七話
「うぉ」
グリフォンを中心に突風が吹き荒れる
これがグリフォンの持つ風を操る能力
便利な奴だ
『ピギャァァ』
「カオスフレイア」
俺がグリフォンに手を向けてそう呟くと、グリフォンの体が黒い炎に包まれる
が、その炎は一瞬で消える
「真空にしやがったのか・・・炎は無理ってわけね・・・」
風を操る相手に炎は分が悪い
「タティア様が決してここから動かないように」
俺はそういい馬車をおりて腰に差してある剣を鞘から抜く
その剣は刀身に文字が書いてあるのがわかる
「我が身を喰らいて」
俺はその剣に書かれている文字を指でなぞりながら
「以下略」
剣が淡い赤い色に光りだす
別に言わなくてもいいんだけどやっぱねぇ
『ピギュアァァ』
そんな風に遊んでいる間にグリフォンがこっちに凄いスピードで突っ込んでくる
まるで竜巻だな
「ふっ」
俺はまっすぐに突っ込んでくるグリフォンに合わして剣を縦に振る
そしてグリフォンは縦にまっすぐ割れ、そのまま走っていく
「終わりっと」
グリフォンは真っ二つになり、木にぶつかってその動きを止め、そして絶命する
「タティア様?もういいですよ」
返事がない
まぁまだ一回も喋ってないんだけど
「グリフォンの血に誘われて他の魔物が来るかもしれないんで、もう行きますよ?」
流石に魔物との戦い方を教えてやってくれって言われたけどグリフォンと戦わせる気は起きないな
ちなみにB級とかA級とか出てるけどこれは魔物の危険度を示すものらしい
B級はB級の冒険者が4人で一体を倒せるかどうかで
A級はA級の冒険者が4人で一体倒せるかどうかってことらしい
全部ロアさんからの受け売りだけど
森がざわめき始めている
圧倒的強者であるグリフォンが死んだことで他の魔物が動き始めたのだ
その圧倒的強者を殺す俺って一体・・・
まぁ気にならないけど
その後は、ネロの持つ威圧で雑魚魔物が襲ってくることはなく、順調に森を抜け、一日を終える
二日目
御者台で寝ているとタティア様が俺の隣で寝ていることに気付く
これはどういうことだろうか
デレか?デレてるのか?
まぁ恐らくいきなりこんなところに俺みたいなんかと二人でしかもあんな化け物が襲ってきて不安なんだろう
俺ももし力がなければ泣いて逃げてるだろう
まぁ正直今も戦うのは好きじゃない
「ネロ・・・ゆっくり動いてくれ、タティア様を起こさないようにね」
俺は馬のネロにゆっくり動いてくれるように言う
起こしたらかわいそうだからな
ネロがゆっくりと動くこと4時間
俺はその間一歩も動くことなくタティア様に添い寝を続けている
結構つらい
「・・・・ん・・・ぁ・・・」
「あ、起きましたか」
タティア様が目を覚ます
「・・・ここは・・・」
「御者台ですよ」
まだ寝ぼけているのか
目をごしごしと擦りながら俺を見つめる
「あなた・・・だれ・・・」
「お忘れになりましたか?昨日からずっと一緒に旅をしているダルクス・アリシエルですよ」
「だるくしゅ・・・?」
「ダルクスですよ」
忘れてしまったのか
それは悲しい
「近くに川があります。そこで身を清めたり、馬車を洗いましょう」
昨日俺がグリフォンを真っ二つにしたため返り血が凄い
まぁ血は洗ったんだけどまだ血の匂いがね
「荷台にお戻りになりますか?」
「・・・ん」
タティア様は小さく首を横に振る
超可愛い
もし俺がロリコンだったら襲っちゃってるよ
まぁ表情には出さないけど
「ではこれを、冷えるといけませんので」
俺は自分が羽織っていた布をタティア様に被せる
俺たちが今いる場所は気温が15度ほどの草原だからな
種族によっては厳しいらしい
人は・・・どうだったかな?
「・・・いらない・・・」
「そうですか」
拒否られちゃったよ