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この学園には攻略対象者はいません。  作者:
第一章 彼らは冷酷副会長と黒幕令嬢、又は、鳥籃の幸福の姫君と凶悪過ぎた当て馬、でした。

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圓城寺邸首脳会議。

三人称です。

 






 九月某日、曜日は土曜、時刻は十二時、場所は圓城寺えんじょうじ家別邸、正餐室。


 そこに圓城寺邸のトップ七人が集結しています。


「では、皆様、冷めないうちにお召し上がり下さい」


 厨房のトップ、圓城寺家五十人の胃袋を支える料理長の竹生たけおさんの言葉で皆一斉に食事をはじめます、今日のランチはローストチキンのバゲットサンドとサーモンとクリームチーズのベーグルサンドそれに過ぎ行く季節を惜しんだ夏野菜のミネストローネです。


 皆さん、無言で食べます、圓城寺家では食事中の会話は余り好まれません、料理に真摯に向き合うべき、という考え方です。


 数十分後、食事を終え、食後のコーヒーを飲みながら、圓城寺家の跡取り娘、みんな大好き紗々蘭(ささら)さんが一人一人に確認を取ります。


「竹生、手土産のおはぎの仕込みは万全ですね?」


「ええ、紗々蘭様、餅米もあんも炊き上がっています、後は紗々蘭様と共に成型するだけです」


 竹生さんが答えます、ちなみに紗々蘭さんもつい先程まで本邸の厨房で作業を手伝っており、その事は知っています。他の方への報告と念の為の確認です。


「では、おみそう水幸みさち、あちらのご了承が得られた際の、圓城寺家(から)岸元きしもと家への直通通路の準備は万全ですね?」


「はい、警備部一同、岸元家の警備強化及び二邸間の門の設置場所周辺の警報解除準備、共に完了です」


 家令兼、警備責任者の臣さんが微笑みながら答えます。


「ええ、フェンス切断の工具一式、並びに設置する門の用意、そして作業員の待機、全て恙無く」


 圓城寺邸施設、その全ての保守管理総括者、霜さんも頷きます。


「設置場所周辺の樹木の移動、変わりに植える蔓薔薇の選別、万事オッケーです」


 圓城寺邸の二庭園及び、温室、そして、その他の植物の生育管理を行う造園部部長の水幸さんもサムズアップで請け負います。


 この三人が主導で進めている『圓城寺~岸元直通通路計画』とは立地的にはお隣りさんなのに、玄関の位置の関係で車で十数分かかる両家を、間を隔てるフェンスを切っちゃう事で、徒歩零秒──各自の家同士は徒歩十分ほどになりますが──にしちゃおうと言う過激な計画です。ちなみに発案者は家令の臣さん、彼は圓城寺家の過激な大人筆頭です。


「はい、わかりました、では、最後におじ様、栄次えいじさんと光三朗こうざぶろうさんに提案する、圓城寺グループとの契約の準備の進捗はいかがですか?」


「ふふふ、問題ありませんよ、必ずお二方共に我が社をお選びになるでしょう」


 圓城寺グループ本社の秘書室長の淳司あつしさんが太鼓判を押します、婚約(仮)の話し合いが終わった後、 栄次君には将来の取締役候補としての教育及び実地研修プランについて、光三朗君にはプロ転向後メインスポンサーに選ぶ事を条件にした、圓城寺グループによる完全サポートプランについて提案する予定です。


「ふむ、では、全て恙無く、という事で、紗々蘭お嬢様も手土産の仕上げや身支度の準備がおありでしょうし、そろそろ解散という事で……」


「ちょっと待て! そもそも俺は婚約について納得した訳じゃ……それになんだ!『圓城寺~岸元直通通路計画』とは! それに関しては、報告も相談もされて無いぞ!」


 解散を宣言しようとした臣さんにいままでずっと黙って──正しくは黙らされて(淳司さんに物理的に)──いた、圓城寺家当主、圓城寺司皇(しおう)さんが噛み付きます。が、


「紗々蘭様~、婚約に関する契約書出来ましたよ~、あっ、淳司様もいらしたんですね、取締役育成計画の契約とスポンサー契約とサポートプラン契約の書類、法務の連中から預かってきました、どうぞご確認を」


 賑やかに圓城寺家の顧問弁護士のざいさんがやってきた事で、言葉を掻き消されました。


「良いから聞けっ! だいたいっ! まだ俺はむこうの調査の途中……」


「調査なら十四年前にし終わって、一切問題無し、って出てるよね?」


 そこに車の点検が完了した事を臣さんに報告する為やってきた本日の運転手深子(みこ)さんが当主の嘘を暴露します。ですが紗々蘭さんが気になった事は、


「……十四年前?」


 十四年前にはもちろん紗々蘭さんは生まれていません。


「紗々蘭、香奈子かなこ──君のママが協力したチャリティCDにあの夫婦も協力している事は知ってるだろう? 実はその前から親しい仲でな、……まあ詳しい話は魔女にでも聞いてくれ」


 ──面白い思い出が聞けるぞ? と、言い残し深子さんは去ります。


「……ああ、だから淳司様も臣さんも反対しなかったんですね、香奈子様が親しくしていた方達だから」


 在さん達が納得します、彼らは亡き奥方、香奈子さんの人を見る目には絶大な信頼を寄せています。


 愛する妻の名前を出され反対する正当な理由を奪われた司皇さんは、


「……ちっ」


 っと、チンピラの様な舌打ちをし、着替えの為自宅に戻って行ったのです。それを見送った面々は約束の時間が迫っている事に気付き、慌てて自らの持ち場に戻ったのです。


 その後、不機嫌そのものの司皇さんと、期待に胸を弾ませる紗々蘭さん、その二人の対比をニヤニヤと眺める臣さんと在さんは深子さんが運転する車で岸元家に向かいます。


 そしてそこで、司皇さんが栄次君に八つ当たり気味な言葉をかけたり、紗々蘭さんが母の思い出を聞いたり、臣さんが岸元家の父イヴァンさんと意気投合したり、在さんが学生時代の憧れの先輩と再会し猛アタックしたりする事になります。




 ──それは別のお話で。


 


 

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