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ブループリントヒトゲノム  作者: 冬蜂
第二章 ■■■■編
19/19

第十八話 復活の■

"瞬間移動"+"浮遊化"+"光線"×500+"筋肉増強"×100+"金髪"+"長髪"+"オーラ(金)"×300






=孫■空(スーパーサイ■人)


処刑人は帽子を外しながらゴンドラから地面に降り立ち、本気を出していた。


相手は……この私、アーミー・ブループリント。


「なんだよなんだよ……お前ばっかり主人公みたいにギリギリで勝ちやがって。俺なんて雑魚三匹(スカルプタァ、ツギハギ屋、交渉人)倒しただけじゃねえか」


「そうですね。今の私から見れば貴方なんて雑魚狩りしてイキってるおバカさんにしか見えませんね」


身体の傷は双頭犬のゲノムの一つ"自己再生"で完治。体力も一瞬で全快している。


だがツギハギ屋、教授、次いで犬や未亡人との連戦が続いていたので単純にストレスがエグいことエグいこと。


なのでいつも通りの挑発を兼ねた八つ当たりを全て処刑人にぶつけていく。


「あのな、言っとくけどな。俺の魂には今、孫■空が居るんだよ。孫■空が雑魚狩りする訳ねえだろ」


何に怒ってるんだコイツ。


「俺はよ、お前はマジで強いと思ってんだ。そうじゃなかったら女子高生相手に"孫■空"で来る訳ねえだろ」


何を言ってるんだコイツ。


てかマズい。お得意の挑発が効かないぞコイツ。終始、処刑人のペースに引っ張られる。


「五分だ。五分でこの戦いを終わらせてやる」


あー、何か勝手に宣言してやがる。


「ははっ……フリー■戦のラストみたいで最高じゃねえかよ……!」


何を一人で盛り上がってるん。フリー■戦のラストとか知らんし。


しかしその宣言の直後、私の彼の上空には影だけで出来た飛行機があちこちで飛び始める。





"1945年■月■■日"




「フリー■はお前。孫■空は俺。あと五分で崩壊するナメ■ク星で殺し合うんだよ、俺等は」




飛行機からは大量の何かを模した"影"が乱雑に降り注ぐ。


その"影"は地面やビルに触れた瞬間、大きく破裂する。大量の"炎属性"ゲノムと"衝撃"ゲノムを放ちながら。





よって、私から見える白黒の世界は一瞬にして――。




真っ赤に燃える業火の世界と化した。



「"モノクロ"を模してた螺旋塔が爆撃で壊れたんだろ。まあ……どうでもいいよなそんなの」


……。


「それよりさ、このネオ東京が全部燃えちまったらさ……俺が無罪放免になった時好きに遊べねえ方が問題だ」


……。


「だから終末論くんには、あの爺さんを止めて貰う。んでその間に俺がお前を殺るって訳。ふっ……我ながら完璧な計画過ぎて震えるぜ。ワシ……パ■ーみたいにノーベル賞取れるかもしれねえ……」




……自分語りばっかしてる奴はモテない。


なんてことだろうか。初対面の時はあれだけ脅威に感じていたアイツも、今の私にはそうでもなく見えている。




さて、今この時も真上から黒い物体が次々と降り注ぐ。周りのビルは完全に被害を受け、一瞬で廃墟と化している。黒煙が立ち、業火も立ち、この百貨店ももう直ぐ消し炭になるだろう。





だが私の頭は冷静だった。




"筋肉増強×100"




「もう色々考えるのも面倒なんで……何も考えないで殴り合いません?」



ある程度の爆撃は空間操作で逸らすことは出来る。まあ、私の体力が持たなくなるので完全に防ぐのは無理だけど。


ただ……五分くらいなら本当に戦える。



「どちゃくそヤケクソじゃねーかお前」




「……そう言う御託はもういいです。やるんですか?やらないんですか?どっちなんですか?」








「ははっ……いっちょやってみっか」




もはや人の悲鳴すら掻き消す爆撃は続く。


そんな最中だと言うのに、二人は攻撃の構えを取る。




「"筋肉増強"×100」





私と同じゲノムを処刑人が発動する。


途端に私は彼の元へ一気に駆け出し、挨拶代わりの真空飛び膝蹴りをお見舞いする。



私は"筋肉増強"ゲノム(設計図)によって、筋肉をプロのアスリート並に自由自在に動かせるようになっていた。


動体視力や経験、スタミナ等では無論叶わないがそれでも動きだけなら格闘家の域に達する。


「……あ、言っとくけど俺は格闘漫画も好きだぜ。特に刃■」


処刑人は首根っこを掴んで、私をコンクリートの地面へ乱暴に叩きつける。


だが私は背中に筋肉増強パワーを発動して受け身を取り、ダメージを最小に。


なんならさらに背中に筋肉を増やし、倒れている状態からバウンドする様に起き上がり……。




「さっきから漫画のボケ伝わってないの気付けやああああ!!!」




処刑人の頭に渾身の頭突きを叩き込む。頭蓋骨カチ割れろ!!!


