2、赤ちゃんプレイはつつしんで遠慮します。
私は漂っていた、気がつくと目の前にヒトの様なナニカがいた、……って、
「言葉に出来無い美しさとか何それ!?」
「絵にも描け無い美しさとか何それ!?」
!? 驚き隣を見ると弟がいた、弟も驚いた表情でこちらを見ている、
「ああ、人は我をカミサマとよぶからね? 人である君達には完全な認識は出来無いんだ」
どうやら目の前の存在は他称カミサマらしい、……って事はまさか……!?
「私の弟が死んだって事!?」
「俺のねーちゃんが死んだって事!?」
「そう、君達姉弟は死んだ」
そっ、そんな、なんで?
「死因は一酸化炭素中毒死、原因は火事、火元は隣家、君達の家は全焼、隣家の住人は無事、君達の原稿は灰」
他称カミサマは私の頭に浮かぶ、疑問の数々に即座に答えていく、……うん、まあカミと呼ばれる存在だ、思考を読むぐらい出来るか……不快感は否め無いが、
「ごめんね? 器の無い魂は個体の境界が曖昧になるから」
いや、だから……まあ、いいや、
「……それで、俺達と何故話しているの? まさか死者全員と話す訳?」
私の変わりに弟が聞いてくれた、
「君達の魂は引く手数多なんだ、だから君達自身の希望を聞こうと思う」
引く手数多って事は……、
「……つまり、世界は無数に存在する? その中の何処に行きたいかと? その言い方だと二人セットで? そもそもなんで俺とねーちゃんがそんなに人気なの?」
弟が私の形にならない疑問を全て聞いてくれた、
「世界は無数に存在してるよ、今も生まれている。人気の理由は──物語を生み出す人間は二種類いるんだ、セカイを生み出す人間と、膜の外の世界を感じる人間。お姉さんは前者、それだけでも希少、しかもそれを君が形にする。君達コンビは希少にして貴重、故に引く手数多」
セカイを生み出す……世界を感じる……、納得は出来無いけど理由はわかった、弟と離れる事は無い、なら……私の希望は……、
「……私は、記憶を持ったまま、行きたい、……あの、話を、『A,sコンフリクト』を、完結させたい」
原稿は完成した、けれど私達姉弟以外に読まれる事は無かった、私は思う、作品は人の目に触れて、そしてその心で形作られて初めて完成だと、だから……、
「……ちゃんと漫画文化のある世界、できれば日本風、理想はペンタブのある世界、もちろん、記憶は俺達二人共ある事、これが俺達の希望、条件──俺達は引く手数多なんだろ?」
……本当に出来た弟だ、他称カミサマは首を傾げると、一瞬消えてすぐに現れた……さすがカミ、
「ちょうど良い世界が在った、記憶持ちの存在を許容する世界、条件は完全に満たしてる、そこに送る事にする」
おお、確かにちょうど良い、
「ただし、記憶は一度消す、持ったままでは移住が出来無いから、戻りやすくはする、なんらかのきっかけで戻ると思う」
思うって!?
「確実に戻る様には出来無いの?」
弟がまたしても聞いてくれる、……戻ら無い可能性があるって事だよな、
「あまり戻りやすくすると生まれてすぐに戻る事になりやすい、世界にも悪影響だし──赤ちゃんプレイは嫌でしょ?」
はい、わかりました、よろしくお願いします、
「これから送る世界は、君達にも馴染み深い世界、そこには君達と同じ、いや、それ以上に完結を望む子がいる、だから──今度こそ完結させてね?」
──我も楽しみにしてるから……、
他称カミサマの声がどんどん遠くなる、弟の気配も薄れていく、……ああそういえば、
──また、姉弟に生まれたい、って、言い忘れた……、
──まあ、親友でもそれはそれで…………。




