宇宙艦隊決戦
その惑星の上空5万キロには この星の大きさに匹敵する巨大アメーバーが存在していた。
これは・・・勇者召喚によって呼び出された勇者・・・
というか! よりにもよって・・宇宙を滅ぼす機械生命体を召喚してしまったのである!!
見た目はアメーバーのような生物の形をしているが・・・機械的有機テクノロジー!?によって作り上げられた人工生命体。
おそらく戦争の兵器であったのだろうか!?
どこかの異世界で生み出された最終兵器だと言われている。
そして・・・この機械生命体は 創造主のコントロールを失い大増殖!!
次元を越え、その世界そのものを破壊する存在になってしまったのであった。
今!! この機械生命体と対決すべく・・・修理と補修を延期しソフィアーナ艦隊が 虚空の大宇宙に布陣している。
もはや船というより 動く大陸そのものというべき全長3000km級の超巨大戦列艦!!!
主砲にあたる46km三連装砲50門 副砲10000門を装備、ソフィアーナ艦隊の主力であり象徴というべき姿をしている!!
その巨大戦列艦20隻を中心にして その周囲を80隻もの艦艇でずらりと囲む輪形陣の隙間を 縫うように航行している小型船があった。
小型船といっても全長2kmをほこる陸戦降下艇スオウは ソフィアーナたちを乗せ この大艦隊の旗艦である戦列艦ナガトに向かっていた。
この降下艇スオウに乗り込んでいたノアねーさんや学士君、ベルグ(将軍)の驚愕と驚きで艦内は大騒ぎになっていた。
ほとんど お祭り騒ぎである!!
あれやこれやと質問しまくる一同。
特に学士君は大喜び。
始めて見る宇宙。 初めて見る虚空。 始めて見る自分たちが住んでいた惑星。
そして、あまりにも巨大すぎる宇宙船!!
そんな騒ぎの中・・・
陸戦降下艇スオウは 戦列艦ナガトから出される誘導ビーコンに導かれながら 格納ハッチを通り、無事に着陸することができた。
着陸したスオウから 白い水蒸気が排出され、重厚なハッチが開き 数人の人影が 格納庫へと降り立った。
鉄で作られた床が永遠と広がる広大な空間、壁も天井もあまりにも遠くにあるので ぼやけて見えてしまう!
そんな格納庫に彼らは降り立ったのである!!
そして・・・・・再び 大騒ぎ!!
今まで 想像すらできなかった世界に・・・新鮮な経験に・・・・彼らの心は浮かれ、実に楽しげである!!
都会に出てきたばかりの・・・おのぼりさん状態なのであった!!
「広い!! 広すぎ!! ここは・・・平原!? 鉄の平原!!」
この格納庫は広すぎた!!
鋼鉄でできた床が100km四方に広がり 天井までの高さも20kmはある!!
どこかの都市がすっぽりはいるだけの空間があった。
しかし・・・・
今は緊急事態である!! 私には 彼らにいちいち説明をしている暇はない!
一息をつく間もなく・・・この広大な格納庫空間を横切り 猛スピードのエアカーが うちらの前に停車したのだ。
すると・・・副官アヤノの素早い指示により 全員がエアカーへと乗り込んだのである。(ほとんど無理やりに!!)
「ソフィア―ナ様! このまま艦橋に直行します。すぐに戦闘が始まりますので心の準備をしてください」
「う・・・うん わかった!」
この副官アヤノの発言で ノアねーさんたちも気が引き締まる!!
時速4000kmの速度で艦内を駆け走るエアカー。
この速度だけで、ノアねーさんたちは目を回し、顔や手に汗を流していたようである。
さすがの学士君も顔が青くなっていた。
近代文明の洗礼をうけた中世時代の人間らしいふるまいである。
そんなこんなで うちらが艦橋に入室すると、ヒューマノイドたちが一斉に私に向かって敬礼をした。
私も思わず敬礼をして なんだか恥ずかしい気もしたが 即座に司令長官席に座る。
ディスプレイには 敵である機械生命体の映像が映り、司令長官の命令で いつでも戦闘開始ができる状態になっていた。
いよいよ戦闘の始まりかと うちは息をのみ緊張する。
そんな私とは違い ノアねーさんたちは 艦橋内の設備を見て、驚き興奮して、あっちこっちを指さしている。
とくに学士君は大喜びで・・・・えらくはしゃいでいた。
そんな彼らを 黙らせるためか・・・メイド姿のヒューマノイドが数人あらわれ、
うちの座っている座席の後方に オープンテラス風(野外じゃないけど)のテーブルを設置、
ケーキセットなどのティータイムの用意を始めた。
どうやら 餌付けをするつもりである!!
