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54.やっぱり可愛かった

 しーちゃんが入部して二週間が過ぎようとしていた。先週末は二日連続で練習試合があって忙しかったが、今週末は体育館を他の部活が使用する為に休みになった。

 以前からしーちゃんに休みの日に買い物に付き合って欲しいと頼まれていたので、明日二人で行く予定になっている。

 金曜日の部活終わりの帰り道、久しぶりに結奈と二人で帰る事になった。しーちゃんは明日の準備があるとかで先に帰っていた。ただの買い物に行くだけなのに何故か張り切っているようだ。


「えへへ……なんだろう、ちょっと恥ずかしいような……変な感じだね」

「な、な、なんだよ、と、突然どうしたの?」


 二人で歩き始めて少し進んだ所でいきなり結奈が照れたような仕草を見せた。結奈のいつもと違った雰囲気で思わず慌ててしまう。しーちゃんが転校してくるまでは当たり前の様に一緒に帰っていたのに結奈の変化に驚いてしまった


「うぅぅ……よく分からないけど……なんでだろう……」

「……き、気にし過ぎじゃないかな?」


 結奈の頭を抱える様な仕草が可愛すぎて直視出来ずに適当な返事をしてしまう。そんな可愛らしい結奈の姿を見てだんだんと意識してしまう。

 薄暗いので結奈には分からないと思うが、自分の顔が熱いので多分赤くなっているはずだ。変に照れた表情を見られたくないので顔を背けて遠くを見る様にした。


「そ、そ、そうかなぁ……うん、そうだね。えへへ……」


 おかしな事を言ってしまったと思ったのか、結奈も照れた顔を見せない様に違う方向を向いて、何度か頷いていた。お互いに微妙な甘い空気になって暫く黙ったまま歩き続けた。やっと顔の熱が冷めた頃に再び結奈が口を開いた。


「あっ、あの、蒼生くん……」

「な、な、何かな?」

「あ、明日なんだけど……何か用事があるかな? よ、よかったら一緒に買い物に行かない?」


 立ち止まった結奈がじっと俺の顔を見ていた。お願いをするような上目遣いの表情をした結奈の顔を見てどきっとしてしまった。思わず「いいよ」と返事をしてしまいそうになったが声に出す前にしーちゃんとの約束を思い出した。


「……ごめん、明日はダメなんだ」

「そ、そうなの……私こそごめんね、いきなり誘ってしまって」

「そ、そんな事ないよ、また今度、休みの日に行こう」


 残念そうに落ち込んだ表情を見せた結奈だったが、すぐに明るい表情に変わったので少しだけほっとしていた。しーちゃんは明日の事を結奈には話していないみたいで、俺も黙っている事にしたが、なんとなく罪悪感が残ってしまった。

 その後、結奈はいつもと変わらない様子になって普段通り笑顔で別れた。帰宅して一人になって結奈の残念そうにしていた表情が頭に残っていた。

 翌日、しーちゃんと約束した時間より少しだけ早くリビングで待っていた。昨日は先に帰ったはずのしーちゃんが後から帰ってきたので、部活が終わった後に別れてから一度も会っていなかった。何の用事で先に帰ったのか結局分からないままだった。

 ソファに座ってスマホでゲームをしていると二階からしーちゃんが部屋から出てくる音が聞こえてきた。そのまま俺はゲームを続けているとしーちゃんがリビングのドアを開ける音が聞こえた。ゲームがまだ中途半端なところだったので、視線はスマホに向けたままだ。


「おはよう……」

「むぅーー! これからデートなのに!!」


 足音で目の前に来たタイミングが分かったのだが、何故かしーちゃんは不機嫌そうな声をあげた。意味が分からずゲームを切り上げて、しーちゃんに視線を向けた。


「えっ!? あっ、あれ、しーちゃん……」


 髪型がいつもと変わって妙に大人っぽくなっていて、元々可愛いのが更に可愛くなってなっていた。正直言って目のやり場に困りそうなレベルだ。


「ふふっ、どう、似合ってるかな?」


 服装もいつもの部屋着とは違ってしーちゃんの可愛さを引き立てる感じで、俺が隣を歩いてもいいのかと思うぐらい似合っている。自分の服装を見て少し反省をした。


「……うん、似合ってて、すごく可愛いよ」

「えへへ〜、ありがとうーー」


 俺の返事を確認したしーちゃんは弾けるような笑顔見せて喜んでいた。確かにすごく可愛いくて人出の多い場所に行けばきっと目立つだろう。出発前だが少し不安になってきた。


(いつからしーちゃんはこんなに可愛くなったんだ……昔はどちらかと言えばやんちゃでお転婆な女の子だったのに……)


 男勝りの運動神経と明るい性格で人気はあったが、今とは全然違った雰囲気だった。でも今更ながら記憶を辿って思い出すと顔は整っていて美少女になる要素はあった気がする。でもここまでなると思っていなかった。そう、こんなふうに……


「ん……どうしたの?」

「えっ……う〜ん、あれ、あっ……わ、わ、わーー!!」


 しーちゃんの綺麗な顔が近づいてきたのに全然気付かなくて、一瞬、現実かどうか分からなくなってしまいひっくり返りそうなぐらい驚いてしまった。腰が引けた様な格好の俺を見てしーちゃんがくすくすと笑っている。

 もう出発前から俺はクタクタに疲れてしまった。笑顔のしーちゃんがすっと手を出してふにゃとなっている俺を起こそうとしている。


「ふふふ、そろそろ行こうよ!」


 楽しさいっぱいのしーちゃんの元気な声で家を出発をした。

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