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008.わたくし、手加減は苦手でしてよ-08

「お待ちになって!」

 逃げる獣人たちを追ってお嬢さまが洞穴を走る。

 インファと呼ばれたウサギ人間のほうはすばしっこく、すでに暗がりの向こうに消えてしまっている。大きなネズミ人間のボッコーは走るのが苦手……というか、獣が混じっているくせに二足歩行で、えっさほいさと大きなお尻を揺らして大変そうだ。


 フロルは前方でぷりぷりと揺れる毛玉を眺めつつ、カエル男にやった折檻を反芻する。


 ――わたくし、最近なんだか危ない方向にいってる気がするような。


 悪人相手でギャラリーもいなかったからよかったものの、あんな痴態を曝け出せば家名に傷がつく。


 しかし、だ。


 ――逆に考えたら、夜の活動中ならやってもオッケー?


 ブラッド・ブロッサムはフロル・フルールとは別人! であれば、ひと様を鞭打って気持ちよくなっても問題ないに違いない。

 いやなあだ名を付けられたものだと思ったが、意外とアリかもしれない。


 ――あらやだ、わたくしったら気持ちがいいだなんて。


 先ほどの行為を思い出してぶるりとし、口に手を当て「おほほ」とやる。


「ボッコー! 何やってんだ。早くこっちへこーい!」

「あ、兄貴。おで、もう走れないよお」


 ボッコーは道の途中で止まり、右の壁へと折れた。

 フロルも続けば、壁に毛玉が埋まって短い脚がじたばたしている光景に遭遇した。


「横穴にはまってしまわれたのね」


 ならば遠慮はいらないだろう。

 目の前の毛玉へと両手をつっこみ、わしゃわしゃと掻き回す。

 なるほど、いい感じの毛皮だ。フロル的には短く密度が濃い毛のほうが好みなので、是非ともあのウサギもチェックしたいところだ。


「だ、だすげで兄貴! 誰かが、おでの尻を撫でてる!」 


 遊んでばかりはいられない。

 ふたりは「お宝を頂く」と言っていた。当てもなく走っていたわけでないなら、この先に不老不死のアーティファクトがある可能性が高い。

 カエル男本人からはたいした神工物の気配は感じなかった。離れた場所に隠されているのだろう。


「よいしょ!」

 大きなお尻をぐいと押してやるも、びくともしない。


「おらっ!」

 蹴飛ばして、ヒールでぐりぐりやるもダメだ。


「仕方がありませんわ。じっとしておいてくださいませ!」

 フロルは第一宣誓を唱えてレイピアを振るった。

 バターを切るように岩壁が切断され、崩れた岩とともにネズミ男が転がる。


「た、助かったあ」「お怪我はありません?」


 ボッコーは立ち上がるとほこりと砂利を払い、身体を検めた。


「怪我はねえ。助けてくれてありがとう」


 頭を掻きながらぺこりとお辞儀。


「ねえ、ボッコーさん。わたくしをインファさんの所へ案内していただけない?」


 ネズミの顔を見上げ、ちょっぴり甘え声で頼むお嬢さま。

 彼は目を細め「か、可愛いなあ」と身をよじった。


「い、いげねえ! 兄貴には関わるなって言われてたんだ!」

 ボッコーは駆け出し、「ついできちゃダメだかんな!」と叫んだ。


 どすどすと遠ざかってゆく、おっきなネズミさん。

 ゆっくりとあとをつけたほうがよさそうだ。 


 フロルは、ちらと背後を振り返り、可愛い従者へと想いを馳せる。


