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この学園には攻略対象者はいません。  作者:
第三章 攻略対象者な彼と攻略対象者やモブな彼女のお話。

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彼らは人懐っこい庶務とヒロインその3、又は、捨てられメイドと爽やかな当て馬、でした。~光三朗編~

第三章 始めます。

まずは光三朗君のお話です。

一人称です。

 



 【正しい初恋】



 双子の片割れとは違い自分は恋愛経験が豊富だと自負していた、だけど彼女に出会い気付いた──僕は実は初恋もまだの子供だったと。


 高校一年生の初秋、彼女ヒロインは堕ちてきた。


 シャワーを浴びて直ぐの、全裸で腰にタオルを巻いただけの僕の腕に。

 

 

 【悩みが無い訳では無い訳で】



光三朗こうざぶろう君って悩みとかなさそうだよねー」


 夏休みを前に浮き立つ城生院学園、混み合う昼休みのカフェテラスで僕は同席している三年の先輩女子にうらやましそうに呟かれた。ちなみに今日はスポーツ特待生の友人達とのランチだ、僕は結構友人が多く老若男女国内外問わず百人以上いる。深くは無いが全員とそれなりに良好な関係だ。


「えー? 俺だって悩みぐらいありますよー」


「へえ? 例えば?」


「今日はお昼を食べすぎたから晩御飯を抑えるか、走り込みを増やすか、どっちにしようか、とか、新しいTシャツが欲しいけどちょっと良いやつ一枚にするか普通のを二枚にするか、とか」


 成長痛が酷くて寝不足だとか、急激に伸びた手足を上手く操れず軽いスランプだとか……まあ誰にも言わないけど、ほぼ単なる愚痴だし、


 事故に遭い、夢を断たれた兄さんや人と違った世界に暮らす片割れに比べたら、恥ずかしくなるぐらいのつまらない悩みだもんね。



 【そもそも運命的なって何?】



 ──光君には運命的な出会いをする『ヒロイン』が現れる。そう教えてくれたのは子守ナニー代わりの憧れの女性『牧野香奈子まきのかなこ』さんだった。多分香奈子さんは僕達兄弟が人生に希望を得られるように、という思いで言ったんだろうけど……でも、その預言者のような確信を持った言葉に、


 未だに、僕は縛られている。


 でも思う、運命的な出会いとはなんだろう? と。


 高等部自治会室で生徒会と風紀の定例の情報交換会議が終わり、何時も通りお茶を飲みながらの雑談中に先輩達や同級生達、顧問の先生相手に僕は愚痴る。内容は、


「今度こそ俺の『ヒロイン』だと思ったのにー」


 だ、その『ヒロイン』候補の彼女はインターハイの会場で迷子になっていたところを助けた一つ上の新体操選手、今度こそ俺の『ヒロイン』だと思いアドレスを聞き出しメールのやり取りを続けていた。


 が、なんと言うか『おねだり』が凄く、高校生には無理だろうって内容のデートやらプレゼントをリクエストされ、いや、そんな金無いとやんわりと伝えたところ音信不通、どうやら『城生院』ってことでお坊ちゃんだと期待されていたらしい、


「へえ、一目でビビッとでも来たの?」


 顛末を呆れ顔で聞いていた桃園百合恵ももぞのゆりえ嬢、僕ら双子がつけた愛称(ひゃく)ちゃんが馬鹿にしたように聞く。なんと言うか彼女は恋愛に軽く嫌悪感があるっぽい、美少女は大変なんだろうねー、


「んー、ビビッとは来て無いけど、困っているところを助ける、って運命っぽくない?」


「いえ、フィクションでその程度の出会いを運命としたらクレームが来ますわ、少なくとも後二回、そんな感じの遭遇が無ければ」


 慰めるような笑みを浮かべながら優菜ゆうな先輩が言う、ええと、


「後二回?」


「ふふ、よく言うでしょう? 一度目は偶然、二度目は必然、三度目は運命って、ふふ、もしくはビビッとでは無いですが世界が違って見えるぐらいの衝撃を受けるかをしないと駄目ですよ?」


