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27.新たな気持ちと期末試験の準備

 部活の話合いが終わり、いつもと同じように結奈と一緒に歩いている。普段の部活より終わる時間が早いのでちょっと違和感がある。空もまだ明るいのだが、結奈の表情は暗いままだった。


「どうしたの? そんな顔をして?」

「うぅ、わ、私、蒼生くんの事、何も分かっていなくて……ごめんなさい」

「えっ、い、いきなり、な、なにごと?」


 突然の事でよく分からないが、結奈が悲しそうな顔をしているのは分かった。恐らくさっきの話合いでの内容の事を気にしているのだろう。


「もう少し、私が気にしていれば蒼生くんに嫌な思いをさせなくて済んだのに……マネージャーとしてもダメだね……」


 結奈は項垂れて落ち込んだ顔をしている。肩を落としている様子の結奈に俺は慌ててしまい、どうすればいいのか悩んでいた。これ以上不安にさせてもいけないので正直に話をするしかないみたいだ。


「あっ、あぁ……えっと、そ、そんなことはないよ! 今日はチームの皆んなに自分自身の事を話すきっかけになったから良かったよ」

「で、でも……」

「ううん、本当にいい機会だったから、それにいつかは話しておかないといけないからね。結奈さんはひとつも悪くないし、それに心配してくれていたから、ありがとうね。全然、大丈夫だよ!」


 安心させるように明るい声で笑顔を見せながら小さく頭を下げた。直ぐに結奈は大袈裟なぐらいに顔を横にぶんぶんと振って「そんなことない」と言いたげな表情をしていた。


「……ありがとう、これからもお願いだよ」

「う、うん……」


 もう一度お礼を言うとやっと結奈の顔に明るい表情が見えてきたので、ちょっとだけほっとした。こんなに心配してくれるのはとても勇気になるしチカラになる。これからも頑張らないといけないと気持ちになった。


「また明日から気合い入れて練習をするぞ!」

「うん、私も全力で蒼生くんをサポートするから任せてね!」

「ありがとう、結奈さん」


 ちょっとばかりオーバーな気がして恥ずかしくなってきたが、そんな俺を結奈は微笑み優しく見守ってくれた。


「でもね……蒼生くん……せっかく気持ちが高まったのだけど、明日から試験週間で部活はお休みなの……」


 一転笑顔だった結奈は真面目な表情に変わって残念そうな声で教えてくれた。結奈の言葉で俺は前のめりになり転けそうなった。


「……マジで?」


 呆気にとられて試験のことなど全く頭の中になかった。がっくりと肩を落とすと同時に恥ずかしさが倍増する。そんな俺を見て結奈は小さく頷き微笑んでいた。

 でも試験週間に入るは完全に忘れていたが、気持ちは変わることはない、試験が終わればまた大会に向けて一生懸命に練習するだけだ。

 そんなこんなで帰宅してから、しばらくすると結奈からメッセージが送られてきた。


『約束、覚えてるかな? 明日の朝、一緒に登校しようね』


 メッセージを見た時は、約束とは何の事か覚えていなかったが一緒に行く事には問題がないので返事を送った。


(約束ってなんだったかな? 試験に関係ある事だったか?)


 頭を捻ってみるがそれらしい事は思い出せなかった。とりあえず明日の朝、それとなく探ってみる事にした。約束は思い出せなかったが、前回の試験後に期末試験は厳しくやるみたいな事を言っていたのを思い出した。


(……嫌な予感がする)


 結奈は高校に入学して少し茶目っ気が出てきたが、基本はとても真面目で勉強に関しては厳しいところがある。不安な気持ちを抱きながら待ち合わせに遅れないように早めに寝ることにした。

 翌朝、結奈と約束したバスに乗る。俺の家が手前にあるので先にバスに乗っている。二つ後のバス停で結奈が乗ってくるはずだ。


「おはよう、蒼生くん!」

「お、おはよう……」


 朝からご機嫌な結奈に若干圧倒され気味だ。空いていた俺の隣に座ると鞄からちょっと大きめの単語帳を出して手渡してくれた。


「これ、今度のテスト範囲で覚えないといけないところだよ」


 手書きで丁寧に書かれたものだった。


「まだ、明日も追加で作ってくるからね。暫く朝練がないし一緒に登校出来るから渡せるよ」

「あ、ありがとう……でも結奈さん自身も勉強しないといけないのに大丈夫?」

「ふふふ、心配してくれてありがとうね。大丈夫だよ、作る時に私も勉強になるから」


 結奈の言葉で約束の事を思い出した。朝練がない時は一緒に登校しようと約束したのだった。笑顔で話す結奈を見て俺が忘れていた事がバレていないみたいなので少し安心した。

 そんな俺の為にやってくれるのは嬉しいけど、結奈の勉強時間を削ってしまっては申し訳ないと思いながら手にしている結奈の作成した単語帳を数枚捲っていく。やはり片手間で作っている訳ではなくしっかりと作り込んであった。


「本当に結奈さんは凄いなぁ……」

「えへへ、蒼生くんの苦手そうなところをピックアップして作成しているからバッチリだよ!」


 自信満々な笑顔をしている結奈を見て感心する。数枚見ただけだけど俺が覚えていないところがきちんと押さえてある。確かに毎日、部活前や休憩時間に結奈が俺の宿題とか見てくれているので苦手な箇所は把握しているみたいだ。

 この前の中間試験の後からはちょっとした時間に勉強を見てくれる機会が増えた。教室の席は離れたけど結奈と一緒にいる時間が以前より増えたような気がする。


「分からないところがあったら登校時間も質問してくれていいからね」

「う、うん」


 これだけ試験勉強を助けて貰うときちんと結果を出さないといけない、少しプレッシャーになってきた。前回の試験結果が思った程良くなかったのが、結奈の中では悔しかったみたいで自分自身の事みたいになってきている。期待に応えないといけない……


「ふふっ、頑張ろうね!!」

「う、うん、頑張るよ」


 高校受験の時も最期はかなり厳しかったのを覚えている。でもそのお陰でこの高校に合格が出来たのだから間違いはないが、ちょっと不安もある。でも期末試験はなんとか乗り切れそうな気がしてきた。

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