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嫌いが恋の入口だなんて――誰が想像しただろう

作者: 雨日
掲載日:2025/11/19

ワスト領の重臣として仕えるオーエンは、

朝から胸の奥がざわついていた。


それは天候のせいでも、体調のせいでもない。


もっと“政治の空気”に近い、嫌な兆しだった。


――ミンスタ領から、“領主夫婦の離縁を求める書状”が届いたのだ。


ワスト領とシズル領は昔から助け合う友好国。


そのシズルを、ミンスタ領主ゼンシが突然攻め込んだ。


本来はミンスタが同盟を裏切った形である。


それにもかかわらずゼンシは、自らの非を覆い隠すようにして――


「同盟は破れた。妃シリを返せ」


と一方的な離縁を言い渡してきた。


領主グユウと前領主マサキの顔は朝から険しい。


今日の重臣会議は、ただの政治判断では済まない。


そして、問題の中心にいるのは――ミンスタから嫁いできた妃、シリである。


オーエンは彼女が苦手だった。


“人を惹きつけ、意のままに動かす”と噂されるミンスタの血。


青い瞳に射抜かれると、言い知れない畏れが胸に残る。


ーーミンスタの魔女。


心の奥で、そう呼んでしまう自分がいる。


その日の会議室に足を踏み入れた瞬間、


オーエンは、背筋にざらりとした違和感を覚えた。


ーー女の匂いがする。


政治の場には似つかわしくない、

柔らかく、それでいて強い“気”が満ちていた。


――まさか。


グユウの後ろから、青い瞳が現れた。


妃シリが、自らの意思で会議に入ってきたのだ。


「何事だ、女を会議に通すなど・・・!」


マサキの怒声が響く。


オーエンは深くうなずいた。


まったくの同感だった。


政治は男が担うもの――そう教えられ、そう信じてきた。


だが次の瞬間。


「私が望んで参りました。よろしいでしょうか、義父上」


シリの凛と響いた声が、場の空気を一瞬で凍りつかせた。


青い瞳がこちらを見るたび、理由もなく胸がざわつく。


その瞬間――オーエンは悟った。


この会議は“ただでは済まない”。



家臣ジムが読み上げた書状の内容は、想像以上に理不尽だった。


「ワスト領、盟約破りにつき離縁と妃の返還を命ずる」


重臣たちがざわめき出す。


「同盟が崩れたなら離婚は当然だ」

「妃を返すのも、古来の流儀だ」

「やむを得ん・・・」


年嵩の重臣ほど、“形式を守るべし”という意見が強い。


オーエンも、内心ではその一人だった。


妃がどう思おうが、政治の決まりごとは政治の決まりごと。


男たちで決め、淡々と進めるべき事柄だ。


そう――思っていた。


だが。


静まり返る空気の中、シリがすっと立ち上がった。


その瞳には冷たい青の光が宿っている。


「私は――離婚いたしません」


その声は、予想よりもはるかに落ち着いていた。


重臣たちの息が一斉に止まる。


「な・・・」

「離婚しない?」

「そんな前例はないぞ!」

「妃の意見で政治が動くと思うのか!」


怒号が飛び交う中、ただ一人、シリだけが微動だにしなかった。


「兄上が先に約束を破りました」


静かな語り口の奥に、怒りの炎が燃えているのがわかった。

怒りの色を宿した青い瞳が星のようにきらめいた。


「シズル領を攻め、同盟を踏みにじったのはミンスタ領です。

それなのに“ワストが同盟を破った”と断じるのは、あまりに筋が通りません」


青い瞳が、まっすぐに重臣たちを射抜く。


オーエンは息を飲んだ。


ーーこんな女が、いるのか。


その言葉は“言い負かす”という生やさしいものではない。


場の支配そのものだった。


重臣たちの言葉が、次々と消えていく。


「私はミンスタ領には戻りません。私はワスト領の妃です」


その一言に、空気の層が変わった。


誰もがシリの瞳を見るのをためらった。


視線を合わせれば、負ける。


オーエンでさえ、胸の奥に冷たいものが落ちる。


ーーこの女は、“妃”という枠をすでに逸脱している。


言葉ひとつで、この重臣会議をねじ伏せる力を持っている。


そして次の瞬間、場の均衡を破る言葉をシリは告げた。


「離縁の引き渡しは――私が対応します」


部屋が凍りついた。


「マ、マズいぞそれは・・・!」

「妃自らが行くなど聞いたことがない」

「向こうの家臣に囚われたらどうする!」


重臣たちの慌てふためく声が飛び交う。


だが、シリは微笑んだ。


その微笑みにさえ、場の空気を変える力があった。


「前例がないのは承知しています」


その笑顔に、重臣たちの空気が変わる。


コロコロと表情を変えるシリに、重臣たちが引き込まれていくのを感じた。


ーー人を虜にして惑わす。


そんなシリを苦々しくオーエンは見つめた。


「ですが、兄上の命令もまた“前例のない離縁”。ならば、こちらも前例に倣う必要はありません」


その瞬間、オーエンの胸に雷が落ちたような感覚があった。


ーーこの女。何を考えている?


