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退屈な世界の見識法  作者: とりあえず寒帯
1/1

始まり


くだらないと思っていた世界にある一工程が加わっただけで、それは一瞬にして色を変えるであろう。だか、大概の人にとってそのある一工程が何なのか、どうしたら手に入るのかは分からない。だから、日々繰り返す灰色の光景を見続ける。これは至極当たり前の事だと思う。故に、こう結論づけて、最初の言葉とさせていただきたい。大概とは言葉通り大多数を指す。つまり、我々凡人の見る世界は、個々に違いはあれど一様に灰色なのであろう……。



紹介が遅れたが、俺はアルカナナイトフィーバー・葛城。現在高校2年だ。5歳の時に養子として拾われた。悲しいかな、本当の親は消息不明…。


「はぁ…」 ため息一つ。はぁ……。教室の席でひとり何をするでも無く、突っ伏している。

「楽しいっ!!!」 いつからだろう、 こんな心躍る様な思いを抱かなくなったのは…。小学生の頃は、あんなにもなんでもない日々を楽しんでいたのに。ほんとなんなんだろう……。


あぁ……なんだこれ、走馬灯が見える…。



この場所はそう。中学校のトイレだ。 そして、トイレにひとり便座で弁当食ってる"オレ"。

そうそう。 俺はクラスの皆に迷惑をかけないよう、1人こっそり、 忍の如くトイレに駆け込んだんだった。 あぁー、 俺ってばほんと偉いってばよ。


「はっ!!!!!」 目が覚めた時再び視覚に入ったのは灰色だった。時計を確認すると昼休みの時刻を指していた。


何か俺の心をくすぶる様なこと起きないかねぇ…。 はぁ…。

あぁ、起きない。 俺の息子もそう言っている。 因みに、昨日の献立はいつもお世話になってる100本道の"下原love"ちゃん。

おや、百害あって一利ない事を考えていると、1人のクノイチが現れた。とりあえず俺は"いのちをだいじに"を選択しておこう。


「あ、 あのっ…。 アルカナイト君、、、でいいのかな。 私、

隣の席の、河萩かわはぎ あけぼの です。 一応宜しくねっ!」


おっと、まさかのイベント発生。 これは予測できなかった。 予測の地平線の遥か彼方でした。 一応予測できてることになるじゃねーか。

目の前にやって来たのは、短髪茶髪、バストは…、大きいな。

容姿はかなりいいと見える。 身長は155に満たないくらいか。


「えーと、宜しく。 俺の名前はちょっと長いから適当に呼んでくれ」 こう無難に返しておいた。


実を言うと、アルカナナイトフィーバー・葛城なんだが…。ここは、敢えてちょっと名前の事、さほど気にしていない風に返事をしてみたが、どうだろうか…。


まぁ、大事なのは第一印象なのは言わずもがなだよな。


「うん、よろしくね! 私のことは、みんな"あけちゃん" 呼んでくれてるかなぁ…。 あっ! 曙ちゃんとか、あけぼちゃんとかもあったかなぁ…。 えへへ。」


うーん。 こいつ何言ってんだ。みんな"あけちゃん"はどこいったよ。 なんだよコイツ。 草生えるわ。 大草原っ!


「そ、そうか。 よろしく。俺も右にならえしとくよ。」


うーん、失敗したか…。 少し面白いことでも言うべきだったか…。まぁ、こんなもんでいいだろう。 なんか、この女色んなところが、めでたそうだしな。


あけちゃんが去っていくのを軽く目で追った後、席を立った。

行先は我が第2のテリトリーさ。 人間にはそれぞれパーソナルスペースがある。この俺はたった今パーソナルなスペースを侵されたのだ。 これはもう、もう一つのテリトリーへの移動は免れまい。


廊下に出ると俺は、脱兎の如く廊下を走った。過ぎ去る風景には、お喋りに夢中な若人諸君が仰山いた。全くご苦労さまだぜっ!


そうして、やっとこさ我が第2のテリトリーに到着した。 廊下を駆ける俺を誰一人として視認できなかったのは、ゲイルの如く疾風したからか…。 違うな。


第2テリトリーとは、行き場を失った者達を包容するかの如く慈愛の心で迎え入れてくれる場所だ。そう、ヴィーナスは等しく者共を迎えてくれるのだ。ありがたや。放課後に望遠鏡でも買って金星でも見よう…。


そう心に決めて図書室へ入った。 うちの学校はこの辺りでは指折りの進学校だ。 故に、蔵書もそこそこ多い。室内は比較的静寂で、本を読む人や勉強をする者のが点在していた。

現在4月で、桜舞い散る春の季節である。二年に進級後、1ヶ月後には最初の中間テストが控えている。やはり、それなりに意識が高い人は勉強への取り掛かりも早い。


「少し本を読むか」 俺はその辺の本を適当に取った。「銀河鉄道の夜…か。」 一度読んだことがあるが、まぁいい。時間潰しにはなるだろう。そう一言漏らすと俺は本を読み始めた。

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