1日目 魔石を使ってみた
1日目ラストです!!
「失礼します」
そう言うとエミリー殿下と俺は食堂の中へ入る。
室内には先ほどの4人のほかに女性が2名いた。
「あら、あなたがタツヤさんね、お話は聞いていますわ」
「あ、初めまして。タツヤ・ヒムロと言います」
「私はリリアン・ルーク・パール。王妃をしています」
「あ、えっと、私はクレア・ローガン・アローゼです。王子妃です」
二人の女性はそう名乗った。
「それでエミリー、料理のほうはどうだったのかしら」
「タツヤ様がエビフライという絶品の料理を作って下さいました」
エミリー殿下は明るい声で答えた。
「あらそうなの? それは楽しみね」
「エミリーそのエビフライというのはどういった料理なのかい?」
ハリー殿下が優しい表情をしながら言う。
「えっと、サクサクでアツアツでおいしい料理です!」
「それは楽しみだな」
ハリー殿下は苦笑いをしながら答えた。
「え? ハリーは今の説明で分かったの?」
クレア殿下の言葉でハリー殿下は固まってしまった。
「本日の夕食はエビフライでございます。」
料理長が王族の方々と俺とギャリーさんの食事を配膳する。
「それではいただこう」
オーウェン陛下の言葉を皮切りに皆一斉に食べ始める。
「これは美味いな」
「ええ、今までにない食感ですわ」
「定期的に食べたくなりますね」
「うむ、これは漁師に多めに釣ってもらえるか交渉すべきですかな……」
王族の方々が美味しそうに食べている中、ギャリーさんは商売の方法について考えているようだ。
「エビを使った料理はほかにもたくさんありますよ」
「なっ、そうか。では今後は定期的に釣ってもらえるように交渉しましょう」
「タツヤ様、ありがとうございました」
エミリー殿下が突然、礼を言ってきた。
「どうしたんですか、急に?」
「新しい料理を作って下さったことです。このエビのおかげで国民の生活もより豊かになるでしょう」
あー、そんなことか。
「私は自分が食べたいから作っただけです。気にしなくていいですよ」
「はい」
「これはタツヤの発明にも期待できそうだな」
陛下がそう呟いた。
「あまり期待されても困るのですが……」
「こんな美味しい料理を作るような方ですから、誰でも期待してしまいますよ」
ハリー殿下が苦笑いしながら言う。
「どちらにしろ明日、街を見て回ってからです。その後、何を作るか決めます」
「あぁ、楽しみに待っている」
そんな事を皆で話しながら夕食を食べた。
「それでは私は戻ります」
ギャリーさんが帰宅すると席を立つ。
「では介護の者をつけよう」
「ありがとうございます」
「では、私もそろそろ部屋にいきます」
そう言いながら俺も席を立つ。
「タツヤ様、お部屋まで案内します」
「ありがとうございます」
マレットさんに案内されながら俺は部屋へ向かう。
「こちらがタツヤ様のお部屋でございます」
そう言うとマレットさんは部屋に入り、何やら宝石らしきものに触れた。
すると突然、石が光りだした。
「マレットさん。それは何ですか?」
「? どれでしょうか?」
「その石です。」
「こちらは光の魔石でございます。魔石を見るのは初めてでしょうか?」
「はい。私のいた世界にはなかったので」
「そうでございましたか。では一度使ってみますか?」
「はい、ご教授願います」
「ではこの魔石を手のひらが触れるように持ってください」
そう言うとマレットさんは石を差し出した。
「次に、目を瞑って体の中心から何かが手のひらに流れる様子をイメージしてみてください」
俺は言われたとおりに目を瞑り、イメージをしてみた。すると石が明るく光りだした。
「そうです。では逆に手のひらから体の中心に何かが流れるようなイメージをしてください」
同じようにイメージをしてみる。すると石の光は消えた。
「流石でございます。今タツヤ様と石の間を流れたのが魔力です。この世界ではこの魔石を使って光や水を作り出していますので、とりあえずこの光の魔石で練習をするといいですよ」
「ありがとうございます」
「いえいえ、お構いなく。トイレはこの廊下の突き当りに、その一つ前の部屋がシャワー室となっています。青い色の看板があるほうが男性用となっています。お部屋の中に着替えも用意させて頂いております。ご自由にお使いください。では私は失礼します」
「はい。おやすみなさい」
そう言うとマレットさんは再び食堂の方に戻っていった。
「さて、どうするか」
俺はそう呟きながら部屋に明かりを灯した。
部屋は20畳弱くらいの広さで、ベッドやクローゼット、机などの家具がそろっている。
机の上には寝間着と俺のリュックサックが置いてある。
俺はとりあえず寝間着を持ってシャワーを浴びに行くことにした。
シャワー室には青色の魔石と石鹸が置いてあり、上には何やら穴の開いた容器が吊るされていた。
「これでいいのかな?」
そう呟きながら青い魔石に魔力を注ぎ、容器の中に入れた。
するとシャワーのように細い水がたくさん出てきた。
俺は使い方があっていたことに安堵し、体を洗いだした。
俺は部屋に戻るとすぐにベッドに寝転がった。
「とりあえず、シャワーと水洗トイレがあったのはよかったな……」
そんなことを呟きながら明日は何をするのかを考える。
とりあえずは文字の勉強だろう。文字が読めないのではなにも始まらない。
あと、魔法や魔石についても勉強しないとなぁ。
どこかに図書館はあったりするのだろうか。
そもそもお金はどうしようか。
そんなことを考えているうちに俺は眠ってしまっていた。
ありがとうございました。
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