妃の域ではない。

騎士でもない。


だが、政治の流れと人の心を、誰よりも読む女。


そして、まさかの瞬間が訪れる。


「離婚協議に同行する家臣は――オーエンを希望します」


空気が完全に止まった。


オーエンは、自分の名が呼ばれたことが信じられなかった。


ーーなぜ俺なんだ。


よりによって、“ミンスタを最も嫌っている自分”を。


「オーエンはワスト領のことを第一に考えています。

何か・・・困った事があれば、オーエンはその事を念頭に対応するはずです」


シリは淡々と説明をする。


そして、視線をまっすぐに向ける。


「そうですよね。オーエン」

オーエンを見つめながらシリは質問をした。


目を逸らしたくても、シリの瞳が逃がしてくれない。


挑むように、揺るぎなく、

ただ真っ直ぐにこちらを見つめている。


「それとも難しい?」

挑戦的な瞳でシリはオーエンの目を覗き込む。


彼女の言葉が、最後の一押しとなった。


オーエンの喉が、乾いた。


ーー逃げたら負けだ。


「・・・承知しました」


その瞬間――胸の奥で何かが小さく弾けた。


それがなんなのか、オーエンはまだ知らなかった。


「小休止しましょう」

ジムが声をかけた。



重臣たちは廊下へなだれ出て、口々に興奮を漏らした。


「参りましたね・・・」

「妃様、恐ろしいほど肝が据わっている」

「あの瞳で見つめられたら、敵わん」

ジェームズが、ほほ笑みながら肩をすくめる。


オーエンだけは黙っていた。


廊下に立ったまま、腕を組み、眉間に深い皺を刻んでいる。


隣に立ったジムが、ちらりと横目で見た。


「・・・型破りで大胆不敵」

オーエンは噛み締めるように呟く。


その声には、呆れだけでなく、よくわからない悔しさが混じっていた。


「次に何を言い出すか、ワクワクしますよね」

ジムは軽やかに笑う。


オーエンは顔をそむけた。


「男に生まれていたら、きっと――」

そこまで言って口をつぐむ。


シリを認める言葉など、喉が裂けても言いたくなかった。


ジムはそんな彼の心の内を見抜いているようだった。


「私はね、オーエン」

柔らかな声で続けた。


「グユウ様がすごいと思うんですよ」


「・・・何がだ」


「前例のないシリ様の提案を恐れず受け入れる。

彼女の力を信じて、任せようとする。あれは、普通の男にはできません」


オーエンは口を閉ざしたまま、ゆっくり頷いた。


小休止が終わり、会議が再開された。


「それでは引き続き重臣会議を始めます。冒頭で、シリ様からの提案があります」


ジムが告げると、会議室に再び静けさが戻った。


シリは椅子から立ち上がり、

離婚協議に同行する三名の家臣の名を呼んだ。


「ジム、ジェームズ、オーエン。お願いがあります」


呼ばれた三人が同時に顔を上げる。


どの顔にも緊張がにじんでいた。


「離婚協議中、もし命の危機に見舞われたら――私を置いて逃げてください」


場がざわめいた。


「シリ様・・・それは・・・」

ジムでさえ返す言葉を失う。


「女を見捨てて逃げるなど、できません」

オーエンは不機嫌そうに、しかし強く言い切った。


「そうです。シリ様を守るのが私たちの務めです」

ジェームズも不安げに続いた。


シリは静かに、しかし揺るぎなく言葉を重ねる。


「私はミンスタの人間。仮に連れ去られても、命までは奪われないでしょう。

それよりも――ワストの重臣三人を失うほうが、領にとっての損失は大きいのです」


重臣たちは、思わずグユウを見た。


領主は、凪のような瞳で短く答えた。


「あぁ」


ただその一言で、全員が“領主の了承済み”と悟った。


シリは小さく息を吸い、前に進み出た。


「領主からも了解を得ています。

ですから――必ず生きて帰ってください。これは命令です」


その眼差しに逆らえる者はいなかった。


「・・・承知」

オーエンは一刻も早く目を逸らしたいように呟いた。


続いてジェームズ、ジムがノロノロと頷く。


シリはにっこりと微笑んだ。


その笑顔は、覚悟を秘めた戦士の微笑みにも見えた。


そして――会議はそのまま、シリの独壇場となる。


会議が進む中、シリは、

兵糧封鎖や城の備蓄に至るまで、重臣たちを圧倒するほどの戦略眼を見せた。