だが攻め手である私にも受け手である彼にもダメージが入り、どちらとも額から血が滲み始める。



「いいやッ!何回でも伝わるまで言うからな俺はッ!言葉じゃなくて心で理解するまで俺は殴るのを止めないッ!」



それでも処刑人は全く怯まず、私の顔面を狙って右ストレート。


私はそれをあえて喰らってスリッピングアウェー。要は受け流し。


そしてその場で私の身体は一回転。彼の顔面を狙って裏拳を放つ。


処刑人は受ける。続けて私の顔面狙いで掌底。


私も受ける。続けて彼の顎狙いでアッパー。


処刑人も受ける。続けて私のボディ狙いで左フック。


私も受ける。


処刑人も受ける。


私も受ける。


処刑人も受ける。





いつしか一撃でしか無かった攻撃は連打と化し――。


いつしか多彩に繰り出していたパンチはストレートのみと化し――。




「「オラアアアアアアアアアァァァァァ!!!!!!」」



二人の戦いは血を血で洗う殴り合いの応酬と化す。





あの時、誓った。


"私は全ての民がゲノムを誰かを救う為に使って貰える世界を作りたいと思っています。誰かと争う為じゃなくて。ましてやご両親が託してくれたゲノムを戦いに使うだなんて……悲しすぎます"


リラやマスターの人生を壊した真犯人を絶対捕まえると誓った。


"こんな時でも涙が出てこないのは……、きっと哀しい事なんだろうね"


私はもう絶対に逃げずに戦うと誓った。


"ごめんなさい。……私は悪人なので、リラの為に争いますね"


例え、人間を捨てて兵器になろうとも――。







それは見事なまでに綺麗に決まった。


カウンター一閃。






私は処刑人の顔面へ右ストレートを全身全霊でブチ込んでいく。



爆撃音に一石を投じる様に、筋線維がブチブチと千切れる音、骨がボキボキと砕け散る音、処刑人の声にならない断末魔は静かに奏でられる。






処刑人は大きく全身が吹っ飛びながら地面へそのままダウンする。






「ははっ……マジか……マジかよ」


まだ彼は意識が残っている。


「一週間前まで……逃げまくってた雑魚だったんだぜ?」


「それが……修行を重ねて、色んな奴と戦って、遂にはこの俺にまで勝っちまったよ」


「王道過ぎるだろうが……!」




まだ彼は意識が残っている。


だが私は追撃することなくその様子を見守り続ける。



此処での最適解は倒れている奴の顔面をもう一度殴り飛ばして再起不能にすることだ。


だが私は追撃することなくその様子を見守り続ける。



「ジャ■プの最終決戦は壮絶な殴り合いが相場だって決まってる。……それを俺は……俺達は叶えたんだよ。すげえよマジでお前」


「これを……たった五分で終わらせるのかよ。こんなに楽しいのに?」



何故……殴れないんだろうな、彼を。


私視点から見ても2キル、恐らくそれ以外にも何キルかしたであろう殺人鬼のクズなのに。



「終わりたくねえ。終わりたくねえよ」



今でも奴は"筋肉増強"以外のゲノムを使おうと思えば使えるはずだ。


だがそれをしない。



「駄目だ。五分じゃ駄目だ。もっと続けるぞ」



何故、殴れない。もう相手は再び立ち上がり、こちらに戦闘の意思を向けている。明らかに私の行為は悪手だ。


何故、殴れない。





「……こういう時に言うんですかね」




そうか……。この純粋な殴り合いを余計な物で汚したくなかったからか。





「いっちょやってみっか」





私は再び処刑人に向けて戦闘の構



「何言ってんだ、この勝負はもうお前の勝ちだよ」


「……?」


……?


「今から"はぐれ日本軍"って言う、激ヤバジジイ一緒にぶっ飛ばすぞ。終末論の勝ち名乗りを待つのもしゃらくせえだろ。早いとこ、こんなの終わらせて直ぐに喧嘩しようぜ」


「……?」


……?


「つまり……私と貴方で……共闘ってことですか?」


すると処刑人は頷きながら子供の様な笑顔を見せる。


「俺は努力・友情・勝利で構成されてる男、孫■空なんだから当然だろ」


「ああ……! このタイミングでボケられるとか頭おかしくなるゥゥゥ……!」





"ただの女子高生。アーミー・ブループリント"VS"汚職家ギロチン殺人事件。処刑人A"



勝者。"ただの女子高生。アーミー・ブループリント"


ただしライル・ジッドが"はぐれ日本軍"及び"■■"に対して妨害を行った為、報酬は無しとする。




「あ、おい! 良い事思いついたぜ。ちょい耳貸せ」


「嫌です。あと命令口調腹立つんで止めて下さい」


「しゃあねえな。まあ、爆撃音でほぼ聞こえねえから大丈夫か」




"今から俺達は……■■■■に乗っ取って、■■を■■するんだよ。"




「俺はジジイの為に用意されたジョーカーじゃねえって事だ。俺はトランプで言うところのA(エース)なんだよ」




第十八話 復活のA(エース)

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