コボルト
翌朝、市場で昼食のカレー用の具材、調味料を仕入れ森へ向うと所々木が折れたり焼けたりしている。
近くで魔法の爆発音やモンスターの遠吠えと思われる音が森に響く。
「おいおい、こんな激戦地、俺たちで大丈夫なのか? 俺、最弱キャラだぞ」
「任せるでゴザルよ。碧殿から頂いた【くじら君】があれば! フフフフフフ!」
や、や、やばい。あの冷静な則之が暴れたくてウズウズしている。
なんか、人格も変わってしまったような気も。
あの鯨包丁、妖刀とかじゃないだろうな。
しかも、【くじら君】って。もう少しマシな名前は無かったのか?
智弘がマジカルなんちゃらを振ったり振り回したりした後、じっと凝視している。
「智弘、何やってるんだよ?」
「なんか、あれなんだよ!」
「何だよ、あれって!!」
「まぁ、分かるわけないよな。なんか伸びたりしそうなんだけど・・・・・・どうすれば良いのか分からないんだよ」
「伸びるって、お前、それ孫悟空の如意棒かよ、はははは」
智弘は念じたり引っ張ったりしているのだが何一つ変わらない。
「トモ君は魔法少女だからバトントワリングみたいに回してみたらどうかな?」
へ?将太、お前、何言ってるの?
と思ったのだが、智弘がクルクルとバトントワラーのように回してみると。
伸びた!!1.5mにくらい伸びた。
智弘は伸びたマジカルなんちゃらをブンブンとぶん回し、
「これでモンスターをぶん殴るか」
「やたら、凶暴な魔法少女だな」
「俺の魔法じゃスライムなど弱い敵にしか効かなかったからな。なら、ぶん殴った方が良いだろ」
「そんな細いものじゃ、へし折れるだろう?大丈夫か?」
「なんかメチャクチャ丈夫そうだぞ」
といって近くの岩を叩いてみるとガコンという音をだして岩が砕けた。
「おおおおお」「おっ!」「わーーーー」
俺たちは一様に驚いた。
「水原君、攻撃力、高かったのね」
「いや、これはマジカルステッキの力だよ」
「レベルが上がったらマジカルなんちゃらの力が解放されたのか?」
「それもあるのかもしれないが・・・・・・・・前より男のシンボルが小さくなった」
「いやーーーー」
七海が顔を押さえ後ろを振り向く。
「もう!!急に何を言い出すのよ」
女の子特有の恥ずかしがり方が可愛い。
「マジメな話、アレが小さくなってステッキを持ったら何か感じるものがあったんだよ」
「女体化が進んでいると言うことか・・・・・・」
将太はいいんだよ、将太は。
でもな、智弘と則之が女になった姿を想像すると恐ろしくて眠れないよ」
「えーー僕はいいの? う~~~ん、ちっとも誉められている気がしないよ」
ガサガサ
ゴソゴソ
木々が揺れざわめいた。
茂みから2足歩行の犬の顔、いや、そんな可愛いものでは無いブサイクな狼といった方が正確だろう。
しかもヨダレを垂らしながら楯と剣を持っているではないか。
そんなモンスターが10匹ほど飛び出してきた。
「コボルトだ!気をつけろ!!」
智弘が叫ぶ。
「アースウォール!」
七海が魔法を唱えると地面から土の壁が飛び出してきた。
土の壁で時間を稼いでいる間に迎撃体制を整えると則之がくじら君を担ぎ前線に立った。
則之の後ろに俺と智弘が陣取り、その後に七海が、最後尾に将太がシフトした。
七海は将太の後にもアースウォールを展開して将太の後背を守るのであった。
則之に2匹のコボルトが飛びかかったがくじら君に水平斬りで2匹とも上下に真っ二つ。
それを見たコボルトも知能はあるらしく2匹が則之と相対している間に残りの6匹が左右に展開し、
智弘に3匹、俺に3匹が迫ってきた。
智弘は伸びたマジカルなんちゃらで1匹をぶっ叩き、
すかさず自分の左にいたコボルトにファイヤーボールをを投げつ牽制した隙にもう一匹をマジカルなんちゃらでブッ叩く。
そして、最後に牽制した一匹をぶっ叩いた。
俺はというと則之のような剣技はない、智弘のような魔法もマジカルなんちゃらもない。
持っている武器はその辺の店で買ったシャベル。防戦一方、下がることしかできない。
俺の腕では3匹の相手は無理。
コボルトが一列になり1匹の後に重なるように突進してきた。
1匹が上から、もう一匹がその上から剣を振り下ろしてきた。
あれは~~~ ワンワンストリーム・アタックだ!
俺はズガーンダムの主人公じゃない。
そんなもの避けられるわけ無いだろ。
則之に使えよ、お前ら。
やばい、これはおっちぬかも。
「フレイムアロー!! ブラストチェンバー!!」
最上段から飛び出してきたコボルトに炎の矢が10本ほど突き刺さり燃えている。
2段目のコボルトに風で作られた四角い人間大の箱が包み込み「バシュン!!バシュン!バシュン!」という音がしたかと思うと消えてしまった。
先頭にいた一匹は俺のシャベルと鍔迫り合いをした。
その隙に3匹目4匹目を片付けた則之が後からコボルトを真っ二つにして俺の危機は救われた。
「あーーーー、ありがとう~~みんな。おっちぬとこだったよ。小便チビりそうになった」
「間に合ってよかったでゴザル。くじら君は名剣でゴザルよ」
「七海、助かったよ。ありがとう。何度救われているか分からないな」
「白田君が無事で良かった」
「アオ君、怪我してない?大丈夫」
「あぁ、怪我はしてないよ。みんなに助けられた」
「七海、今のブラストチェンバーって魔法、エグイな。あのバシュンって音、中でコボルトが切り裂かれた音だろ?」
「多分、そうだと思う。ブラストチェンバーなら周りに危険が及ぶことないと思うから、今後は多用していこうかな?」
あの箱の中の様子・・・・・見たいような、見てはいけないような。
七海が恐ろしく強いことがよく分かった。
それにしても、やはり俺は役立たずであった。
どうも俺には主人公補正とかいうものは無いようだ。
アルファポリス
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