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この学園には攻略対象者はいません。  作者:
第三章 攻略対象者な彼と攻略対象者やモブな彼女のお話。

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彼らは人懐っこい庶務とヒロインその3、又は、捨てられメイドと爽やかな当て馬、でした。~光三朗君と楪ちゃん後編~

光三朗君と楪ちゃん視点が交互にあります、

読みにくいかも知れませんがご容赦下さい。

 







 【受験直後のバレンタインデー】



 ゆずりの受験が終わった、発表は後期が終わってからで今月末になる、勉強を見てたえいちゃんやひー君は太鼓判を押してたけど……当人はかなり不安気だったんだよなぁ……多分転入試験のトラウマだろうね、


 そして今日はバレンタインデーです、貰えるかはわからないけどあげるのは確定してます、ふふふ、とっても可愛いブック風の箱に入った焼き菓子セットを買ってあるんだー、食べ終わった後は本棚に置ける小物入れになる素敵アイテムだよ!


「あら、今年は受け取ったのは月史つきひと様と明石あかいし君、桜庭さくらば君だけなの?」


 今日も今日とて何と無く常任プラスαの中高生徒会と風紀委員が集まってる自治会室、そこに会を引退し、授業も減って最近は余り会っていなかった白黒コンビと右腕コンビ──ちなみに四人共このまま進学、こちらでルームシェアをするそうです──がやって来た、理由は人によっては五年間も一緒にいたメンバーに最後だから感謝チョコをくれる、とのこと、白黒コンビの家は飲食関係だから超嬉しいです!


「まあ、俺と桜庭は義理と友チョコですが」


 ヒデちゃんが自嘲気味に答える……いや、僕が見るところその中には一つ、本命が紛れているよ! 気付こう!


 教えようかと思ったが同じく気付いたらしい栄ちゃんと優菜ゆうな先輩から止められた……あー、なるほど馬に蹴られると、……うん、わかった、


「んー、でも意外、本命がいるメンバーはともかく甘党で操を立てる相手のいない栄治えいじ君も受け取らないなんて……槍でもふる?」


「くくっ、酷いねひゃくちゃん……まあ去年までは市販品に限っては受け取ってたけど……ほら、包みが破られて無いかの確認が面倒になってね、俺も定期収入があることだし」


 栄ちゃんが偽悪的な笑みで答える、本当の理由は操立て、っていうか……もう栄ちゃんにとっては紗々蘭(ささら)お姉ちゃん以外の本命は毒に思えるんだろうね、


「……わー、友チョコあげたく無くなったわー、っていうか……私の手作りだけど……食べれる?」


 栄ちゃんに呆れた顔を向けつつ百ちゃんが尋ねる、栄ちゃんは潔癖症を理由に素人の手料理は食べないと常々言っている、


「あら、私も今年は手作りにしてしまったのだけど……」


「んー、ボクも手作り……かなぁ、料理長監修だけど」


 そしてなんと他二人の生徒会常任メンバーも手作りだった……まあ優菜先輩はお菓子作りが特技だし、今璃いまりちゃんは多分外に買いに行くより美味いだろうって判断だね、


「食べれる、というか食べさせて下さい」


 そんな心配をされた栄ちゃんは三人に大袈裟に頭を下げて頼む、みんな意外そうだね、僕は予想通りだけど、


「んー? 潔癖症って設定か~?」


 さとり先生が首を傾げ尋ねる、いや、


「栄ちゃんの潔癖症は菌とかより人の念的な感じに拒絶反応が多く出るんで」


 僕達の子供時代の事件のトラウマが原因です、


「念?」


 みんな不思議そうです、……でもなぁ、


「あー、いや不愉快な話になりますので」


 栄ちゃんも僕と同じことを思ったのか話さないことにしようとする、けど、


「いや、気になるんだが」


 と、ハルが控え目に続きを促す、うーん、


 栄ちゃんと目を合わせる……了解、栄ちゃんがオブラートに包みつつ話すんだね、


「……まあ、忠告はしました……ええと、ある程度ご存知だと思いますが家は共働きって言うより二人で良く仕事をする両親なんです、なので子供の頃はお手伝いさんや子守とかが家に来ていて……」


