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ブループリントヒトゲノム  作者: 冬蜂
第二章 ■■■■編
15/19

其之十四 ■■■の■■■■■!!

「ええモン思いついたからの……やっぱ修行今から始めよか。修行内容は"牢獄から脱獄して偶然、百貨店に居座っちゃった殺人鬼十人を全員ぶっ倒すまで帰れまてん!"っちゅー奴よ」


「……ようやく本性見せやがったか」



【"牢獄から脱獄して偶然、百貨店に居座っちゃった殺人鬼十人を全員ぶっ倒すまで帰れまてん!"ルール説明。】

・ルール自体はまんまタイトル通りなので省略。制限時間は無し。活動範囲は百貨店内全部。一階から屋上までOK。外に出た場合は死ぬ。食料の補給は一切無し。百貨店内の食べ物は食べて良し。


・アーミーorリラが死んだ場合、或いは殺人鬼全員が再起不能と判断された場合、ゲームが終了する。


・殺人鬼達にはアーミーorリラを殺せば、その殺した一人だけ無罪放免と伝えている。


・二人の内、どちらか先に死んだ時点でゲームは終了するのでそれ以降に殺してもノーカウント。要は無罪になるのは絶対に一人だけ。ライルも殺して良いが特に報酬は何も無い。


・アーミーが殺人鬼を一人ずつ倒す度にゲノムを贈与される。ただし何でもでは無く、倒した殺人鬼が所持していたゲノムが贈与される。


・アーミーが例え死亡しても、ネオ東京では兵器として復活できる手筈を整えているので安心して欲しい。


・ライルも殺人鬼の妨害OK。ただし妨害した時点でゲノム贈与は一切の打ち切りとする。ゲームは続行される。妨害と見なされる範囲は殺人鬼に危害を加えた場合など。助言程度はあり。


・殺人鬼の強さは基本的にマスター程度。一般人視点から見れば脅威だがライル視点から見ればすぐに鎮圧できる。


・ただしババ抜きで言うジョーカーが数人おり、そいつらは現時点でのアーミーには勝てないレベルで強い。


・ジョーカーの内の一人はライルよりも強い。


――以上が基本ルールとする。疑問等があった場合は壁に設置された固定電話から連絡可能。

国王専用電話番号。■■■番。



この情報がコンマ単位の刹那でライルとアーミーの脳に"詠唱"として流し込まれる。


「……電話じゃなくて最初から詠唱で良かったのでは」


ライルは当然の疑問を受話器の向こうに居る国王に問いただす。


「そんなら雰囲気が出んじゃろが。……あとこの修行断ってもええけど、その際は三人を不法入国者として処刑するでな」


「私に脅しかい?」


「さっき言うたじゃろ。ワシの国にはライル氏よりも強い奴がおると」


「……驚きだな、ハッタリじゃないのか」


ライルは勿論、国王の心を読んで言っている言葉が真実かどうかを見極めていた。


心の底からアーミーを鍛えたくてこの修行を考案し、本気でライルよりも強い者が居ると豪語している。


「そうか……。だったら、ほんと君を生き残しといて良かったよ」


「ひひひひっ……」


「私を殺してくれる者を育成してくれたんだから。これで退屈しないで済む」


「ひひひひひひっ……!」


「……って昔の自分なら言ってただろうね」


「あ"……?」


途端に空気は切迫する。しかしそれすら気にせず、ライルは淡々と通話を続ける。


「まあ……アーミーには修行が必要だとは思っているから、それはそれで別にいい。ただ、リラは精神が不安定な状態にある。この修行からは除外して欲しい。後は十人の殺人鬼における顔と名前が付いたリストも頼む」