 ――ヨシノ、やりすぎてなければいいけど。


 カエル男はいくら痛めつけても死なないはずだ。

 ヨシノも不死身である。だが、アンデッドとは違い、体温もあるし自我もある。

 老いるかどうかはまだ分からないが、とにかく彼女の骨や血肉は無尽蔵で、彼女の意思で生み出したり切り離したりすることができる。

 腕をちょん切られても新しく生やせられるのはもちろん、ハートが砕けても首を撥ねられても死なないらしい。

 羨ましいのが、髪も自由自在でその気になればカーテンだって織れるし、体重や筋量も思いのままで、荒事向けの肉体と乙女の身体を都合よく往復できることだ。

 ヨシノがどういった経緯であんな身体になったかは、誰も知らない。

 フルール家に買い上げられる前は、どこかの「まっしろな部屋」に閉じこめられていて、逃げ出してさまよっているうちに奴隷商人に捕まって競売に掛けられたのだそうだ。


 ヨシノの「正体」を知っているのは、フロルとルヌスチャンだけなため、遠慮なく出していける今日はきっと、ハッスルしているに違いないだろう。


 フロルは遥か後方となったヨシノに「楽しんでね」とエールを送っておいた。


 しばらく進むと、洞穴が広くなり、大きな壁に行き当たった。

 壁は金属製らしく、右下の出入り用の扉をたいまつが照らしている。


「くそっ! 開かねーぞ! ボッコー、体当たりだ!」


 白ウサギが扉の取っ手をがちゃがちゃとやり、入れ替わりに巨大ネズミが体当たりをする。


「ダ、ダメだ。肩が砕けちまうよ」「げっ! 鞭女が来たぞ!」


 インファは扉を蹴飛ばすと、前歯をむき出しにしながら足を押さえてぴょんぴょんと跳ね、ボッコーは頬をだらしなく緩めてこちらへ手を振った。


「鍵開けなら得意ですわよ」


 フロル・フルールの夜の顔、怪盗。

 こっそりとアーティファクトを盗み出すためには、鍵つき扉の突破は不可避だ。


「フルール家の鍵開け奥義を、とくとご覧あれ!」



 お嬢さまはそう言うと、扉をまっぷたつにした。



「どこが鍵開けだよ!」

 インファは首を縮め、耳をぴんと立て震えあがった。

 ボッコーは身体に対して小さなおててで、ぱちぱちとやっている。


「ところで、まだお逃げになるのかしら?」

 剣を持ったままほほえむお嬢さま。


 ……。


 インファとボッコー。

 彼らは異界の住人で、あちらこちらの世界を放浪している根無し草だという。


「おでたち、小さな村を作るのが夢なんだ。平和な村でよ。兄貴が村長で、おではそこで農場主をやるんだ。兄貴は、おでにウマの世話をさせてもいいって言ってくれたんだ」


 ネズミ男はうっとりとした表情で、架空の馬をブラッシングしている。


「スローライフは落ち着いてからの話だって言ったろ。俺たちには復讐しなきゃらならねー相手がいるだろうが」


 フロルが「どなたに?」と訊ねるも、「カンケーないだろ」と突っぱねられてしまった。ボッコーに訊くも妄想のお馬さんに夢中でお留守だ。


「プライバシーに触れた無礼は謝罪いたしますわ。ですが、カエル男さんは捨て置けません。彼について知っていることをお話しになっていただけますわね?」


「ここに来たらお宝のにおいがしたから、奴に従うふりをしてただけだ。姉ちゃんにはわりいが、俺たちも大したことは知らねえ。だが、あんたたち女神の枕の、なんとか共和国の人間だとは言ってたな」


