今まで知っていた属性は、間違っていた様だ
一頭は倒せたが、一頭は逃がしてしまった。
結果的にはこれで良かったのだと思う。
これ以上の戦闘は体力的に、此方が不利となるからである。
一頭倒すのに五時間、アービィに言わせれば早いと言う。
それもこれもエレニアのお陰だ。
「大丈夫かエレニア?」
「大丈夫に見えたのなら、同じ苦痛を味あわせてあげようか。」
「すみません。」
「こんなに無理したのは二百年振りくらいかしら。」
人化した時は少女にしか見えないが、やはり彼女も長生きだった様だ。
「最後の銘名した魔法、名前はダサいけど威力は上々ね。」
俺は魔法すら銘名出来る事を初めて知った。
「元々ある合成魔法じゃなく、即興で組み上げたからね。」
その場の考えで強引に魔法を作りこむ事が出来るエレニアは本当に凄い。
冒険者的な言い方をすれば、エレニアは大魔導師の部類になるとホールは言う。
「エレニアさん、結局あれはどういった魔法だったんだ?」
ジルが興味津々でエレニアに尋ねる。
「どうもこうも合成魔法だよ。初めの回復と強化は雲風樹と風土と雲土を混ぜた物、最後のは炎業魔と風土を混ぜた物だよ。」
「合成魔法ってどうやっったら使えるんだ?
「アールは何も知らないんだな。単属性を混ぜるのが複合魔法、複合魔法を混ぜるのが合成魔法、合成魔法を更に混ぜると混成魔法となる、私は使えないが知る限りで、混成魔法を使えるのは数人しか知らない。長老様とガルゼリア様もその中にはいってる。」
「しかし何故炎業魔魔法と風土魔法を即興で混ぜたんだ?」
「そもそも炎業魔魔法と風土魔法を混ぜた合成魔法を知らなかったから半ば強引にだよ。」
「いや何故その二つを使ったのかと思ってさ。」
「ああそれはね、"透視"を持ってるからゴルウォールの属性が見えるんだ。それに合わせて魔法を組んだだけだよ。」
"透視"って物だけじゃなく、相手の属性が見えるだと?
「それに弱点も分かるよ。ゴルウォールは角の延長上の内部に弱点がある。弱点の所に魔力の核みたいなのがあって色が付いてるんだ、それが持ってる属性。ゴルウォールは赤みがかった橙をを中心に周囲に黄と黒、属性は炎火属性>風魔属性って事だよ。」
イマイチわからないと言う顔をしていると。
「属性の説明も必要そうな顔だね。魔法は勉強した事ないのか。」
魔力の放出だけなら知ってるが属性は知らないと伝える。
「魔力の放出は魔法じゃない、魔法の扱い方の一種。重要ではあるが属性魔法が使えなきゃ勿体無い。
先ず外界で言われてる属性と言う物自体が間違えてる。説明するよ。」
火・氷・水・雷・土・聖・闇魔法と特殊魔法と呼ばれる物があるがそれは複合魔法の事。
単属性は曜日や週にも使われてる火水樹土魔炎雲風泥業の10属性。
それを掛け合わせて様々な魔法を使う事が出来る。単属性を三つ混ぜても四つ混ぜても複合魔法だ。
現在一般的なものは複合魔法になっているという。
しかし合成魔法が広まらないのは代償が必要だと言う事。
混成魔法になると代償は要らないが強大な魔力がないと扱えない、だから使える人が限られてる。
火魔法は、炎火の複合魔法。
氷魔法は、雲水の複合魔法。
雷魔法は、風樹の複合魔法。
聖魔法は、雲風樹の複合魔法。
闇魔法は、泥樹業魔の四複合魔法、だから使える人が少ない。
水と土は単属性魔法。
混ぜ方次第で色々な魔法が使えるが同じ属性は混ぜれない。
風風属性や水水属性という物は存在しないと言うのだ。
昔はこういった魔法だったらしいが、最近は概念やら勉強しなくなってるのかとエレニアは嘆いていた。
「私は全属性使えるし、アールがもし習いたいと言うなら教えれるがどうする。今は忙しいから今度になるが。」
「誰でも覚えれるのか。」
「1単属性の概念さえ分かれば誰でも使える。」
「私も教わりたいです・・・。」
「できれば私も。」
ジルとウェルも聞いていたので教わりたいと言う。
