王都決戦!
ソフィア―ナ軍(仮名)がダリエの町で 四足歩行兵器を前面に押し出し威嚇攻撃!?をまき散らしている頃、
フランリア王国に宣戦布告されたレイア大公国の公都レイトレイアでは・・
その同盟国であるローンドラ帝国の援軍も到着し 総勢5万の兵力が集結したのである。
若く清々しい青年のレイア大公国公王セルエイトは
城のバルコニーから見える総勢5万の大軍の素晴らしさに安堵していた。
「うむ! 敵の侵攻軍を上回る兵力を準備できたな!! これでなんとか防衛できる!!」
そんな公王の安堵した雰囲気の中 伝令が情報を伝えてきた。
「未確認情報ですが・・・ 我がレイア大公国の山岳地帯で フランリア王国に対してゲリラ戦が発生しており、
敵4万をほぼ壊滅、それどころか、敵地に攻め込みダリエの町が炎上したとの報告です!」
「なんと!!! 我が国の山岳民族はそれほどまでに精強なのか!!」
「交易商人たちからもたらされた情報なので 信頼性は薄いのですが・・・
・・・・その情報によれば、フランリア王国軍を撃破したゲリラのリーダーは かつてフランリア王国から追放された魔道師らしく、
かなりの恨みをいだいていると・・・・」
「お~ 敵は自らの身からでた錆びで 自ら錆びてしまっているってとこか~
・・・・・身につまされる話だな!!!
とにかく 正確な情報がほしい・・・・でないと今後の計画が立てられないからなぁ」
「はっ! 潜入させている諜報員の数を増やしていますので しばらくすると正確な情報があつまるでしょう」
「たのむぞ!!」
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フランリア王国の王都アルトルは広大な城塞都市であり・・・
その中心地には王都の象徴というべき王城が緩やかな丘の上に建っている。
その王城を取り囲むように王都民の住む市街地が広がっており 流通、経済の中心地として賑わっていた。
また、王都防衛のため 重厚な城壁と堀で形成される多重要塞が王都全体を囲み鉄壁の防御を誇っている。
現在、その王都アルトルの上空には 全長2kmの陸戦降下艇スオウをはじめ、
直径20kmの超大型UFO 10機が遊弋していた。
これは副官アヤノの提言により、陸戦降下艇スオウだけでは 砲艦外交のインパクトが薄い!?と考え、
この星系外で修理、補修中のソフィア―ナ艦隊に収容されていた直径20kmでも小型艇の扱いであるUFOを
一日ほどかけて、わざわざ来てもらったものである。
中世時代の都市上空に宇宙時代の宇宙船が漂うとんでも状態になっていた。
とりあえず・・・・
王都の制空権は完全にソフィア―ナ軍(仮名)によって掌握された。
中世時代のフランリア王国軍に空軍なんて存在しないだろうから ほぼ完全勝利のはずだ!!
王都を どのように料理するかはソフィア―ナの自由自在!!
まさに生殺与奪を手に入れているのだ!!
陸戦降下艇スオウの艦橋にて・・・
艦隊司令長官のソフィア―ナではなく、
ノアねーさんが、まるで悪の女王のような目つきで眼下の町を眺める。
いまにも破壊しかねない目つきである。
実に危険である!!
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今、王都アルトルは昼間なのに深夜のように暗い。
上空は巨大UFOで覆いつくされ、日差しもあたらず、季節は夏なのに温度がどんどん下がっていっている。
この地域だけ 人為的に冬になろうとしていた。
その王都では拡声器をつかって 王都民にも聞こえるような大音量の声が響き渡っていた。
声の主はノアねーさんである。 完全に昔の恨みを引きづっている。
『 よくも無実の罪を なすり付けてくれたわね!!
私はノア ネリアエル!! 前国王の側妃の姉である。 妹を抹殺したお前たちに仕返しに来た!! 』
まさにストレートな発言である。 遠慮なく仕返しという言葉!!
ついでに 前国王の側妃の姉であるという衝撃的発言付きでもある。
ソフィアーナは おもっきり驚いた!! というかもしかして私は・・・・!?
『 私は帰ってきた!!
私の妹であるリーナ側妃と前国王であったカルマン国王との間に生まれたソフィアーナ王女をつれて・・
・・・・私はこの背徳の王都に帰ってきたのだ!
