家が出来ました、お手伝いさんもセットです。
一晩明けて翌日・・・。
ガルが森の中心街に一緒に来てみるかと誘うので、ついて行ってみる事にした。
転移をするから掴まれと言われ差し障りなさそうな処を掴むと、
途端に視界が歪み焦点が合わない・・・・・・気持ち悪いと思ってるうちに焦点が合いだした。
ものの数秒だった。
「着いたぞ」
ここは中心街の外れ。
そしてすでに沢山の人・・・人ではないものも居るが人という呼び方でいいだろう。
沢山の人が居るのだ。十分一つの町として機能している程の規模で。
町というよりは大きな大きな村と言った感じだが
道も整備されいるのに景観は損なってない。
家も大きな建物も結構ある、そして沢山の視線を感じる。
「ニンゲンダ、ニンゲンガイルゾ」
「なぜニンゲンが、ここにイる」
「ガルゼリア様もイるゾ」
若干片言だと思いつつガルについて行く、というか逸れたらヤバいと感じた。
「今からこの街を治めてる者の処へ行くぞ着いて参れ」
直接そこに行けば良いのではないかと思ったが、
聞いてみるとそこは転移を使えないようにしてあるようだ。
歩いて十分程で着いた、二階建ての割と大きな建物。
入ると受付の様な感じで、三人と警備の様な武器を携えた亜人が二人いた。
「ガルゼリア様今日はどのようなご用件でしょうか?
それに後ろの人間は・・・。」
「その事で来たのじゃ、ヨーゼルはおるかの」
「どうぞ、町長はいらっしゃいます」
「それとこの人間アールには手を出すんじゃないぞ、我の友じゃ」
「・・・・・」
「・・・・・・・」
警備の二人が凄い顔してこちらを見ている。
ヨーゼルという町長の元まで来たら早速話をしてきた。
「ガルゼリア様、彼が例のアールですか?」
「そうじゃ」
「此方に連れて来られたと言うことは、魔力の核を制御出来る様になったと言う事ですね。
では伺っていた通りに事を進めてまいりますので暫しお待ち下さいませ」
そして少し大きめの声で人を呼んだ。
「急ぎジェルセノアを呼んでくれ、来そうに無かったらガルセリア様の命だと言え」
「ふっふっふっ、勝手に我の名を使いよって」
笑っているから怒ってはないようだ。
そして待っている間にパンやら菓子やら茶やらが出てきた。
「ここにはこう言うものがあったのかよ、こっちはずっと木の実果物生活だったというのに」
「じゃが旨かったろ」
「でもさーあると言うなら食べたかった」
「あそこの実は栄養も豊富で、体を正常に維持してくれるのだぞ」
(そうは言われてもやはり食べたかった。そして何よりここの食事は滅茶苦茶美味しかった。)
「ガルゼリア様お呼びですか」
「急に呼びつけてすまぬなジェルセノア、
ここにおるアールの件で以前伝えた事をやって欲しいのじゃ」
「森の者全てにと仰られておりました件でしょうか」
「そうじゃ」
何のことかさっぱり分からず置いてけぼり感一杯のアール。
「早速始めておくれ」
するとジェルセノアは目を瞑りブツブツと何かを呟きだした。
そして頭の中で急に声がした、声の主はジェルセノアだ。
(((ガルゼリア様からの御達しです。)))
そういうと次はガルの声が聞こえてくる。
(((今日からこの街に"アール"という人間が出入りする事になるが、
彼は我の大切な友人であると共に、森の雑草の知識について大いに助けてくれておる
よって彼を仲間として認め、危害を加える事は我が許さぬ。)))
そして脳裏に俺の顔や姿が焼き付く様に分かる。
(((ガルゼリア様からは以上です。)))
「なんだ今のは」
目を泳がせているとガルが口を開く。
「これはジェルセノアが持つ特殊な能力だ、ある一定範囲の他人の意識への強制介入
そして以前我がゼルセノアの伝えた言葉を割り込ませたのじゃ」
「ジェルセノアさんの種族は皆使えるんですか?」
と聞いてみた。
「私はライト・エルフですが結構特殊な能力の様です。
他にも持っている同族は知っておりますが、
森全てにと言う事でしたので私が呼ばれたと言う事です」