「あ、ああ……。それくらいならええぞ。リラ氏とライル氏には観戦用の席でも用意しとくわ。リストの方も今すぐ詠唱で送ったる」


「よし……それでいい」


ライルはかなり雑にぶん投げて受話器を置く。





【十人の殺人鬼リスト】

数字:事件名。異名


イ:汚職家ギロチン殺人事件。処刑人A


ロ:結婚式場同時多発テロ。紅い未亡人


ハ:プロフェットの双頭犬。プロフェットの双頭犬


二:ネオ東京大虐殺。はぐれ日本軍


ホ:キマイラ大量増殖事件。死霊兵団


ヘ:ゲノム怪奇奇譚。ツギハギ屋


ト:■・■■事件。交渉人


チ:聖なる遺体回収事件。スカルプタァ


リ:ネオ東京規律第九条重大規定違反。■■教授


ヌ:■■■■■。■■






途端に百貨店内に警報を知らせるサイレンが盛大に鳴る。





「……いや、良くないですよ!? 私は別にこの修行に許可してませんけど!?」


さて呑気にライルが通話でイチャイチャしている間、私はと言うと必死にリラの手を握りながらエスカレーターから全力で逃げていた。


距離にすれば150m~200m程か。ただツギハギの男はエスカレーターを降り切っても、そのまま立ち尽くしたままで動いては来なかった。


恐らくゲームが始まるまでは待機を命令されていたから。それにしては我慢できてなかった様に見えたけど。


片腕からは白黒のオーラがモクモクと立ち込めており、霧が如く視界を徐々に悪化させていく。


ちなみに現在、ライルは私と奴の丁度中間付近にて、私に向けて緩やかに手を振っている。くそう、今はあいつなんて見えなくていいのに。


「まあ……やりますけどね」


私は覚悟を決めて急旋回。クルっと真後ろを向き、エスカレーターのツギハギの男改め……"ツギハギ屋"に構えを取る。




"瞬間移動"



消えたのはリラとライル。


"二人なら観客席に行ってもらったわ。アーミー氏の雄姿を存分に拝めて貰わな"


私の横にあるディスプレイのテレビには、モダンな喫茶店にてリラとライル、国王、幸江お婆ちゃんの四人が何やら話し合っている様子が写っていた。



"ちなみにこの喫茶店は百貨店三階の南側にあってな、一番のオススメは……"



「ふぅ……」



国王の説明は霧に消える。


私は目の前の敵に集中する。





「只今より、この百貨店を治外法權とします。思ふ存分殺し合つてくださひ」





アナウンスが終えた後、サイレンはピタリと止む。






「ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"!!!!!」



再び娑婆に出られた興奮でツギハギ屋は白目のまま、私に闇とバチバチを纏ったオーラと化した右腕を向ける。


そのオーラは百貨店の通路を塞ぐ程に巨大な掌をかたどり始め、恐ろしい勢いで襲い掛かって来る。





「……"メルヘン"」


焦る気持ちを抑えて、まずは落ち着いて様子見。


私の周囲には錆びついたブリキの兵隊が十人ほど召喚される。


私の守護に三人、掌への攻撃に七人とそれぞれ編成。


早速、七人のブリキ兵士は歩兵銃で掌にバンバン容赦なく撃ち始めていく。


が、そんなの関係なしに掌はどんどん距離を詰めてくる。


残り50m


40m…


「馬鹿そうだと思ったんですけどね」


30m…


様子見した結果、奴との実力差は思っていたより大きい。まず今の私じゃ勝てない。


20m…


なので、四人で逃げる。



真横に見える甘味処【みつひな】(カステラ売ってたところ)に。



10m。この時点で七人は捨て身で掌にタックル。少しでも時間を稼ぐ。


どうやらこの掌には触れることが出来る模様。てっきり霧みたいに掴めないかと思っていたので、良い事を知れた。


0m。掌は兵士達を巻き込みながら入口の玄関へそのまま掌底一つ。


玄関のガラス張りの扉を余すことなく全部割っていく。




「……難易度調整ミスってません?」




修行って言うもんだから、私でも倒せる程度の敵を用意していると思っていた。


まだあのお爺ちゃんは優しいものだと思っていた。


ガラスを突き破った掌はそんな甘ったれた思いと共に一瞬で消える。


残っていたのは……バラバラに潰されたブリキの兵士だけだ。



「とりあえず、どうやって奴から逃げるかを考えないと……」


怯えている暇は無い。だが私が入った店内はこれまだ古風な甘味処で、特に役に立ちそうなものも無い。


それよりなにより……単純に此処が行き止まりなのがマズい。


「此処で倒すしk





その瞬間、私の上から何かが"二つ"降って来る。


いや……天井を突き破って、"二人"降りて来る。



一人は"汚職家ギロチン殺人事件。処刑人A"。


もう一人は"聖なる遺体回収事件。スカルプタァ"