よくも前国王を暗殺し わたしの妹を亡き者としたあげくにソフィアーナ王女を殺害しようとした大罪者エルド国王に
天罰を与えに来た!!』
ノアねーさんの発言を聞いてやっぱしか!!
私は ノアねーさんの姪だったのか!! だから・・・命を狙われていた私を村でかくまってくれたわけね!!
『 ふっふふふふ~ ただ単に帰ってきたわけではない!!
ソフィアーナ王女は神の使徒となって帰ってきたのだ! この世界を滅ぼすために帰ってきた。
今! ソフィアーナ王女の怒りの天罰がこの王都を灰燼にする!! 』
えっ! この発言の続きはどう考えても 超兵器で王都が爆発するシーンだよね!?
副官のアヤノが 私をチラチラみる。
「ソフィアーナ様の許可があれば 反物質弾を撃ち込みますが!?」
副官の怖い一言である。
「やめろ! 王都を焼き払ったら魔王コースに一直線じゃないか!?」
私はおもっきり静止する。 本気で焼き払いかねない!!
捕虜のわりには テーブルでくつろいでいるベルグ(将軍)の手に持つコーヒーが震えていた!!!
「すみません! 王都に家族とかいるので 攻撃は避けてもらえると うれしいのですが・・・」
ベルグ(将軍)は控えめに訴えている。
・・・・これ以上 ノアねーさんに拡声器を使わせると怖いので
続きの発言は私がすることになった。
『 えっと・・・ちょっとノアねーさんが暴走発言したようなので 訂正します。
うちの叔父にあたるのかな なんやら国王さん!! 弁明を聞きますので、そちらに連絡艇を送ります。
拒否した場合・・・・・どうしましょ!? 王都の破壊でいいかな ということで よろしくおねがいします! 』
叔母も姪も どっちにしろ王都の破壊宣言をするのであったww
そして・・・不安げな顔したベルグ(将軍)が私になにかを訴えかける。
「・・・・・ベルグさん!! わ・・・わかってます!! うちは決して王都は破壊しませんので・・・たぶん」
「たぶん!?」
よけいに不安になるベルグ(将軍)だった。
そのころ、王都アルトルでは 上の下への大騒ぎ!!
圧倒的すぎる敵に王都を守る兵士の士気は完全に下がっている。
逃げる王都民が王都城門に殺到し大混乱。
王都全体が悲観的な雰囲気で覆われていた。
30代後半の白髪が目立ち始めた青年は、上空のUFO軍団と その演説を聞いて城のバルコ二―でへたり込んでいた。
その側にひかえていた宰相のリィシェンも あまりの衝撃で立ち尽くしていた。
薄い髪がより薄くなるぐらいの衝撃である。
ベルグ将軍の見た巨大飛空船とは あれの事だったのか!? そしてソフィアーナ王女。
まさか・・・こんな奇想天外、想像外の無茶なことが起きるなど 誰が想像したか!?
城の兵士たちは 戦闘配備についているが、あんな上空の敵に対処できるのか!?
我が国で密かに建造、保有している飛空船は一隻のみ、全長も20mほどで巨人と蚊ぐらいの違いがある!!
無理だ。負ける! 王都は火の海になる!!
宰相のリィシェンは 相変わらずバルコニーでへたり込んでいるエルド国王を見た。
14年前、この国王が野心にさえ・・・・ いや野心に火をつけてそそのかしたのはわしだったなぁ。
へたばっている国王がなんとか立ち上がり ふらふらと王座へと足を歩ませ始めた。
「リィシェン宰相!! 急ぎ魔導師を集めよ!! 勇者召喚を行う!!」
「・・・・それは禁断の秘術! 大変危険なため禁止されています。
勇者召喚と言われているが・・・、実際何が召喚されてくるのか分からないのですぞ!!」
「それでもかまわない! 今は王国の危機だ! 今、使わず、いつ使うというのか!」
「はっ! おおせのままに」
勇者召喚以外の代案が思い浮かばないということもあり 宰相のリィシェンは承諾したのであった。
この勇者召喚の秘術には それなりの魔術技量と多量の魔力が必要のため、
宰相は 城中の魔導師たちをかき集めるように側近に命じたのである。
慌ただしく官僚たちや魔導師が走り回り、急ぎ準備にはいる。
UFO来襲によって 暗くよどんだ城中に活気が蘇っていくのであった。
勇者召喚とは・・・・・・・世界のどこかにいると思われる神の力を授かった人物を強制的に呼び出す魔術なのだが、
実際に何が呼び出されてくるのか不明であり、もしも悪魔や怪物が呼び出された場合、我らにとって大変危険なことになる。
一応、この勇者召喚魔術には、召喚した勇者を洗脳する魔術が組み込まれているが・・・
呼び出される勇者の能力によっては無効化される可能性がある。
伝説によれば東方のとある国で、勇者召喚をおこない、その勇者の怒りに触れ、王都が壊滅したという!!
