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081.ティー・タイムは事件のあとで-01

 あなた様は、夢をよく見られるほうでしょうか?

 わたし、フルール邸の侍女ヨシノは、眠れば必ず夢を見ます。


 わたしの見る夢の多くは、日常生活の延長線で、給仕の仕事に追われているとか、ベテランの先輩メイドが辞めてしまうとかいったものです。

 日々の疲れから来るものなのだろうかと考えていますが、ときどき執事のルヌスチャンが壺に向かって説教を垂れているシーンが出てくるのには首をかしげてしまいます。

 目覚めてから思い返せば、くすりとしますし、夢の中のわたしは、壺が可哀想だと大真面目に考えているのだから、なおさらおかしくなってきます。


 幼少より仕え、いっしょに育ったフロルお嬢さまが登場することもしばしば。

 姉妹や友人として遊ぶ夢は幸せで、彼女に困らせられる内容のものでも、起きて振り返れば懐かしさで胸がいっぱいになります。

 お嬢さまがご親友と仲たがいをしていた時期にはどうしてか、セリシール様の髪を梳かしてやる夢をよく見たものです。


 いただけないのは、怖い夢です。

 誰かが怪談話を持ってきた日には、ホラーな悪夢にうなされることになります。

 一番怖かったのは、恐れながら自分がフロルお嬢さまになっていて、大勢のセリシール様に追いかけ回されるというものでした。


 たとえ悪夢を見ても、目覚めの紅茶とともに飲みくだせば至福に変わります。

 幸せな夢であれば、一日中飴玉のように転がしておくことだってできますし、複雑な夢であれば、意味を求めて物思いに耽るのも面白いものです。


 だからわたしは、夢の世界が大好きでした。

 誰かの記した物語よりはもちろん、もしかしたら、代り映えのしない現実よりも……。


 ところが、ここ最近は繰り返し同じ夢を見るようになってしまいました。


 白い部屋で飼われている夢。

 鎖や拷問器具、ときには植物のつるに捕らえられて、逃げようと必死にもがくのです。でも、途中で逃げようという気が失せるのです。

 たまに「誰か」がやってきて、わたしの拘束具の調整をしたり、離れた床に食事を置いて去っていく。

 その「誰か」は、フロルお嬢さまだったりセリスお嬢さまだったりするのです。

 彼女たちの戯れには付き合わないといけませんから。


 そして、ある日を境に「誰か」がアーコレード様ばかりになったのです。


 やはり、「あのこと」が頭から離れないせいなのでしょう。

 思い返せば申しわけなさで胸がいっぱいになります。


 ところが、今日はまた別の人物が現れたのです。

 眼鏡をかけた白衣の男性。いつかどこかで、会ったような。

 まっしろな壁に越界のゲートが現れ、そこからきた彼が拘束を解いてくれる。

 彼は「逃げろ」と言う。

 でもわたしは、お嬢さまたちが困るからと言って、部屋から出ず、せっかく外してもらった枷を自分で付け直すのです。


 この夢の意味するところは、いったいなんなのでしょうか?


 ……。


 さて、本日お話しするのは、夢の中のようにおぼろげな霧に包まれた地でのできごと。

 とても悲しく、恐ろしい、業深き事件。


 あなた様は、衣装が霧を吸いこんだときの貼りつくような冷たさを、ご存知でしょうか?

 冬の湖面に手を差し入れ、手首まで沈めたときの冷たさが、人を捕らえる鉄の枷とそっくりなことを、ご存知でしょうか?