そして・・・彼らは簡単に餌付けされ大人しくなりました!!
「あら・・・おいしい!」
「ほぉ~~ これは すばらしい!!」
そんな様子を見た私も・・・・・
・・・うちもケーキが食べたい!!
いや!!・・・・そんなことよりもケーキじゃなくて・・・・・うちは世界を守るお仕事をしなければならないのです!!
副官のアヤノに促されて・・・
この戦列艦ナガトの必殺兵器である魔導砲に 私は魔力の充填を始めた。
私の片手に魔力を集中させ 司令長官席の横に設置している魔力充填クリスタルに片手を乗せると、
私の魔力が どんどんとクリスタルへと吸い込まれていった。
元来の私の持つ魔力はそんなに多くなかったのだが・・・
私の頭に埋め込まれた電脳の働きにより・・体内を駆け巡る魔力の流れが改善され、悪玉コレステロールに邪魔されなくなったww
分かりやすく言えば・・・魔力が扱いやすくなり、その魔力量も比較的に増大したということである。
機械の力を借りたとはいえ 私は優秀な魔導師になったと思う!!
あまり魔法の技はつかえないけど!!
クリスタルに吸収されていく 私の魔力量を見て・・・
ノアねーさんは驚いているようだった。
ソフィは いつのまに・・・それだけの魔力を持つようになったの!??
「私の知らない間に・・・あんなに成長して!! 私はうれしいよ!!」
ノアねーさんは、私の仕事ぶりを見て喜び・・・・・・おいしいケーキを食べながら見守るのであったww
「でも・・・ このケーキはおいしい!!」
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副官のアヤノは私の横に立ち戦闘開始を促す。
「ソフィア―ナ様! 敵の機械生命体が接近してまいりました。射程距離に入ります。
敵の数は一体。 全艦隊砲撃準備完了しています!!」
「戦闘開始!! みなの奮闘を期待する!!」
艦隊司令室にいるヒューマノイドたちが 一斉に規律し胸に片手を当て私に対して忠誠の誓いをした。
それに対して 私は敬礼をする。
その姿を見て感動するノアねーさん。
「ソフィ・・・立派になって!」
目がハートマークになる学士君。
なぜか握り拳になるベルグ(将軍)。
ソフィア―ナ艦隊・全100隻の砲塔が一斉に機械生命体に向かって放たれた。
10万筋の光の線が 暗い宇宙を真っ赤に染め直進する。
宇宙には音がないので 艦橋は実に静かである。
アメーバーのような形をしている機械生命体の中央に爆発が連続している映像が映りだされた。
爆発の炎は機械生命体全体を覆うが、まったく狼狽する様子がなく(アメーバーですので!!)
それどころか、なにやら細い触手のようなものが、無数に生えてくるやいなやその先端から・・・
光の弾のようなものが発生して こちら側に投げこんできた。
その数は数千!! 凄まじい量の光弾で反撃してきたのである。
「電磁防御を前面に展開します」
副官アヤノが言葉を発したとたん 戦列艦ナガトが小さく揺れた。
「ナガト船首被弾、損害軽微」
機械生命体から うちらの艦隊へ反物質砲弾を撃ち放ち こちらも倍以上の砲弾で反撃する。
数分に及ぶ激しい砲撃戦がなされた。
戦列艦の何隻かが被弾し火災発生という報告も来ている。
「魔導砲の魔力充填90% そろそろ準備に入ります」
副官アヤノが 各種スイッチを入れだした。
うちも 緊張してきた。 これが噂の魔導砲。
ノアねーさんも ディスプレイを見て 良く分からないが緊張している。
学士君とベルグ(将軍)はお気楽そうである。
艦隊指令室は無音であるため戦闘の緊張感がないためだろうか!?
