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狂いだした正義

 ルドによる六つの条約が宣言され、投票選挙による『世界議会』の着任も終わった頃


 アウルラ神国では一つの大きな問題があった。


 民族闘争だ。


 本来12の国はいがみ合っていた、ルドはな理やり統合したが、人の心に根付く『差別』という心はそう簡単には消えない。


 特に隣同士のブーヒュット王国民とナライリャ王国民は宗教の影響により敵対心が激しく、顔を合わせるたびに争いが起きていた。


 また民族闘争以外にも


 自分の妻が他の男と寝てたのが原因で殴り合いの喧嘩に発展したり。


 自分が新しく住みたいと思ったところに先に住んでいる奴がいて、退去しろ、退去しないで揉めたり。


 お酒に酔って暴れたり。


 などなど、争いごとが尽きなかった。


 そんな中ルドは言い合いを続ける『世界議会』を頬杖をつきながら、『我楽の軍衆(ガヤ・ファイラク)』の人形をかいして眺める。


「なあ、ルルリ……どうして人は争うんだ? 」


 ルドは自らの圧倒的な力で、争いのない、幸せしかない完璧な世界を作り上げたつもりだった。


 しかし、現実はそうではなかった飢えと階級のない世の中にすれば絶対に理想郷が出来ると信じていた。


 だが、そうではなかった確かに以前より遥かに世界は良くなった。


 それでもルドは満足できない、もっとこれで世界はより良き方向に導かなければならない。


 完全な理想郷をルドは作りたかったのだ


「人は……人は……」


 ルルリは言葉が詰まる。


 ルルリはどう言うべきかわからなかった


「そうか……」


 なぜ人が争うのか……古来より歴史には多くの戦いがあった、それこそなかったことがないくらいに、俺は今まで飢えと階級がそうしてきたと思っていた、だが本当にそうなのか……人が争うのは、傷つくのは…………


 ルドは考えたあと、立ち上がり。


 目の前にいる人形をある場所にいる人形に繋げる。


 そして指先から『神罰の光(バラー・ダウゥ)』を放ち


 ブーヒュット王国とナライリャ王国を消滅させた。


「い……今……なにしたの……? 」


 驚きかのあまり、ルルリは目を見開く


「ああ、民族闘争問題を解決したんだよ」


 ルドは何でもないことのようにに答える。


「な……なにも消さなくても……」


 ルルリはそう言うと


「俺はね、気づいたんだ、争いも、不幸も、苦しみも、全ては人の心そのものが生み出していたんだ、じゃあさどうすればなくなると思う、簡単だ元を断てばいい、つまり負の感情を持った者をこの世から消し去ってしまえばいいのさ」


 ルドは無表情に淡々と答える。


「でも! 罪のない人を……! 」


 ルルリは殺される覚悟を持って、批難の目をルドに向ける。


「罪がないからだよ……俺はね、救ったんだよこの暗黒の世界から……罪のない人を」


 ルドは無表情に淡々と答える。


「ねえ、やめよう……こんなこと、今ならまだやり直せるよ……」


 ルルリは大粒の涙を流しなから震える声を出す。


「……? 何を言っているんだ? 」


 ルドは不思議そうに首をかしげる。


「……! 」


 ルルリは涙を拭き、何かを決意した顔で走り出し、どこかに消えていった。


「諸君らに宣言する、今現在よりあらゆる俺の『我楽の軍衆(ガヤ・ファイラク)』による完全監視管理を行う」


 ルドがそう宣言すると


『世界議会』が文句を言ってきたが、ルドは自身の崇高なる理念が理解できない哀れな愚か者どもを救済するために消滅させた。


「これで、世界をもっとより良き方向へ導くことができるな」


 ルドは誰にも聞こえない声で、そうつぶやいた。


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