「あー、何と無くわかった、……家もそうだったし」


 栄ちゃんの言葉を遮りハルが告げる……ああ、そういえば、


元治もとはるの家も共働きだったな……本当にプロ意識の足りない使用人が多過ぎるよな」


「たまにプロ意識どころか倫理観の足りない使用人もいるしな」


「くくっ、そうだな……で、まあ家にも倫理観の足りない使用人が来まして……それで異物混入を疑ってしまうようになった訳です」


 栄ちゃんはそれだけ言った、みんな『何』が混入されたかは聞かなかった、これから美味しいおやつの時間だしね……まあ、命の危険はなかったとだけは言っときます……貞操の危険はあったけど。

 


 自治会室でのバレンタインパーティーは美味しくて楽しかった、白黒コンビのプロフェッショナルな一口チョコやプロ監修の今璃ちゃんのチョコパイは当然だけど、優菜先輩のチョコムースや百ちゃんのチョコドーナツも絶品だった、生徒会の女子は少ないけれど個々の女子力は高いよね、……まあ、それ以上にその多種多様なチョコ菓子全てにピッタリと来るブレンドミルクティーをいれたひー君の執事力が凄かったけど……白黒コンビが本気で家業を手伝ってほしそうだったよ、


 そして現在、帰宅した僕は前日から約束していた通り来てくれた楪と裏庭で会っています、


「……それで、ご用は何でしょう」


 警戒心もあらわに楪が尋ねる、事あるごとに僕が口説くからか最近は大体こんな感じ……もう、今にも飛び掛かろうとしてる子犬みたいで……超可愛いよね!


「エヘヘ、今日はバレンタインデーだから……はい、プレゼント」


「へ」


 楪がものすごくポカンとした顔になった……ふふ、やったね、サプライズ成功!


「ほら、俺、海外育ちだからその流儀で、意中の女の子にプレゼント」


 ちなみに添えたカードには日本語で甘い愛の言葉を、チェコ語で過激な愛の言葉を訳しやすいように書きました……ふふ、僕にある程度の興味があったら訳してくれるだろうけど……どうかなぁ、


「う、ならば返さない訳にはいかないじゃないですかどうぞもちろん義理ですからお世話になってるお礼ですから色々貰っちゃってるので今日ぐらいはってことですから」


 楪はものすごい早口でまくし立てると僕に可愛らしい包みを押し付ける……えっ、これって……、


「じゃあ渡しましたから受け取りましたし」


 またしてもまくし立てると楪は真っ赤な顔でしっかりと僕からのプレゼントを持って立ち去った……わー、なんかデジャヴュな光景だー、っていうか!!


「……これって……やっぱり!!」


 貰った包みの中は美味しそうなチョコ入りビスコッティでした。



 【バレンタインデーなので少しデレて見た】



 二月の初め、やっと入試が終わった、発表は月末、解答欄は全て埋めたが……正直自信は無い、だって城生院だし、


 城生院学園は初等部は主に家柄と素行、中等部はそれプラス学力、高等部はそれプラス財力で入学が決まる、大学部はAO入試と一般入試という普通の受験ですが、高等部入試は大学より難関です、まあ一番難しいのは中等部らしいのですが……うん、どんだけだよ……、


「んー、でもなんだかんだでAクラス率が一番高いのは初等部組らしいな」


 ゴムベラでブラウニー生地をサックリと混ぜながら主君──いや、プライベートな今は紗々蘭(ささら)さんが教えてくれる、


「へー、意外ですねー」


 ビスコッティ用の粉類を慎重に計りながら私は応じる、圓城寺ではプライベートでの堅苦しい敬語は基本禁止──常態が敬語を除く──と言われているのでタメ口混じりの敬語です──完全なタメ口は無理でした──抵抗はあります、でも主君の希望ですし……友人として扱われるのも嬉しいです!