強制的に呼び出され、洗脳されそうになった勇者にとっては当然の行為ともいえた。
そのため禁断の秘術とされていたのである。
しかし・・・その禁断の秘術である勇者召喚を城内の中庭でおこなうべく準備がすすめられたのであった。
巨大UFOによって 太陽の光が遮られ暗くよどんだ中庭に多くの魔導師が集められていた。
彼らは緊張している。
空を見上げると多数の巨大な物体。
奴らを倒す唯一の希望!
これからおこなわれる勇者召喚の成否でこの国の運命が決まる。
多くの魔導師は ひんやりとした中庭で、生ぬるい汗をかいていたのであった。
今!! この国の運命をかけた勇者召喚が 始まろうとしていた。
中庭の敷地一杯に赤文字で魔方陣を描き、そして・・・多くの魔導師が一斉に呪文を唱えだした。
その呪文の声は中庭をこだまし反響する。
しだいに魔方陣は輝きだし、なにやら霧のような白いものが浮かび上がる。
神々しく神秘性を感じさせた。
「いける!! すばらしい!! 」
意気消沈としていたエルド国王は その様子を見てなにやら希望を見出す。
神は私を・・・この国を見捨てなかった。
そんな勇者召喚の儀式中の上空に ソフィアーナが送り出してきた連絡艇が姿を現した。
連絡艇といっても 全長50mもあり 陸戦隊が30名ほど乗りこんでいたのである。
連絡艇の操縦士は 眼下に見える魔方陣の模様を、
フランリア王国側が用意した着陸地点だと思い込み その魔方陣に向かって連絡艇はゆっくりと降下することにした。
その時!!
魔方陣の文字が点滅をはじめると、白い霧が渦巻きだしながら光を放つ。
そして・・・その光が徐々に強くなっていくと、束のような光の塊に変わり上空へと放射されたのであった。
この光は・・・・・とある科学技術の進んだ異世界風にたとえると・・・間違いなくレーザー兵器である!!!
そのレーザー兵器とも言える光の束は降下中の連絡艇底部へすいこまれるように・・・・・命中した!!
ズド――――ン
閃光がはしり、不快な音が中庭に鳴り響く。
エルド国王をはじめとした魔導師たちは、なにが起こったのか理解できない!!
しかし・・・なにか勝利の予感でも感じたのか!? 国王に笑いがこぼれた。
その・・・光のレーザーは空気を赤く光らせながら・・・連絡艇底部装甲板を軽々と突き破り、動力部の反物質エンジンを破壊した。
しかも、それだけでは飽き足らず、その光のレーザーは連絡艇に大穴をあけ貫通、そのまま上空へと飛び去っていく。
被弾した連絡艇は わずかな間、飛空を続けたが、動力部から漏れ出した反物質が対消滅反応を起こし・・ついに大爆発をひきおこした。
轟音とともに連絡艇は巨大な火の玉・・・言わば、超新星爆発のような強烈な熱と光を容赦なく周囲に放出したのである。
この爆発は普通の爆発ではない!! 反物質の爆発だ!!