 インファは付け加える。「ろくなやつがいない世界だぜ」


 彼らは雇い主の名前すらもろくに憶えていないようだ。

 詳しい話は、改めて本人を締め上げて訊き出せばいいだろう。

 目下は不老不死のアーティファクト。

 フロルはそれが目当てであることを話し、ほかに財になりそうな物があれば代わりに譲ることを約束した。


「えらくサービスがいいな。俺たちを信用するのか?」

「根が悪いかたには見えませんから。その代わり、アーティファクトまでの案内はしっかりやっていただきますわよ」

「つっても、俺たちも、この向こうにあるってことまでしか知らないぜ」


 インファはそう言うと、まっぷたつになった扉の向こうへとぴょんと飛びこんだ。


「ありゃ。どうやら報酬はナシかもしれねーな」


 金属の壁を抜けた先。

 空間はさらに広く、天井が見えない。

 すぐに行き止まりとなっており、同じく天井まで伸びたまっしろな壁が立ちはだかっている。


 ――ヨシノの背中よりもまっしろだわ。


 模様も継ぎ目も汚れもない、純白の壁だ。


「この白壁は壊せねえぜ。魔法もレーザービームも通じねえ。核ミサイルでもダメかもな」

「ミサイル? レーザービーム?」


 フロルが首をかしげると、「よその世界の技術だよ」と返された。


「どちらにせよ、フルール家の鍵開け奥義の出番ですわね」


 フロルは破壊の力を宿したレイピアで壁に斬りかかり、それから突きをお見舞いした。

 ……が、びくともしない。フロルは顔をしかめて手をぶらぶらと振った。


「驚きましたわ。破滅のつるぎに斬れないものがあるなんて」


 インファは「だから言ったろ」と他人事だ。


「アーティファクトかもしれませんわね。第一宣誓でダメなら、第二でいきます」


 フロルは黒きやいばにくちづけると、破壊の女神へ第二の誓いをおこなった。

 つるぎが膨張してやいばが蛇行し、赤黒き炎をまとう。


 闇の陽炎一閃。


 フロルは涙目で手首を押さえ両膝をついた。

 ネズミ男が「大丈夫か?」と覗きこむ。


「生意気な壁ですこと!」


 フロルはカードに「崩壊」の願いをこめると、壁に向かって投げつけた。

 カードはかつんと音を立てて地面に落ち、光を失う。


 ――わたくしの第二宣誓でも破壊できないなんて……。


「まったく、この壁には損ばっかりこかされるぜ」

 インファは壁を見上げて悪態をついている。


 このままではアーティファクトの入手も、国王からの任務も果たせない。

 フロルは壁に触れ、壁そのものに宿る気配を探る。


 ――妙だわ。


 創造の女神ミノリの気配とも、破壊の女神サンゲの気配とも違う、しかし、なんらか類似した神性を感じた。

 ときおり、こういった気配を持つ頑丈な遺物が発見されることがある。

 二柱の神の宣誓に反応を示さず、意味もなさない形状のものが多いため、大抵はゴミ扱いだが、それが盾だったり武器だったり有用な形をとっていると価値が跳ね上がる。


 異界の高位の存在による創造物だろうか。

 なんにせよ、二柱より上に立つ存在は無いはずだし、破壊の力で破れない道理がない。

 サンゲに服従するわけではないが、フロルも破壊の眷属である身だ。

 このまま引き下がれば誇りに瑕がつく。


「おふたりとも、下がっててくださいまし」


 壁から少し離れつるぎを正眼に構え、まぶたを閉じる。


 第一、第二宣誓、さらに続く文言、第三宣誓。

 女神の枕でも、ごく一握りの人間しか賜れない誓いの言葉。


()の願いは()の願い。()は誓わん、女神サンゲの名のもとに。御神(みかみ)美斗(みと)(こぼ)聖心(みこころ)に殉じることを!」


 フランベルクがさらに膨張し、同じく波刃を持った両手持ちの大剣――フランベルジュ――へと変じる。


 立ちのぼる破壊の炎が使い手すらも呑みこまんばかりに猛り狂い、彼女の周囲の石床がハンマーでも叩きつけられたかのように独りでに砕けた。


「おほほ! まっぷたつにして差しあげますわ!」