会議が終わると、領主夫婦は静かに部屋を出ていった。


マサキも深々とため息をつき、頭を振りながら続く。


残された重臣たちは、興奮冷めやらぬ様子で口々にシリを称えた。


「・・・すごいお方だ」

「まさか、ここまでとは」

「これが・・・妃、なのか」


ただ一人、オーエンだけは黙ったまま廊下へと向かった。


その先で、ジムが壁にもたれ、彼を待っていた。


「オーエン。警護の件、後ほどジェームズと打ち合わせを」


「承知しました」


ジムは、意味ありげに微笑む。


「先ほど、シリ様と少しお話ししました。

 警護についても、何か考えておられるようですよ」


「あの妃は・・・いつもあんな感じなのか?」


オーエンの問いに、ジムは迷いなく頷いた。


「ええ。グユウ様とシリ様の会話は、だいたい“未来のワスト領”についてですね」


「・・・変わっている」

オーエンは低くつぶやいた。


「ええ。でも、とても優秀ですよ。

ゼンシ様が二十歳まで嫁がせなかった理由も・・・理解できますね」


ジムの声は淡々としていたが、そこには確かな敬意があった。


オーエンはゆっくりと顔を伏せる。


胸の奥にあるざわつきは、会議の最中よりも強くなっている。


――離婚協議まで、あと六日。


嵐の前の、最後の平穏が静かに過ぎてゆく。



離婚協議は、ついに明日に迫っていた。


「・・・こんな緊張する任務は初めてだ」

オーエンが深くため息をつく。


ジム、ジェームズ、そしてオーエンの三人は、

城の中庭の片隅で肩を寄せ合うように立ち話をしていた。


明日はシリに付き添ってミンスタ家臣団と対面する日だ。


「ジム、本来の離婚協議の流れを教えてくれ」

ジェームズが問いかける。


ジムは少し考え、淡々と口を開いた。


「通常であれば、妻本人は出席しません。

双方の家臣が条件を詰め、そのまま妻と子は生家――つまり実家に戻されます」


それが、この世界での“当たり前”。


だが。


「ところが、あの妃は生家に帰らない」

オーエンは、呆れとも諦めともつかない声で言った。


「それどころか、妃自らがミンスタ領の家臣と交渉するつもりらしい」

ジェームズが半ば楽しそうに言う。


「離婚を拒否する・・・なんて聞いたことがない。

 俺はあんな気の強い女――いや、妃は見たことがない」

オーエンは、シリの鋭い眼差しを思い出し、思わず顔をしかめた。


あの青い瞳は、どうにも落ち着かない。


「シリ様の采配を信じるしかありません」

ジムは静かに言った。


シリは、離婚しないと決めた。


この時代、女性が自分の意思で結婚・離婚を選ぶことなど皆無だった。


まして嫁ぎ先に居残るなど前代未聞で、揉め事になるのは避けられない。


それでも――シリは、その道を選んだ。


オーエンは胸の奥がざわつくのを感じた。


理由はわからない。


ただ、彼女の決断の重さだけが、妙に胸に引っかかった。


離婚協議は明日。


嵐のような一日が、近づいていた。




離婚協議の当日、朝。


薄曇りの空の下、城の馬場には緊張が漂っていた。


ジムとジェームズは馬車の前で最終確認をしている。


オーエンも合流したが、胸の奥のざわつきは消えない。


ーー今日、あの妃はミンスタ領に踏み込む。


考えるだけで、胃のあたりが重くなる。


「オーエン。大丈夫か?」

ジェームズが声をかけてきた。


「問題ない」

と答えたが、声は少し硬かった。


城門の周辺には、すでに多くの者たちが集まっていた。


離婚協議に向かうのは――

シリ、ジム、ジェームズ、オーエン、そして馭者二名。


馭者を二名にしたのはシリの指示だった。


どちらか一人が不慮の事故に遭っても、必ず帰れるようにするためだ。


人間より馬の数のほうが多い。

計画は前例がない。

だからこそ、多少の無茶でもやるしかなかった。


「無茶苦茶だ・・・」


オーエンが呟いた言葉は、誰の心にも同じように響いていた。

だが誰一人、反論しなかった。


ジム、ジェームズ、オーエンの三人は緊張で顔が強張っている。


やがて、城からシリが姿を現した。


青のドレスの胸元から首筋へかけて、陶器のように滑らかな肌がのぞき、

金糸のような髪が朝の光を受けてきらめく。


その瞬間、城の者たちは息を呑んだ。


見慣れているはずの妃。


