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己の歩むべき道は己で見つけてみせる  作者: 飛来針
第二章 ─ ミセリア国 ─
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マッチョなやり過ぎ大工と薬屋開店

 レイチェルを迎えに行く為アウルに到着した。

 村長はと言うと、あれ以降麻痺が出る事は無くなったと言い、滅茶苦茶(めちゃくちゃ)元気になっていた。

 元気過ぎる程調子も良くなった為、レイチェルを説得出来たらしい。

 そんなレイチェルに、今後どうするかの説明をする。


「村長は俺に何とかして欲しいと言ったが、俺が全て面倒を見るわけじゃない。最低限は働いて貰う。」

 ドズに小さな薬屋を開く為に家を買った事を伝え、金は俺が出すからシュツーに行商人の権利を買いに行くと伝えた。


 給料は開店日のみ支払いで日給銀貨50枚+売上の3%。

 店を大きくしたり支店を出したくなったら、俺に連絡を取り出来そうなら資金は出す。

 そして其の都度契約を検討する。

 薬の仕入れは此方で手配する、薬は無くなる前に持ってきた者に、何が幾つ欲しいか伝える事。


 こういった取り決めをしつつシュツーへ到着し、商人ギルドで権利を購入。

 一泊してドズへ行き開店準備を整える様に伝え荷馬車を店に置き、俺は中心街で運搬の求人を募った。


 ──自宅にて。


「ただい・・・・・。」


 久々に自宅に戻ると夕方だと言うのに、酒盛りが始まっていた。

 唖然としながら面子を確かめると、畑を作っていたノーム四人、栽培担当のダイーカンとエチゴール、熊猛(ゆうもう)族のムキムキ大工とエリオとエレニアが、以前ノームが言っていた甘水漬(かんすいづ)けのエール割や自分たちで持ち込んだ酒で酒盛りをしている。


「おいお前ら仕事はどうした・・・?」

 畑と小屋作りが今日終わったと言う事で、打ち上げの酒盛りをしているそうだ。


「アールさんよ~、小屋はバッチリ仕上がって~倉庫もあるし~苗床(なえどこ)を育てる場所も作っておいらろ~~。他にも~色々つくっれおいらから~・・・・・ぐぅぐがぁー・・・。」


