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異世界人の手引き書  作者: たっくるん
第二章 帝国の剣
99/218

98 領地からの知らせ

「ゼスト閣下、カタリナ卿よりお手紙が届きました」


日本人達との会談を終えて、ベアト達と新婚旅行を楽しもうと温泉宿に着いたらコノザマである

今度はきちんと予約した部屋で、嫌な予感しかしない手紙を開ける



『ゼスト閣下、お楽しみのところ申し訳ありません。

そろそろお帰りになるとは思いましたが、念のためにお知らせいたします』


……遠回しに早く帰ってこいって意味だな


『ツバキお嬢様の花嫁修業がどうなったのか、確認の為に帝都から宮廷魔導士のラーミア様がいらっしゃいます。

「ベアトは元気かしら?はやく会いたいわ」

だ、そうです』


「ベアト、ラーミア義母上が領地に来るようだぞ」

「まあ、お母様が?」

(ラーミアお母さん、久しぶりです!)


ふふ、久しぶりの母親だからな

ベアトは嬉しそうだし、トトもなついてたから嬉しそうだ

しかし確認ねぇ……まあ、大義名分だろうな

本音は遊びにくるんだろう


どれ、続きは?手紙に目を戻す


『ですから、早く帰ってきてください。

新婚旅行に行っているのもご存知でしたよ?

「お土産なんていらないわよ……良い生地があるかしら?」

とのお言葉でした』


はいはい、生地ですね……買って帰りますよ

まあ、手紙を今見てるんだから……明日か明後日くらいに帰ればいいかな?


『ツバキお嬢様の調教……教育は、問題ありませんのでご安心ください。

お帰りをお待ちしております』



調教はやめなさいよ、馬かよ

…………じゃじゃ馬だから間違いじゃないな


「ベアト、明日にでも帰ろうか?義母上にお土産を買ってね」

「はい!お母様には服の生地がよろしいですわ」

(久しぶりに、ギューってするです!)


手紙を読み終えた俺は、二人にそう伝えた

慌てる事もないだろうと


ゆっくり温泉を楽しんで、ガーベラ教皇に挨拶をして帰ろうとしたのだが……


「もう帰るの?寂しいの……」


水漏れしながらバタバタする冷蔵庫に泣き付かれて、もう一泊することになった

あんな水浸しで漏電しないとか、異世界スゲーよ



また来るからと、冷蔵庫に別れを告げて帰りの馬車に乗った


「いつでも遊びに来るがよい、ライラック聖教国はお主らの故郷と思って構わぬよ」


ババア……人間に変化した冷蔵庫に見送られて、俺達の新婚旅行は終わったのだった



「好敵手よ、また会おう」

「ああ、戦場でない事を祈る」


「次に会うときには、その腕を叩き切るからな!覚えとけよ?」

「ふんっ、また返り討ちにしてやるさ」


「…………必ず追い付くからな」

「楽しみにしている。私もまだまだ強くなる」



熱い別れの言葉だろ?女の子同士の会話なんだぜ?


国境で、メイド部隊と聖騎士団の別れの挨拶が済んだ

何人かドツキ合いしてるが無視する


「女って怖いよな」

「野蛮だよな」

「もっと理知的になれないのか、あいつらは」


…………黒騎士達が寝言を言っているが、やはり無視した

お前らは同族だろうが、脳筋共め



途中で何回か盗賊が出てきたのだが、理知的な黒騎士団や女子力が高いメイド部隊に蹴散らされる


出てきただけなんだよな


「ぎゃーー、く、黒騎士団と冥土部隊だぁーー!」


出会った瞬間にそう叫び、逃げ惑う

…………盗賊なんて辞めればいいのに


「ゼスト様?ダメですか?」

(お父さん、ダメですか?)


仲良く首を、可愛らしくコテンと傾げるベアトとトト

ふふ、かわいいなぁ……


「かわいいけど、盗賊狩りは駄目だよ?」


可愛らしくバルディッシュを構えるベアトと、可愛らしく黒い魔力で出来たノコギリを構えるトト


「……とりあえず、しまいなさい」

「わかりましたわ」

(はいです)


遠くから聞こえてくる、盗賊達の悲鳴を聞きながら空を見上げた

いつの間にか好戦的になったよな、この二人も

まあ安心って言えば、安心だけども……


…………義母上に相談しよう


空を見上げたら雨が降ってる

これは雨だ……涙じゃないと思いたい




いつもの珍道中をしながら館に着いた

久しぶりの我が家に落ち着くな

出迎えたのは、カタリナだった



「お帰りなさいませニャ、閣下。もう、ラーミア様は到着しておりますニャ」

「カタリナ、ご苦労だったな。もういらっしゃっているのか」


「はいですニャ。閣下だけに、伝言ですニャ」


そう言って手渡された紙には、こう書いてあったのだ



『ベアトには内緒で話があるの。執務室で待っていますわ、婿殿……早くこないと髪の毛の話……ベアトにしちゃおうかしら?』




髪の毛?

…………あの事がバレバレだったのか!?

魔力で紙を燃やし尽くして館にダッシュで飛び込んだ



胃が痛すぎて、吐きそうです…………


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