彼女はヒロインその2、又は、臆病なピアニスト、でした。11
翔馬君による説明回、会話が長いです。
後書きに簡潔版も書きました。
四月、私は魔女の弟子になったわ。
……ええ、まあ、静留様のってこと。
「そこはもっとお花畑に、そこはエロチックに……ダメよ冗長だわ!」
今は自由曲に一応ゴーサインを貰ったので課題曲をみっちり練習中、曲は聴くのは大好きだけど弾くのは苦手なフランスの印象派のピアノ独奏曲……お花畑……エロチック……、
「……何故苦悩が滲み出すの? やる気ある?」
「あります! やります!」
うう、厳しい。
一宏さんに拉致られ訪れた岸元家、そこで私は課題曲を三連続で弾いた後、比較的自信がある自由曲を弾いたわ。それにも色々とダメ出しを受けたけれど、
「テクニックはまあまあね、表現力は得意分野はそこそこ……ふふ、でもまあ研けば光るでしょうね……宝石か石ころかまではわからないけど……決めた、百合恵、あなたを私の弟子にするわ」
と、面白がられた感じで認め? られたわ。そしてその日は夕食前までみっちりと自由曲を弾き込み、ぎりぎりでゴーサインをいただき、帰宅した旦那様のイヴァンさんと双子と家に許可を貰ったという小学校トリオと共に夕食──一宏さんお手製のパスタディナー、へこむくらい美味──をいただき、全員での課題曲の選考と決定を経て、自宅に帰ったわ。……一宏さんの運転で、そこで、
「お嬢さんに結婚を申し込みました」
「え、百合ちゃんいつの間に彼氏を?」
「彼氏じゃない、プロポーズにも頷いて無いそもそも今日初めて会った」
等の会話があり、
「……とりあえず交際は百合ちゃんが頷いたらってことで、後結婚は最低でも百合ちゃんが高校を出てから」
ってことになったわ。ちなみに十代で結婚、早いよね? なのは家の両親が母の看護学校卒業後直ぐの十九歳で結婚したからです。で、
「……とりあえず私、コンクールに集中しますので」
「わかりました。全力でサポートします」
「……それから敬語は止めて下さい」
「ふふ、わかったよ。百合恵」
的な感じで結婚を置いといてもらうことに成功したの。……したわよね?
で、それからは登校を徒歩で、帰りは一宏さんに車でって感じで四日連続、静留様のマンツーマンレッスンを受けている訳だけど……、
「……何故ほぼ毎日紗々蘭ちゃんがいるのかしら?」
岸元家でのお茶の時間──どんな時でも絶対に無くさ無い、深く同意したわ──にはほぼ紗々蘭ちゃん──ちゃん呼びになったわ──がいるのよ。しかも、
「そして何故君の脚の間?」
紗々蘭ちゃんの定位置は栄次君の両脚の間……、
「さすが百合ちゃん、素晴らしいツッコミ!」
やっぱりおかしいっすよねー、と、頷くのは今璃ちゃん。
「……でも紗々蘭が望んでるから強くは止められませんし……」
紅茶を入れながらため息をつくのは六崎君。
「……何故かほのぼのとした光景に見えちゃうので突っ込め無かったというか」
ケーキをお皿に並べながら首を捻るのは楪。
「「仲良しって良いよね」」
渦中の彼の兄弟はいそいそと席に着く。
「……まあ婚約者だし……」
読んでいた本に栞を挟みながら元佳ちゃん。
「……うらやましい……」
カトラリーを配りながら翔馬。
………………、
「……常識人が損をするカオス」
「百ちゃんが正しいのにね」
脚の間の恋人にベリーソース入りのチョコムースを食べさせながら栄次君。
「…………………………」
そして熱中してパソコンを叩きながらも、ほぼ無意識で口に入れ僅かに頬を緩ませる紗々蘭ちゃん。
「……まあ幸せなら良いわね」
……交わりましょうか朱に。
「そういえば父様達はお留守ですか?」
フェミニンな若草色のカシュクールワンピースの楪が、可愛いらしくデコレーションされたムースをどう攻略するのか考えながら問うわ。彼女達従者トリオはつい先程、ムースと共に来たの。