 それぐらいじゃないと物語として成り立たないらしい、


「ちなみにどんな出会いが運命っぽいかな?」


 三度遭遇レベルなら狭い桜花市だ、なんとかなるかも知れない、


「例えば、女の子が堕ちて来る? あと曲がり角でゴッツンコ……それから棚の同じ物に同時に手を伸ばす、それから……それから……ああ! ドアを開けたらバッタリ、とか」


 優菜先輩が斜め上を見ながら答えてくれた、……ええと、でもそれって……、


「……ザ・フィクションだな……」


 ハイ、しゅう先輩、同意します。


「それで、三度遭遇は厳しいねー、残るはビビッとかー……うーん、一目惚れってどんな感じかなー……」


 今までお付き合いした人達は大体初対面時に、あっ、この子好きかもって思えたから交際を始めたんだけど、それぐらいじゃ違うのかな?


「んー? みんながここだけの話って約束するなら俺の初恋話を語っちゃうぞ~?」


 さとり先生の初恋!?


「え? 先生の恋話……それは凄く知りたいです、むしろ先生恋愛とかするんですね」


「おい、おい、栄次えいじ君? 君は俺を石木とでも思っているのか?」


 と言うより覚先生って私生活が見えないんだよね……、


「で? 約束できる?」


「「「はい!!」」」


 まあ、高等部生徒会プラス風紀委員全員が良い声で頷いたのは当然だよね。


「で、俺の初恋は一目惚れだった訳だ……なんつーか、あれは衝撃だったな、彼女だけが周囲から浮き上がって見えるってゆーか、うん、輝いてるんだ、で、思わずひざまずきたいとか、閉じ込めたいとか、そういう欲求が生まれたんだな~」


 浮かび上がる、輝いてる、欲求が生まれる……ああ、だったら今までの僕の恋は全然違う、そんなに心が揺れたことは無い、


「うわー、情熱的ですねー……ええと、それでその初恋の君とは? 今、付き合ってるんですか?」


 うわっ! 百ちゃんチャレンジャー! みんなが聞けないことを聞く!


「はは、それは内緒、まあ発表出来る段階になったら報告するよ~」


「それって婚約間近ってことですか!?」


「むしろ結婚秒読み!?」


「だから内緒…………ねぇ、みんな良い子だよね?」


 先生が常の柔和な笑みに僅かに凄みを加える……ハイ、もう聞きません……だけど、それがホントの一目惚れだとしたら……、


「……どうしよう、俺、運命的な出会いをする自信が無くなったよー……」


 三度の遭遇も一目惚れも出来そうに無い、


 この日僕は運命的な出会いとは、夢幻の存在だと言うことを知った。高一の初秋のことである。



 【高校生男子な話】



 運命を信じるのを止めよう、そう決意した訳だけど……、


「普通の恋ってどういうのー」


 正直今までの彼女達は運命っぽい出会いがきっかけだった為世間一般の高校生的恋愛がわからない。


「……ふむ、とりあえず聞く相手を間違ってはいるな」


 無駄美形と呼ばれるハルが呆れ顔で言う。ちなみにここは高等部自治会室、今日は百ちゃんに優菜先輩、白黒コンビは生徒会と風紀委員の女子会をカフェテラスでしてる。なので男子だけ、しかも栄ちゃんは理事長に呼び出しひー君と緑先輩は家の手伝い、つまり過半数は幼なじみと婚約中の面々、うん、確かに相談する相手を間違った。