 若干呂律(ろれつ)が回ってない上、いつもの雰囲気と別人だ。そして喋ってる最中に寝てしまったようだ。



「まあ仕方ないだろうコイツ凄いペースで、小屋とか色々作ってたから疲れたんだろう。コイツの自信作を明日でも見て評価してやんな。」


 そして俺も疲れているから早く休みたかったが、騒がしく中々寝れなかった。



 翌日。

 見事に酔っ払い集団が団子になって寝ている。


 畑と小屋が気になるので、裏庭に出て確認して見ると畑は予想通りだったが小屋が小屋だけじゃなかった。


「こいつは凄え・・・。」

 二階建ての小屋の横に苗床そして綺麗で大きめの休憩所に倉庫、全て床板まで張られている。


 畑を挟んで南側に(わら)や丈夫な布を巻き、的のような◎の描かれた案山子や弓練習用の的まである。

 そして畑の奥には(いず)れ頼もうとしていた、周りを柵で囲った簡易牧場の様な物まで出来上がっていた。

 完全に金貨5枚じゃ材料代にも届いてないはずだった。


 金一封渡していいレベルの仕上がりだった。


 家の中で(いびき)をかき爆睡(ばくすい)している大工を叩き起こし、畑に連れてくると"どうだ"と言わんばかりな顔をしている。


「いやー想像以上の出来でビックリしてる。金貨5枚じゃ材料代も出てないだろ。」


「エリオにさんに聞くと()れ位やっても怒らないから大丈夫、って言ってたからついな。」

 満面の笑みでこう言われては何も言えない。


 そして此の大工に少し色つ付け金貨100枚渡した。


「アールさんまた何かあったら頼むぜ、俺はジョゼフってんだ今後共よろしくな。」

「そうだジョゼフ中心街じゃなく、ドズの町でやってくれって言ってもやってくれるのか?」

「構わないぜ、但しモンザリオではやらない。ミセリア国内とエル商国内なら大体やるがアデスランまで行くなら報酬次第で、材料の輸送はそっち持ちだ。」


 覚えておく、また何か有ったら頼むと告げ別れた。



 昨日運搬の求人を出した中心街の集会所に行ってみると、求人の紙を持った者が居た。

 始め何の種族か分からなかったが聞けば妖精種のファーゴルタだと言う。


 しかも給金は要らない、毎日飯が食べれるならそれで良いと云う事だ。

 しかし毎日運搬が有るわけではない事を伝えると、運搬がない日は他の事手伝うから雇って欲しいと言う。


 ならばウチに来いと伝え、手の空いている日はエリオの手伝いや畑の手伝いをすればいい。

 運搬のある日はしなくて良く、四日毎に一日何もしなくて良い日を作ると言う条件で決まった。

 このファーゴルタの名前はリッケンと言うらしい。


 エリオが住み、エレニアが度々泊まりに来、リッケンが住み込みでなり栽培担当のダイーカンとエチゴールも飯を食べたりする事で家が狭く感じるようになってきた。


 早速ジョセフに増築の依頼をする。手狭になってきたから金貨300枚の報酬で、自分の利益を考え出来るとこまでやってくれと伝える。

 俺と知己(ちき)になれ良かったと叫んで(うるさ)かった。

 取り掛かりはいつからでも良いぞと言い、前金で全額の300枚渡しておいた。


 リッケンに早速明日ドズへ運搬を頼む、其の時に俺も一緒に行き店を任せるレイチェルに、リッケンを紹介しよう。

 いきなりファーゴルタが行くと驚くかも知れないしな。



 ────────手記。


 私の名前はレイチェル。

 親に捨てられガーゼル村長に拾ってもらい、面倒を見てもらっていました。

 昔はこんな口調では無かったのですが、ガーゼル様にも捨てられると行くとこが無くなるので、口調を丁寧にし出来ることは全部やるように生き方を変えました。


 ある時十一年前に村を出たと言うアールと言う人が、ガーゼル様を訪ねて参りました。

 その夜少し前から具合の悪かったガーゼル様が更に具合が悪くなり、麻痺が酷くなりましたが私には村で買った薬以外に頼るものが有りませんでした。


 しかし彼は私を恫喝(どうかつ)禍々(まがまが)しい色をした薬を、強引にガーゼル様に飲ませました。

 此れが原因でガーゼル様にもしもの事が有ればどうしよう、と言う恐怖に襲われました。


 ガーゼル様の意識がハッキリするまでの数分間が、非常に長く感じられました。

 暫くするとガーゼル様が徐々に元気になってきました。不思議なでもとても効果的な薬が有ることを知りました。


 その夜は徹夜でガーゼル様に付き添い、何も怒らない事を祈り朝を迎えました。

 何事も無く朝を迎えるとガーゼル様も調子が良いと云うことで、このアールと言う人から少し眠ることが出来るという薬を貰って、飲むと直ぐに眠くなったので寝ました。


 次の日の晩になっても、ガーゼル様に麻痺は起きませんでした。

 翌日アールという人はまた来ると言って帰りました。


 ガーゼル様が言うにはアールと言う人に今後の私のことを頼んだと言うのです。

 私は拒否しましたが、ガーゼル様の説得も止まりません。

 何度断ってもガーゼル様は諦めません。後生だから頼みを聞いてくれと頭を下げられました。

 私はまた追い出されてしまうのか、と考えてしまいました。


 十数日するとあのアールと言う人が、私を迎えにやってきました。

 ()しかして私は、私の知らない所で秘密裏に売られてしまったのでしょうか。

 あの眠る薬は、私を売る商談を()る為だったのでしょうか。


 ですが私は一人で生きて行けるだけの、力もお金も有りません。

 もう全て諦めて付いて行くしか無い様です。


 ガーゼル様のご迷惑になっていたのでしょうか。

 考えれば分かる事でした。

 収入も無い私を食べさせて行く事自体、迷惑でも何でもないと言う事。

 ガーゼル様の優しさに付け込んで、考えようとしなかったと。


 自業自得です。何を要求されるとも分かりません。

 何も出来ない私に要求する物なんて一つでしょう。

 この体を差し出すしか無いのでしょうか、私の意見なんて聞いては貰えないのでしょう。


 そう考えながら無言で馬車に乗っていると、アールと言う人が話しかけてきました。



 そこで私は驚きました。彼は私の体が目当てとかそういう人では無かったのです。

 私を店番として雇用するというのです。しかも給料+売上歩合を出すと言うのです。

 店の拡大や店舗の出店全てを任せると言うのです。

 資金や仕入れは任せろと言い、この私に店舗経営をやってみせろと言い放ちました。


 私は自分勝手に考え、私の事を考えて下さっていたガーゼル様やアールさんを、勝手に悪者扱いしていました。

 とても恥ずかしいです。償いたいです。なので誠心誠意この店を大きくすると心に誓いました。


 あと私の口調は固いと云うことらしいです。

 冒険者や商人を相手にするからもっと砕けた話し方にしろと言われましたが、中々治るものじゃありません。

 アールさんが言うには{俺も似たような感じでまだまだ固いんだが、人によって帰れるようには少しずつなってきたからレイチェルも頑張れ}と言う事でした。

 アールさんも私と一緒で能力を理由に捨てられた様な感じだったのですね。

 それなのにここまで財力も貯め色々と手を出しやっていると言う事は、能力に関係なく頑張ればなんとかなるのかもしれないと、半ば諦めていた私の人生ですがどうにもならなく為るまで足掻いてみようと思います。

 そんな私の能力は"石"と"魔核"という二つです。

 普通の人でも三つあるのに二つしかありません。

 その上誰も聞いた事が無いと言われました。

 私はマウラス育ちでしたが、首都マウラスで知らないと言われれば、どこでこれ以上調べれば良いのか分かりません。

 いつか何処かで私の能力の詳細が分かる事があるのでしょうか。


 ────────



 手記を書き終わり暫くするとアールさんが変わった種族の方を連れ、荷物を一杯持って店に来ました。


「今度からこのリッケンが薬を運搬してくる、足りないものが有ったら紙に書いてリッケンに渡すように。

 薬の詳細はこの冊子に書いてある。瓶には筆と塗料で名前を書き売る事。

 今度買いに来る時瓶を持ってきたら、瓶代を割り引くと言う事。

 レイチェルは"判別"能力が無いから、どれがどれか迷わないように注意するんだよ。」


 するとリッケンが意外な事を言う。

「オレ、ハンベツ モッテル。ホカハ ゼンタイセイ ト コウウン ガ アル。」


 なんとリッケンが"判別"を持っていた。しかも全耐性と幸運と言うのを持ってるらしい。

 何気に優秀だった。リッケンのご飯はいい物にするようにエリオに言っておこう。


「じゃあ薬が分からなくなったら、リッケンが来た時に聞くと良い。俺は戻るからリッケンは少し手伝ってやってくれ。」

「ワカッタ」


 そして俺は、一旦家に戻る事にする。


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