1日目 タツヤ、異世界へ
初めまして。明→です。
この作品は私の処女作です。
読みにくかったり、不自然なところもあると思いますが、大目に見ていただけると幸いです。
「疲れた……」
俺はそう呟きながら帰路につく。
働きたくないからと大学へ入学したにも関わらず、毎日塾へと通う日々。
その上、塾長からは毎回受験対策プリントを家でつくるように命じられている。
寝不足のせいか足元がふらつく。受験が終わったらのんびりくつろいでやろう。
そう決心した瞬間、頭に激しい痛みが走る。
目を開くと、地面が目の前に見える。
あぁ、なんだ。転んだだけか。
そんなことを考えて体を起こそうとしても、まったく動けない。
それどころかだんだんと思考が鈍っていく。
どうすればいいのか全く分からない。
視界も暗くなっていき、意識がさらに薄くなっていく。
あぁ、こんなことならバイトをサボればよかったなぁ。
そして、俺は完全に意識が途絶えた。
だんだんと意識が戻ってくる。やけに背中が冷たい。
目を擦りながら周りを見渡してみると、そこは草原だった。
「ここどこだよ……」
そう呟きながら、さっきまでのことを思い出そうとする。
転んだことを思い出して咄嗟に頭の後ろを触ってみる。しかし、怪我をしているところは見当たらない。
とりあえず落ち着こう。
そう考えて深呼吸をする。
今の状況を頭の中で反芻する。
どこかの山? 死後の世界? 異世界?
ダメだ。情報が少なすぎる。
まずは情報収取する必要がある。そう決断を下して、もう一度周りを見渡してみる。
すると、すぐ近くに道路を見つけた。
俺はその道を太陽に向かって歩いていくことにした。
道路を歩きながらリュックの中身を確認してみた。
スマホ、財布、受験対策プリント、筆箱、水筒が入っていた。
スマホの電源をつけてみると、圏外になっている。
「やっぱり駄目かぁ」
大方予想はしていたが、電波は来ていないようだ。
極力充電を消費しないようにするべきだと考えて、電源を再び消す。
しばらく歩いていると、前方に金髪の男性が倒れていた。
俺は慌てて男性に近寄ってみる。
「すみません。大丈夫ですか?」
呼びかけてみたが返事がない。
よく見てみると、頭と足を怪我しており、意識はないようだ。
俺は道の脇の小川へと駆け寄り、水筒には水を入れて、ハンカチと上着を水で濡らした。
男性の怪我の周りを水で洗い流し、上着とハンカチで怪我を圧迫した。
「大丈夫ですか? 意識はありますか?」
俺は再び呼びかけながら、どうするべきか悩んでいた。
「うっ……」
とりあえず圧迫を続けていると、男性が目を覚ました。
「あっ、右脚は動かさないでください。骨折しているかもしれません」
「君は?」
「初めまして。私は達也といいます」
俺はそう答えながら日本語が通じることに安堵していた。
「私はギャリー・ロダンという。助かった。ありがとう」
ギャリーさんはそう言いながら起き上がろうとした。
「まだ安静にして下さい」
「すまんがそうは言ってられん。今は重要な仕事の最中なのだ」
ギャリーさんはそう答えながら周りを見渡した。
「タツヤさん、このあたりに荷馬車はありませんでしたか」
「私が駆け付けた時には、そのようなものはありませんでした」
そう答えると、ギャリーさんの顔は一気に青ざめた。
「タツヤさん、急で悪いが荷馬車を探すのを手伝ってくれ」
ギャリーさんはそう言いながら立ちあがろうとした。
「ちょっと待てください。先に最低限の応急処置をしますので」
俺はそう答えながら草原から枝を拾ってきた。
「少々、右脚失礼します」
そう言いながら右足にあて木をした。
「よし。とりあえず肩を貸しますので、極力右脚は動かさないで下さい」
「おぉ、ありがとう」
ギャリーさんは俺の方に手をまわしながらそう答えた。
三十分ほど歩くと、前方に荷馬車が見えてきた。
「あの馬車ですか?」
「あぁ、あれで間違いない」
ギャリーさんは足取りを速くしながら答えた。
慌てて荷馬車に乗り込むと、ギャリーさんは積み荷を確認しだした。
「良かった……。タツヤさん、お礼がしたい。私はこれから王都へと行くのだが乗っていくか?」
ギャリーさんは安堵の表情を浮かべながら言った。
「王都? ここはなんという国ですか?」
「む? ここはリシェール王国だ」
ギャリーさんは不思議そうに答えた。
どうやら俺は異世界に来たようだ。
さて、どうしようか……。
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