「んー、そう? だって城生院は『自分の子供に最高の教育を』がコンセプトだよ? 一応進むのに試験あるし……後、基本イイトコのイイコちゃんだから真面目ちゃんが多いしねー」


 今璃いまり先輩がパイ生地を伸ばしながら説明してくれる、なるほど一流の教育を真面目ちゃんが受け続けるから基本賢くなると、


「じゃあ、一番Dクラス率が多いのは?」


 ちょっと意地の悪い疑問を卵に砂糖をすり混ぜながら尋ねます、城生院は中等部四クラス、高等部はそれにプラスしてスポーツ特待生のSクラスを入れた五クラスです、クラス分けは学力順のシビアな学校、ちなみに『七席』家はAクラス入りが暗黙の義務……厳しいです、


「確か高等部組、だな……寄付金が物を言った生徒も多いから……」


 ブラウニーはオーブンに入れ、今はホワイトチョコアイスの準備をしている紗々蘭さんが答えてくれた、なるほど例の財力か……、


「まあ、大学からよりは箔が付くからね、受験にも有利だし」


 パイ生地にチョコフィリングを絞り出しながら今璃先輩が説明、この二人は紗々蘭さんが答え今璃先輩があれな部分を補足、そんな関係の仲良し姉妹です、


「はあ、同じ城生院卒でもそんな差が」


「まあ初等部からの持ち上がり組に比べたら五十歩百歩だけどね」


 名門校における格差は深刻らしい……まあ、学園内は結構緩いらしいけど……十数年前にあったある生徒会長の改革後は、


 『皇帝革命』とか呼ばれているそうです。



 焼き上がったビスコッティはさすがの紗々蘭さんレシピ、私が作ったとは思えないほど美味でした、そして私は適当にジッパー付きのビニール袋にでも入れる予定でしたが──照れ隠しです──紗々蘭さんと今璃先輩から素敵な濃いピンクの袋──外は不織布中はパラフィン紙で実用性もある──と鮮やかなイエローのリボンを、


「楪ちゃん、君は可愛らしい女の子なんだから」


 と、言われながら貰いました、お二人は口調以外はとても女性らしいです、


 そして今日はバレンタインデー当日、前日に電話で、


「お願いします、会って下さい」


 と、まるで土下座中のような声で頼まれた為裏のお宅に向かっています、うん、バレンタインデーに呼び出し……彼の性格からは少し合わない、基本与えるタイプだし……、


 私は疑問に感じながらも約束通り向かっている……しかもプレゼントをピーコートのポケットに隠し、


 そして直通門に着くと待っていた彼が門を開け迎え入れる、ちなみにこの門常に開いてる、出来てから一回も鍵をかけてない、かなり立派な鍵がついてるのに、


「良かった来てくれて」


 彼は安心したように笑う、私は呼び出しの理由がわからないので警戒中……たまに突拍子も無いことをしますし、


 そして私が用件を尋ねると可愛らしい包みを渡された、思わず受け取ったところ海外の流儀でのバレンタイン、意中の女性へのプレゼントだと言われ……、


 私は思わず奇妙な言い訳をまくし立てポケットのプレゼントを押し付けよくわからないことを言い挨拶もせずに逃げ帰った、……帰ってしまった、


「どうしよう、星螺せいら~」


「何なのあんた、好きな人限定でツンデレとか、誰得?」


 帰宅後即座に星螺に電話で報告兼相談をしたところ、ツンデレ認定された……う、たしかに……そして誰得……、


「……多分、誰もが損をする」


 恋愛経験ゼロで男性への免疫も無い、しかも女子力皆無、その上ツンデレ、


「よっぽどの特殊嗜好以外まず付き合いきれないわね」


 ……はい、私も付き合いたく無いです。



 【ホワイトデーには白い薔薇】



 バレンタインデーに予想以上の幸せ──手作りのお菓子を貰った僕は当然ホワイトデーにお返しをすることに決めたんだ、そして今回は奇をてらわずど定番、白い薔薇を贈ろうと、


 ……まあ、それとは別に合格祝いに銀の髪留めも一緒にあげるんだけどね、


 なので今回も呼び出しました、けれど時間帯と場所は変えた……初めて会ったあの場所……の楪がのぼった木の前に三度目に会った時間で、です、


「……こんな時間にこんな場所に呼び出すとか、やっぱりあなたはおかしいですよ」


 楪は初めて会った時と同じジャージ姿です、多分彼女は自主練と言って出て来たからだね、


「うん、俺は結構変人なんだ」


 お姉ちゃんが彼女に着せてるフェミニンなワンピースよりその色気の無いジャージ姿の方にグッと来るぐらいにね、


 そして変人なのでこんな時間にこんな場所で一つも懲りずに百回目の告白をする訳です、


「楪、僕は君が好きだよ……その顔も声も筋肉も……主君至上主義なところも男に慣れて無いところも……自分に自信が無いところも」


 彼女に白い薔薇をひざまずきながら差し出し僕は続ける、


「君の笑顔が好き、君の怒った顔も好き、君の不安気な表情を見れば抱きしめたくなるし、君の恥ずかしそうな表情は口づけたくなる、ずっと君を眺めていたい、ずっと君と生きて行きたい」


