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ガルゼリアとの出会い

途中気分転換にお風呂に入ろうとしたら冷水で飛び上がりシャワーで暖を取りました。

「んん・・眩しい・・・・・・・・ハハハ」

 うん、案外生きてるもんだな


 "気配"が少し強化されて自然に気配が減るようにでもなったのか、

 本当に偶然運が良かっただけなのかもしれないが

 俺は今日ちゃんと目を覚まして起きれた


 俺はしっかりとした宗教観念があるわけではないが、

 昨日能力が判明した時は

(この世には神すら居ないのか!!!!)

 と、内心叫んだがやはり居るのかもしれない。そう思える目覚めだった。


(んじゃま寝る前に考えてたことをさっさと終わらしてしまいますか。)

 そう思い昨夜コイル草が取れた付近まで気配を殺して例の雑草を集めて来よう。

 お腹が減っているが食べるのは移動をしながらでも出来る事なので後回しにすると決めた。


(あったあった、朝見るとこの様な色をしてるのだな)

 そして昨日と変わらずこの雑草は非常に魅力的に見えた。

 今回は葉だけではなく、根も使ってみようと下を掘ってみたが

 主根を持たずひげ根だったので葉の部分だけを採集した。

 ひょっとすると使えるかも知れないが今は加工が出来ない上に

 エンシーまでひげ根だけで持つと思えなかったからだ。


 では早速この雑草の絵や特徴や色を紙に書き込んでいこう。

(雑草1とかでは今後何かと苦労しそうなので名前を付けていこう)

 〖雑草手帳〗

 アンシー:葉は黄緑より黄色に近く、細長い葉が3~4枚で四角や三角を形どるように生えている。

 搾り汁1:水10を魔力で精製。アールの雑草薬(緑)


 取り合えずこんなもので良いだろう。

 何かが来る前にさっさと作業をしてしまおう。


 十分後

 一応判別をしてみる。

(あれぇー??名前が変わってるしかも銘?が付いてないが効果は同じだ)

 "アンシー強化薬(緑)"

 どういう事だ?

 自分で勝手に命名したものが、アイテム名となって判別されるとはこれ如何に。

 しかしこれで分かったことがある。この状況は"雑草"か"銘"が関係してこうなったという事だろう。

 他にも色々と作ってみないと、これ以上は考えても答えは出ないだろうと思い片付けつつ出発の準備をする。


 さてこれからだがエンシーまでは常時"気配"を使いながら移動しようと思う。

 走っていけばそれ程の距離ではないが間違いなく魔物に見付かるだろう。

 そして今の俺は攻撃手段が殆ど皆無と言っても過言ではない。これは却下だ。


 やはり時間は掛かるが気配を殺しつつゆっくりだが進むほうが良いだろう。

 あとは気になる雑草の採集をしつつ食料となり得る木の実や果物や草を探す方向でいこう。

 一応今朝とったアンシーの葉を二枚残してある、食用として食べれるかもしれないからだ。

 強化薬として内服しても構わないのだから味はともかく食べれるはずだ。

 そんな事を考えながらパンを片手に日が高くなる頃まで進んだ。


 どのくらい進んだだろうか。


 横目に見える方向に草木が生い茂ってるのが見える。

 遠目に見ても綺麗なところだ。ちょっと寄り道をしてみよう。


(何も居ませんように、何も居ませんように・・・。)


 草木の生い茂り岩がありその奥には清水があるじゃないですか。

 水は貴重だが喜んで飛びついて一気に飲むことはない。

 いくら綺麗だから問題がないとは限らないのである。

 手で少し水を掬い少量口に含んで舌に違和感が無いことを確かめてから飲んでみる。

 三十分から一時間ほど辺りを探索してる間に問題があれば何かしら症状が出るだろう。


 水は貴重だからこの辺りで補充をしておきたいし、自分も沢山飲みたいのだ。


 そして辺りを探索しようとした矢先。

「お主ここで何をしておる?何が目的でこの森に足を踏み入れたか?」

 後ろから声がしたが人間の声だと思い恐る恐る振り返る。

 ・・・!!?


 明らかに人じゃない、というか魔物?それにしては言葉が上手すぎる、一応しっかり答えるとしよう。


「えっと・・・貴方は?」


「我が先に聞いておるのだ、何故我らの森に足を踏み入れたか

 敵対せねば危害を加えぬと約束しよう、さあ答えよ。」


 我らの森?ということは此処はこの種族?が暮らす森なのか。


「すみません、此処が貴方の森だということを知らず

 向こうの街道を歩いていると此方に綺麗な草木が見えたのでなんとなく来てしまいました。」


「それは森の入り口の様なものが見えたと言うことか?」


 何を当たり前の事を言っているのだろう

 首を傾げていると再び同じ問いを投げかけてきた。


「はい、そのように見えました」


「むうう・・・」

 何か唸っている様だ。


「この森の入り口には我ら以外には入口と分らぬように魔法で結界ししておる

 お主はその結界を見破る能力でも持っておるのか?」


「持ってないと思いますが、自分自身でもどのような能力か判らずに困っています。」

 この世界は人間だけに限らず亜人であれ精霊であれ魔物であれ隔たりなく皆能力を持っているのである。


「ふっふっはっはっはっ・・・すまぬすまぬ、だが人間よ少々正直過ぎるぞ。我が何者か判っていっているのか?」


「どういう事でしょうか」


「我はお主達人間から言われる名は"ドルイド"、

 そして全てのドルイドは相手の能力を覗き見る事が出来る、それを判って言っているのか?」

(マジで!!ドルイドといえば森の精霊ドルイドだよな)