 ……その冷たさをリアルに感じたとき、ヨシノは夢から醒めた。



「あらヨシノおはよう」

 なぜか、あるじの顔が目の前にある。

「……おはようございます、フロルお嬢さま」


 可愛らしいフロルの顔が、にこりと笑った。

 はて、昨晩は独りで寝たはずだ。


 身体を起こせば自室。

 ネグリジェにガウン姿のあるじは、ベッドの前で屈みこんでこちらの顔を見ていたようだが、いったい何用だろうか。


「よいしょっと」

 フロルは重たそうな何かを、ヨシノの部屋のティー・テーブルに置いた。

 ちゃぷん、と水音。


「洗面器ですか?」「そ、洗面器」


 フロルはそっけなく返事をすると、おもむろにシーツをめくり上げた。

 ベッドに入ってくるのかと思ったら、なぜか下半身へ顔を近づけ鼻を鳴らした。


「何をなさってるんですか?」

「ヨシノがおねしょしてないかなって」

「しませんが」


 何を言ってるんだ、この人は。


「いやね、寝てる人の手をぬるま湯につけるとお漏らしをするって、本に書いてあったから、ヨシノで試してみてたのよ」

「おやめください、お嬢さま!」


 ヨシノがベッドから降りようとすると、フロルは身を引いてテーブルの洗面器に手を伸ばし、いたずらっぽく笑った。実験結果を捻じ曲げる気だ。


 ちらと目の端で時計を見やる。まだ、薪割り係すらも起きていない時刻。

 こんな早朝から何をやっているのかと呆れがよぎったが、たまには仕返しをと思い立ち、洗面器をつかまれる前にフロルをベッドへ引きずりこんでやった。

 楽しげな悲鳴がシーツの中で弾み、ヨシノは遠慮なく主人のお腹に顔を埋めてやる。


「やめてヨシノ、くすぐったい!」


 彼女もまだ寝起きなのだろうか、とても温かい。

 夢の中はとても寒かった。手足につけられた枷の冷たさも、まだ残っている。


 ……。


「どうしたの、ヨシノ?」


 ヨシノは答えず、大切なあるじの内臓の動きや血の流れに耳を澄ませる。

 しばらくそうやっていると、髪がゆっくりと撫でられ始めた。


「悪い夢でも見た?」「そんなところです」


 言い当てられたヨシノは、おぼろげになりつつあった夢を捕まえて主人に引き渡してやった。


「捕らえられている夢? そういう趣味……ってことはないわよね」

 フロルは冗談めかして言ったが、声のトーンは低い。


「わたしとしては内容よりも、ゲートから出てきた男が気になっていまして」


「夢の中の人物に恋をするのは、ありがちですわねえ」

 フロルの指に頬をつつかれる。


「そうではなく……。その白衣の男は、いつかお嬢さまと乗りこんだ白い箱の中のゲートの先にいた人たちと似てるんです」

「植物だらけの? まあ、あのときのヨシノはコテンパンだったから」

「あれ以前にも、どこかで会ったことがある気がするんです」


 ヨシノはあの戦いのさなか、自分の中の忘れ去った何かに触れた気がしていたのだが、はっきりとしないままだった。

 フロルは「気にしすぎよ」と言って撫でる仕事に戻る。


「わたしがこのお屋敷に来る前の記憶が曖昧なのはご存知ですよね」

「そうね」


 ほんの一瞬、撫でる手が止まった。


「わたしはもしかしたら、どこかの研究所で飼われていたのかもしれません」


 フロルは「そうかもねえ」と、やんわり肯定する。

 愛撫は一定の調子を保っていたが、彼女の腹筋が緊張したのを感じた。


「お嬢さまはわたしの過去について、何かつかまれたんですね?」

「知らない。……って、とぼけたいけど、もしかしたらっていうのはありますわね」


 フロルはここのところ、異界での活動を増やしている。

 女神の力を無断借用し、この女神の枕にやってこようとしている、愛と憎しみのエネルギー研究会なるものの調査をするためだ。


「調べれば調べるほど、連中の研究が手広いことが分かったわ」


 その名の通り、感情のエネルギー変換をはじめ、魔法世界と科学世界の技術融合、生物と生物の合成、あるいは無機物を組み合わせたり、無機物のみで作った生命――いわゆるロボットの極致のひとつアンドロイド――の研究、果てはゼロからの生命の創造をおこなっている。