けれど今日のシリには――強さと、美しさと、そして覚悟。


いつもとは違う、研ぎ澄まされた光が宿っていた。


オーエンは、その姿を見た瞬間、わずかに呼吸を忘れた。


シリは同行する三人に目を向け、

緊張を解くように、いたずらっぽく微笑む。


「行きましょうか」


まるでピクニックに出かけるかのような、軽やかな声だった。


「はい」

ジムが穏やかに答える。


「行きましょう!」

根が明るいジェームズは、まるで楽しんでいるかのようだった。


――妙だな。


オーエンは周囲をぐるりと見渡した。


城の者たちの目は、シリを一心に見つめている。


これから行うことは常識外れで、前例もなく、危険なものだ。


下手をすれば――もう、シリは戻らないかもしれない。


それなのに。


彼らの瞳には恐怖ではなく、

“シリなら必ずやり遂げる”という信頼と期待が満ちていた。


ーー城の者たちの心を掴んでいる。


その事実が、なぜか胸の奥をざらりと揺らした。


オーエンは悔しそうに、小さくため息をついた。


シリは人々の視線を受けながら、まっすぐグユウのもとへ歩み寄った。


城門脇に立つ領主の前で、立ち止まる。


「行ってきます」


深く頭を下げるでもなく、かといって寂しさを見せるでもない。


ただ、凛とした声だった。


グユウは静かに頷いた。


「行ってこい」


わずかに震えるその声を、

重臣たちは誰ひとり口に出さなかった。


シリはかすかに微笑む。


「はい」


その一言に、覚悟と信頼と別れのすべてが込められていた。


そしてシリは馬車の扉を開け、乗り込んだ。


城門に、冷たい朝の風が吹き抜けた。


オーエンは馬上で、その一連のやり取りを見ていた。


シリの背がゆっくり馬車の中へ消えていく。


その瞬間――胸の奥がひどくざわついた。


ーーグユウ様があんな声を出すのか。


自分でも理由のわからないざわつきが、喉の奥に小さな痛みとなって残った。


「出発します!」

馭者の声が響く。


馬車がゆっくり動き始める。


オーエンは馬の腹を軽く蹴った。


馬が前に進み、馬車の後ろにつく。


朝の光を受ける金の髪――馬車の小窓からわずかに揺れて見えた。


思わず、目で追ってしまう。


すぐに視線をそらす。


前を向き、手綱を握り直した。


馬車は城門を抜け、シリはゆっくりとワスト領を後にした。


その背を馬で追いかけながら、

オーエンは胸のざわつきを振り払おうとする。


だが風が吹くたび、

そのざわつきはかえって強くなるばかりだった。




四時間ほどかけて、馬車は領境の宿へと到着した。


「・・・すごい数の兵士だ」

オーエンが思わず声を漏らす。


宿の周辺には、ミンスタ領の旗印を掲げた豪奢な馬車が二台。


そしてその周囲に、およそ八十名の兵士が待機していた。


対するワスト領は――

馬車一台。

馭者を含めて、わずか五名。


あまりにも対照的な姿に、ジェームズでさえ不安げに眉をひそめた。


「争いの最中でも、シリ様を迎えるために兵をこれだけ出せる。

やはり力のある領です」

ジムが静かに言う。


「さて・・・どうする気だ?」

ジェームズが馬車へ視線を向ける。


声には隠しきれない緊張があった。


ワスト領の馬車が宿前に止まった瞬間、

ミンスタ兵たちは無言のまま大きな輪を作り、馬車をぐるりと囲んだ。


重い鎧の擦れる音、

鋭い視線――圧が空気を押しつぶす。


オーエンは無意識に、

腰の剣へ手を伸ばしかけていた。


ーー囲む必要があるのか?威嚇か、それとも“示威”か。


五人の心臓に、一斉に圧力がかかったようだった。



そのとき。


ミンスタ領の重臣――

ゴロクとキヨが、宿の奥から姿を見せた。


重い足取りでこちらへ歩いてくる。


ゴロクの胸には威厳があり、キヨの瞳には鋭い光が宿っている。


二人とも、

“迎えに来た”というより――“連れ戻しに来た”そのほうが近い。


オーエンは、馬車の中のシリを一瞬思い浮かべた。


ーー大丈夫なのか。


自分でも驚くほど、その胸のざわつきは大きかった。



彼らの視線の先で、馭者が馬車の扉を開いた。


青いドレスに身を包んだシリが、静かに姿を現す。


――その瞬間、場の空気が変わった。


ミンスタ領の兵士たちからも、低いざわめきが漏れる。