「ええ、昼過ぎからお出掛けに」
土曜日の今日は朝からピアノの練習室──ピアノが二台ある。ヴァイオリン用の部屋の隣──でビシバシと鍛えられていたのだけど、
「雑誌の取材が入っちゃってたんだー」
と、いう訳でしばらくの自主練の後、今のお茶の時間なの。
「ちなみに取材内容は子育ての極意だってー」
……………………、
「……まあ、能力だけ考えれば成功ですよね」
スーパーモデル、全国模試トップ、天才テニスプレイヤー、だものね。
「楪? 少なくとも兄さんは大成功じゃ?」
「百合姉さんへの態度を見るとどうかなぁって」
「「「「あー……」」」」
ほぼ半数が同意したわ。そんな残念化が進行中の彼は、楽しそうに私のお皿に飾りのチョコやラズベリーを乗せています。
「……それよりそろそろ紗々蘭をこっちに戻しません? お行儀悪いわよね」
可愛いらしく元佳ちゃんが呆れているのは紗々蘭ちゃんが膝のパソコンをずっと叩きながら婚約者に給餌されているから……ほぼ無意識にムースや紅茶を口にするのは確かにあれよね。
「くくっ、了解」
頷いた栄次君はパソコンを取り上げるわ。そして数瞬後……、
「あれ、お姉ちゃん達来てたの?」
紗々蘭ちゃんは現実に帰還したわ。
「で、何をそこまで熱中してたのよ?」
婚約者の脚の間から隣に座り直した紗々蘭ちゃんに親友たる甘ロリスタイルの美少女が尋ねるわ。
「確かに、私も気になってたのよ」
何と言っても昼食後からずっとだもの。
「ん、最近学内で頻発する特定の女生徒達を狙った様々な事案……まあ姉様達への嫌がらせについての考察だ」
……ああ、
「何と言うかなぁ、私が知らないルールに則ってターゲットと手口を選んでいるようでな……糸口が掴めないんだ」
と、言って、ボートネックTシャツにサロペット、パーカーを羽織った紗々蘭ちゃんは首を捻るわ。そんな彼女はモードによって口調が変わるの。ちなみに男の子口調の今はリラックスモードね。
他に以前見たお嬢様モード、姫将軍モード、そして……、
「へぇ、紗々蘭さんが手こずるなんて珍しいね」
「はい……頑張ってはいるのですが……」
少し弾んで糖度増量の声と丁寧口調の乙女モード……うん、可愛らしいわー。
「………………百合恵、狙われてるの?」
「いえ、そこまででは……最近は少なくなりましたし」
年明け辺りからちょくちょくあった嫌がらせは進級を境に徐々に減り、
「最近は楪や今璃ちゃんの方が多いわよね?」
可愛い後輩達に推移していったの。
「すねー。まあ対処に苦労しないレベルっすけど」
「ですねー。定番なのが多くて笑えます」
根も葉も無い噂や落書き等々……けれど、
「システム的に私物や制服に悪戯が無いから楽よね」
「あー、はいはい、スカート切られたり」
「鞄にゴミを入れられたり」
「「上履きに画鋲!」」
私と楪は顔を合わせ笑うわ。彼女とは結構話が合うのよねぇ。
「「……ねぇ、地元ってどこだっけ?」」
おっと、長身の兄弟がお怒りに、でも、
「全員もれなく返り討ちにしましたからお気になさらず」
「恩も仇も倍返しは基本ですから」
「「ねー!」」
田舎の女は図太いのよ。
「で、ターゲットの基準って? 普通にモテる男の彼女、じゃないの」
私の返り討ち作戦の協力者だった弟が話を戻すわ。……いえ、それが……、
「いや、バスケ部のエースや梨園のプリンス、高校生起業家などの美男子の彼女は被害にあっていないんだ」
なのよね。
「……じゃあ被害者って?」
「去年からの生徒会メンバーの優菜さん、姉様、お姉ちゃんの三人と、楪と子鞠さん……そして……梅子ちゃんだ」
……なのよねぇ……ふふ、許し難いわよねぇ、我が校の癒しの天使様に、あっ、もちろん後輩ちゃん達と優菜先輩のも許せ無いわよ?