 世界によって違う法則や、特定世界でしか存在しない力などを研究し、その多くをものにしているという。


「研究会は活動名のひとつに過ぎないの。連中なら、あなたのような存在を造り出すことも可能かもしれない。あるいは、普通の人間することだって……」


 ――普通の人間。


「ごめんね。あなたがあなた自身の身体についてどう考えてるか、あまり聞いたことがないから話題にしなかったんだけど。でも、一つ言えることは……」


 彼らとは絶対に和解しえないということ。


「女神様たちと敵対している以上は、彼らの力を利用する日は来ないと思う。白い壁がゲートや複合技術のアーティファクトを封じていたのも、それが理由」


「ということは、白い壁はやはりミノリ様が?」

「いいえ、違うわ。ヨシノにだけは話しておくけど……」


 第三の女神、調和の女神イミューの存在。

 白壁に封じられたのは、均衡や不変を望む彼女にとって不都合なものばかり。


「イミュー神とほかの二柱は敵対しているけど、三柱とも例の研究会を嫌ってるらしいの。女神様のお創りになった全世界の、わたくしたちの敵ということね」

「あの、三人目の女神様だなんて初耳なんですが」

「そりゃそうよ。わたくしもサンゲから口止めされてたし。セリスも知らないし、巫女たちや陛下だって知らないことよ」

「サンゲ神に叱られませんか?」

「かもね。でも、わたくし独りで抱えるなんて、無理!」


 フロルはそう言うと、さっき自分がやられたようにこちらの腹に顔を埋めてきた。

 彼女もしばらく沈黙し、ヨシノも「どうしたの?」と愛撫をミラーリングしてやる。


 神話を覆すような話には驚いたが、それ以上に、ヨシノの胸は幸福でいっぱいになっていた。

 セリシールとの仲直り以降は、恋人同士にすら見えるふたりのために距離を置いてやり、寂しい思いをしていたが、自分は自分でフロルにとってのかけがえのないヨシノだと分かると、がらにもなく飛び上がってしまいたいくらいだった。


「ありがとう、ヨシノ。わたくしは幸せ者ですわ」

「わたしも幸せですよ、お嬢さま」

「本当に? ヨシノは、今の自分に満足? わたくし、あなたのこと束縛してない?」

「幸せです。望んで束縛されてますから。忙しすぎるのはアレですけど。それに、フロルお嬢さまやお屋敷に仕える以外に、特にやりたいこともありませんし」

「それならいいんだけど」

「成長もしてますからね。この身体だってむしろ、手放せなくなりそうです」

「そうね、わたくしも羨ましいくらい」


 フロルは身体を離し「ちょっとやって見せてくれない?」とせがんできた。


 自身の肉や骨を、生物の限界はおろか、(ことわり)すら無視して操作できる力。

 これは科学なのか魔法なのか、神の奇跡なのかすら定かではない。

 これまでのヨシノは、この背理の力を肉体の再生や、質量や筋力を増加させるような力任せな使い方ばかりをしてきた。

 しかし、あるときにフロルが「破壊の力のコントロール」を話題にしたときに、ヨシノのこの力も繊細に扱うことができるのではないかと提案し、最近になって訓練が実を結んでいた。