「ま、とりあえず先生が答えてあげるよ~、参考になるかは知らんけどね~」


「お願いします……先生……」


 基本的には優しい覚先生が答えてくれるらしい、うん、超興味深い、


「んー、多分高校生らしい恋愛は……あれだ、性欲が先に来るやつだ」


 そして覚先生は基本的にいい加減な駄目な大人です。


「……先生……教育者にあるまじき発言は……」


 レオ先輩が先生に注意する。うん、風紀委員としてはツッコまないとね、


「えー、でも大体そうだろう?」


「……否定は出来ませんね……」


 あず先輩が苦笑しながら同意する。……まあ、確かに周囲を見てるとそんな感じだけど、


「……んー、俺、それなりにカトリックなんですけどー」


 婚前交渉はアウトだと思います……それなりに、


「はは、まあ、普通に好みの女子とデートするって感じで良いんじゃ?」


 好みかー、僕の好みはちょっと変わってるらしいんだよねー、うーん、


「ちなみに先生の好みは?」


 うっかりちょっとした好奇心で聞いちゃいました。うん、覚先生は栄ちゃんと僕の共通認識として地雷が怖い人なのです。


「はは、それを俺に聞いちゃう? まあ言っちゃうけど、……ずばり俺は……尻派だ!」


「おー、言い切った!」


 尻派……なるほど、


「ちなみに元治もとはる君は太もも派だよ~」


 そして幼なじみの性癖を暴露した。わー、酷いー、


「は? なんだそれは覚!! 俺は太もも派では……」


 ハルが否定しようとして固まった。今自覚したらしい、


「へー、ちなみにレオンは膝下派だな」


あずさお前は二の腕派だな」


 そして右腕コンビも幼なじみの性癖を暴露しました。うん、泥仕合の様相だね。そして結構みんなマニアック、


「ええと、柊先輩は……」


「……黙秘する」


 ちなみに僕も黙秘しました。ばらされる相手もいなかったしね……僕が割れた腹筋に弱いとか……。



 【お姉ちゃんは小学生】



 片割れが最愛と出会ったらしい、


 九月某日シュークリームの入った紙箱を手に帰宅した栄ちゃんは、今まで見たことの無い幸せそうな満たされた笑顔で、それを見た僕達家族は気付いたんだ──ああ夜が明けたんだ、と、


 そして極上なシュークリームを食べながら聞いたところによると、その最愛さんはあの(・・)理事長のお嬢さんで圓城寺えんじょうじの跡取り娘、栄ちゃんは公私ともにパートナーとなることを望まれ婚約──ただししばらくは(仮)付き──を結ぶ予定らしい、うん、急展開、


 だけど今だから言えるけど正直僕達家族は婚約者さんに会うまでは色々と不安だったんだ、だって……もしその人が栄ちゃんをちゃんと理解しその上で愛してくれ無ければ……きっと栄ちゃんは世界を憎み壊してしまうだろうから、


 けれどその不安は彼女と会ってすぐに払拭しされた──自然体で彼女に接する栄ちゃんとその栄ちゃんをあるがままに受け止める紗々蘭(ささら)お姉ちゃんの完成された一対を見た瞬間に、


 ──ああ、もう栄ちゃんは大丈夫だ、僕の片割れは絶対に世界を恨まない、……だって、彼は世界から最高の贈り物(ギフト)を贈られたのだから、


 僕達家族は安心した、だけど……、


 ──やっぱり小学生って……、


 まあ、十分ほど会話をしたら彼女を姉と呼び敬い慕うことに一切の抵抗が無くなったけどね。


 その後、僕の生涯に渡って紗々蘭お姉ちゃんは信頼出来る相談者になりました。



 【先輩が預言者かも知れない件】



 あの日、優菜先輩が語った『運命的な出会い』の例で僕が一番ありえないと思ったこと──少女が堕ちて来る。


 そのありえないと思っていたことが現実に起きたのは、九月某日曜日は日曜、双子の片割れの『暁の姫』が家に挨拶に来て、僕と兄さんが運命の出会いを再び信じるようになったその翌日のこと。


 彼女は堕ちて来た、僕は咄嗟に受け止めた。


 ちなみにここは高等部トレーニングルームの更衣室です。彼女はその天井近くに付けられた明かり取りの狭い窓から堕ちて来ました……うん、男子・・更衣室です。


「ええと、痴女、です、か?」


 僕は衝撃に痺れる腕の、中にいる黒いジャージの少女──多分中学生ぐらい──に思わず尋ねた、とは言え現状、僕の格好は全裸で腰タオル、うん、僕の方が痴漢っぽい、


「……ちっ、違う!! ええと、あの、とりあえずありがとうございます? そして下ろして!!」


 なにげにもの凄い美少女な彼女は僕に疑問形の感謝をし下ろすように要求しつつ暴れる、うん、落ち着いてほしい、タオルが落ちそうです、


「うん、下ろす、だから少しじっとしてて、俺、加害者にはなりたくないから」


「ヘ?」


 少女は僕の言葉を聞き、僕の格好に気付き、そしていっそう激しく暴れる、いや、だから!!


