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能力判明

 能力というのはは男女共十六の誕生日になると、

 生まれ持った能力を村長と家族が立会いの元

 魔見士(まけんし)に如何なる能力を持って生まれたのか、

 それを見定めてもらう日なのだ。

 因みにこの国ではこの魔見士になる最低限の能力は

 魔力操作・探索者の二つが必要となる。

 

 魔力操作はかなり一般的能力で沢山の人が持って生まれる能力の一つである。

 探索者は冒険者に持つものが多い。

 因みにこの世界の人々は皆魔力を有する、その操作が初めから上手いかそうでないかである。

 という事で魔見士は珍しい職業ではない。国に雇われ各地に派遣されている公務員の様なものだ。


 しかしなぜ十六の誕生日かというと、例えば小さな頃に腕力強化を持っていると判明したとしよう。

 体の出来上がっていない子供がその能力を育てようとすると、体が追い付かないのである。

 他の能力も大体同じ理由だ。


 遡ること五日前


「おはよう父さん」


「おはよう昨日はよく眠れたか?興奮して寝付けなかったんじゃないか?」


「大丈夫だよ今日のためにしっかり寝たよ」


「あら 今日は早起きね」


「おはよう母さん」


「早く寝たからね」


 何故いつも寝坊助の俺が今日に限って早起きしたか

 それは今日が俺の十六の誕生日で、この日を待ち焦がれていたからだ。


「ちょっと早いけど朝食にするわよ」

「じゃあ顔洗ってくるよ」


 と、いつもより少し早い朝食を済ませた。

 そして十時になるのを待って両親と村長の家を訪ねた。


 コン、コン、コン


「カーゼル村長、アーデンです」


 父の名前はアーデンという。


「まあ待て開ける」


「やあアーデンさんにヨイルさん、おはよう」


「「おはようございます」」


 母の名前はヨイルという。


「アール、昨夜は良く眠れたかな?」


「はいガーゼル村長、お陰で早く目が覚めてしまいましたけどね」


「それは良いことだ。私は準備も出来ているし早速向かうかい?」


「はい、早く能力が知りたいです」


「では行こうとするか」


 アウル村の魔見士ダリの元へ一行は到着する。


「おはようダリ、用意はできてるかね?」


「おはようございますガーゼル村長、準備は整っております」


「では少し長いけどまず説明をするから良く聞いておくんだよ」


 そういってダリは能力やそれに関する説明を始めた。


「能力が判明するまで大体五分から十分長くて十五分というところだ。

 判明した能力はこの薄い”軽硬石(けいこうせき)”のプレートに魔力によって記述される。

 記述された能力は自分か魔見士しか基本的には見ることが出来ない。

 稀に他人のプレートを見る事が出来る能力を持つ者がいるがこれは対処のしようが無い。

 次に能力は使ったり関連する事をこなして行くうちに上昇する。

 能力の上昇は記述される文字の色によって判別する、これは各所に居る魔見士に更新してもらうしかない。

 更新費用は各国一律で5長硬貨、

 他に不明な能力の効果を教えて貰える等あるが豊富な知識を持った熟練の魔見士しかやっていない。

 何の能力が知りたいか言えば能力に対して情報料が発生する、

 これは個別の知識なので料金は魔見士による。 

 今回は初回なので能力の情報による料金の追加は発生しない。

 そして一番最初に記述される能力の文字色は赤になる

 能力の上昇に伴って赤から橙・黄・緑・青・藍・紫・黒・

 黒縁赤・黒縁橙・黒縁黄・黒縁緑・黒縁青・黒縁藍・黒縁紫・黒縁白となるが、

 その先は確認されていない。因みに黄と緑の間くらいであるなら黄緑と表示される。

 これはアイテムの判別に使われている色分けと同じだ。

 虹色の赤から紫へなっていきそれを超えると黒縁が付くというものだ。

 では説明はこの辺にしておいてそろそろ始めようか。」


 そう言い終えるとダリは俺に手招きをした。


「では椅子に座って足元にある台に裸足で足を乗っけて、机の上にある金属の板に両手を乗せるんだ。

 いいかい、暇かも知れないがそのままじっとしてるんだよ。」


 言い終えるとダリはその機材を魔法で操作し始めた。

 足の裏が熱を帯びてきた、次に両手の平にも熱を感じるが熱くは無い。

 冬であればずっと乗せておきたい、そう思えるくらいの温かさだ。

 

