魔法障壁が常時発動している。
雲風樹土の更に上の障壁を覚えたら防具に強化障壁が付くのだろうか。
覚えて試したいので、一日に少ししかしてなかった魔法の訓練を、かなり増やしたのはこれが切っ掛けだったりする。
そしてカミーザから帰る前に、カミーザの北側にある大きな宿場町のリアムで、妖精種であるラナンシーの精霊魔法使いのタッケンドーラに出会った。
俺がこっそり精霊魔法を使ってた時に、見ていたらしく声を掛けてきた。
「貴方は何故精霊魔法が使えるのですか。」
いきなり声を掛けられて振り向くとエルフっぽい耳の女性がそこにいた。
俺は始めエルフかと思っていた。
「えーと何の事でしょうか。」
「隠しても分かります、先程精霊魔法を使っていましたよね。何故人間の貴方が使えるのかと。どうやって覚えたのか気になりまして。理由次第では殺しますよ。」
いきなり物騒な事を言うので、正直に話す事にした。
「仲の良いドリアードに教えて貰ったんですよ。」
「このアタリのドリアードと言えばエレニアさんしか居ない筈ですが、彼女が自ら出て来るとは思えないのですが、本当の事を言いなさい。」
「嘘は付いてませんよ、何なら今から一緒に会いに行きましょうか。ここから西に有るドルリアの町に居る筈ですので。」
「そうまで言うなら監視しつつ付いていきます。私はラナンシーのタッケンドーラ。知る人は知っている筈でしょう、私がどう言う者かと言う事を。」
リアムでゆっくりしたかったのだが、それも出来ずドルニアへ向うために乗合馬車にタッケンドーラと共に乗った。
ドルリアの家で寛ぐエレニアを訪ねると、エレニアが彼女を見て驚いた。
「せ、先生、何故アールと一緒に・・・。」
ほらね。と言う感じでタッケンドーラに目線を送る。
「貴方の言う事は正しかった様ですね。疑った事、攻撃しようとした事を謝罪します。ごめんなさい。」
何があったのかとエレニアに聞かれ経緯を説明すると、
「戦わなくて良かったわよ。タッケンドーラさんは私の精霊魔法の先生なの。相当な熟練精霊魔法の使い手だから戦ったら死んでたわよ。」
「エレニアさん、褒めすぎです。」
「アールも教えて貰えばいいんじゃない。」
「いきなり知り合った人に教えてくれるとは、到底思えないけどな。」
「では謝罪も含めて何か一つお教えしましょうか。それを使い熟せるかどうかは別ですが。」
そう言われて俺は即答した。
「雲風樹土の更に上位障壁が知りたいです。」
「あら雲風樹土使えるのですか。その上は格段に難易度が上がりますよ。それでも宜しいですか。」
「お願いします。」
そして教えて貰ったのは、雲風火水樹土魔。まさか七種複合魔法とは思いもしなかった。
「これは強い衝撃や斬撃も防ぎ多様な魔法も防ぐ事が可能ですが、高難易度魔法です。更にこの上に三種合成魔法の魔法障壁があります。それは自分で探して下さい。」
そう言い手を差し出した俺に、タッケンドーラさんは雲風火水樹土魔の核を俺に渡した。
属性の流れが複雑過ぎて、始めはどうすれば良いのか全く分からなかった。
「良いなあアール、私も覚えたい。」
「七種の属性は聞いたでしょう、自分で覚えるのです。アールさんエレニアに核を渡さぬ様、お願いしますね。」
先生は厳しいとエレニアは不貞腐れていた。
その日の晩にタッケンドーラさんに雲風火水樹土魔が出来る様になったと、見せに行くと彼女は驚いていた。
「アールさんは障壁の魔法に、特性が有るのかも知れません。」
「特性・・・?」
「精霊魔法は使うものにより得手不得手が有るのです。アールさんは恐らく障壁が特性でしょう。」
「先生、アールは他にも毒魔法に特性がありそうなんですが。」
そして毒魔法が何処まで使えるか説明すると、この魔法を数日中に仕える様になるか、試すよう言われた。
毒の合成魔法だった。
「二つ目になりますが、良いんですか。」
「才能ある者なら教えます。今回は試験だと思って下さい。」
そう言い俺に泥樹魔+水業魔の合成魔法を教えてくれた。
「合成魔法は核を渡しても仕方ないので、自分で何とかして下さい。」
そんな難題を頂いた。その日の夜から翌日・翌々日と四苦八苦していた。
しかしある時ふと融合し始めたが、途中で霧散した。
でも切っ掛けは掴めたので、魔力回復薬を使いながら一日中やっていた。
寝ている間も苦心するもずっと失敗する夢を見ていた。
翌朝、起きると直ぐ試した所綺麗に融合した。
それは毒々しい色ではなく澄んだ水の様な、薄い半透明な緑色をしていた。
タッケンドーラ賛成が見せてくれた泥樹魔+水業魔とは全く違う色だったが、それを慎重に維持したまま見せに行った。
「私の魔法とは随分色が違いますね、あの空き地に展開してみて下さい。」
言われた通りにやってみた。
少し粘っとした綺麗な色の物体が蠢いている。
「これは本当に泥樹魔+水業魔ですか。もう一度私の前でやってみて下さい。」
そう言われさっきのように魔法を合成していく。
「・・・・・・アールさん途中で違うものが混ざってます。でもこれは新しい合成魔法ですね。」
「へっ・・・?」
「確認したところ泥樹魔+水業魔では無く、雲泥樹魔+雲水業魔でした。最後に雲が混ざっていってるのです。無意識に雲属性が入ってると言う事は、特性が雲属性でしかも特化だと言う事です。」
「ところでこの魔法で出来たこれは何でしょうか。」
「私にも分かりませんが動いていると言う事は・・・魔法生物でしょうか。初めて見ましたけど、指示したり命令したり出来ますか。」
言われた通り触って意識を送ってみたが意味はなく魔力を流すと反応があった。魔力の放出でも出来るのかと思いやってみると同じく反応がある。
その状態で動けとかこっちに来てみろとか、意識するとその通りに動く。
形も変えれるのかと不意に思い、エレニアに擬態してみろと意識を送るとエレニアっぽいそれが出来た。
「え・・・なにこれ私?」
「凄いですねその魔法。しかし何に使うのでしょうか。」
それを言われると凄く困る。俺にも用途が分からない。
「戦闘時に囮や身代りに使えるんじゃないの。」
成る程と思ったが難しいぞこれ。操作が難しいんだ。
そしてコイツをある程度動かせる様になるまで半月も掛かった。
"銘"で名前も付けた、其の儘だ。
雲泥樹魔+雲水業魔
魔法人形って其の儘過ぎでしょって、エレニアにもタッケンドーラさんにも笑われたが、分かり易くて良いと思うんだ。
そしてタッケンドーラさんは偶になら講師しますよ、と臨時講師を引き受けてくれた。
これはエレニア必死にお願いしていた。
そしてドルニア魔法学院は開校する。
エ、エレニアさん、やめ・・・ましょ・・・アッーーー♂