「……子鞠って、確か風紀委員長の許嫁でしょ? つまり生徒会や風紀関係じゃないの」
元佳ちゃんはならおかしく無い、と、言うけれど……、
「と、考えると風紀の楡兄の彼女の蜜姉に被害が無いのはおかしいってなるんだ……好みの問題って言うには多様性が有り過ぎるしな」
『学園一男前』と評判の三澤君は美少女と見紛うほどの美少年、だものね。
そして全員で首を捻るわ。確かに基準が謎よねぇ、すると、
「……ねぇ、白姫、さっき言ってた梅子ちゃんさんって……桜花院覚先生の……ええと初恋の君?」
ずっと何事か考えていた弟が突然、知らないはずの正解を確認するわ。
「……どういう理由でその結論に至った?」
紗々蘭ちゃんの低い声で正誤を知った弟は、
「……やっぱりかぁ……それ姉ちゃんの逆ハーメンバーの彼女だよ」
との爆弾発言をした。
…………………………!?
「はあー!? ちょっと翔馬!?」
私が何時……あっ、
「……それ、何代前?」
「初代」
それは随分昔の……、
「ええと?」
当然みんな唖然と……あ、元佳さんはそれほど……話したのね。
そして翔馬は語り出すわ。
「僕には数十回の『僕』の記憶があるけど聞きます?」
と。
長くなるから、と、紅茶を入れ直し、座り直した面々、当然口には出さないけど何言い出したんだこいつって顔……私も初めて聞いた時はそうだったもの。
「で、僕には数十回の『僕』の記憶がある訳なんだ。で、その初めの……あー、記憶にある初めってこと、その一回目の姉ちゃんが学園で逆ハーを築いたんだよ。それで、」
「いや、ちょっと待つっすかー君……ええと、そもそもそれ……本気っすか?」
「……少なくとも私は納得したわ。……子供らしからぬ知識量と預言者じみた未来予知の数々で」
五年後までの日本シリーズ覇者を知ってるもの。ちなみにここ四年全て正解。
「……私も一応信じたわ。そんな嘘をつく理由も無いし」
あら! ふふ、良かったわね翔馬。
「うん、そうだね。とりあえず信じるかどうかはともかく聞くよ……で、理解する為にそれはどういうルールか教えて? 一定期間をやり続けているのか、それとも生まれてから死ぬまでを繰り返すのか、そして君以外の人間はどんななのか……これくらいかな?」
「あー、ちゃんとそこは話しといた方が良いか……んー、まず期間は生まれてから死ぬまで、記憶が戻るのが五歳前後で寿命は平均十六年。で、僕と姫様だけは変わらず、それ以外の人間は……なんて言うか……基本的に中身は違うけど決まった役にそった人格、けれど姉ちゃんだけは完全な即興劇って感じで毎回違う人格、かな?」
「十六年? って、何でそんな毎回早死にを?」
「僕が姫様を好きだから、かな?」
「……あーとりあえずそこは置いとけ、と……で、つまり元佳ちゃんとショウ君は同じ器に同じ中身で……元佳ちゃんは記憶がリセットされて君はリセットされない。ここまではあってる?」
「あってる」
「で、俺達他の人間は細かく設定がされたキャラクターに沿ってて、けれど百ちゃんだけは設定グダグダで毎回キャラクターが違う。これもあってる?」
「うん、栄次君、さすがに賢い」
「くくっ、ありがとう、これで基本ルールはわかった……で、逆ハーってどういうこと?」
「いや、築いたんだよ初代姉ちゃんが……ええと、さっき言ってた被害者の彼……まあその時はほぼフリーだったけど……ええとメンバーは、歳が若い順で……桐生元樹、桐生元治、六崎月史、岸元光三朗、岸元栄次、春日井柊耶、四倉緑郎、六崎月明、岸元一宏、桜花院覚、圓城寺司皇、桜花院仁の全十二人……だね」
…………………………、
「……ショウ、それはありえんだろう……お前の姉君は学園でどんな恨みを買ったんだ?」
「あっ、わかっちゃう?」
「少なくともパパと明兄が他者と女性を共有、に納得する訳が無い……よっぽど人格が異なっていない限りな……つまり狂わかされたのだろう姉君は」
「そ、十二人プラス姫様、楪先輩、今璃先輩、それに優菜様が仕掛人、で、巻き込まれた演者が初代姉ちゃん、けれど目的は姉ちゃんを騙すことじゃない……これはある一人の観客の為の芝居……圓城寺紗々蘭、へのね」
え?