 だから、


「僕と結婚を前提にお付き合いして下さい」


 僕は思いを告げた、偽りも飾りも無い心の内を、


 楪は顔を真っ赤に染め、そしてしゃがみこんだ、


「楪?」


「……やっぱりあなたは変態です」


「……ん?」


 楪はぽつりとつぶやいた、僕は隣にしゃがみこむ──あっ、髪が地面に着きそう、僕は彼女の綺麗な黒髪をそっと纏め包みを破り取り出した髪留めで留める、楪は一瞬ピクリとしたがされるままになってる、


「……楪、好き」


 耳元で囁いた、彼女はバッと顔を上げると、


「変態!!」


 と、叫びながら抱き着いて来た、


 告白に頷いてくれたのはしばらく経ってから、正門が開く少し前だった。



 【ホワイトデーにフラれる予想でした】



 ──最近告白をされていない。


 バレンタインデーの前前日にされたのを最後に彼はバッタリと告白をしなくなった、それは多分、


「……やっぱり呆れられたんだ」


 一人部屋でぽつりとつぶやく、親友に相談する気力も無い、むしろ親友には絶対に言え無い、


「だって醜く過ぎる」


 自分の都合で理由も告げず半年も断り続け、そしてせっかくのバレンタインデーにも失礼な態度を取って、


「なのに、要らなくなるなんてズルイとか」


 自分が嫌になる、そしてもう私を好きじゃない彼と同じ学校に通うんだと思うと、


「……合格したことも素直に喜べないとか、馬鹿だ……」


 彼が私以外にあの甘い声を笑顔を向ける、それを見てしまうかも知れないと考えてしまう、


 職務には支障は無い、主君の側に居る時は彼女と彼女を守ることしか頭に無いから、問題はそれ以外の時間、今なら職務後の自室で過ごす時間、そして四月からは学園生活全部、


「彼も居る場所での時間」


 でも、


「やっぱり私は主君がいればなんとかなるな……」


 そして気付いた、


 ──そもそも一番心を割くことが出来無いのに恋愛とか失礼だよね、


「……なんだ、頷か無くて正確だったんだ」


 私は恋心を大切にしまい込むことを決めた。



 恋心をしまい込むことを決意した翌日、彼から連絡を受けた、


 ──翌朝、出会いの原因になったあの木の前で会いたいと、


 私はそれを聞き、


 ──ああ、ちゃんと幕引きをしてくれるのか、


 そう思い、そして彼に会いに行った、


 だけど彼は薔薇の花束を持っていて、


 ひざまずいて告白して、


 私の駄目なところを好きだと言って、


 そして私の隣でずっと待っててくれた、


 私は彼に抱き着き、そしてどうにか頷いた、


 でも思うのだ、


「……あの、私絶対にあなたを一番には出来ません」


「うん、そうだろうね」


「……ええと、多分子供を産んでもその子を一番には出来ません」


「わー、子供のことまで考えてくれたんだー、嬉しいなー」


「……あの、私は主君の為に命を使います」


「んー、でもお姉ちゃんは楪が安易な自己犠牲をしたらブチ切れるよ?」


「……そうですね」


「当然じゃん」


「……ええと、一番じゃなくて良いんですか?」


「ん? でもお姉ちゃんとはえっちいことしたく無いでしょ?」


「は、何をいきなり!? 変態ですか!?」


「うん、変態です……いや、結局それが重要かな、と」


「……ありませんから、そういうんじゃ無いのでこの感情は」


「なら良いよ、楪とえっちいことと結婚するのが俺だけなら、それから楪が俺以外の子供を産まなければ」


「……本当変態……」


「そんなことは置いといて」


「いや、私的には最重要だったんですが……」


「呼んで?」


「は?」


「名前で呼んで?」


「………………」


 結局私が彼の名前を呼んだのは結構後に──彼の十七回目の誕生日になった、そしてその日、私は初めてのキスをした。









































 ──人懐っこい庶務ルート消滅しました。











 ──捨てられメイドルート消滅しました。











 ──他のルートに進みますか?


   YES NO

      ▲

 







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