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この学園には攻略対象者はいません。  作者:
最終章 転生者が望んだ閉幕。

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第三話 一玻『……諸悪の根源って!?』

 





 私、白一玻(つくもかずは)五歳、ご近所でも評判の美幼女です!


 ……って誰!?


「白なんてレア名字、出てたら忘れませんがな……」


 まあ、そもそも私に忘れる能力は無いのですが。


 これは聖女時代からそうでした、ですが隔絶された立場だった為、その頃は自らの特異性に気づきませんでした。ですが二度目の人生を初め、これまでのすべてをつまびらかにそれも前世を含めて語った私にたいしての周囲の反応は……、


「……フィクションに溺れたのはあれが原因ですよね」


 まあ、娯楽皆無世界から娯楽に溢れた二千年代初頭の日本への転生、人間関係が上手くいってもはまっていたでしょうが。ちなみにその死後に『課長』に拾われました。君おもしろいね! って、


「まあ、それは良いとして……『日本』って言っていましたよね『課長』」


 現在私が住んでいるのは自由の国アメリカ! なのですけれどー、そして……、


「漫画とアニメの種類がー……」


 アメコミはあんまりなんですよねー、うう、ジャパニメーションが恋しい。


 はぁ、と思わず幼女らしからぬため息をこぼすと、


「どうしました、一玻」


 妙に麗々しい青年に抱き上げられました。彼の名前は白淳司(あつし)在宅勤務の翻訳家である私の父です。ちなみに二十四歳……若いっす。


「ええと、お腹が空きました」


 はい、適当すぎるごまかしです。


「ふふ、ではお昼の用意をすぐにしますね」


 クスクス笑いながらキッチンに向かう父、あ、私はリビングのソファーの上でクッションに埋もれています。


「……はぁー情報が少ない」


 ……ううん、でも父の容姿にはちょっと引っ掛かりが……アニメ絵変換されているとはいえ『のぞき見』さんが伝えた特徴通りに描かれているはずですし……でも、


「……淳司、にも覚えが無いのですよねー」


 まあ、私がどういう役回りかは何時かわかるでしょう、きっと。


「後は……」


 ゲームの開始時期が何時かで心構えが……でも、ゲーム中には何年かは出てなかったですし、あ、ですが、カレンダーは……、


「たしかヒロインその2の入学した年は四月が……始まりで、閏年では無いから」


 んー、十一年後? ですかね? ……つまり学園に通う? ヒロインその1の同級生で? 


「………………」


 やばいですがな。


「一玻、できましたよー?」


「はーい、今行きまーす、お父さん」


 とりあえず猶予期間は長そう、ですよね?



 父と仲良く昼食を食べているとちょっと離れたコンサルティング会社で働いている母瑠璃江るりえが帰宅しました。夫と娘が大好きな母はできる限り家で食事を摂る人です。そんな家庭人な彼女の容姿にはピンと来ません、彼女似である自分の容姿にも、ですねー。


「あら、一玻もう日本語と英語両方で絵本を読めるようになったの? ……旦那様の遺伝子ならばおかしくは無いけど……天才過ぎて怖い」


 怖いとか言いつつも母は楽しそうな笑顔です。そして父の血統には天才が多い? ……そういえば親戚には会ったことはおろか話も聞いたことがありませんね。……ううむ、


「まあ、天才でしょうが愚者でしょうが一玻は私の可愛い娘ですからどうでもいいですよね」


 とは異様に度量が広い父、私の幼女らしからぬ言動も上手くないごまかしも笑顔で受け入れる優しい人……ああ、


 ──久しぶりの真っ当で優しい両親……幸せですねぇ。


 基本的に私は死なない程度にろくでなしな両親の下に生まれることにしていますので、真っ当な両親にたいしてはゴメンなさい! って思っちゃうのとまあ、記憶があるので余り傷つかないってことでです。……まあ、それはさておき、


「んー、私は記憶力が良いだけで天才では無いですよ?」


 本当の『天才』を知ってる身としては訂正しなくては、


「一玻くらい記憶力が良ければ普通天才だ」


「え? 私も一玻くらいの頃には三ヶ国語の読み書きできてましたし……天才では無いですよね?」


「……お父さんは天才だと思います」


 お父さんは色々とチートなのです。



 食後、イチャイチャしている両親に挨拶をし、前庭まで出た私は食事中の会話を整理する……ええと天才、あのゲームでは三人ほどそういうキャラが……それと父の容姿を合わせれば…………うわー、なんというか。


「……まさかあのえ、」


 と、突然目の前に急ブレーキで車がっ!? だ、誰か下りてきたっ!? や!?


「な、放してっ!? お父さっ!?」


 や、車の中にっ!? ………………え、


「おい、大丈夫か子供?」


 気がつくと私は同年代の怖いくらい美形な少年の腕の中に、誘拐犯とおぼしき中年の白人男性はえらく美形なおじ様にものすごく痛そうな拘束を、すると家から表の騒ぎに気づいた両親が出て来て……ええと、この美童、やっぱり、


「はじめまして兄上、あなたの異母弟にあたります圓城寺司皇(えんじょうじしおう)と申します」


 隠しキャラの理事長先生ですよねーっ!? そして父が兄上ってことは、私、は、


「諸悪の根源一戸(いちのへ)姉」


 叔父への報われ無い恋に狂い、母親になったばかりの女性を殺し、半数以上の登場人物の運命を捩曲げる女、でした。


 ……泣いて良いですか?





 

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