『 敵、機械生命体へのターゲットロックオン完了。 魔導砲回路充填、空間次元変動確認!! 』
コンピューター音声が流れてくるとともに、魔導砲発射ボタンがロック解除された。
私はゆっくりと そのボタンを押す。
戦列艦ナガトの艦首が二つに割れ、そこから巨大な光があふれかえりだした。
その・・・あまりの眩しさのため 艦橋のディスプレイは遮光処理によりブルーの色に変わる。
宇宙に音はない!! のだが・・・
感覚的に巨大な音を感じた。
巨大な火球が 戦列艦ナガトの艦首に発生し それはみるみるうちに巨大に膨れ上がった。
あたかも超新星爆発でもするかのように巨大となり、戦列艦ナガト全体を覆いつくす。
そして・・その火球は紅い光の矢となり、光速の速さで機械生命体へ向かって放出した。
ナガトの魔導砲から吐き出された光の矢は 円錐状に膨らみ続け ついに半径1万キロの巨大な広がりとなって、機械生命体を包み込むように襲い掛かった。
この未知の光に脅威を感じたのか 機械生命体は、あるったけの防御磁場を展開したが、
その防御磁場は問題なく粉砕され、機械生命体は魔導砲の光の中で消滅した。
魔導砲の光が消えた後 そこには無しかのこってなかったのである。
「これが魔導砲!! 」
私は小さくつぶやいた。
艦橋内のヒューマノイドたちは歓声をあげ、つられてノアねーさんも歓声をあげる。
学士君は嬉しそうにディスプレイを凝視し ベルグ(将軍)はよくわかってない様子だ。
副官アヤノは私に囁いた。
「これだけの 魔導砲でも 機械生命体主力には心細いのです! 過信は禁物ですよ」
「あ~ そうか!! 相手は宇宙を滅ぼす生命体だからね」
機械生命体との壮絶な砲撃戦、そして魔導砲の煌めきと破壊力、
そして・・・これら戦いの光景を眼下の惑星上でも見られたのである。
星の住民たちは空をあおぎ 脅威の光景を目に焼き付け 恐るべき真実を知ることになる!!
・・・・神々と悪魔との最終戦争が、天上虚空で繰り広げられたことを・・・・
戦いは終わり、巨大戦列艦ナガトは、故郷であるフユル村上空といっても 地上1万km上空で停止した。
当初の予定とは違うが・・せっかく戦列艦ナガトが、この星にまで来たのだ。
さっそくフユル村移転計画を実行することになった。
フユル村周囲に謎の光が降り注ぎ、フユル村を含む広大な山岳地帯そのものが空中に浮上、上空へと登っていく。
とんでもないスペクタクル映像である!!
ある意味・・・世界の終わり的な光景でもあった!!
戦列艦ナガト艦内のテラフォーミング地区に フユル村周辺の広大な地形を切り取り その環境をそのまま移植したのであった。
住んでいる住民たちは なんの違和感もなく 気が付けばナガト艦内であったというわけである。
今まで住んでいたように雨や雪も降り 朝、昼、晩も存在する。
惑星上で住んでいたころの環境とほぼ同じであり 艦内にいることさえも気づかないぐらいの完璧な移植であった。
そして・・・フユル村が存在していたはずの・・・というか山岳地帯ごと消滅し、その跡地には平らな平原が出現していた。
艦隊司令長官の私ことソフィアーナは、フユル村移転作業を進める中、
国王が行方不明となったフランリア王国の王都へと向かった。
王都の住民たちへの 食料や治安、インフラ整備である。
ソフィア―ナ艦隊から 次々と降下していく陸戦隊が 王都を完全に掌握。
その後、作業員が降下し、破壊されたインフラと、食料の供給を行った。
ノアねーさんは、王都各地でソフィアーナ王女の帰還を宣言、新国王はあたかもソフィアーナ王女であると触れ回った。
ベルグ(将軍)も 捕虜としての価値がなくなったので・・・なんとなく解放されww
・・・・・そして その彼も次の国王はソフィアーナ王女だと国内の有力者に説得しまくった。
その武力。
その上空に浮かぶ 桁違いの巨大な艦隊、
そして先日、空で演じた機械生命体とのド迫力な戦闘光景・・・まさに示威行為というべきものだった。
その圧倒的力!! 神がかり的力! 誰が考えても、ソフィア―ナ王女を女王として迎えるしかないのである!!
フランリア王国内で ソフィア―ナ王女に対し反対する勢力は、表だって行動をおこせない。 おこせるわけがない!!
あまりにも脅威すぎる軍事力のためである。
その後、フランリア王国の侵略目標となったレイア大公国と その同盟国であるローンドラ帝国との講和会議を開いた。
だが・・・その講和会議で物凄く強気で迫った。
・・・・ノアねーさんが!!
フランリア王国代表である私は講和会議の席で なにも言葉を発しないのに、
側にいたノアねーさんが おもっきり威圧したのである。
ちなみに、レイア大公国公都とローンドラ帝国帝都に それぞれ直径20kmのUFOを派遣し完全に威圧、砲艦外交をおこない、
むりやり外交使節を派遣させたのである。
この両国は 完全にソフィア―ナの武力の前に屈してしまった。
侵略された側なのに かわいそうである。
この会議でいきなり 吠えたのはノアねーさん。
ノアねーさんは副官アヤノと協議して どのようなセリフを吐くのか かなり長時間考え抜いたようだ。
「神の使徒であり この世界の平和を守るため地上につかわされたソフィアーナ王女である!!
