パルイム討伐戦
また遭ったなゴルウォール、と言いたいが正直遭いたくなかった。。
住民が避難している所へは一番足の早いアービィを走らせ、ゴルウォールが再度来る事を伝えた。
そしてアービィは夜までに戻り、そして今ゴルウォールは再びやってきた。十体のアンビュールと共に。
「アーバイン!ゴルウォールを頼む、俺とエレニア達でアンビュールを先に片付ける。」
俺はゴルウォールが来ると言う事で、エレニアに雲風土を教わった。
時間がかなり掛かりギリギリで覚えれた為、威力も弱く自分にしか使えないが無いよりはマシだと言う。
月明かりとかがり火だけで戦うのはかなり辛い。
ゴルウォールの大まかな動きしか分からない。もう少し灯りが欲しい。
そんな中でもアービィは初日と殆ど変わらず、ゴルウォールと相手取り戦っている。
ホール達近接陣はかなり戦い難そうだ。
エレニアは魔核の位置で判断すると言っていた。
「アール!炎か火の沼を作れそうな魔法を探しなさい!」
エレニアからの無茶振りである。
わかりました、見付けましたって、直ぐ出来るわけ無いじゃないか。
誰かこう言う事に詳しい人が豊富な知識の人は居ないもんか。そう考えながらも少し下がった物陰で色々試していく。
しかしさっぱり分からない恐らく三種か四種複合魔法なんだろう。
属性さえ分かれば、方法を色々試すだけでいいのに。
なんとかアンビュールは倒し終わった様だが、遠距離陣がエレニアを除き全く機能していない。
ホールも避けるのが精一杯といった感じで、完全にアービィ頼みになっている。
しかしアービィも回避に重きを置いてるから、殆ど攻撃出来ない様子だ。
色々考えても埒が明かないと思い、一回何も考えずにすっきりしたら重要な事を思い出した。
長老に聞けば良いんじゃないか。
刻の呪いの種に魔力を込めると、グググと脳内に響く音と共に長老話しかけてきた。
『アールか、急にどうしたのじゃ。アデスランに向かったんじゃないのか。』
『事情がありまして周囲を明るく出来る、火か炎で沼みたいな精霊式魔法を探しております。』
『炎か火か沼形式でしか駄目なのか。』
『いえ明るく出来るなら何でも。』
『それなら二つ分かるぞい、しかし何故必要かだけ教えてくれ。でないと無闇には教えられぬ。』
『今アデスラン王国の港町パルイムで夜中なのですが、ゴルウォールと戦闘中なのです。』
『町にゴルウォールじゃと。』
『しかも二度目の再来です。』
『そして暗くてまともに戦えぬと言う事じゃな。』
『その通りです。』
『分かった、しかし今教えれるのは、どの属性かと言う事だけになるが良いか。』
『俺が無理なら最終的にエレニアが居ます。』
『エレニアもおるのか。なら何とかなるかも知れんな。今から言うから覚えるのだぞ。
先ず攻撃としての威力は無いが雲風業火、
次は任意の場所に明るい光の球を出す事が出来る炎風水樹魔、
この二つなら明るい筈じゃが、難しいぞ。』
『長老様有難う御座います。早速試して見ます。』
『どうにもならぬと思ったらもう一度呼べ。何とかしてやる代わりに罰は受けてもらうがの。』
『は、はい。では行ってまいります。』
『死ぬなよ。』
そしてまたグググと言う音と共に、パルイムの喧騒が聞こえ出す。
長老に教えてもらった雲風業火と炎風水樹魔を自分で試す前にエレニアに伝える。
「エレニア、属性は分かったがまだ試してない。」
「試してないのに何故分かるのよ。」
「長老様に教えて貰った。」
「えっ?」
「雲風業火と炎風水樹魔だ。俺も試すがそっちも試してみてくれ。」
そして俺はさっきの場所に戻り魔法構築を模索する。
一時間後
俺もエレニアも出来ていない。エレニアはアービィを回復しつつでキツそうだ。
二時間後
今は五種の方を試している、炎風樹魔まで組めるのに最後の水が組めない。順序が間違っているのかもしれない。
三時間後
前線はかなり苦戦している模様。少し覗くとホールやジル達は代わる代わる回復のために下がっている。パルミック[魔]は完全に回復オンリーになっている。
炎火雲水魔という別のものが組めてしまった。今はこれじゃない。後で試す。
四時間後
エレニアもまだらしい。と思っていると炎風水樹魔が構築出来た。
これを保ったまま魔力をもう少し込めていく。しかしこの魔法魔力食い過ぎだろ。
ある程度魔力をコメれたから近付き、ゴルウォールの上方に展開するように放出する。
周囲が瞬く間に明るくなった、というか若干眩しい。
「出来たのねアール。」
「炎風水樹魔の方が出来た。渡すからこっちに来てくれ。」
そういい炎風水樹魔の核を渡した。
「順番は水・風・魔・樹・炎だ。」