「僕には露出癖は無いから!! だからとりあえず目をつぶって!! そしてじっとしよっ!!」


 僕が必死に説得するとようやく彼女は暴れるのを止め目を閉じた、


「あっ、」


 腰のタオルが落ちる二秒前のことだ、うん、ぎりぎりセーフ。



 とりあえず少女を置かれているベンチに下ろすと、まだ目を開けるな、と、忠告し、そして服を身につける、うん、加害者にならずにすんだ、


「もう、目を開けていいよ……で? 痴女じゃないならなんで男子更衣室に侵入なんてしたの? そもそもここ二階だよ?」


 僕は呆れています、と、アピールしつつ質問する、うん、それにしてもホント美少女、黒髪で儚げな容姿で……実はかなり好みです。


「ええと……その……のっ、のぼり易そうな木だったから……」


「……は?」


 美少女が落ち着いた声音で答える……うん、声も好み、でも内容はかなりあれ、


「で、のぼって、ちょうど目の前に窓があって、で、開けてみたら開いて……そしたら目が合って……で、バランス崩して堕ちました」


 ……あれ? なに? 僕加害者? いや、違うよね?


「ええと、その……なんかゴメン?」


 まあとりあえず謝っとこう……うん、かなり日本に染まったよなあ、


「いえ、その……すみません……ええと、では、失礼しました!」


 少女はとてもかっこよく頭を下げると、脱兎のごとく立ち去った、


 ……あれ? 立ち去っちゃった? って!?


「……連絡先どころか名前すら聞けなかったー……」


 容姿も声も好みど真ん中の少女を僕は逃がした、真夏が帰って来たような快晴の日の昼前のことだった。



 【本当に先輩と香奈子さんが預言者だったんだけどどうしよう】



 曲がり角でゴッツンコしました、昨日遭遇した少女と、


 うん、びっくり、そして思う、


「……なんでメイド服?」


 少女はメイド姿だった、素晴らしく似合っている、ただしここは現代日本……、


「ええと、コスプレ?」


「ちっ、違うしっ!! ……多分……ええと、じゃあ!!」


 そして少女はまたしても脱兎のごとく立ち去った…………あれ?


「……また名前すら聞けなかったー……」


 僕は再び少女を逃がした、月曜日の夕方、母に頼まれ卵を買いに行った帰り道、我が家から徒歩三分の曲がり角で、そして思い出した、


 ──あれ? ここ私道で家と桜花院おうかいんさんと桐生きりゅうさんと桂瀬かつらせさんと圓城寺さん、この五家の許可が無いと入れないんじゃ……と、あっ、ちなみに宅配便とかは決まった担当者がいるらしいです。


 そして桜花院、桐生、桂瀬の全住人とは顔見知り、つまりは、


「紗々蘭お姉ちゃんのメイドさん?」


 と、言うことになるよね?


「……どうしよう、聞けば多分名前ぐらいは教えてくれるよね……」


 僕はスマートフォンを取り出し登録したばかりの未来の姉の番号を呼び出す、だけど発信すること無く仕舞った。


「……うん、なんか三度目がある気がするし」


 もしそうなったらそれは正真正銘の、


「……運命、だよね……」


 まあ、週末まで会わなかったら連絡するけど、実はちょっと用があるしね。


 ちなみに蛇足だけどゴッツンコの衝撃で半数以上の卵が割れ、晩御飯が大好物のハンバーグからオムレツに変わった……悲しい……。



 そして翌日、本当に三度目がありました、ちなみにドアを開けたらバッタリ、です。


 しかも内開きのドアを同時に開けた為部屋──一昨日初めて会った男子更衣室です──の中の僕を押し倒す形で彼女は倒れ込みました、うん、ラッキー、


「なんで三日連続でエンカウントするんですかー!」


 顔を真っ赤に染めて僕の膝の上で美少女が叫んでいます。ちなみに時刻は午前七時、まだ学生用の門は開いてない、なので、


「んー、運命だから? って言うかやっぱり圓城寺のメイドさんだったんだねー」


 僕は通称四季門と呼ばれる僕達兄弟と桜花院一家と桐生兄弟が使えるいわゆる勝手口っぽいところから入りました。まあ僕達双子は普段は登校に正門を使う自転車通学者ですけど、でも日課の自主練にはこちらの門を使います。