朝の光に照らされたシリの髪は、溶けた黄金のようにきらめき、

その青い瞳は親しげな柔らかさではなく、強く鋭い光を宿していた。


ただ立っているだけで、周囲の空気を支配するような圧がある。


シリはまっすぐにゴロクとキヨを見据えた。


その瞳に射抜かれると、ひれ伏したくなるような力すら感じられた。


「・・・シリ様! お久しゅうございます!」


ゴロクとキヨは慌てて深く頭を下げる。


「ここは冷えます。協議が終わるまで、どうか宿でお待ちくださいませ」

揉み手をしながら、キヨがへつらうように言う。


しかし、シリは一瞥しただけで静かに首を振った。


「シリ様・・・お子様方は・・・?」

ゴロクが恐る恐る問いかける。


シリは短く視線を合わせ、また首を振る。


「お荷物も・・・お持ちでないように見えますが・・・」

ゴロクの声は、徐々にしぼんでいった。


シリはきっぱりと告げる。


「宿には入りません。この場で離婚協議を行います」


「この場で?」

二人がさすがに戸惑いを見せた。


「家臣には任せません。私が行います」


あまりに当然のように言い切るシリに、ゴロクは動揺を隠せず問う。


「シ、シリ様、なぜそのような・・・」


宿に入れば、八十名の兵士に包囲され、

再びミンスタへ連れ帰られる可能性が高い。


屋外で、馬車のそばで行うほうが、


わずかでもワストへ帰還できる可能性が残る――それがシリの判断だった。


シリの背後には、ジム、ジェームズ、オーエンが控え、

いつでも剣を抜けるように身構えている。


違和感を覚えたゴロクとキヨが、数歩、シリへ近づいた。


シリはその動きを遮るように静かに言う。


「私は離婚をいたしません」


張り詰めた空気が、ピンと弦を張ったように震える。


「な、な・・・」

ゴロクとキヨの顔が引きつる。


「ミ、ミンスタ領にはお戻りにならないと?」


「戻りません」

シリの瞳は強く澄み渡っていた。


「・・・そのような話は、聞いたことがありません」

ゴロクの声がかすれる。


キヨは兵たちに軽い合図を送った。


兵たちは静かに歩を進め、三人とシリの周囲を包囲し始める。


だがシリの声は、まったく揺れなかった。


「前例がないのは承知しています。私が――そう決めたのです」


「ど、どうして?」


兵士たちの輪がじわりと狭まっていく。


青い瞳が怒りの光で燃えるように見えた。


「ミンスタ領が先に約束を破ったからです」


ゴロクとキヨは、思わず肩を縮めた。


ほんの一瞬、シリの姿がゼンシと重なって見えたのだ。


周囲の空気が凍りつく。


「ミンスタが盟約を破りながら、あたかもワストが争いを望んだかのように騒ぎ立てる。

その姿勢を――私は許しません」


怒りと冷静さが混ざり合う声だった。


シリの迫力に、ゴロクもキヨも目を泳がし、兵士たちまでが動けずにいる。


張り詰めた沈黙が続く。


そのとき――一人の兵士が、まるで引き寄せられるようにシリへ歩み寄った。


花に吸い寄せられる蝶のように、

陶然とした顔で、手を伸ばしかけた――


だが。


「触るな!」


鋭い声とともに、オーエンが即座に間に入り、剣を抜いた。


金属光が瞬き、空気が震える。


周囲の兵が一斉に剣へ手を掛けた、その瞬間――


「オーエン。剣を納めて」

シリの澄んだ声が、静かに響いた。


その澄んだ声には、不思議な強さがあった。


怒鳴ったわけでもない。


だが――誰よりもよく通る声だった。


オーエンは歯を食いしばった。


胸の奥に、燃え上がるような怒りと、言葉にできない焦燥が混ざっていた。


ーー妃様に触れようとしたんだぞ。なのに――。


オーエンは振り返った。


そこにあったのは、怖いほど美しい――氷のような青い瞳。


次の瞬間、オーエンの背筋を冷たいものが駆け抜けた。


静かに微笑む、シリのその白い手には、

細く短い――しかし確かな意思を宿す、一本のナイフ。


それは剣よりも小さい。


けれど、この場を制したのは刀剣の大きさではなく、

ただ一人、帰る場所を自ら選ぶ女の揺るがぬ覚悟だった。


オーエンは命じられるまま、震える手で剣を鞘に戻す。


背後にいたジムもジェームズも、

予想外の展開に動揺を隠しきれずシリを見つめていた。


――ナイフを出すなど、聞いていない。