「森の精霊ドルイドだと言うこともそのような能力を持っている事も今初めて知りました、

 ということは私の能力も全て知っておられるということですか」


「我らドルイドは相手の許可も得ず相手の能力を見るような真似はせぬ」


「あ・・・すみませんでした」

(しかし話し合いで乗り切れそうだな)


「我らドルイドでしか知らぬ能力もある、他にも亜人や魔族が持つものも多少なら知っておるが、

 知りたければ我がお主の能力を覗き見てどのような能力を持っているのか知らねばならぬ。」


 即答だった、自分の能力を知るために始めた旅である。親に半ば捨てられた様なものでもあるけれど。

 まさかこんな出会いがあるとアール自身思ってもいなかった。


「はい、お願いしますドルイドさん」


「我の名は"ガルゼリア"、ドルイドと呼ばれては誰が誰のことか分からぬであろう?」


「すみませんでしたガルゼリアさん」


「よいよい、怒ってはおらぬ名乗らなかった我に責任があるのだ」

(このドルイドは若しかして結構しっかりした偉いドルイドなのか?)


「分かった、では暫し待っているのだ」

 そういうとガルゼリアは動きを止め目を瞑った。


 この考えは正しかった、後で聞いたのだがガルゼリアさんはドルイドの中で

 上から第三位という位を持つドルイドだったらしいがそれを知るのはもっと後の事である。

 この時知り合えたのは正に僥倖と言えるものだった。


「長年生きてきたが少々驚いておる、人間がこの能力を持って生まれてくる事があるという事実に。」


「・・・・どういう・・・事でしょうか」


「お主の能力は雑草・銘・脱兎・脱力・気配、この五つで間違いないな?」


「はい、間違いないです」

「我の生きる六百数十年の間、この内五つは人間が持つという話は聞いたことが無かった、だから少々驚いておる。」

(そんな長生きしてるのか)


「脱兎はとある亜人種に生まれ持つものが多い、説明はあとでする。

 問題は雑草・脱力だ。この二つはドルイドが持ち生まれてくるものだ。

 脱力は殆どの者が持っておる、持たぬ者は外界へ出る事が認められておらぬ。

 理由は簡単じゃドルイド以外への対抗手段が無くなるからだ。

 そして雑草はたまに持って生まれてくる者が居る程度だ。」


「雑草と脱力の内容が詳しく判るのですか!?」

 アールがそう問うとガルゼリアは小さく頷いた。


「あと色も確認出来たが知りたいか?」

 最早驚く事の連続である。このドルイド色まで判ると言い出した。


「気になるので是非教えて下さい」


「まず"雑草"が橙、"銘"はまだ赤みの強い橙、"脱兎"は橙、

 "脱力"はやや濃い青だが藍までは行っておらぬ、"気配"は濃い黄色だ

 この段階で判った事があるが、お主"脱力"を制御出来ておらぬな?」


 どうやら脱力は制御を必要とする能力だったようだが、何故数日で青にまでなっているのか。


「お主ら人間は確か十六になるまで能力を判明させれないのだったよな、

 そしてこの能力を見る理論は我らドルイドが昔人間に教えた物

 見る能力を持たぬ人間でも見ることが出来るように発明されたのがあの装置じゃ

 そして人間に一つだけ約束させた事がある、

 それが判明させた時に能力が高くなっていようとも最初は全て赤字で記述せよ、ということだ。

 でなければお主のように生まれてから今まで能力を御する事なく使い続け

 判明した途端青だとなると騒ぎになる能力も多々ある。お主今歳は幾つじゃ」


「先日十六になったところです」

「十六になったばかりで特に戦闘系能力も持たず旅をするとはどういうことだ」

 誕生日から今日までの経緯をガルゼリアさんに話していった。


「我らドルイドが人間と交流を持っていた二百年程前は、能力の差異などそれほど気にしておらなかったのに

 変わってしもうたのだな、教えるべきでは無かったのやも知れぬ・・・・・・・・嗚呼」

 そういうとガルゼリアさんは天を仰いで黙ってしまった。


 数分ほど沈黙が続いた後、ガルゼリアさんが口を開いた。

「お主が暫くこの森に滞在するなら"脱力"の制御の仕方を教えてやれるぞ、どうする?」


 あの沈黙の後からの思わぬ提案だった、もう帰れと追い出されると思っていたからである。


「どういう能力でどう使っても良いかも判らず、知っている人も居らず困っていたので是非教わりたいです。」


 するとガルゼリアはこう付け加えてきた。


「正し少しばかり条件がある、基本的に行動は我とする事、

 無暗に木々を傷付けない事、草花の採集は我の許す範囲内でする事

 それを守れるなら脱力の他に雑草についても知っている事を教えよう。」


 もう何というか願ったり叶ったりである。

 今知りたい事の半分くらいが教われるというのならば幾らでも滞在したいところだ。

 だが一つだけ問題があった、食料である。


「ガルゼリアさん一つ聞きたいのだけれど、人間が食べれるものってあるのかな」


 そう問うとガルゼリアはすぐに答えた。

「特に問題はないが肉は食えない、木の実や果物・野菜ばかりになるがそれでも構わぬか?」


「食べられるものがあるならば十分です」

 これで暫くの飲食問題は解決した。


「此処は入り口付近だからもっと奥へ行こうか、食べるものにしてもこの辺りでは碌なものも無い。」

 そう言ってガルゼリアさんと話しながら森の奥へと進んでいった。


 

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