 ヨシノは立ち上がって、あるじと見つめ合った。


 ぐにゃり、「わたし」がゆがむ。


 フロル・フルールのピンクダイヤの瞳の中に、もうひとりのフロルが現れた。


「どうかしら?」と、ヨシノは言った。

 姿をまねられたフロルは、口を曲げてこちらを睨む。

「不合格。声だけはいつまで経っても似ないわね。それと、わたくしの胸はそんなに大きくありませんわねえ!」


 サービスで盛ったつもりが、怒られてしまった。


「声をそっくり模写するには、声帯をじかに見て憶える必要がありそうです」

「そんなグロいことしなくても、本人とレッスンしたらできるようになると思うけど」

「自分で聞く自分の声と、他人が聞く自分の声は違うって、チャンが言ってました。それに本人に擬態を見せるなんて。お嬢さまにしかできません」


 便利だが、イヤな特技だ。

「他人に成りすませる人間なんて、誰も信用しなくってよ」

 と、ヨシノは誤魔化し交じりにお嬢さま口調をまね、プラチナの髪を払った。


 だが、ヨシノにとっては、「フロルお嬢さまの身代わり」という最も名誉な仕事をおこなうのに便利な能力といえる。これをマスターしない手はない。

 もちろん、バケモノになれるのだから魔物にもなれるし、魔物になれるのなら動物にでもなれるだろう。


「特にアコには知られたらダメね」

 フロルが「ごめんね」と謝る。

「あれはお嬢さまが謝ることではありません。わたしが調子に乗ったからです」


 フロルは、ヨシノの擬態能力を頼り、ある役目を与えた。

 喀血城のアトラクションのキャストのひとり、第二王女ローラの役だ。

 ヨシノは架空の王女ローラになりすまし、怪物が彼女を食べる姿を演じた。

 ローラはもちろん、下半身にかぶりついていた怪物すらもヨシノの一部だ。

 王妃ペロドンの台本に従って再現したことだが、細かな会話はアドリブ指定。

 想定外にアコと接近してしまったために、傷つける結果となってしまった。


「夢にアコが出てくるのも、夢見が悪いのも、わたくしの頼んだことが少なからず関係しているはずよ。あと、わたくしが屋敷を空ける回数が増えてるのも、あなたの負担になってるのも承知してる」


