彼と私の恋模様
んーっと伸びをした。
私は、咲良 という。
私には、彼氏がいる。
飛び切りカッコいいワケでも、飛び切り頭が良いワケでもない。
ただ、好きになったら、そんなことはどうでもいいのだ。
「ねぇ。ちょっとは俺に構ってよ」
拗ね気味で行ってきたのは例の彼氏。
可愛くてつい、頭を撫でてしまうのが、私の癖だ。
くしゃくしゃ、と彼の頭を撫でる。
髪の毛が、柔らかくて細いのだ。
彼は、髪にワックスを付けない。
自然のまま、私の家に、私に会いに来る。
だから時々、寝癖が派手についたまま来る時がある。
そんな時は、私がスプレーを掛けて直すのだ。
私は、その作業が何気に好きだったりする。
「勇我 、明日デートしよう」
「えー、今日が良いよ。折角天気もいいんだし、明日は雨になるって言ってたよ?」
「そうなの?天気予報見るの忘れてた」
私はそう言って小さく笑った。
「ダメだよ、ちゃんと確認しないと」
「はーい」
真面目な顔をしていってくる勇我に対して、
適当な返事をする私。
こんなもんだ。
「じゃあ、今から行くから早く準備してー」
勇我が玄関先で、私を呼んだ。
「ちょっと待ってー、手伝ってよー」
「もー…。あ!ケータイ置いて行くなよっ」
「えー?何でよ、邪魔になるじゃん!」
「じゃあ、俺が持っていくし」
「ならOK」
取引成功だ。
そうして私たちは、ゆるゆると歩くデートに出かけた。
長年一緒にいるが、ここまで飽きなかったのは勇我が初めてだ。
だからずっと、大事にしたい。
「ゆーが。…愛してる!」
二かッと笑う私を見て、勇我が赤くなった。
そして、こういった。
「俺も!」
End.