「これでアールの事を知らぬものは、居らぬ筈じゃ気兼ね無く街を歩けるであろう」
「ありがとうガル」
「・・・・・・」
そういうとやはりジェルセノアが固まる
「ああこの呼び方は・・・」
ガルが割って入る。
「この呼び方は我がアールに呼ばせておるのじゃ、気にするでない」
こうして俺はドルイドの森で一瞬で名を覚えられてしまった。
そしてガルは自分の権限で俺に家まで用意していてくれた様だ。
至れり尽くせりで貰って良いものか戸惑っていると。
「雑草と言う物の知識は、それだけ我らにとって重要だと言う事だ。
遠慮されては我の立場が無くなってしまうであろう」
「では遠慮なく、有難く使わせて貰います」
するとガルは嬉しそうな表情をしていた。
家に着くまで街の事、生活はどうすれば良いか、
旅に出たい時はどうしたら良いか等話した。
旅の事は家に着けば分かるとの事。
生活は雑草で作ったものを売ってもいいし、物々交換をしても良いとの事。
そしてこの街を北西に進むと聖域があるが、
そこはドルイド以外は入れないから近付いても無駄だと言う事。
この街の歴史は相当古くガルが生まれる前からあり、
作ったのは聖域にいる長老とその右腕の二人だと言う事。
実質この森のトップと二番目だそうだ。
そして三番目であるガルだがきっと凄い事をしたのだろうが
本人が言わないので聞かない事にしてる。
そうしてる間に家に着くと中からドルイドが出てきた。
「いらっしゃいませガルゼリア様、
おかえりなさいませアール様」
なんでしょう一体。
「様って・・・」
「アールよこやつが以前言っておった、"雑草"を持つ若いドルイドじゃ
名をエリオと言う。アールに住む家を作らせておる事を知ったこやつは
アールが来るようになったら知識を教わるのなら
身の回りの世話は自分がすると言って聞かぬのじゃ
最後はアールに決めさせると言う事になったのじゃがどうするよ」
「家の中が落ち葉だらけになっても困るしな・・・。」
「その点は問題御座いません、私どもドルイドはドリアードの様に人化出来ますので」
なんですと!?
「でもガルはずっとこのままじゃない、出来るの?」
「我も出来るが、我はドルイドのこの姿が好きなのじゃ」
そりゃそうだ。
「私はアール様の為でしたらどの様な姿にでも」
うん、諦めた、好きにして下さい。
「じゃあ家の中では人化しておいて、外では気にしないから」
「と言う事はここでお手伝いさせて頂けるんですね」
本音がダダ漏れじゃないですかエリオさん。
「んじゃ俺の事は様を付けずにアールと呼んでくれ、俺はエリオと呼ぶから」
「とんでもない、呼び捨てには出来ません」
「んじゃ"アールさん"でもいいから様はやめて欲しい」
「分かりましたアールさんと呼ばせて頂きます」
「あと口調も硬い、もっと友達感覚でいいんだよ?」
「気を付けます・・・。」
しばらく口調も直らないだろうなと思いつつ、人化してくるといって家の奥へ入っていった。
「・・・ええっと・・・エリオ? というか女性だったの?」
綺麗な透き通る様な淡い青色をした長い髪、面長でシュッとした目鼻立ちキリッとした顔で
目は緑、背丈は150cm程胸は大きくはないが無いことも無い女性が
上下一体の服に腰の辺りに細めの帯を結び立っている。
「人化するといつもこうなりますね」
あまり深く考えないようにしよう。
「おーいアールよ、我はエリオを連れて各地のドルイドに挨拶をしてくるぞ」
「何しに行くの?」
「毎回移動の度に我を呼ばれても困るからの、エリオを覚えてもらって転移出来る様にするのじゃ
これで各地に移動したい時はエリオに頼めばいつでも連れて行ってもらえるぞ」
何という便利な娘でしょう。
これが家に着けば判ると言っていたさっきの答えか。
村を出て三年、漸く屋根のある生活が出来るようだ。
ありがとうガルゼリア、ありがとう挫けず頑張った過去の俺。
次の方向性3パターンくらいあるけどどれにしようか悩んでおります。




