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己の歩むべき道は己で見つけてみせる  作者: 飛来針
第三章 ─ アデスラン王国 ─
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パルイム撃退戦

第三章突入しました。アデスラン王国編。

 長老の所から戻り現状を見て驚き、ジョーに幾ら散財したか問い詰め、効かないと分かってるが一発殴っておいた。

 一発殴った後にジョーはが風呂を見れば怒りが収まる筈だ、と言うもんだから一応見に行った。

 確かに怒りは収まったと言うか良い仕事していた。

 もう終わった事だし資金もまだまだ有るからいいかと。



 それから一ヶ月ほど特に何もせずに食って少し体を動かし、また食ってジルやウェルを揶揄(からか)ったり、訪ねてくるものの相手をしたりと過ごしていた。




 ホールが訪ねてきた。

(しばら)く忙しかったから覚えてるか分からんが、バジリスク討伐が終わった後に持って来た面白い話あったよな。あれまだ買い手が見付からない上に値段が下がったぞ。」


「ほーう、幾らまで下がったんだ?」

「それよりも今アールに金が残ってるかだ、こんなに金使ってよ。」

「[レイドリーム]からも入ってくるし、不定期だが[闇の通用門]にも卸してるから結構有るぞ。

 手持ちとギルドに預けてるの合わせると、金貨80,000枚ほどになってるはずだ。」


「金貨55,000枚だから、十分足りるな。」

「あれから一年以上経つがどうなったんだ?」

「土壌が毒に侵され人も動物も住めなくなっていて、毒耐性を持つ魔物が若干住み着き始めたんだ。

 だからアデスラン王国としては一気に値下げしてでも、誰かに治めて欲しい様だ。」

「アデスランの貴族様は、買わなかったのか?」

「あの広範囲の毒を誰が浄化出来るんだよ。しかも中には劇毒も染み込んでるんだ。普通に浄化してたらいつ終るか分からん。

 あの時は直ぐに手を出さんと思っていたが、一応声だけ掛けておいた。だが今回は違う。

 アデスランの土地は商人ギルドは買えない、あくまで個人でないといけないと言う決まりがある。

 商人ギルド側としても、あれだけ街道の近くで魔物が湧くと問題があるんだよ。

 それにあの周囲は貴族の息が全く掛かっていない上に、脱毛症もない。だがアールにはカゼリオという脱毛症の特効薬があるしな、以前はあれのお陰で助かった。この話受けてくれるなら俺も出来うる限り支援する。目処が立ったら商人ギルドの支部も置ける。利点は多いと思うぞ。」



「特に悩む事でもないしな、良いぞ買おう。交渉は勿論付いてくるよな。何処に行けばいいんだ、ロクか。」

「馬車は俺がクーオンズ家として出す。今回そっちはアーバイン達含めて四人でいいのか。」

「いや今回はリッケンも連れて行くから五人だ。資金はギルド払いでいいのか。」

「大金になるからそれで問題ない。」


 一週間後ドズに迎えに来てくれと伝え、色々と準備をしていく。



 ───── 一週間後。


 先に[レイ・ドリーム]に到着しホールを待つ俺達五人。

 資金は商人ギルドに、金貨65,000枚入っている状態にしておいた。


 クーオンズの家紋付きの豪華で大きな馬車と普通の荷馬車が、見えてきた。

 それに紋付き護衛が六人いる。


「ドズからだとからヒルリアを経由して、北部国境の街道を抜けて行く。」

「道はホールに任せるさ。」



 ドズからヒルリまでの二日間は特に問題なく、この日はヒルリアで一泊した。

 ここから東へ三日行くと小さな漁村があり、そこから国境を越え北上して一日・二日すると小さな港町があるそうだ。更に日がして四日でロクに着くと言う。

 順調に進んでヒルリアからロクは、十一日か十二日掛かると言う。

 荷馬車に食料等を十二人分を五日分積みヒルリアを後にした。


 しっかりとした街道で行商人も多く行き交っている。

 紋付き馬車なので誰も声を掛けてくる事は無く、始めの目的地である漁村に着く。

 ここで一泊し食料を三日分買い足し、国境を目指し東へ進む。

 野宿し翌日になると、街道は海岸線の直ぐ横を通る事になる。

 浜辺で遊ぶ子供たちを見掛ける、浜辺も綺麗で海は透き通った様な色をしている。

 遠くに小島が見える。


「あの島は小島に見えるが南北に長い。そして島の西側は魔物生息地域になっているから、誰も近付かないんだよ。」


 遠透視って何処まで遠視が利くんだろう。

 そう思い何気なく能力を使ってみる。


 自分の目に写った光景は、虎の胴に脚・頭は猪に角が生えた様な・尾は大蛇かなそれに大きな翼でその何かが二頭こっちよりやや右方向へ向かって来ていた。

 それをホールに伝えると、なんで見えるんだとか聞くよりも、焦った表情が伺え馬車の速度がかなり早くなった。


「さっき伝えたのは魔物か?」

「ゴルウォールと言う凶暴な魔物だ。しかも二頭だとパルイムが無事だと良いが。」

 パルイムというのは、今から向かおうとしていた港町である。


 国境が見えてきた。そこではミセリアの衛兵とアデスランの衛兵が喋っていた。

 止まれ、と手を振っている。

 ホールは速度を落とすと大声で兵士たちに叫んだ。


「ゴルウォール二頭が、パルイムに向かっている!急ぐから通り抜けるぞ!それと早馬でロクに知らせろ!ホール=ズィン=クーオンズがそう言ったと伝えれば冗談だと思わぬ筈だ、急げ!!」