 ─そして約五分くらい経った。

 

 まだ能力が判明しないのかと内心ソワソワしながら待つ

 

 ──そろそろ十分が断つがまだ判明しない。


 先程ダリも長いと十五分くらい掛かると言っていたなと思い凄くいい能力だから判明が遅いのではないかと

 勝手に思い込みながらいつもより長く感じる時間を待つ。

 まだかな、まだかな、遅いな、、、。

 

 ───二十分が経過した、そしてダリが一言発する。


「やけに時間が掛かるな、もう少し待っておくれ」


「・・・はい」


 少し不安になりながらも良い能力なんだと勝手に思い込むことで気を紛らわせていた。

 


 ────そして三十分が経とうかという頃ダリが大声を出した。


「五つだ!!!!」

 

 するとガーゼル村長も驚く

 

「五つだと!?儂が村長になって以来初めてではないか」

 両親も驚いて顔を見合わせている

 

 そう一般的に能力は三つ、多くて四つ、だが稀に五つ持つものが生まれる。

 更に六つ以上となると国に報告が行くという程の希少な存在となる。


 まず軽硬石プレートには能力の数に対した枠が出てくる

 そして一つずつ記述されていくのである。


 ダリ曰く

「私が担当した人で五つは初めてですよ」

 その後凄い事が起こると期待に胸を膨らませながら待っていたが、

 大きく期待を裏切ることになる。


 まず一つ目が記述されて行く

 するとダリが呟く

 ・・・「雑草」

  首を捻り何の能力か分からないという顔をしている

 そして次々と記述されていく

 

 ・・・「銘」

「聞いた事が無いなあ」


 ・・・「脱兎」

 ・・・「脱力」

 この時点でダリは顔を顰めている。

 そりゃそうだ確認している自分ですら何だこの能力はと思っているのだから。

 

 ・・・「気配」

 ここで(ようや)くダリが説明する

「”気配”は名前の通り自分の気配を限りなく消したり操る事が出来る能力です。

 戦闘系や移動系と共に持っていると非常に有用なのですが

 ・・・他の能力は私の知識には在りませんので有効かどうか判りかねます。」

 

 ここでガーゼル村長が重い口を開く


「ダリで判らぬと言うのなら"エンシー"まで行くか、

 "シュツー"か"マウラス"まで行って能力が判る者を探しに行くしかないのう

 能力の内容が判らぬとこの先不便だからの」


 それにはアーデンもヨイルも同意する


 普通ならば攻防系能力が無いなら危険だと言って止める筈である。

 要するに厄介払いである、俺も同じ状況になった村に子を見た事があるから知っている。

 それが俺にも巡ってきてしまったと言う事だ。


 どう贔屓目に見ても良い能力と見えない能力

 名前からして良い能力と思える筈がない”雑草” ”脱力” 全く以て意味が判らない”脱兎”

 一見良さげに見える”銘”だが名前の通りの意味であるなら

 制作系か加工系が無ければ意味がないと察することが出来る。

 そして”気配”しか残ってないとすると残る選択しは”盗み”で生きて行くしか無い可能性が高くなる。


 この世界は盗みはそれなりに重罪であり、本人だけでなく家族も処罰される事がある。

 そう考えるとやはり厄介払いである。


 今朝まで何の変哲もない親子であったのが能力が判明するや否やコレである。

 冷たいように思えるがこの世界ではよく聞く話であり、その運命が自分にも廻ってきたと実感した。

 何故ならばこの世界は”能力至上主義”なのだ。


 ある程度の能力がなければまともに取り合ってもくれず仕事も探すどころではない。

 なので職に困り、金に困り、衣食住に困る事になるのである。

 そうすると見えてくる未来は盗みである。


 そしてあの日から五日経った今日アールは、エンシーに行くから最低限の装備とお金が欲しいと

 両親に頼もうとしている。

 餞別としてある程度は揃えてくれるであろう。

 

毎日は投稿出来るか分かりませんが、ゆっくりとやっていきたいと思います。

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