「分かった試してみる。」
「それは魔力かなり食う、だから雲風業火を試してくる。」
そう言い俺はさっきの場所に戻った。
さっきの五種は完全に運が良かった。
次は四字だから二十四通りある。順番に何回かずつやっていくしかない。
そして五時間後
一時間でできれば苦労しないが、夜明けまでには終わらせたい。
六時間後
「アール!!出来たわよ!!」
なんとエレニアが構築できたらしい。
雲風業火を見てみると火の薄い膜の様なもので灯りを作れている。
しかも結構上がる居のにそれ程眩しくない。
序に炎風水樹魔の小さな物を、ゴルウォールの上方と腹の下に展開しておいた。
「エレニアそれ渡してくれ、出来る様になったら、灯りは俺が賄う。」
そしてエレニアに渡してもらったら、何となくだが分かった順番が全然違うと。
「順番は業・火・雲・風よ。」
「分かった試してくる。」
この順番でやればたった五分で雲風業火が出来上がった。
「炎風水樹魔より遥かに簡単じゃねえかよ・・・。」
と独り言を呟いてた。
後方の邪魔にならない所に展開してみる、成功だ。
そしてさっき偶然構築出来た炎火雲水魔が、攻撃魔法か分からないから誰も居ない所へ軽く撃ってみる。
小さな炎火雲水魔を作り地面へ向かって放出。
周囲が氷の球体牢獄の様になり、内部で強力な炎火の柱が渦巻いている。
拳半分位で構築したに拘らず、直径5mくらい有る。これは広範囲魔法か。
空にも撃ってみた。着弾せずに範囲外へ行くと消えた。
今これを使うと大惨事な予感しかしない。
と言う事で前線へ戻り、雲風業火が有る所へ俺も打ち込んでおいた。
明るくなった事で、アービィ以外の他の面々も、かなり攻撃があたり回避もしやすくなっている。
エレニアは構築でかなり魔力を失った様で、今は魔力回復中だ。
そして七時間後
空が僅かに赤くなり始めている。
ゴルウォールも随分傷付き、かなり弱っている。
俺は雲風土を張りながら"脱力"を掛け続けている。
エレニアに前回止めを刺した合成魔法は使わないか聞いてみると、個体により若干属性が違い前回のものじゃあまり効果的ではないそうだ。
"遠透視"でゴルウォールを見てみると中心が橙で半分くらいから外が赤黒い。
こいつは炎属性=業魔属性と言う感じなのか。前回の炎火属性>風魔属性と結構違った。
どうやらこのゴルウォールは遠距離より近距離型の様だ。
炎線も殆ど使わない、良く使ってくるのが魔力を乗せた爪だ。触れた瓦礫が一瞬で溶けているのだ。
逆を言えば爪さえ避けておけば何とかなる様な動きを、アービィやワンスがしている。
ジルが回復の為に下がってきた。
「すまんな、俺は殆ど戦闘で役に立たなくて。」
「いいえ灯りが出来てからかなり楽になりました。」
「ちょっと試したいことが有るんだ武器を貸してくれ。」
そう言いグランディーレ[槍]を受け取り、炎火雲水魔を構築して武器に込めてみる。
すると刃の部分の内側が赤味掛かった橙になり外側に氷の層の様なものが出来た。
「これを直接攻撃で試してみてくれないか。」
そう言い俺はジルに雲風樹を二回掛けた。
やってみますと言いジルはゴルウォールの元へ走っていった。
(もっと早く魔法の特訓しておくんだったなー。)
そう思い"脱力"をかけつつ下がってきた者へ、雲風樹を掛けるだけしか出来ないもどかしさに悔しさを噛みしめる。
ボフンッ!ボッフン!
何の音かと思えば、さっき魔法を込めたジルの武器から凄い音がしている。
爆発したかと思えば周囲を氷の層が覆い、最後には氷が収縮して氷属性も入っている。ジル自身や周囲に被害が出ない様だ。
そしてゴルウォールには爆発ダメージが入っている。
炎属性は効かないが炎火属性なら効いている様だ。
ちょっと弓の二人にも掛けてこよう。
弓に掛けると予想外に、笑ってしまう程翼にダメージが入っていく。
左の翼が早くも破けだした。
広範囲攻撃魔法科と思いきや、付与魔法でもあったのかこれ。偶然の産物だな。
しかし短剣や長くない武器だと、危険っぽいから止めておこう。
そうこうしてる内に随分明るくなり、戦闘開始から九時間が経とうとした頃、漸くゴルウォールが力尽きた。
夜間戦闘と言う事あり、全員の疲労が相当蓄積していた。
前回のゴルウォール同様、高く売れる部分だけ剥ぎ取って綺麗にし保管する。
残りは大きすぎて処理しきれないのだ。
"遠透視"を使って確認しても、追撃の魔物は来ていない。
数日に渡ったゴルウォール討伐は、漸く終わりを告げた。
そして翌日までゆっくり体力回復を図りつつ、次が有っても良い様に準備をしていると、やっとアデスラン国軍が到着した。