その瞬間、場の空気はさらに凍りつく。


シリが静かに、自らの首筋へナイフを当て、微笑んだからだ。


細い刃は陽光を浴び、

銀の光が肌に吸い込まれるように揺らめいた。


「シリ様、それは・・・」

ゴロクが震えた声を絞り出す。


冷静を装っているが、喉の奥はわなないている。


「このナイフ、嫁入り道具に、兄上から頂いたものです」


シリは柄を持つ指先をわずかに上げて見せる。


そこには、ミンスタ家の旗印が刻まれていた。


「無理やり連れ戻すのなら、ここで、自ら命を絶ちます」


その声は驚くほど低く、落ち着いていた。


だからこそ――誰よりも重く響いた。


「やめてください! そんなことをしても、何も――!」

キヨが叫ぶが、シリは応じない。


そして、スッ――とナイフが引かれた。


細い首筋に、一筋の傷が刻まれる。


滲む赤が、青いドレスの胸もとへ静かに落ちていく。


まるで絹に咲いた赤い花のように。


その瞬間、場の誰もが息を呑み――動けなくなった。


予想外の行動に、オーエンの足も震えた。


「この顔に傷がついて困るのは、兄上でしょう」


血をつたわせながら、

シリは静かに、しかし鋭い瞳で二人を見据える。


「私が死ねば、 “ミンスタ領の家臣に脅され、命を絶った”ことになるのです」


その一言で、ゴロクもキヨも完全に動けなくなった。


「離婚しません。ミンスタ領には戻りません」


シリは二人を睨み据えたまま、ゆっくりと馬車へ後ずさる。


「必要な事は手紙に書いています。兄上に渡してください」


シリが横目でジムを見る。


ジムは懐から書状を取り出し、ゴロクへ差し出した。


オーエンは馬車の扉を開き、慎重に、その中へ身を滑り込ませる。


シリは馬車の真後ろに立ったまま言った。


「私が戻らなくても、家臣たちに怒らないように――そのことも書いてあります」


その声だけ、ほんの少し柔らかかった。


「待ってください!」

ゴロクの声が裏返る。


「シリ様、なぜですか? 我々が戦えばワスト領は・・・!」


言葉の続きは誰も言わなかった。


しかし皆が理解していた。


――ワスト領は勝てない。


圧倒的な領力差。


その現実を、シリがわからぬはずがない。


「我々は・・・あなたがいる城へ砲弾は打ち込みたくないのです!」

キヨの声は悲痛だった。


「お母上も、家臣も、侍女も・・・皆がシリ様を待っていますぞ!」

涙目になって訴えるゴロク。


その叫びに、シリの瞳がほんの一瞬だけ揺れた。


母の笑顔――

弟の笑い声――

侍女たちの優しい手――


確かに、そこは愛のある場所だった。


だが。


「ごめんなさい」

震える声で、それでもシリは言った。


「行かないでください!」

ゴロクが吠えるように叫ぶ。


シリの成長を幼い頃から見守ってきた彼にとって、

それはほとんど――父の叫びだった。


シリは、そっと首を振った。


「なぜですか!!」

ゴロクの顔は泣き出しそうに歪んでいた。


馭者の一人がオーエンの馬に乗り、ジムもジェームズも馬に飛び乗る。


シリはナイフを銀の帯へしまった。


「頭を下げて」

オーエンが低く、短く囁く。


シリはぽつりとつぶやいた。


「シュドリー城には、グユウさんがいない」


その一言に、オーエンの胸が一瞬ざわつく。


だが考えている暇はなかった。


次の瞬間、

オーエンはシリの細い腰をつかみ、ぐっと馬車へ引き込んだ。


二人はそのまま、狭い馬車の床へ倒れ込む。


「行けッッ!!」


オーエンの怒号が響いた。


馭者が鞭を振るう。


扉が開いたまま、馬車は土煙を上げて猛然と走り出した。


同時に、ジム、ジェームズ、

そして馭者のもう一人も馬を走らせ、ワスト領への道を矢のように駆け出した。




扉を開けたまま、馬車はものすごい勢いで走っていた。


オーエンは、狭い馬車の床にシリを抱いたまま倒れ込んでいる。


シリを中へ引きずり込んだとき、肩を強くぶつけたらしく、

身体を動かすたびに鋭い痛みが走った。


開いた扉から吹き込む風が、シリの青いドレスを激しく揺らす。


追っ手の姿はまだ見えない――だが、安心などできない。


けれど。


腕の中で震えているシリに気づいた瞬間、オーエンはギョッと目を見開いた。


ーー抱きしめている? 俺が?