 そして聞くところによると圓城寺邸内にも直通門があるらしいです。中高はともかく初等部と大学部には車で十数分かかるから、だとか、


「ううう運命って!? いやそれよりもなんでこんな時間に!? 不法侵入!?」


「ん、違うよ? 昨日四季邸近くで会ったじゃん? 俺ん家は四季邸の冬、四季門から入ってるんだよ」


 ん? もしかしてこの子考えるのは苦手?


「ですよねっ!! つまり貴方様は我が主君の婚約者殿ですか!?」


 ああ、現実逃避してただけか、そしてまだまだ逃げる気だね、でも、


「違うよ? 俺はその弟の光三朗です、だからフリー、なんで──結婚を前提に付き合って下さい」


 逃げられないよう両手をギュッと握り告白──いやプロポーズ?──をする、だって、


「君のその顔と声と上腕二頭筋と腹筋に惚れました! 結婚うんぬんはおいおいで良いんで──とりあえず名前と連絡先を教えて下さい!!」


 前二回の遭遇時は一切露出していなかったのでわからなかったけどTシャツ姿の彼女……すっごく良い筋肉してる! 特に黒いTシャツの袖口から覗く上腕二頭筋とちらりと見える割れた腹筋が!!


「わー、超素敵! あー、堪らない……ねぇ? ちょっと触っても……」


 って!? あれ?


「……わー、いきなり床にキス? 凄い!」


 僕は思わず彼女に迫った、うん、反省します。そしたら掴んでいた両手がハラリとほどけたと思ったら体が反転し床に顔がつきました、ちなみに右腕を痛くは無いけど決められてます。


「なっ!? 変態ですか!? とりあえず今日までのことは忘れて下さい! そしてもう構わないで!!」


 彼女はそう僕に告げ同時に背中と腕の圧迫が消えた、即座に振り向くとポニーテールにしている長い黒髪が揺れていた、うん、可愛い、けど、


「忘れて、構うな、かー、それは無理な要望だよね」


 僕は心の底からの愉悦に口元を歪めながら、運命の『ヒロイン』捕獲作戦を組み立て始めました。



 ……それにしても香奈子さんと優菜先輩って……本当に預言者?


 

 【片思いでも楽しい毎日】



 その後何があったかといえば。


 とりあえず週末に招待された圓城寺邸で彼女と再会、どうにか名前と連絡先をゲット、そして彼女の主君の紗々蘭お姉ちゃんと義理のお母さんで直属の上司のほのかさんに口説く許可──ただし節度を持ってに限る──を貰い、現在熱烈に口説き中、


「だから!! なんで筋肉ばっかり褒めるんですかー!!」


「俺が筋肉萌えだからだよ」


 そして恥ずかしがっての絶叫の声と真っ赤な顔にも萌えるから、


「で、今日のプレゼント、可愛いシュシュを遠征先で見つけたんだー」


「うう……ありがとうございます」


「で、結婚を前提に……」


「ごめんなさい」


 僕は今日も告白し、そして今日もフラれる、けれど彼女を諦められるかと言ったら無理で、出会わなければとは微塵も思わない、だから……、


「まあ、良いか……片思いでも幸せだもん」


 僕は明日も告白し、きっとフラれるだろう、けれど、


「最近、少し笑ってくれるんだよねっ!」


 僕は夕食の席で家族に報告する、


「「「「……うん、よかったね光君」」」」


 家族は苦笑しつつも応援してくれているし、


 脈はある! 気がするもんね!!





 






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