真っ赤な閃光が王都を駆け抜け、光に包まれると同時に、壮絶な衝撃波が走り抜ける。
その衝撃波によって王都アルトルの象徴である王城は土台ごと、10mは宙に浮き、
・・・そして地面に叩きつけられ、白い埃を巻き上げながら、ドミノのように倒壊した。
この倒壊によってエルド国王、宰相のリィシェンをはじめとした王都在住の貴族や官僚の多くが行方不明となってしまった。
王国の政府機能が完全に失われたのである。
しかし、幸いにも被害は城の倒壊のみだけで、王都市街地に被害は及ばなかった。
城を守る巨大の内壁によって衝撃波を防いだのかもしれない。
一方・・・・
魔方陣により生み出された光のレーザーは連絡艇を貫通しそのまま上空へと突き進む。
次なる獲物は直径20kmの巨大UFO。
この・・・恐るべき光のレーザーを止めることは誰も出来ない!!
ひたすら上空に駆け上がっていく。
そして・・・
その光のレーザーはUFOの下部から上部へと 軽々と貫き通し貫通してしまった。
連絡艇と同じように 焼き鳥の串のように貫いたのである。
UFOの各所から多数の爆発が発生、内部では火の海の状態となり、消火不能となった。
もはや完全に動力は止まり巨大な鉄の塊となったUFOは 墜落をはじめた。
しかも・・・恐るべきことに このUFOの真下には王都が存在しているのである。
このまま降下すると直径20kmのUFOによって王都が踏み潰される!!
王都壊滅の危機である!!
今! 大量殺戮が始まろうとしていた・・・・
・・・・・のはずだったが・・・
他のUFOから発せられた多数の重力牽引ビームが墜落するUFOを みごとに受け止めた!!
この重力牽引ビームは対象物体を牽引する働きのある工学技術であり・・・
・・・これ以上のUFO墜落を食い止め なんとか浮かび上がらせることに成功した。
巨大UFOの墜落による王都破壊は阻止されたのである!!!
しかし、この段階で王都の住民は完全に恐慌状態に陥った。
城は破壊され、上空には火を噴くUFOが・・・・・
直径20kmの巨大UFOが わずか高度20mほどの距離で王都を覆いかぶさるかのように留まっているのだ!!
ときおり UFOからおちてくる火の粉のため 王都の各所で火災も発生していた。
王都住民は 急いで郊外に逃げだし、王都内や王都外の街道は 馬車や人で大混雑する事態となっていた。
ソフィアーナは まさかの連絡艇の破壊と UFO墜落で驚いている。
まさかの中世時代の兵器で まさかのUFO撃墜である。
「中世レベルの技術とはいえ 恐るべき・・・・」
副官のアヤノも驚いていたのであった。
「うちは 王都を破壊する気はないので、王都での火災消火をお願い」
私が副官のアヤノに 消火命令をだしたとき、操縦室内で警告音が鳴った。
『 上空5万kmの宇宙空間に空間亀裂が発生!! 機械生命体の反応を確認!! 機械生命体がワープアウトする可能性があります!! 』
操縦席のコンピューター音声である。
どうして こんな時に機械生命体が!? あの光となにか関係あるのか!?
とにかく 私と副官アヤノは その驚きの情報にディスプレイで状況確認をした。
ノアねーさんと学士君、そして ベルグ(将軍)はよくわかってない様子だ。
「ソフィアーナ様! 機械生命体が完全にワープアウトするまえに 艦隊での迎撃をお勧めします
ワープ直前の機械生命体は自由に動けず楽に勝てるからです」
副官アヤノの進言である。
「そうだね! この星になんらかの危害を加えられる前に 倒してしまおう」
「了解です。 全艦隊の出動、機械生命体への迎撃準備にはいります。この陸戦降下艇スオウも戦列艦ナガトに急ぎ帰還します」
うちは無言でうなずく。
「みなさん、これから うちの艦隊にゆだねられたこの世界を滅ぼす敵と戦います。 覚悟を決めてください」
ノアねーさんと学士君は嬉しそうにうなずいた。
ベルグ(将軍)は相変わらず 何がなんだか分かってないようだ。
「ここまできたら・・ベルグさん! 一蓮托生です。死ぬまでお付き合いです」
「あ~わかった! どうにでもしてくれ!!」
エルド国王が最後の賭けでおこなった勇者召喚の光は上空へと駆け上がり、
宇宙空間に達したところで、時空間の裂け目をつくりだしたのであった。
そうです!!
空間の裂け目からソフィアーナ艦隊の最大の敵であり目的でもある機械生命体を勇者として召喚してしまったのであった。
-------------------- To Be Continued 次回は宇宙艦隊決戦!!