「ハッッ!」


 そう言うとまた直ぐに馬車を急がせた、正直間に合うとは思えないが。

 馬に俺の薬の入った餌を与え、昼夜を問わず馬車を進める。

 馬車だとここからでは、丸一日近く掛かるというのだ。


「ホールはそのゴルウォールと、戦った事あるのか?」

「無い。滅多に見掛けぬ大物だ。」

「例のバジリスクとどちらが危険なんだ。」

 それは比べるまでもなく前のバジリスクだ。だがパルイムは冒険者ギルドも傭兵ギルドもなく、戦える者が少ない。だから急いでるんだ。」


「私は戦った事御座います。倒すのに丸二日程掛かりました。」

 そういったのはアービィだ。

「何人でだ?」

「一人でです。」

 それを聞いたホールは異常者を見たかの様な顔をしている。


「ゴルウォールって一人で倒せるものなのか。」

「多少はありますが特に厄介過ぎる状態異常はありません。しかしながら兎に角動きが早いですので、攻撃を確実に避ける事を考えて動く必要があります。倒す事よりも攻撃を喰らわない事を、最重要視して下さい。」


「お前等聞こえたな、攻撃の回避を最重要視だ。」

 そう言うと紋付きの護衛が揃って返事をした。


「「「「「「了解致しました。」」」」」」


 この護衛の編成は片手剣・盾が二人、ロングスピアが一人、片手剣持ち魔道士が一人、弓・短剣が二人の計六人だ。非常にバランスが良く、全員が傭兵ギルド上がりだと言う。


 しかしこの十二人の中でゴルウォールと戦ったことが有るのはアービィただ一人だ。

 しかもコイツを基準に考えてはいけない。別格過ぎるからだ。


「ゴルウォールの行き先がロクなら、衛兵が居るからなんとかなるんだが・・・。」


 どちらにせよ急ぐ以外道は無い様だ。

 俺はというと戦わず、逃げ出したいのが本音だ。

 だがそんな事を言える様な、雰囲気(ふんいき)では無かった。



 ここからパルイムまでは平地で、遠くに町らしきものが見える所まで来た。

 しかし少し間に合ってなかった様だ。町で火の手が上がっている。

「あと一時間も掛からないとは思うが、早馬が先に避難を知らせていてくれれば良いのだが。」


 だが俺の目には衝撃的な光景が写っている。

 ゴルウォールと呼ばれる魔物が、住民を(くわ)えそのまま貪ったり、(くわ)えて上空高く飛びそこから落としたりして、まるで遊んでいるかの様だ。手足をバタつかせながら落ちていく住民が見えてしまう。

 流石に目を背ける・・・そして更に見たくもない護衛達の裸が見え、ウェッっとなった。



 しかしこのゴルウォールを言う魔物は凄い速度で飛び回っている。

 動きが早いと言う事だから、回避能力も高いのだろう。

 "必中"持ってるアービィだから当たったのではないか。

 しかも"回避"・"加速"・"戦神"が有ったから、回避が出来たのではないかと負のイメージしか浮かばない。

 そうで無ければ良いと今は祈るしか無い。


「着いたらアーバインと護衛の弓一人と盾持ち一人の三人で一匹相手をしてみてくれ。

 行かない方の弓と盾持ちは体力を温存しつつどちらでも行けるように待機。

 こっちは俺とアール以下二人、槍と魔道士の五人で様子を見る。リッケンは馬車を頼む。

 もうすぐ着くぞ、馬車は南口の外に置いていく。アールは全員に薬を渡しておいてくれ。」



 ***



 パルイムの南口の外に馬車を置き、武器を抜いて全員が町に入る。

 目に入ってきた光景は既に阿鼻叫喚となっている、元は長閑(のどか)であっただろう港町の面影はもう無い。

 家や商店は焼け焦げ、剥がれた石畳、壊された船や港、人々の叫び声や動かなくなった住民。

 そこら辺に転がっている千切れた腕や脚。(おびただ)しい血の量や臭いに思わず()せ返りそうになる。


 そして近付くにつれゴルウォール大きさが分かってきた。

 全長10mくらいある大きな魔物だ。


「俺とアール達は北西に有る広場の方へ向う。アーバインはあまり遠くへは行かない程度にもう一匹を上手く誘導してくれ。」


 そして一気に駆け出す。広場に着くとやはり居た。そして今まさに住民が襲われている。

「おかーさーん!! おかーさーん!!」

 そう泣き叫ぶ小さな女の子の、その視線の先に目を向けると・・・少し着くのが遅かった。

 その女の子の母親であっただろう人は、もう半分程原型を留めていない。


 それを目にしたホールは、もうゴルウォールの懐に入り斬り掛かっていた。

 しかしゴルウォールは(はや)かった。

 ホールの攻撃が当たったかに見えたが、次の瞬間後ろに飛びのいている。


「マジかよ・・・今の間合いで当たらんのか。如何(いか)にアーバインが化け物か分かったわ。」

 あのホールすら焦っている。

「下手に近付くな、こいつは疾すぎる間合いをある程度取って・・・。」


 バシュウゥゥーーー!!


 ホールが言い終わる前に攻撃が当たり、ゴルウォールの左前脚の剛毛が少し凍っている。

 振り返ってやっと誰の攻撃か分かった。

 ジルがグランディーレに魔法を込め放った様だ。


『グギャァーーーオ!!!』


 ゴルウォールが吠える。

 すると最悪な事にもう一匹とアーバイン達が来た。


「分断して戦いたかったのだが、合流してしまったか。」


 そして長い長いパルイム広場での戦いが本格化する。


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