 やはり破壊の衝動が高まるか、早くぶった斬りたくて仕方がない。

 ウサギの毛皮を剥ぎ取るヴィジョンも浮かんでしまい、思わず首を振る。


 ――いける。


 つるぎを振る前から、溢れる破滅に触れた壁が消滅し始めていた。


「全力で行きますわよ!」


 引きずるように構えられた大剣。

 地面に触れた切っ先は、床を滅してすり抜けるように沈みこんでいる。

 フロルは両腕をいっぱいに使って、地面よりも下から頭上へと斬り上げた。


 物理的な手ごたえは、ほぼ無し。

 触れたものが消滅していく幽かでデリケートな感触が手のひらに伝わり、快感が身体を駆け巡り、思わず片膝をついてしまった。


 壁を見上げれば、やいばが通った箇所とその周辺が消滅し、向こう側が見えている。


 ――洞窟が崩れたりは……。


 やってからだが、肝を冷やす。

 岩壁まで大幅に削っていたが、頑固にも白壁の上部は崩れておらず、まるで宙に浮くようにその場にとどまっていた。


「よかった、セーフね」

 安堵のため息ひとつ。


「し、白い壁を斬っちまいやがった……」「すげえな!」


 インファは目を剥き尻もちをつき、ボッコーは飛び上がって拍手だ。


「さあ、お宝お宝」

 つるぎを元に戻し、壁の消え目(・・・)の穴からよっこらしょと中へ入る。

 振り返るも、ふたりはついてきていない。

 大ネズミには入れない隙間だが、ウサギのほうも壁の向こうで睨むような目つきでこちらを見ているだけだ。


 いっしゅん、裏切りを想像するも、フロルはインファが前歯をかちかち鳴らして震えていることに気づいた。


 ――怖がらせちゃったかな。


 しょんぼりとするお嬢さま。



 あ、違う。

 震えているのはこの洞窟全体だ。



「やっべえ! ずらかるぞ!」

 チョッキを着たウサギは慌てふためき、何やら腰につけた金時計をいじくった。


 すると、彼の正面に青色の光る渦――世界を繋ぐゲート――が現れた。

 ウサギが穴へと飛びこみ、ネズミもそれに続く。

 ふたりの姿が消えるとゲートは急速にすぼまり、跡形もなく消えてしまった。


「ぶ、ぶったまげましたわ……」


 任意でのゲートの開閉。

 あの懐中時計の力なのか、インファの能力なのかは分からないが、そんな都合のいいものは、どの世界にも知られていない。


 ふたりが消えた空間をぼんやり見ていると、足元に石が落ちてきた。


 ――とにかく、今はさっさとアーティファクトを回収して脱出を。


 壁の内部はまっしろな空間で、大きく奇妙な金属の箱が鎮座している。

 箱からは筒が伸びていたり、色とりどりの紐のようなものがはみ出していたり、何か――これは知ってるわ。歯車というものね――が転がっていたり。


 どうやら、壁もろともぶっ壊してしまったらしい。


 女神の気配を求めて見渡すと、装置の残骸の中から虹色の光が見えた。

 手のひら大の水晶玉。

 内部では虹色の雷のようなものがぐるぐると回っている。


 ――これって、“実りの宝玉”よね?


 実りの宝玉は、創造に属する高位の神工物だ。

 女神ミノリを祀る創造の神殿にいくつか所蔵されており、定期的におこなわれる祭りや儀式のさいに使用されている。

 無宣誓では道具として特に機能はせず、発掘されたら神殿に高額で買い上げてもらうのがおもな使途。

 いっぽうで高位の使い手が用いれば、雌のみで家畜を繁殖させたり、僅かながら生物を若返らせたりできるという危険な品でもある。


 まさか、あのカエル男が神殿の巫女や神官というわけもないし、そもそも、彼が第三宣誓の使い手であったとしても、実りの宝玉は直接触れた状態で誓わなければ力を発揮できない。

 頑丈で不思議な壁の向こうの、妙ちくりんな機械の中で見つかるのは変だ。


 かえって謎が増えてしまったが、とりあえずフロルは輝く水晶玉を拾い上げた。

 すると、宝玉は急にひびを生やして光を失った。


 ――しまった、破壊の第三宣誓の余韻かしら?