の生首。



赤い眼をした軍服の青年"処刑人A"は巨大ギロチンの刃を右手に持って、そのまま少年兵のスカルプタァの首を押しつけていた。


「よっしゃああああ!!!!the endォォォ!!!!!」


そしてこの態勢のまま、甘味処に目掛けて落ちていく。





あ…マズい、マズい、マズいマズいマズい――!





何がマズいって……此処から逃げても既に甘味処の前には"あいつ"が居る。



「あ……あ……」


"ゲノム怪奇奇譚。ツギハギ屋"






私は目に見えて混乱してしまい、その場で右往左往してしまう。


留まるも地獄。逃げるも地獄。




そうして考える間も無く、生首と愉快な仲間達は甘味処の棚をぶち壊しながら床へ着地する。



即座に私の付近で守っていたブリキ兵の首が三つ飛ぶ。


「あー……。おいおい……まさかだけどさ、お前がアーミー・ブループリント?」


「……」


私は処刑人Aの質問に答えられなかった。本当ならもうブリキ兵と共に首が飛んでもおかしくなかったから。


奴は狙いを外した。ラッキー。おかしくなかった。違う。意図的に私を外していた。あえて見逃された。なぜ?どうにかなりそうだった。駄目だ、このまま負けるのは。リラを救うと言うのは口先だけの覚悟だったののか。違う。真犯人をこの手でぶっ潰してやる。違う。今考えるべきなのはこんな事じゃない。


……思考が、まとまらない。早くどうにかしないと。






「オラ人間見たの、はじめてだ……」


「は……?」




処刑人Aは私を殺すと言う選択をせず、意味不明且つ面白くない妙なボケをカマす。


"オラ人間見たの、はじめてだ……"


"オラ人間見たの、はじめてだ……"


"オラ人間見たの、はじめてだ……"


いや、三回復唱してもさっぱり分からん。





「う、嘘だろ……。ネオ東京人以外の人間なら通じるネタだと思ったのによ……。知らねえのかよ……ゲノムユートピアじゃ義務教育じゃねえのかよ……」


「何を……言ってるんですか?」


もう思考が読めなさ過ぎて私は此処でツッコミでは無く、普通に殺人鬼へ質問してしまう。





「あ……あ……しょ、しょけいにん……」


だがこの状況に困惑していたのは、私だけでは無かった。


あれだけ不気味であったツギハギ屋も処刑人Aを見た瞬間、冷や汗をかいてその場で膠着してしまう。


「あれ……ネオ東京人なら知ってるよな。俺さ、その異名で呼ばれるのすげえ嫌なんだよ。人の嫌がることすんなよ。犯罪者かよ」



"瞬間移動"



ツギハギ屋の首は飛ばない。


だが代わりにツギハギ屋の直ぐ真横に彼は瞬間移動する。


続けて両手を前方に広げて、妙な構えを取る。


「■…」


「■…」


「■…」


「■…」



ツギハギ屋は即座に全身から闇と電気のゲノムを噴き出


「波ァアアアアアアアアアアア!!!!!!!」



す事も無く、そのまま消し炭になる。








「この技は有名だから、流石に知ってるよな!? な!?」


「……」


処刑人Aの手から巨大なレーザー砲が出て……それで一瞬で……。


「なんだよ、マジで知らねえのか……。いや待て。まだ別のネタなら受けるんじゃねえか……?そうだ、そうに決まってる……」


なんか知らないが、奴も何故かこの現実を受け入れられていない。マジでなんでだ。


「……まあ、とりあえず俺の事は……処刑人Aとか言うセンス無い異名じゃなくて、孫■空、ル■ィ、ジョ■ョ。この三択から好きなの呼んでくれ」



処刑人A改め――、"孫■空"。



彼こそが今のアーミーでは勝てないジョーカーの一人である。




其之十四 ■■■の■■■■波!!

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