「……私、に?」
「んー、なんて言うか白姫……圓城寺紗々蘭って前々回までスッゴく異常な人間だったんだよ」
「異常?」
「……何代か前の姉ちゃんが言ってた……「あれは感情の無いプログラムだ」って……僕も同意する」
プログラム?
「彼女は望まない。彼女は願わない。彼女は求めない。彼女はただ与える。望まれたものを、願われたものを、求められたものを……ただそれだけ」
……何、それ、
「……それは生きているって言え無いじゃないか」
「だからプログラム、まあ天才なのは変わらないけど」
弟は続けるわ。
「で、何で逆ハーなのかと言えば初代がいい男は全て私のもの、ちやほやされるの大好き、貢がれるの大好き、妬まれるのも大好き、っていう凄い人で、で、彼女が『城生院さん』に逆ハーしたいって意味のことを願ったからなんだけど」
……凄すぎるわ初代……ん? 『城生院さん』って、
「それ七不思議の『城生院さん』? それともアプリの『城生院さん』っすか?」
確か、七不思議では、
「中央塔の脇の桜に願いをかけると叶う。正し、他者を傷つける願いの場合は不幸になる。だったわね」
ありがちよね。
「んー、そっちじゃなくてアプリの、が近い? 微妙に違うけど」
アプリの、は圓城寺が桐生と共同開発をした携帯端末のコンシェルジュアプリ『城生院さん』。市販する前の最終テストを配られた端末で圓城寺の社員達とともに学園の児童、生徒、学生がやってるのよね。
「これまでの人生では端末は姉ちゃんが入学時にはすでに完成してて、で、『城生院さん』は大体コンシェルジュアプリ、でも一部生徒のそれは圓城寺紗々蘭とのチャット、みたいなものなんだ……プログラムたる彼女は、強い願いを持つ生徒とやり取りし、その願いを叶える……自らすら犠牲にして」
……何なの、それ、犠牲?
「まあそれで彼女は初代の願いを叶えることにして……で、その父親と婚約者がお膳立て、彼女が満足するまで芝居を続けた訳」
…………何なの、それ、
「……初代の反応は?」
きっかけはともかく屈辱的な目にあったんだもの、さぞかし……、
「はは、それが凄くて……出演料よこせ! 転校先用意しろ! 後後ろ盾もしろ! って……カッコイイでしょ?」
…………うん、凄くカッコイイわ。
「うん、カッコイイ……で、つまり、『黒幕』はその芝居を見た人物、前世の記憶持ちってことか? だが……」
「うん、それだけじゃ意味が通らないよね。……でも僕はその記憶がある人物、それもその逆ハーが成立したと勘違いしていた人、を、知ってるんだ」
……え、何なの、それ、
「……あー、ちなみに確認だけど……えっとその梅子ちゃんさん? は、その……あー……胸、大きい?」
……………………、
「い!? 姉ちゃん姫様痛い! 大事な確認だから!」
「うん、梅子ちゃんはそれなりの巨乳だな」
「え、あれはそれなりじゃないでしょ?」
うらやましいくらいのナイスバディだもの。
「だが一戸の胸に比べたら」
「……確かに」
一玻さんも凄いけど瑠璃江さんのあれは……うん、羨めないくらい凄いもの。
「だから姉ちゃん姫様痛い!」
……ふう、
「で、どういうことなの?」
「うう、前に姉ちゃんには前回は学園入学までたどり着かなかったって言ったよね?」
ああ、君が私に打ち明けた時ね。
「確か……世界大戦、が起こりそうなところで、プツリとブラックアウト、だったっけ?」
「世界、大戦?」
そうよね楪、びっくりよね、意味がわからないわよね。
「んー、なんて言うか前回ほんとおかしくて……主に姉が」
姉だと認めたくないほどだとか、
