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ブループリントヒトゲノム  作者: 冬蜂
序章 ゲノムユートピア編
3/19

第三話 悪魔が来りて銃を撃つ

"高速化"+"光属性"+"武器化"+"武器化"+"武器化"+"武器化"+"峰打ち"+"浮遊化"


「"詠唱"+"氷属性"+"氷属性"+"氷属性"+"痛覚遮断"+"瞬間移動"+"組換"+"念力"」


ライルさんとリラは双方、それぞれ構えを取っていく。


ライルさんは明らかに挑発目的で両手を広げ、まるで神が君臨したかのようなポーズを取り。


リラは"詠唱"の効果により真白のオーラを放ちながら、右手を彼の方向へ掲げるポーズを取り。


二人は対峙する。


そして降下を続ける私の身体に"浮遊化"が付与された瞬間―—。


対峙する彼等の間は一気に縮む。


先手。ライルさんは浮遊状態で両手両足に白いオーラで出来たビームサーベルを生成。且つ、高速移動で一気にリラの首に狙いを定める。


後手。リラはこの舞台を一瞬にして凍結させた。彼女自身は瞬間移動で別の個所に移動しながら。


「ファインプレーだね。アーミー君」


ただし一般人である私の存在を考慮していたのか、彼までも一瞬で凍らせる程の氷の生成及び低温化は出来なかったらしい。


続けて軽口を叩きながら、いち早く教会の天井へ思いきり突進。


そして超高速で天井の一部分を豆腐を切るが如く、ブロック状に細かく裁断してしまう。


……ん、あれ? あの人、私をさっさと置いてこの寒い教会の外へ脱出してしまおうと考えるんじゃ……?


「褒め、褒める暇あるなら、私を、避難とかやり、ようが……」


寒くて口が動かない。マジでライルさん……いや、アイツ…アイツそう言うところあるよなずっとッ…!!!


すると私の怒りに反応するかの様に突如、ライルの真下から先の尖った氷柱が生成。


氷柱は恐ろしい速度で成長してはライルの身体を貫いて、そのまま天井よりも高く昇ってしまう。


かと思えば、一瞬で氷柱は溶ける様に消滅。彼は血反吐を吐きながら上空で宙を泳ぐ。


そして瞬きもする間も与えること無く、彼はそのまま教会へ落下して逆戻り。


それも大量の氷の刃が身体に刺さった状態で。








「あれは……」


私はその"光景"に思わず見惚れていた。


割れた天井から垣間見えるは――、氷の翼を生やして空を飛ぶ天使。


大きく真白の冷たい羽を広げ、祈る様な所作を見せる天使。


悪魔の様な紛い物とは違う、正真正銘の天使。


「すぅ……大丈夫ですからね……!私は決して人間を見捨てませんから、待っててください!」


リラはそう大声ではつらつと叫んだ後、瞬間移動を駆使して私の元までたどり着く。


「ほんと申し訳ないです!こんな事に巻き込んでしまって!」


「……は、はあ」


つい今朝まで彼女をとんでもなくディスっていた身としてはかなり複雑な心境だった。


「此処は危険ですので、瞬間移動で避難させますね!」


「い、いや別に自分で避難でき


「あの悪魔にこれ以上洗脳させる訳にはいきませんので!じゃあ行きますね!」


何故、誰も人の話を聞かないのだろうか。


そして私はたらい回し宜しく、再転送。せめて転送される場所とか教えてほしいものだ。










「此処は……」


さて、私が転送された場所は……つい先程まで居たあの喫茶店。


しかも私とライルが座っていたテーブル席に瞬間移動と来た。


「色々言いたい事はあるものの……とりあえず、ホットコーヒーを用意しておいた。本物のマスターでは無いので味は保証しないが」


そして私を待ってましたと言わんばかりに、テーブル席にコーヒーを置いてくれるのはあのマスター。


「ま、マジですか……!」


「ふっ……不味すぎてまたどこかに逃げ出さない様にしてくれると助かる」


「ま、マジですか……」




◇    ◇    ◇    ◇



時は少し遡る。




「……思ったよりやるじゃないか」


氷の刃を一本ずつ引き抜きながらライルは上空に居るアーミーとリラのやり取りを眺めていた。


「私は本当に君のことは知らないが……。そんな事はどうでもいい」


どうでもよくないのは、どこで己の素性を知っていたのか。どこまで己の素性を知っているのか。


ライルはその事のみを考えていた。


明らかに数百人の殺しに関与していることを天使は理解している。


「まあ……後で考えよっか」


アーミーの避難が終わった。


そんな訳で天使も容赦しないらしく、教会にぴったり張り付いた氷に"組換"を発動。


"組換"は形状を組み替えるゲノムであり、彼女は氷で大小様々なゴーレムを錬成。全部で20体程。


そしてこのゴーレム達の物量を持ってライルを押し潰す作戦だ。ついでに温度も絶対零度にまで低下させ、少しでも死亡率を上げている。


「あの天使の方がよっぽど怪物では?」


そう嘆きながらもライルは右手に意識を集中する。


「ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!!」


"武器化×4"


ゴーレムは一切に言葉にならない叫びを上げる。


"光属性"


そしてまるで雪崩の様に地面に向けて押し倒れていく。


"高速化"


「四連ビームサーベル発動」


右手からは長剣に似た形状のビームサーベル。


それを真横に向け、手を伸ばした状態で思いっきり振るう。








その刹那―—、教会は真っ二つに割れる。


ビームサーベルを振るった軌道に沿って真横に綺麗に水平に。


ついでにゴーレムもその被害に遭い、大きく身体を崩していく。


さらにビームサーベルから発せられる光熱により、周囲の氷は一瞬でほとんど溶けてしまう。


「……な、なんて事をしてくれたんですか! これでは他の住民に被害が!」


教会もまたバランスが崩れた影響で、今まさに絶賛崩壊中。近くには一般市民などもおり、どこぞの悪魔のせいでかなり危険な状況だ。


天使がそれを当然見捨てる訳もなく、ライルでは無く教会の崩落を阻止することを優先する。


「とりあえずこれなら……!」


彼女は"氷属性"と"組換"を駆使して、市民を守る様に巨大な氷のかまくらを造り上げる。


見事、崩れゆく教会の瓦礫から市民を助けることに成功した。


「早くあの悪魔を排除しないと私の理想郷が崩れてしまいます!!!」


当のライルは高速移動しながらわざわざ彼女の真上に見える様に浮遊移動。


「いいこと思いついたから見てくれる?」


そう言い出すと今度は背中にビームサーベルを四本生やし始める。


「我ながら神々しいと思わないか? この光の翼。私の方が天使っぽい」











「……殺してやる」


数秒の間を置いた後、天使は悪魔の所業に気付く。


「あのさ、マスターの方が慈悲深いってよく言われない?」






しかし彼の言葉と同時に放たれるは銃撃音。


それもサブマシンガンの連射音。


「ふう……此処までしないと……聞こえないらしい」


「結構必死に叫んでいたんですけどね」


リラとライルの近くに生えていた螺旋塔の頂上には、何故かマスターとアーミーが立っていた。


「お二方! これ以上騒ぎを大きくするなら、天使様でも悪魔様でも止めなければなりません!」


そう言ってマスターはサブマシンガンを右手に持ちながら左手である物を取り出す。


「私は警察なのでね」


掲げられた物は正真正銘紛い物無しの――、警察手帳。

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