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神がつくりし世界で  作者: 小日向 史煌
第3章 進むべき道
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 眼鏡をかけた男性の言ってることがよくわからない。


「あれ、違った?」

「違います。」


 違うものは違う。たしかに精霊とはこの世界にあるものに宿る者だ。その生態はあまり公にされていない。というのも、精霊使いになれるものはとても少ない。いちをこの国にも精霊省というものはあるが、数年に1人発見されるかどうかである。ただし、昔から精霊使いは王族により保護されてきたそうだ。なぜ魔術師などではなく精霊使いのみなのかは謎である。

 精霊について考えていると、眼鏡の男が唸り始めた。見兼ねたのか銀髪隊長が間に入ってくる。



「おいハイド、突然何を言いだすのだ。」

「ん?いや、精霊の加護がついてるってみんなが言うからさ。」

「みんな?」



 ティアが隣で何か考え始めた。ちょっと私、話についていけないんですけど!オロオロしていると、あぁ、と言いながら眼鏡男性がこちらにニコリと笑った。あっ、ちょっと可愛い…って思っている場合じゃなかった。



「自己紹介してなかったね!僕はハイド、精霊使いなんだ。よろしくね。」



 まさか目の前の人が精霊使いだとは思わなかった。1人驚いていると、隣で考え込んでいたティアが話に入ってきた。



「私はヴェルモート隊長の部下のティアと申します。彼女は私の家族のリリアンです。先程のみんなとは精霊のことですか?」

「うん、そうだね。」



 なんか凄い展開についていけないんだけど、ティアはなんか納得しているようだ。



「ここじゃなんだから、ちょっと精霊省に来れるかな?時間は大丈夫?」

「え、あ、はい。」

「私も同席してもよろしいですか。」

「家族だし心配だよね!もちろん構わないよ。ということで、レオナルド、今日の約束はキャンセルで。」



 そう言いって、眼鏡男子改め、ハイドさんは私達を誘導するように進もうとした。が、大きな手に止められた。



「俺も行く。」

「え?レオナルドに関係ないじゃないか。」

「ここまで見てたら気になるだろうが。」

「そんな我儘言わないの。」

「別にいいだろう、な?」



 目の前で行われる会話に目が点になる。先程までのお堅い銀髪隊長はいずこに!ティアに目で訴えかけると、あれが素だよ、と耳打ちされた。なんとも不思議で、面倒くさい人である。



「もう同席してもらってもいいか。」

「いいの、リリアン?」

「別にティアの上司で悪い人でもないんだし、大丈夫でしょ。ここで時間とられるよりいいもの。」

「まぁ、それもそうだね。」



 2人で小声で打ち合わせをする。あのままでは長くなりそうだし、ティアと少しでも早く2人で話したいのだ。押し問答を繰り返している2人に話しかける。



「もう同席してくださって構いませんから、行きましょう。」

「いいのか?ほら、本人から許可が出たぞ!」

「本当に気になったら知らなきゃ気がすまない性格なんとかしなよ。…リリアンさん申し訳ないね。」

「…いえ。」



 その頃私は、無邪気に笑いかけた銀髪隊長の笑顔にやられていて単語で返すのが精一杯であった。…なんという破壊力!これがギャップというやつなの!く、負けたりなんかしないんだから。あの人は嫌なやつよ、リリアン。自分に言い聞かせつつ、精霊省まで案内された。

 精霊省も何棟かあった立派な建物の中の1つで、大きな玄関ホールを抜けて、ハイドさんの研究室というところに入った。中は本でいっぱいで、なんでも建国当時からの精霊の歴史を調べているとか。



「じゃあ、改めて、リリアンさんは精霊に会ったことは?」

「ありません。」

「加護をもらう契約は?」

「してません。」

「だって。」



 最後のハイドさんの言葉は上に向かって話していた。精霊に話しているのかな。ドア側ではティアと銀髪隊長がこちらを見守っている。



「うーん、僕もなんとなく加護は感じられるんだけどな。本人がないって言うのが不思議だね。」

「そうなんですか?」

「リリアンさんは精霊について知ってる?」

「あんまり。」



 村の小屋で学んだのが最後なので、詳しくは精霊について知らないのだ。困った顔をしていると、大丈夫だよ、とハイドさんが笑った。



「一般の人もあまり知らない事だから気にしなくていいよ。精霊はね、とても気まぐれなんだ。世界にあるもの全てにいてね、精霊が離れると壊れたり、枯れたりする。もちろん人間だって、1人1人にはついていないけど、全体を守ってくれている精霊がいると言われている。大きな存在過ぎて精霊使いでもわからないけどね。」

「へー。凄い壮大な話ですね。」

「うん、そうだね。」



 なんだか精霊の話をするハイドさんは楽しそうだ。それほど精霊が好きなんだろう。



「精霊は大きな存在が守る人間にはあまり干渉しない。それでも、とても気に入った人がいると、加護をつける契約をし、側にいてくれるんだ。とても気まぐれだけれど、1度愛情が湧くと離れることはない。まぁ、その代わり嫉妬深くて、複数の精霊と契約するには他の精霊の加護があっても側にいたいと思ってくれなきゃ駄目なんだけどね。」

「なんか人間みたいですね。」

「ふふ、そうでしょ?」



 なんか浮気を容認しろと言っているみたいで気がひける話だけれど。ハイドさんはやっぱり楽しそう。



「そこで本題です。リリアンさんは精霊の加護契約をしてないみたいだから、もしかしたら精霊がリリアンさんを気に入って、勝手についてきているのかもね。」

「勝手に…ですか。」

「そう、勝手にだね。でも、呼び出して加護契約をするか相談すればいいよ。正直、普通の精霊だと姿は見れないんだけどね、人間と契約すると、精霊の意思次第で姿を見せられるようになるんだ。こうやってね!」



 そう言うと、ハイドさんの周りが光り出し、とがった耳に人形のような可愛らしい顔の手のひらサイズの人のような精霊が3体現れた。



「赤髪の女の子が火の上位精霊のサロン、黄色の髪の女の子が光の上位精霊のシャイン、茶髪の男の子が土の上位精霊のノルムだよ。僕の精霊達さ。」

「わぁ!可愛い!」

「でしょ?さぁ、リリアンも呼んでみようか。この本のここを読んで。」



 差し出された分厚い本の一文を読む。



「我に加護を与えんとする精霊よ、我の声に応え、我の前に姿を示せ、我が名はリリアン、祖を愛すものなり。」



 すると急に私の前に光の球が3つ現れた。そして私に問いかける。

『私の加護を受け取るか』

『私の加護を受け取って』

『俺の加護を受け取れ』

 これが精霊の声?何故かとても懐かしい気がする。


「我は精霊の加護を受け、そなた達を守ると誓おう。」



 すると再び光が強まり、光が弱まった時に見えたものは可愛らしい3体の精霊の姿だった。






実は長くて1話でまとまらなかったんです。ハイドさんとレオナルドさんのせいだと思うんですけどね…(笑)

なので次の話は今日の18時には上げようと思います。よろしくお願いします!

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