不本意極まりないが、

シリの細い身体が、自分の胸にぴたりと収まっている。


震えている背中。

荒い呼吸。

息を吸えず、苦しそうに喘いでいる。


――気が動転している。


オーエンはすぐに察した。


抱きかかえているのは、まだ二十二歳の若い女性。


あれだけの緊迫した場に立てば、怖くて当然だ。


オーエンは震える身体をそっと抱き寄せ、耳元で囁いた。


「息を吸って、吐いて、吸って・・・」


シリの金の髪が頬にかかり、かすかに甘い香りが鼻をかすめる。


ーー柔らかい。いい匂いがする。


思考が危うい方向に傾く前に、オーエンは続けた。


「吸った息を・・・そうだ。ゆっくり、細く吐くんだ」


オーエンの指示に合わせるように、シリの震えは徐々に落ち着き、ふっと力が抜ける。


ーーもう離してもいい。


オーエンは慌てて腕を解き、四つん這いで扉へ駆け寄った。


強風にあおられる扉と格闘すること数分。


ようやく閉めることに成功する。


風の音も馬の足音も、遠くに引いていった。


――とりあえず、これで一安心だ。


とんでもない展開だったが、どうにか切り抜けた。


窓から外を見ると、ミンスタの兵は追ってきていない。


ジムもジェームズも、馭者の二人も無事。


そして目の前には、座席に顔を埋めて泣いているシリがいた。


状況が落ち着いた途端、

“苦手な女と二人きり”という事実に気づき、オーエンは妙に気まずい気分になる。


シリの傷のことを思い出した。


ーー止血をしないと。


「シリ様」


“様”をつけることに抵抗を感じる。


シリは顔を上げない。


「シリ様」


もう一度呼ぶ。


返事のないシリに、オーエンは小さくため息をついた。


「手当をします」


そう言って、無理に身体をこちらへ向けた。


涙に濡れた青い瞳があらわになる。

その美しさに、オーエンは一瞬息を呑んだ。


慌てて目をそらし、傷の確認をする。


首の傷は深くないが、

痛々しく赤い線が開き、青いドレスにも血が落ちていた。


「消毒します。顔を上げてください」


布にアルコールを浸しながら、オーエンは気づく。


――顔が近い。


どうやっても意識せずにいられない距離だった。

息が肌にかからぬよう注意しつつ、布をそっと当てる。


布が触れた瞬間、シリはキュッと身を固くした。


「無茶をした」

オーエンは思わず見つめる。


シリは涙で濡れたまま、勝気な瞳で言い返す。


「無茶なんてしていません」


その強気な言葉に、オーエンの暗灰色の瞳に何かが灯った。


「泣くほど辛いなら、ミンスタ領に戻ればいいのに」

思ったままを、つい口にしてしまった。


「泣いてません」


泣きながら言うシリに、

オーエンは深いため息をついた。


「止血します。顔を少し上げて」


白い喉が震えているせいか、

ネッカチーフを巻くのに、思いのほか時間がかかった。


間近に揺れる青い瞳と、薔薇のような淡い唇が、どうにも気に障る。


泣き止まないシリを座席へそっと座らせる。


「無鉄砲ですが・・・見直しました」


悔しそうに、しかし正直に言った。


自分には到底できない芸当だった。


純粋に――すごいと思ったのだ。


泣き腫らした目で、それでも笑ってみせるシリ。


その瞬間、オーエンは気づいてしまった。


ーー目が離せない。


次に何をするのか。


何を言い出すのか。


怖いのに、気になってしまう。


自分で自分が理解できないほど――心のどこかが、ざわつき始めていた。



馬車が止まった。


すぐに扉をノックする音がして、ジムが顔をのぞかせた。


「休憩をしましょう」


シリと二人きりの空間からやっと解放される――

オーエンは、その事実に心底ホッとした。


馬車を降りて、ようやく安定した地面に足をつけた瞬間、

そのまま座り込んでしまった。


――疲れた。


それはオーエンだけではなかった。


ジムもジェームズも、同じように草の上へ腰を下ろしていた。


緑の草葉に座り、きらめく湖面が揺れるのをぼんやり見つめる。


鳥の囀り。


春の風が頬を撫でる。


今まで気づく余裕すらなかった穏やかな景色が、

ようやく目に入ってくる。


ーー平和だ。


敷物の上に座ったシリが、突然ヒステリックに笑いだした。


「すごいことをしたわね、私たち」


首には白い布がしっかり巻かれ、出血は止まっていた。

傷は浅くとも、あの緊張と興奮では身体が消耗しているはずだ。


「はい。なかなか経験できるものではありません」

ジムが穏やかに笑う。


「戦より疲れた」

オーエンは力なく答える。


「我々はあの大軍から逃れたんですよ!」

ジェームズが楽しげに膝を叩いた。


「シリ様、実に見事な采配でした」

「あんなに馬に鞭を打ったのは初めてです!」

馭者たちまで興奮した声で言う。


一同は思わず大きく笑った。

笑い声は、春の空へ軽やかに溶けていった。


 