「で、その彼女が喚いてたんだよ入学当初は「目指せ逆ハー!」って……でも途中から「覚様は天真爛漫で前向きな私にメロメロになるはずなのに! なんであの牛乳メンヘラ女と付き合ってるのよ!? 初恋の君だかなんだか知らないけど1ではライバルキャラじゃなかったくせに!」ってなって」
……………………、
「他にも「おかしい! 月史君はあの偽装ボクっ子の病みっぷりに嫌悪を抱き、自然体で前向きな私にメロメロになるはずなのに!」とか」
……………………、
「「そもそもなんであの脳筋メイドが中一から学園にいるのよ!? しかも護衛になってるし! そのせいで光三朗君がチョーロー化しちゃってるじゃない!」とか……あー、後は……」
「……うん、いい、とりあえず前回の私がおかしいのは良くわかった……で、どういうこと?」
「んー、だからその言動がつまり……」
「……ウェブ小説の乙女ゲーム転生ものの自作自演系ヒロイン?」
「正解! ……白姫そういうのも読むの?」
「ん、私は結構雑食だから……で、彼女はどうなったんだ?」
「……詳しくはわからない、けれど地雷を踏んだらしくて退学寸前に……で、その……圓城寺紗々蘭を刺し殺して飛び下り自殺」
……………………え?
「彼女は高笑いしながら喚いてたって「あんたが真面目に黒幕をやらないから! 私がみんなにフラれてバッドエンドになったんだ! 私はヒロインなんだから! 幸せになるはずなのに! 消えなさいバグ! あんたを消して! 世界をリセットして! 私は幸せになるんだ!」って、そして「うふふ、だって私はカミサマに選ばれたんだもの」で飛び下りた」
…………………………、
「何なの、それ」
気持ち悪い……異常過ぎる。
「……ふーん、まあそれはどうでもいいとして……つまりこの世界と酷似したゲームがこの世界じゃない世界にあるってことか」
「……うん、前回はあの人の妄想かと思ってたけど梅子ちゃんさんのことを考えるとね……だって初恋の君ってあんまり知られて無いんでしょ?」
「んー、まあな、初恋ってことはそこまで知られて無いかな? ……覚さんが梅子ちゃん大好きなのは知ってる人は知っているが」
「ああ、二人でいるところを見ればわかるものねぇ」
覚先生のあの愛しげな視線で、ね。
「……ええと、俺達兄弟は知らなかったけど……本当に?」
「ええ、姉様いわく二十年近く両片思い中、らしいわ」
早くくっつけって、おっしゃってたわ。と、元佳ちゃん。
「……梅子ちゃんも覚先生も特殊っすから、万難を排すまで交際出来なかったらしいっす」
特殊……生まれとかモテっぷりとかよね。
「で、排したので現在婚約中、今年中に結納、来年の今頃に挙式予定です」
!?
「ええー!? そうなの!?」
そういえば最近、お二人とも表情が穏やかに!
「ふふ、はい、あ、内緒ですよ? 学園祭で電撃発表したいそうですから」
「まあ! 素敵ね!」
お似合いだし! 覚先生、梅子先生にはメロメロだものね!
そしてその日の夕暮れ、紗々蘭ちゃんは、
「ショウのおかげで糸口の糸口が見えたよ」
と、謎めいた言葉と笑みを残し帰って言ったわ。
その意味がわかったのは翌月なんだけど……まあ私は話さないことにするわ。
……ちょっと、色々とね。
簡潔版
前話後、静留の弟子になった百合恵。その週の土曜日の岸元家でのお茶の時間。学生達──岸元兄弟と紗々蘭とその二人のメイドと執事、そして元佳と翔馬は、最近頻発する一部女生徒への嫌がらせについて話す。そこで翔馬は前世の記憶があると語り、彼が語る前回の姉の発言でこの世界と良く似た乙女ゲームがある可能性をメンバーは知るのだった。
……短くなるものですね。
あ、それから活動報告にお茶の後から夕暮れまでのお話を載せます。
よろしければそちらもお読み下さいませ。