悪逆非道なフランリア王国の国王を討ち、フランリアに平和をうちたてた
この大陸の平和を守るため ここに集まった三か国で不可侵条約を結ぶ!
条約を違えれば、ソフィア―ナ王女が制裁を加えるだろう。
ソフィア―ナ王女は神の使徒であり 世界を滅ぼす機械生命体と戦う必要があるため、
フランリア王国には別の王を立てる予定である」
「神の使徒!? 機械生命体!?」
よく分からない発言のため なにやら会議はざわついているが・・・
「皆の者が 理解をしなくても別に問題はない、ソフィア―ナ王女が機械生命体との戦いに負ければ世界が崩壊、そして、全てが終わる。
しかし・・・勝てば 今まで通りの世界が続く! ただ・・それだけの事だ」
「その神の使徒様・・・ われらは なにか その戦いに援助などしなくても よろしいのですか?」
「その必要はない!! 空を飛べない者に天空の戦いはできないからだ!!
しかし、ソフィアーナ王女の故郷を騒がすことだけを しないでくれたらいいのだ!!
戦いが終わったあと 故郷が破壊されていたら、怒りの目標がどこにいくか わからないからな!!」
完全なおどしである!!!
「それは もちろん! ローンドラ帝国、レイア大公国の両国が責任をもってフランリア王国の安全を保障します」
「うむ、それなら安心して 世界の安全を守るため 旅たてるというものだ!!」
講和会議は終わり、フランリア王国の次期国王を
うちは会ったこともないが、領主として評判が高く住民にも人気があるというフェレルという人物を国王にした。
どうやら従兄にあたるらしい。
フェレル国王の誕生である。20代ほどの青年で ソフィアーナの父であったカルマン国王によく似ていると
ノアねーさんが言っていた。
フランリア王国の後始末もおわり、戦列艦ナガトのテラフォーミング地区には、
フユル村及びその住民、その周囲の環境ごと移転させ 以前と同じように村の生活をしている。
村の付近には田畑があり作物も収穫できる。
地上世界とは違って、戦列艦内の自然環境は安定してるので 極端な不作は発生しないだろう。
問題は 近くの都市がないから行商人がこないのだが、そこは ヒューマノイドが行商人を演じることで、
できるだけ以前と同じフユル村を再現した。
ここまで無理して中世時代の世界を再現する必要があるのか疑問だが、
ここの人たちをいきなり近代化は無理だろうから 中世時代の生活を営んでもらうことにした。
相変わらずのエンドレ君は 図体のでかい体をしており 以前とかわりない生活をしている。
学士君は・・・村によりつかず 私の後ろについて回っている。
可愛いから妹あつかいだが、この子は男の子なんだよね!
元将軍のベルグは なぜか村で住んでいるww
家族とともに村に移住してきたのであった。
若いころの恨みなのか ノアねーさんと ときおり格闘試合をしている。
ソフィア―ナ艦隊は こうして故郷をはなれ、機械生命体からこの世界を守るため 深宇宙へと旅発つのであった。
ソフィア―ナの本当の戦いはこれからだ!! ・・・・・とよくある文言で終わることにします。
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追伸・・・・ほとんど出番のなかった塩野副指令が 異世界(地球)の期末試験が終わったらしく・・・
ときおりフユル村に遊びに来てたりします!!
「ソフィアーナちゃん! おひさしぶり」
「塩野君!! もう・・・戻ってこないのじゃないかと思っちゃったよ!!」
元気よく挨拶する塩野副指令にたいして なぜか鋭い眼光を飛ばす学士君!!
「期末試験が忙しくて・・・ あっ!! そんなことより 早めに忠告しないと・・・いけないことがあるんだ!!
このテラフォーミング地区には、以前、僕がゲームに使用して放置していたティラノザウルスの卵が・・・・」
そして・・・・・
ティラノザウルスが唐突に出現しました!!
大暴れしている!! フユル村の危機だ!!
エンドレ君は家の中で震えているww
私とノアねーさん、ベルグ元将軍、おまけに学士君 そして 巨大ライフルを持った塩野君とで
楽しく!?ティラノザウルス狩りをするのであった。
次回作・・・・恐竜・ハンターの始まりである!!
-------------------- La Fin