子爵令嬢の婚約解消
ひょこっと脳内に浮かんだ話で、色々と拙い部分も多いと思いますが、よろしければお読みくださいませ。
王都の賑やかな通りで営業している、ケーキが美味しいと評判のカフェ。
ヤティーは、友人たちと一緒に評判のケーキを堪能していた。
「そういえば、ヤティー様。この前お話されていた婚約者様とのお約束はどうなりましたの?」
友人の1人であるセレナが訊いてきたので、小さく笑いながら答えた。
「ふふふ。いつも通り反故になりましたわ」
「まぁ!これで何回目なんですの?」
もう1人の友人アンジェラがティーカップをソーサーに戻して問うてきた。
「これで5回目ですわね」
「「5回...」」
セレナとアンジェラの声が揃っている。
ヤティーはレルカ子爵家の嫡女だ。
ヤティーは自分が平々凡々だと分かっている。
見た目も性格も頭の出来も自慢できる要素がない。
なので、男性にモテるわけがない。
しかし、嫡女であるので必ず婿を迎えなければならない。
そこに3ヶ月前、父が知り合いからの紹介だと見合い話を持ち込んできた。
ヤティーは二つ返事でこの話を受けた。
だって男性にモテる要素がない自分なのだ。
数打ちゃ当たる作戦でいかなければ、婿を獲得出来るわけがない。
そうして見合いしたのが、ヤーロ伯爵家三男、フティだ。
見た目も話した感じも普通で、ヤーロ伯爵家からお断りもなかったので婚約することにした。
なんと!1回目の見合いで婿が決まった!
ヤティーはその事実に浮かれた。
が、見合いからすぐの逢瀬から連続5回約束を反故にされているこの現状に、浮かれた気分も無くなった。
約束の反故の理由は
1回目→幼なじみから熱を出して不安だからそばにいて欲しいと連絡があった。だから幼なじみの所に行くことにする
2回目→幼なじみから咳が出て止まらない。苦しくて不安だからそばにいて欲しいと連絡があった。だから幼なじみの所に行くことにする
3回目→幼なじみから頭痛が酷くて起き上がれない。痛くて不安だからそばにいて欲しいと連絡があった。だから幼なじみの所に行くことにする
4回目→幼なじみから悪夢を見て怖い。何か悪いことが起きそうで不安だからそばにいて欲しいと連絡があった。だから幼なじみの所に行くことにする
5回目→幼なじみから自分だけが部屋に黒い影が見える。不安だからそばにいて欲しいと連絡があった。だから幼なじみの所に行くことにする
3回目の時点で、父がそれとなく伯爵家へ、どういう気なのですか?と問い合わせたら
『幼なじみはヨッコヤーリ侯爵家の【一応】病弱なご令嬢で、伯爵家としては呼ばれたら断りづらい。申し訳ない。』
との返事だったそうだ。
ヤティーは4回目と5回目の約束を反故にする手紙を見て
病弱設定のネタが尽きたのかしら?
と思った。
セレナとアンジェラにはほぼ全て話しているので、2人はヤティーの事情は把握済みだ。
「それで、このまま婚約を続けますの?」
とアンジェラ。
「続ける意味ってあります?」
セレナも言う。
ヤティーは、ふふふと2人へ笑顔を向ける。
「実は5日前に伯爵家に婚約解消のお話をしておりますの。『こんなに頻繁に侯爵家から呼ばれ、侯爵令嬢が頼りにしているご子息を、子爵家が婚約者とし続けるのは心苦しい。なので、我が子爵家は婚約の解消を申し出ます。伯爵家の今後の繁栄にも繋がりましょうから、どうかお聞き届けくださいますようお願いします』ってね」
「まぁ!子爵様はなんて謙虚なのかしら。」
「そうですわね、わたくしもそう感じましたわ」
セレナとアンジェラがきゃっきゃとはしゃいだ声を上げる。
もちろん、父である子爵もヤティー自身も、フティが頼れる子息とも、婚約者とし続け心苦しいとも伯爵家の繁栄になるとも一欠片も思っていない。
全て建て前だ。
持ち上げて伯爵家をその気にさせて婚約を解消させるのが目的だ。
フティは婿予定だった。
侯爵令嬢という愛人連れで婿に来られても困るし、最悪2人の間に子が出来て、その子を子爵家に押し付けられようものならお家簒奪の可能性も出てくる。
そんな事になったら目も当てられない。
なので、全力で建て前を作ったのだ。
3人できゃっきゃと話していると、レルカ家の使用人が来て、ヤティーにそっと耳打ちをした。
「まぁ!知らせてくれてありがとう」
使用人に礼を言い、ヤティーは満面の笑みを友人たちに向けた。
「セレナ様、アンジェラ様、お聞きくださいな。今、婚約が解消したと家から連絡がありましたわ!」
「なんて素晴らしい朗報かしら。おめでとうございます、ヤティー様!」
「おめでとうございます、ヤティー様!」
セレナとアンジェラに婚約解消を祝われ、解消祝いにもうひとつケーキを頼もうかしら?なんて考えているヤティーだった。
ヤティー・レルカ=やってられるか
フティ・ヤーロ=不貞野郎
ヨッコヤーリ侯爵=横ヤリ侯爵
セレナとアンジェラはポンと脳内に浮かんだだけです。