 フロルからハグを受ける。

 ヨシノもここぞとばかりに抱き返し、こころの養分補給に励む。


「ふーん、こんな感じかあ」

 フロルが何やら呟いた。

「ねえ、ヨシノ。キスしていい?」


「えっ? 構いませんけど……」

 横を向き頬を差し出す。

 小さいころは挨拶がわりにやっていたが、この歳になってするのは照れくさい。


「こっちを向いて。ほっぺたじゃなくって、くちびるに!」

「何を言いだすんですか急に。セリスお嬢さまのご病気が?」

「わたくし今、自分と同じ姿をした人間とハグしたでしょ? キスをしたらどんなかなって。自分自身とキスできる人間なんて、そうはいないでしょ!」


 フロルの顔が、ずいっと近づく。

 ヨシノは逃げ、「とある人物の顔」を思い描く。

 フロルの瞳の中のフロルがとろけて、その人物を形作った。


「うわっ! なんでそいつの顔になるのよ!」


 フロルが逃げる。まねたのはキルシュ・ブリューテの顔だ。


「最近顔を見ていないので、なんとなく。さあ、遠慮なくどうぞ」

「いや! っていうか、わたくしのボディをまねたまま、顔だけキルシュはおよしになって!」

「では、こちらにしましょう」


 ヨシノは再び顔を変化させ、長い黒髪を払った。


「フロルさん。わたくし、あなたが欲しくってしかたがありませんの」

「げげっ! なんでセリスに限って声までそっくりなのよ!」


 ヨシノはくちびるを突き出してフロルに迫る。

 しかしフロルは、髪を払って鼻で笑った。


「ふっ……。あの子が迫るのは、気がヘンになったときだけですわよ。セリスは本当は、待つタイプですわ。目だけで要求するのよ、こんなふうに」


 フロルはしばらく悲しげに見つめると、そっと瞳を閉じ、くちびるをわずかに開き、胸元に手を当てた。


「へえ……。お詳しいんですね」

「……」


 黙りこみ、そっぽを向くフロル。頬が赤い。

 空気のほうがヘンになった。

 ヨシノは擬態を解き、「わたし」に戻る。


「そろそろ着替えて仕事を始めます。聞きそびれていたのですが、お嬢さまはわたしにいたずらをするためだけに部屋にいらっしゃったのですか?」


「あ、そうそう。明日、ヨシノに出掛けてもらいたいところがあって。ほかのメイドやチャンには、ちゃんと許可を取るから」

「なんでもお申しつけください」


 フロルが頼んできたのは、ハイドランジア領の領主の三女“ラヒヨ”のもとへ、婚礼のお祝いの品を届け、そのパーティーに出席する任務だった。

 結婚式自体は祝い好きなアルカス王のもと王城でおこなわれていたが、今回は領民や私的な知り合いを招いたパーティーが開かれることになっている。


「本当はわたくしもいっしょに行きたいのだけど、急に陛下に呼び出されたのよ。しかも、夜中に使いをよこして」

「緊急の用じゃないですか。すぐにでもご仕度をなさってください」


「集会は明日のお昼からなの。アルカス王国全土の諸侯が集められるらしいから重要な話っぽいのよね。先方もご承知だとは思うけど、ハイドランジア夫人にもらった招待状を無碍にするわけにもいかないし。あなたはラヒヨのことをずいぶんと可愛がっていたでしょ? ちゃんと顔を合わせてお祝いをしたほうがいいかと思って。さっきの話じゃないけど、パーティーは日をまたぐし、ニ、三日泊まって羽を休めてもかまわないわよ」


 ラヒヨは、数か月前までフルール邸に住みこみで働いていた若い娘だ。

 フルール邸は、身分を問わず嫁入りや婿取り前の女性の特訓の場として見習いメイドの受け入れをやっており、世間からも人気がある。

 ラヒヨは創造の眷属だが、その母の“アイドラ・ハイドランジア”夫人が破壊の眷属であったため、両親の代では親交が深かった縁もあった。


 そして、メイド長であるヨシノは、見習い娘たちを相手に仕事をきっちり教えてきたのだが……。


 ――うう、断りたい。


 フロルの言う通り、ヨシノはラヒヨ嬢のことも手塩にかけて育てていたし、確かにほかの見習いたちよりも親密だといえるだろう。


 しかしそれは、ラヒヨが狡猾な性分をしていたからである。


 男と見れば誰彼構わずすり寄っては猫なで声でおしゃべりをし、ほうきを押しつけ、割れた皿を処分させ、勘違いした兵士たちから恋文を集めては悦に浸る。

 同性の使用人仲間にはすまし顔で厭味を言うものの、古参メイドやヨシノにはぺこぺこし、露骨に媚を売っていた。

 名家の令嬢だからといって穏便に済ませていたが、ヨシノ個人としては苦手なタイプだ。


 ――でも、ニ、三日もお屋敷の仕事から離れられるのは魅力的ですね。


 ハイドランジア領は、女神の枕で有数の茶葉の産地でもある。

 茶葉が有名なら茶器も栄えるというもので、ヨシノの紅茶の趣味を充実させるにはいい場所だ。

 どの道、断る選択肢はないのだし、考え方のほうを変えるべきだろう。


「パーティーが日をまたぐのなら、お嬢さまもあとから来られるのでしょうか?」

「あー、わたくしはちょっと、あの子のことが苦手だから」


 無理無理と手を振るフロル。

 正直すぎるだろう。ヨシノは「わたしだってイヤです」と顔で示した。


「ね、ヨシノ。おねが~い」

 抱き着かれ、すりすりとほっぺたを擦りつけられる。

 ラヒヨのごとくの露骨な甘え。

 こちらが彼女のことを苦手だと承知の上でやっていそうだ。


「帰ってきたら、たまにはホントの休暇をしましょ。わたくしとふたりきりで、ちょっとした旅行でも、ピクニックでもなんでも!」


 頬が緩むのを感じる。やはり新しい茶器と茶葉が必要そうだ。

 ヨシノは色いい返事をし、ついでに面倒ごとのためのエネルギー補給として、追加でお嬢さまをこねくりかえしてやった。


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