昼食にはサンドイッチと――アップルパイが並んでいた。


「アップルパイ!」

シリが目を輝かせて微笑む。


厨房の者たちが、シリの無事を願って作ってくれたのだろう。


シリ以外の面々は、見たことのない食べ物に眉をひそめている。


「美味しいんですよ。食べてみて」

シリが勧める。


半信半疑で一口かじったオーエンは、その甘さに声を失った。


「・・・うまい」


思わずこぼれた声に、シリが嬉しそうに笑う。


包帯の上から首元を押さえつつ、

幸せそうにアップルパイを頬張るシリ。


――さっきまで泣いていたのに。


ころころ変わる表情が目を引き、

つい目で追ってしまう自分にオーエンはハッとした。


ーー惑わされるな。


自分に言い聞かせるように、深く息をつくのだった。



遠くから馬車が走ってくるのに気づいた城内の人々は、

我先にと城門前へ駆け寄った。


グユウもそこに立っていた。


顔は固く、指先までも緊張の色を帯びている。


見えるのはジム、ジェームズ、オーエン、そして馭者二人。


――シリは。


馬車が止まった瞬間、

馭者が扉に手を伸ばすより早く、シリ自身が勢いよく扉を開けた。


「ただいま帰りました」


その一言で、周囲の空気が震えた。


エマは驚きのあまり、喉の奥がヒュッと鳴った。


ドレスの胸元は血で染まり、首には白い布が巻かれている。


それでも、城内の者たちは一斉に歓声を上げた。


泣き出す者もいた。


その瞬間、グユウが動いた。


一歩、二歩――

やがて駆けるようにシリへと近づき、彼女を力強く抱きしめた。


抑えていた感情が堰を切ったように溢れ出し――


次の瞬間、唇が重なった。


城門前、全員が見守る中での、唐突で、熱く、切実な口づけだった。


侍女たちが黄色い悲鳴を上げ、エマは目を剥いた。


その様子を、オーエンは少し離れた場所から見ていた。


――見たくないと思った。


胸の奥で、何かがギュッと絞られたように痛む。


論理では説明できない痛み。

傷でも衝撃でもない、もっと奇妙で、苦い感覚。


ーーなんだ、この感じは。


シリが生きて帰ったのだから、領主が抱きしめ、口づけるのは当然だ。


それが政治でもあり、夫婦でもある。


理解はしている。

頭では、すべて納得している。


なのに、その光景が胸のどこかを刺した。


痛い。

悔しい。

だが理由がわからない。


ーー馬鹿みたいだ。何を気にしている。


必死に自分を叱りつけても、

胸の痛みだけは消えてくれなかった。


 

長い一瞬が過ぎると、

グユウは急に我に返ったようにシリから離れ、そそくさと城へ向かう。


「あ、グユウさん! 待って!!」

シリが頬を赤らめ、裾を持って駆け出す。


白いふくらはぎがちらりと見えたその瞬間、オーエンはまた胸を抉られるような気がした。


理由は、まだわからない。


だが――確かに痛かった。


佇むオーエンの隣にジムが、そっと近づく。


「“嫌い”という感情は、意識しなければ持てないものです」

ポツリと呟く。


オーエンがポカンとした顔で振り返ると、ジムは意味ありげに微笑む。


「つまり、それは――」


一拍おいて、やわらかな声で続けた。


「恋の入口、かもしれませんね」


オーエンは殴られたような顔になった。


反論を口にする前に、ジムはすでにその場を離れていく。


「そんな訳ない」


苦々しく吐き捨てる。


城門前の歓声は続いているのに、

オーエンの周りだけ、妙に静かだった。


――嫌いが、恋の入口?


馬鹿げている。


だが。


青いドレスの背を追いかけたときの焦燥。

手当をしたとき、ふと感じた熱。

そして今、目の前で男に抱きしめられたときの、

胸の奥に走った“あの痛み”。


ーー恋愛なんてまさか。


そう否定するほど、自分は冷静でもなかった。


そんな厄介で恐ろしくて、

目をそらしたくなるような感情が、胸の底で静かに蠢いている。


オーエンは深く息を吐き、気づけば、視線が追っていた。


グユウの背を追って、

ふくらはぎをさらしながら城へ駆けていく妃。


ーーなんという女だ。


胸の奥に残る熱を抑え込むように、オーエンは小さく呟いた。


「・・・すごい妃だ」



最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


今回の短編とつながる

二つの“裏側ストーリー”を置いておきます。

(どちらも短篇)


◆家臣オーエン、魔女と呼ばれた妃に惑わされる

https://ncode.syosetu.com/N4509LA/

“嫌い”だった妃に、初めて胸がざわついたオーエンの話。


◆寡黙な領主、初めて嫉妬した夜

https://ncode.syosetu.com/N0923LB/

無口な領主グユウが、初めて妻を独り占めしたくなった夜。


どちらも今回の物語の“もう一つの視点”を描いています。


そして、物語の原点はこちら。

シリの視点で描いた本編連載(完結済)です。


『秘密を抱えた政略結婚 〜兄に逆らえず嫁いだ私と、無愛想な夫の城で始まる物語〜』

https://ncode.syosetu.com/n2799jo/


あらためて、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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