いや、違う。

 破壊の力の影響ならば、赤黒い煙や炎が見えるはず。

 ところがこの玉は、砂状になって指のあいだをさらさらと落ちていった。


「……はあ。とりあえずはハズレってことですわね」


 お嬢さまはがっくりと肩を落とした。


* * * *

 * * * *


 わたくしの麗しき日常をお見せする予定が、またもこんなことに……。


 けっきょく、不老不死のアーティファクトも見当たりませんでしたし、この件については分からないことだらけです。

 

 ですが、ぐずぐずしてはいられません。洞窟の崩壊が迫っています。

 取り急ぎ大部屋に戻ったところ、わたくしは思わずお口から「もよおしそう」になってしまいました。

 部屋は一面が血の海で、崩れたゾンビや骨が転がっています。

 世界の王を名乗る男も、ヨシノが胸骨を噛みつかせて捕縛していたのですが、しわしわの干物になってすでに息絶えていました。


 ゲートからスリジェ家の宝物殿へ戻ると、アルカス九十二世国王陛下がおいでになっておられました。

 わたくしはゲートの向こう側での出来事をご報告させていただきました。


 陛下いわく、下手人は隣国の“エソール共和国”を騒がせていた“墓荒らしのグロフ”ではないかとのこと。

 ひと様のご遺体やご遺骨を持ち出し、創造のアーティファクトによって操り人形にしてしまい、村や町を襲わせていた国際手配の凶悪犯です。


 手配者の人相書きを拝見いたしますと、あらまあそっくり。

 不細工なカエル男が描かれていました。

 カエルと言っても、あぜ道で見かける可愛らしいカエルさんたちが彼を見ても、同族とは思われないでしょうけど。


 ゲートに関しては、向こう側は岩で埋まってしまっていることですし、スリジェ家のかたがあとから塞ぐので問題はないそうです。


 破壊の眷属の使命が異界の危険を切り拓くことならば、創造の眷属は不要な切れ目を塞ぐことが使命。

 アーティファクトの力を使えば、ゲートを閉じることができます。


 それから、王様はわたくしに気をつかってくださって、セリスの怪我の状況をお教えくださいました。

 完治はしていないものの足は繋がり、血の気も戻ってきているとのこと。

 彼女の持つ“戻しの虹帯”には、巻いたものの時を戻す力があります。

「元に戻すこと」もまた、創造神ミノリ様のお力。

 スリジェ家の人間は普段、この虹帯を駆使して治療の奉仕活動をおこなっています。


 本当はお見舞いを口実に、昔のことを謝りに行きたかったのですが、破壊の眷属であるわたくしがそばにいると、治療に障るので控えることといたします。


 はあ……。


 わたくしとヨシノは、曲がった鼻をハーブティやお花の浮かべたお風呂でまっすぐに直し、ぼろぼろになった心身を癒しました。


 湯の中に身体を浸し、ヨシノの香りを嗅ぎながら、多くの謎に想いを馳せます。


 わたくしだって、無知ではありません。

 白い壁の向こうで見つけた装置と、その中から見つかった神工物。


 おそらくは、異なる世界同士の技術が組み合わされたものでしょう。


 ですが、納得のいかない点がひとつ。

 組み合わせるといっても、アーティファクトは単なる部品や原動力として利用されるのがほとんどなのです。

 例を挙げれば、我が家の朝食のスムージーを作るミキサーの刃は破壊の神工物“粉砕の爪”ですし、ある世界では“焼き尽くす業火”の熱を動力にした水の流れに逆らう船や、汽車なるものがあります。


 ところがあれは、異界の技術で女神の力そのものを高めている……。


 人の技術が、神の御業を押し上げる。ありうるのでしょうか?

 不吉な予感がいたします。


 よってわたくしは、こういった技術の組み合わせに詳しい世界や、人物を訪ねることを検討することとしました。


 異世界への旅立ち。

 いったいどんな出会いや運命が待ち受けているのでしょうか。


 ……もちろん、あなた様にもお付き合いいただけますわよね?


* * * *

 * * * *

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