時の流れ
本日三話目のです。
やや短めですがキリが良さそうでしたので、ここで切りました。
──シュツーの[闇の通用門]にて。
「おやっさん、昨夜仕入れた例の薬ですが、小分けして売りに行ったところ
初めは皆半信半疑でしたが、客が連れてきた"判別"持ちに判別させたら、完売まで三十分位でしたわ。」
「おうディエーロ戻ったか、あの数を小分けして幾つになってたよ」
「500前後ってとこですわ。それと売り上げの金貨820枚置いときますぜ。」
(500で30分で捌けるのか、単価もっと上げてもよかったな。保存も聞くし手広く販売すれば単価高くてももっと儲かる筈だ。単価2Gから3Gの間で様子見るか)
「おう分かった置いといてくれ」
(どこに住んでるかも分からねえ上に能力も分からねえ。この街にも"銘"を持った奴は居る。
そいつにそれっぽいポーションに同じ名前を付けさせたが、効果も性能も段違いに悪い。
何の能力だか分かったところで、同じ能力を持ってる奴なんてそうそう居る筈も無い。
今まで見た事の無い効果が多すぎるからな。今回上手く交渉出来て次に繋ぐ事が出来たのは幸いか。)
「・・・っさん、おや・・・ん」
何考えてんのか聞こえちゃいねえ。
(アールっつったな、アイツの後つけさせたが、どうやら"気配"を持ってやがったらしく、
見失ったと報告受けたしな。下手に嗅ぎまわらない方が得策か。
あと相場や物価を知らないのは態とそう振舞って此方の出方を見てたとしたら。
・・・・・・下手に詮索するのは止めておくか。)
「お・・さん!、おやっさん!!!!!」
「耳元でうるせえぞ手前!!」
「何回呼んでると思ってんすか、客ですよ客。」
「ちょいと考え事してたんで、すんませんね」
深く考えもせずただの世間知らずで、相場も物価も知らないアールに対して
彼是思い巡らしていた親方であった。
所変わってシュツー近郊の森から戻ったアールはと言うと、別の事で驚きを隠せない事になっていた。
──ドルイドの森中心街の自宅にて。
昼過ぎに転移させて貰ったのに戻ってきたら夜になっていた。
「早くて一週間と仰っていたのに、お早いお戻りですね」
小瓶で荷物が一杯な事を伝えて倉庫に置きに行って貰った。
「一週間と言いながら五日で帰ってきたからな」
小首を傾げるエリオに、何かおかしいかと問うと。
「まだアールさんが旅立ってから、一日半しか経ってませんよ」
何を言っているのか分からず、俺も首を傾げてしまった。
「いや今日で五日目だろ」
「いえいえ一日と9時間・10時間程です」
ちょっと待て考えてみよう。
(朝森を出てその日のうちにエンシーに着き、
一泊してその後三日かけてシュツーに行き
そしてまた一泊、そのあと森にいって転移で帰ってきた。
大体4日と4時間ほどだから約100時間。
だがエリオは何と言った?一日と9時間10時間と言ったか。
33・34時間と言う事は森の経過時間は、森の外の1/3になる。
それか転移をすると時間を遡ることになるのか?
でもそうすると森の中での生活は滅茶苦茶な事になる。
となると、やはり経過時間が違うのか。)
「エリオ、どうやらこの森と外の世界では、時間の経過速度が違うようだぞ。」
「ええ、知ってますよ」
「言えよ。知ってるなら、それ早く言えよ。」
「ガルゼリア様から聞いて、知っているものだとばかり思ってました。」
「ガル・・・肝心なこと言おうぜ・・・。」
「と言う事はだ、例えば今十九歳だから四十九歳まで森で暮らせば、
九十年後の外の世界を見る事が出来るのか。」
「まあそうなりますね」
「と言う事はだ、森で三年半以上過ごしてるから、
外の世界では本当は二十六歳の半ばになってた筈なのか。」
「でもアールさんが過ごした時間は、三年半なので体も心も十九歳ですよ。」
アウル村へも十年以上帰ってない事になるのか。
ガーゼル村長元気にしてるかなー。
連絡もないし、もう死んだとでも思われてるかな。
今はもう恨んでる事もないし、寧ろ追い出されなきゃ、ここに住んでると言う事もなく
結果的には良かったと言えば、良かった事になるな。
「ちょっと、いつまで話し込んでるのよ」
聞き覚えが有りすぎる声が聞こえて来た。
「なんでエレニアが居るんだよ」
「昨日から泊まってますよ?」
「お前甘水漬け全部食ったんじゃないだろうな」
もうありませんよとエリオは言う。
「お前これガルとヨーゼルさんの分だぞ」
さーてと一気に血の気の引いているエレニアを見ていると楽しい。
「取り合えず、私が全部食べてしまいました。って謝って来ような?」
正に疾風の如き速さで、町長の家の方向に
走っていったエレニアを見て笑っている俺は、エリオにはどう映ったのだろうか。
「エリオすまないが余ってる大瓶と中瓶で、甘水漬けをまた作っておいてくれないか。」
もうそれはさっき終わらせて倉庫に隠したというエリオの優秀さ
それに比べてエレニアの変わらずなポンコツさ。
本当に家の手伝いしてるのが、エリオで良かったと熟く思う。
まあエレニアはエレニアで、良いところも有るにはあるんだがな。
取り合えず今後の予定として、アウル村へ寄ってみようかな。
あと今回儲けたお金のうち白貨1枚と金貨100枚は魔力金庫に預けておこう。
沢山の方々に読んで頂けると思うと、励みになります。




