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33.宿敵との対戦

 次の試合にも勝利した。最初の試合ほど点差はつかなかったが余裕をもって勝つ事が出来た。翌日は四強を目指しての試合になった。さすがに勝ち上がってきたチームだけあって、簡単にはいかない。でも俺達のチームも三試合目だけあって普段の練習ではなかなか出来ない連携プレーが上手い事いくようになってきた。結果は予想以上の得点差で勝てた。


「やったね! これで四強だよ」

「まぁ、ここまでは予想通りだな」


 試合が終わり帰る準備をしていると満面の笑みで結奈がやって来た。試合終了後に結奈はマネージャーとしての仕事があって、俺も永尾達と試合内容の話をしていたので話す機会がなかった。笑顔の結奈は俺の返答に不満そうな顔になる。


「えぇ〜、なんか嬉しそうじゃないわね?」

「ううん、そんなことない。凄く嬉しいよ、でも次の……」


 試合に勝って嬉しいのは間違いないのだが、どうしても次の試合を考えると喜んでばかりではいられないのだ。


「あっ、そうだったね……うぅ、ごめんね何も考えてなくて……」


 次の試合で気が付いた結奈はしゅんとした顔になってしまう。以前、結奈には話をしていたので察してくれたみたいだ。でも結奈が悪い訳ではないのですぐに謝ろうとした。


「いや、いいんだよ……そうだな、まだ一週間先の試合だから今考えても仕方ないよな、うん、大丈夫だ……」


 自分で言っておいて変なのだが、確かに悩んでいても意味がないし、もう決まった事なのだからグダグダ言って何もならないのだ。暗い顔をしていてはダメだと思い気を取り直そうとしていた。


「……今の蒼生くんなら大丈夫! 絶対に勝てるはずだよ」


 逆に結奈に励まされてしまう。気をつかうように笑顔を見せる。結奈に心配させてはいけないし、もちろん俺は負ける気はしていない。


「うん、そうだな、俺には結奈もついているから大丈夫だよ」

「ふぇ、あっ、う、うん。わ、わたしが……」

「ははは、そうだよ」


 予想外の事だったのか結奈は慌てた様子で顔を赤くしている。でも大袈裟な事を言った訳ではない、今現実に結奈が側にいてくれるのは俺にとって大きな原動力になっている。ちょっと照れている結奈が可愛かったので、もうちょっと慌てさせようと手を伸ばして結奈の頭を軽く撫でてみる。


「えっ、あっ、も、もう……」


 恥ずかしそうに結奈は俯いてしまった。ちょっとやり過ぎたかなと思っていると背後から山寺の呼ぶ声が聞こえてきた。


「お前たちいい加減にしろよ……まぁ、いつもの事だけどなぁ……もう皆んな集まっているぞ」


 振り向くと呆れ顔をした山寺とため息と吐いている村野が立っていた。怒る訳でもなくただただ呆れているだけだった。

 俺達がなかなか集合場所に来ないのでわざわざ呼びにきたようだ。さすがに悪かったと思い二人で頭を下げて、皆んなの所へ合流した。集合した後もしばらく皆んなからからかわれてしまったが、怒られる事はなかった。


 それから一週間はあっという間に過ぎて、いよいよ試合当日になった。対戦相手は、中学時代に俺をバスケ部を追い出した張本人の光井(みつい)がいる私立の強豪校だ。

 部活を辞めた後もこの学校は俺に特待生でという話があった。そして光井にも推薦の話があった。当時、俺はもうバスケを続ける気持ちがなかったので断り、今の高校を選んだのだ。まさか光井と対戦する日が来るとはあの頃は想像もしなかっただろう。


「……蒼生くん、どう調子は?」


 試合前の練習が終わりベンチに戻るといつもと違って心配そうな顔で結奈が駆け寄ってきた。

 練習中に光井が俺の存在に気が付いたみたいでチームメイトに何かを話していた。その後から光井は俺の事を見ていたみたいだが俺は無視するように練習を続けた。別に話すこともないし、必要もないので試合前のルーティンを続けた。


「うん、問題ない! 気合い十分だ」

「……よかった、いつも通りみたいだね。えへへ……心配ないね」


 笑顔に変わった結奈は俺の顔を見て不安がなくなったみたいだ。試合前から自分の事のように心配してくれた。俺が不安な顔をする訳にはいかない。


「大丈夫だよ。試合が終わった後は笑顔になる。絶対に、心配ない!」


 正直言って負ける気はしない、いつも以上に気合が入っている。安心した結奈は笑顔で頷き、またマネージャーの仕事に戻っていった。

 ついに試合が始まった。さすがは強豪校だけあって簡単にはいかない。光井だけではなくその他のメンバーもかなりの実力者だ。これまでの三試合とは違ってオフェンンス、デフェンスとも試合開始当初からかなりハードだった。


「これまでとはレベルが違うな……」


 リバウンドを制してシュートを決めた永尾がデフェンスに戻る前に呟いてきた。でもちゃんとシュート決めているから永尾も大した奴だ。


「そうだな、でも俺達も負けてないぞ」

「もちろん負ける気はないからな」


 永尾だけじゃない、山寺や村野、山西も同じ気持ちのようだ。皆んな、前半から全力でプレーを続けている。光井達のチームは俺達無名のチームに苦戦しているのは多分予想外だろう。息の合ったプレーで相手チームを翻弄して、何度か光井とマッチアップする機会があってほぼ俺が勝っている。それが試合展開にリンクするように俺達のチームがリードしている。

 第一クォーターが終わった時には会場から響めきに近い声が聞こえていた。次の第二クォーターも同じような展開が続いている。

 第二クォーターも終わりに近づいてきた頃、思わぬアクシデントに見舞われる。山寺が放ったシュートのリバウンドを光井と競り合っている時に着地を失敗してしまい足首を捻ってしまった。


(とりあえずはテーピングをすれば……)


 すぐに猪口と交代をして、治療をすることにした。もうすぐハーフタイムになるがなんとか逃げ切れそうだ。

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