「そうね、使えるようになって変わった魔法を編み出したら、私に教えてくれるという条件なら教えてあげるわ。」
そんなんでいいならと快諾する。
四人でこんな会話をしていたが他の者はと言うと。
護衛の六人は住民を見まわったり、安全な所へ誘導し。
ホールとアービィは町の二つの入口を見張り。
エチゴールはゴーレムを使い瓦礫の撤去。
リッケンは馬車でお休み中、仕方ない魔力を強引に増加させて全部使いきったんだ。
俺達はゴルウォール死骸のある広場が、港に近いから海側を見張っている。
「ところでアール、なんでゴルウォールが来てる事分かったのよ。」
遂にこの件に触れられてしまった。
「実は・・・・・・・・。」
長老に貰った事を伝え、いま来てるエチゴールを除くメンバー以外には口外しないで欲しいと伝えた。
「なにその"遠透視"って。」
「遠視と透視の上位能力だったりする。」
「便利過ぎじゃないの。」
「実はさっきまで"透視"に魔物の弱点が見れると知らなかったんだ。他になにかあるかな。」
「他はないわよ、裸が覗けるくらいなもんよ。」
「今ここでそれを言うか。」
「実は道中もジルやウェルの裸眺めてたんじゃないの。」
と、ニヤァとしながらエレニアが言う。
そして二人の方を見ると・・・何故こんな冷ややかな目で見られているんだろう。
「誤解だ。初めて使った時に島の方を見たら、ゴルウォールが飛んできてたんだ。」
「二人は見る価値もないと?」
「そう言う訳じゃない。」
「んじゃ見たいんだ。」
「どっちを取っても俺が不利じゃねえか。」
「隠してた罰だ、で今は能力何個あるのよ。」
「8個あります・・・。」
「最早人間族の数じゃないわね。」
「私やエチゴールを呼んだのも新しい能力よね。」
残りは"召還"と"半殖"というのが有ると伝えた。
「いやらしい、アールいやらしい。」
「えっ?何で。」
「そこで態々"半殖"選ぶなんて、やっぱりジルやウェルをそういう目で見てたんだ。」
「仰る意味が分かりません。」
「能力知らずに"半殖"貰ったの、馬鹿なの。私も知ってるし、きっとジルとウェルも知ってる筈よ。」
「そんなに有名なのか、この能力。」
「物凄くマイナーで、人間しか持たない上位能力よ。因みに"繁殖"の上位能力で、"繁殖"も人間しか持たない。」
「具体的にはどういう能力なんでしょう・・・。」
「この世界はね基本的に同種族でしか子供が生まれないのは知ってるわよね。そして"繁殖"を持つものは獣人相手で子供が出来るが精霊種は無理、そして半獣人種には"繁殖"は意味を成さない。だけど"半殖"は半獣人にも精霊種にも"繁殖"と同じ効果を得ることが出来るのよ。」
「半獣人種は半獣人種の子供は産めるんでしょ。」
「無理よ。生殖能力はあっても子供が出来ないの。唯一それを打破出来るのが"半殖"と言う事。」
「恐らくジルもウェルも自分の子供は諦めてたでしょ?」
「「はい、」」
「昔からそう聞かされてましたので。」
「でもこれでアールと交われば、子が産めるわよ。正妻は難しいでしょうが、妾で良いならだけどね。」
完全に話に置いて行かれてます。
「ですがアールさんが、こんな私達では嫌だと思いますから。」
「嫌じゃなーーーい。と言うか俺を置いて話を進めるな。」
「すみません。」
「て事は何だ、俺はエレニアにも・・・。」
「そういう事になるわね、試しにやってみる?」
「そんな簡単に・・・。」
「さっき"半殖"って聞いた時内心喜んだもの。精霊種が人化出来るのはそういう事が出来る為だからね。精霊種と人間種との子でも完全な精霊種しか生まれないから、私としては種を残すと言う意味で大歓迎よ。だってドリアードは数が少なく番いになるドリアードは未だ見付けられてないもの。と言う事でいつかお願いするわ。何なら今でも良いけど。」
何か強引に子供を作ってくれと言われた。
「せめて家でお願いします・・・。」
「貴女達もお願いしておけば?」
「宜しければお願いします。」
「私もお願いしたいです。」
どうやら俺は種馬候補に抜擢された様だ。
「でも同種と比べると出来難いから何度も回数はしなきゃ駄目だと思うけどね。それと人間みたいに責任とって結婚とか、そんなの要らないから安心すると良いわ。」
まさかこの能力がそんな物だったなんて思うわけないじゃないか。
「ところでアール他の番いが見付けられなくて、困ってる精霊種にもアールが"半殖"持ってる事教えていいかしら。」
「あのう、体が持たないと思うんだが。」
「そこは大丈夫そういう魔法もあるし、そういう薬もあるから安心なさい。」
「若しかしてもう決定事項なのか。」
「男ならそこは喜んで引き受けなさい。それにこの見た目が気に入らないなら、好きな形に人化出来るわよ。ジルみたいな胸の方が良いとか要望があればね・・・半人化が好みと言うならそれでも構わないけど。」
「もう何でも良いです、お任せします。」
「ジル・ウェル喜びな、アールは引き受けたぞ。」
「「はい」」
何でこいつ等こんなに嬉しそうなんだよ。まぁいいか特に好きな人が居るわけじゃないし・・・・ん?
「今思ったが特に誰が好きとか、無いんだぞそれで良いのか。」
「ああジルやウェルは分からないけど私は種を残すことのほうが優先だからね。そんなのは後でいいわ。」
「私も同じような感じです。」
「その方が嬉しいですが、そこまで贅沢言えません。」
「んじゃ決まりね。あと知り合いに数種いるからそれも宜しく。ああそうだ、エリオもその一人よ、若いドルイドが今居ないからね。」
「え?ドルイドっていっぱい居るじゃない。」
「ドルイドは歳が離れすぎると子が出来ないのよ、歳の差が百年未満って限定されてるから、エリオの歳から上下百歳は今見付かってないからもう諦めてる筈よ。きっとエリオ喜ぶ筈よ。」
何か話がドンドン大きくなってる、これ最後にはどうなるんだろうか。
「まさか属性の話がこんな話になるとは思ってなかったわ。」
「私も思ってなかったわ。」
「おーい取り敢えず今日は、パルイムに泊まる事になるけど良いかー?」
いいとこでホールが来た。
「何日くらいパルイムになるんだ。」
「ロクから兵士達が来るまでじゃないかな。だから狩りに行って食料補充しなくちゃいかん。」
「それなら私達が行きます。」
ジルとウェルが言ってくると言う。
「いや住民の分も欲しいから、エレニアにも頼めるかと思ってな。あとはアービィも行く。町は俺とエチゴールとアールで見ておく。」
「んじゃ行ってくるとしますかね。」
「今馬車で寝てるリッケンはどうする。」
「リッケンは俺のところに連れて来てくれ、安全そうな所に居てもらう。」
こうして狩り組は出掛け、夕方には荷馬車に一杯の食料を確保してきた。
町で料理の出来る住民に手伝いをして貰い、他に手の空いてる者を呼び集め夕食の準備をしていく。
住民を纏めていた人に聞くと、パルイムの住民は半数以下にまで減っていると言う。
そして親を亡くした子供も沢山おり、逆に子供を亡くした親も沢山居た。
そういったもの同士が身を寄せ合い過ごし、家族の残ったものは家族で過ごすをいう形が出来た。
このパルイムは元々非常に治安が良く、この状況でも特に物盗りが出る事も無い。そう言った点ではまだ楽である。
「パルイムには領主が居ただろう、何故まだ来ないんだ。」
ホールが住民に尋ねると、領主は真っ先に町に来て避難しろ・街を出ろと率先していたらしい。
だが一発目の炎線で焼かれてしまったと言う。
「そうか・・・良い領主だったんだな。」
「はい。私達住民にいつも優しく、とてもいい領主様でした。」
何でいつも良い人程早死するんだろうな、と俺はそう考えていた。
そしてロクへの伝令は早くても明日になるから、兵士が来るのはその数日後になる。




